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先月(2017年8月)

月猫 さんのレビュー一覧

投稿者:月猫 

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本ファンタジーの秘密 新装版

2001/12/31 23:26

ゴブレットを待ちながら

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ハリーポッターシリーズの第4巻(炎のゴブレット)の邦訳を待ちきれない人にお薦め。
 この本は英米文学研究者で、ファンタジーや童話の翻訳も多い著者のファンタジー論である。ファンタジー論は他にも多いが、これをお薦めする理由の1つは章立て。それぞれの章の扉のページに、その章で言及するファンタジーが列挙されている。このページを見るだけで、ファンタジーの傑作(というか、著者のお薦めファンタジー)がわかる、という仕掛けである。
 例えば第1章「魔法の復活」の扉に並ぶのは、「ホビットの冒険」「指輪物語」「ゲド戦記」「ブリジンガメンの魔法の宝石」「ゴムラスの月」「ふくろう模様の皿」「闇の戦い」「イルスの竪琴」。どれもが著者お薦めのファンタジー。私が読んだことがあるのはこのうち5、6作だが、「ハズレ」はなかった。
 ファンタジー論を読んでからそれぞれの作品を読むも良し、作品を読んでから著者のファンタジー論を読むも良し。そうやって古典的名作と言われるファンタジーを読んでいるうちに…ゴブレットは遠からず邦訳されるはず。
 ゴブレット待ちの人でなくても、「面白い本」をお探しの方にはもちろんお薦め。来てはくれないゴドーを待ちながらの無聊の慰めにもいかが? 
 (ただし、私の読んだのは同著者・同タイトル・同出版社の旧バージョンらしく、1991年発行の本である)
 

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紙の本イギリスはおいしい 2

2002/01/19 19:18

鬼に金棒、リンボウ先生にカメラ?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 知性と教養に裏打ちされた軽妙洒脱な語り口が快い、リンボウ先生のイギリスエッセイの新刊である。だが、今までの著作とはちょっと違う。おなじみの繊細な挿絵がほとんどなく、そのかわりにリンボウ先生自身が撮影した写真がちりばめられている。風景に野の花、そして旅先のパブや旅篭での食事のアップ。風景はともかく、クラブハウスサンドイッチのアップなんて、どんな顔で撮影したのだろうか。想像するとちょっとおかしい。
 「イギリスは愉快だ」で語られたボストン夫人(『グリーンノウの子供たち』の作者)のマナーハウスの写真や、「個人主義者」の豚とその家の写真など、リンボウ先生の今までの著作のファンには2度おいしい写真も含まれている。
 また『嵐が丘』で有名な「ヘザー」(ヒース)の写真は必見。ムーア(日本語では「荒地」)を埋め尽くす植物、というと、とても荒涼とした植物を想像してしまうが、なんとも可愛らしい花であった。そのほかにイギリス文学に時々でてくる様々な形式の家(セミ・デタッチト・ハウスやコートハウスなど)の家の写真など、文学作品の中でしか知らなかったイギリスの風物が写真とリンボウ先生の語り口で楽しめる。
 私のイチオシは「トゥワイゼル城の恐怖」(96ページ)の中の、アップで迫る牛たちの写真。古城の恐怖と牛の群れの気になる関係は…読んでからのお楽しみ。
 「鬼に金棒、リンボウ先生にカメラ」とばかりに最強のエッセイになっているかというと…写真にオイシイ処を任せてしまって? 肝心の「語り」がこころもちパワーダウンしてしまったように思う。
 そしてタイトル。「おいしい」話は必ずしも中心ではないので、「イギリスはおいしい」の続編的なタイトルは正直いただけない。文庫化にあたって改題したとのことだが、原題(『リンボウ先生 ディープ・イングランドを行く』)のままの方が良かったのではないだろうか。

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