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KHさんのレビュー一覧

投稿者:KH

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紙の本ルノリアの奇跡

2001/03/14 16:00

別離、そして

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 すべてはアルド・ナリスとヴァレリウスの策略であった。いち早くヤンダル・ゾックのたくらみを見破ったナリスは、仮死状態になることで自軍のなかの密通者をあぶり出す。白魔導師イェライシャの力を借りたものの、一歩間違えば、自らの身をも危険にさらす賭であった。そしてナリスとヴァレリウスはその賭に見事勝利した。
 グインサーガ78巻は、帰還したヴァレリウス、そして白魔導師にして〈ドールに追われる男〉イェライシャの助けを借り、ナリス軍のマルガへの脱出、そして王位宣言までの過程を描く。
 この巻のテーマは、別離であるといえるだろう。生きていたアルド・ナリス、それは、自らの側近、軍隊、同盟者をも欺く諸刃の剣であった。アルドナリスの策略を賞賛し、受け入れ、純粋に喜ぶ人々がいる一方で、アルド・ナリスへの信義からこの戦いに駆けつけたスカールは、ナリス軍を去っていく。この「戦争」が、世界を救うための戦いであるとの大義名分がある一方で、去りゆくスカールを説得しようとヴァレリウスが投げかける言葉、「…ナリスさまが、ご無事ならば、それでよろしくはございませんか」は、この「戦争」の本質のいくばくかを表しているのかもしれない。
 ナリスの生存をもっとも喜ぶべきリギアも、ナリスへの疑問をあらわにし、自らの軍を残し、ナリス軍を離脱する。「私はあなたたち[ナリスとヴァレリウス]の真理では救われない」。リギアの20ページにもわたる独白は痛ましくさえある。
 このような別離を経ながらも、ナリス軍は無事マルガ入りし、ナリスは覚醒する。人々の歓呼のなか、ナリスの王位宣言がなされ、パロは事実上二つに分割されることになる。この先、ナリスとヤンダル・ゾックの戦いは、パロの内乱という枠を越え、世界を救うための戦いとしての性格をあらわにしていくことになるのだろう。物語中、病的と表されるナリスとヴァレリウスの戦いが、いかに正義のための戦いとしての地位を獲得していくのかは、作者の力量が試される場面であるだろう。
 数巻にわたって続いた「パロ内乱編」は、内容的にこの巻で一段落するようである。71巻から78巻と、かなりのボリュームになったものの、全体的な記述のバランスを多少欠いているように感じられるのが残念である。登場人物たちの内面的な心情、感情の動きが詳細に書かれる一方で、内乱の全体的な構図や、各国の反応・対応に関する記述が極端に少なく、たまにそれらに触れられたときの展開が、唐突であるように感じられるのである。この巻のナリスの王位宣言は、それを如実に表しているように思える。
 ともあれ、これだけの長編を書き続ける、作者のエネルギーと根気に今後も期待したい。

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