サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. 日経BP社 編集委員 木村功さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年6月)

日経BP社 編集委員 木村功さんのレビュー一覧

投稿者:日経BP社 編集委員 木村功

8 件中 1 件~ 8 件を表示

文系のビジネスマン、文系の経営者は必読

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 理系の人は、いわれのない偏見に取り囲まれている。
 ・一般の人が理解できない難しい仕事をし、それだけにのめり込んでいる
 ・オタクのような常識外れの人が多く、普通の人とは付き合いができない
 ・自分の専門しか頭になく視野が狭いので、組織のマネジメントには向かない
 文系の人でも同じような傾向の人はいる。理系人を一からげしてこのような偏見のレッテルを貼るのは間違いだ。
 本書は2001年1月から2003年4月まで毎日新聞が連載した企画「理系白書」がベースになっている。日本の再生、次代の発展が科学技術にかかっているのは間違いない。科学立国、技術立国、技術立社などのスローガンが踊る中で、理系人に対する期待はどんどん膨らんできている。大学、研究機関での教育・研究の実態、民間企業での仕事と待遇、私生活、抱える悩み、不満、生き甲斐、といった理系人の課題を総ざらいしてまとめた、他に類書がないユニークな本である。
 閉鎖的と批判されてきた研究機関の改革の動き、研究にかかるおカネの話、世界に伍して独創性を発揮している研究者・企業の活躍ぶり、なども興味深く読めた。
 新聞記者が足で取材した話を基に書いているため、役所の白書と違い面白く、分かりやすく、生き生きとした描写になっている。単なるルポでなく、理系の実情を表す調査データも押えており叙述には説得力がある。時機を得たテーマで、新聞記者としてのセンスの確かさが表れている。理系を冷静な目で見ながらも暖かい心情が感じられ、切り込む姿勢に好感が持てた。
 理系人はこの本を読んで身近な話に共感したり、身につまされる思いもするだろう。文系人は、理系人の世界との違いを感じながらも理系人と理系分野の理解を深めることができるはずだ。理系人でも、文系人でも、また男女を問わず読んで得るところが大きい本である。
 そして、この本を何よりも読んで欲しいのは、文系の経営陣・管理層、教育政策に携わる政治家・官僚、教育機関の教師・教授・理事といった人たちである。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

「マーケティングするヒント」というべき本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 マーケティングの研究では世界的な権威であるフィリップ・コトラーが「瞑想や直接的で直観的な洞察による学びが重視される」禅(ぜん)の方法をとり入れて書いたと自ら語る刺激溢れる書。マーケティングに関する重要なコンセプトを80選び出し、深い思索、学識、豊富な実例の知識を背景に鋭い洞察を展開する。
 データを揃え首尾一貫、整然と書いたマーケティングの書ではない。80のコンセプト(キーワード)を一つずつ俎上に上げて考察を加える。歯切れの良い説得力のある説明から、コトラーの思想、ひらめき、深みのあるヒントがほとばしり出ている。各コンセプトの説明はそれぞれ独立しているため、読者はこの本のどこからでも、自分が読みたいと思う所から読むことができる。「広告」、「ブランド」、「顧客」、「ポジショニング」、「インターネットとEビジネス」といった重いコンセプトには多めのページが割かれている。
このような構成なので、読者は「序文」を先に読んでおいたほうが良いだろう。コトラーのマーケティング全体に関する基本的な考えがまとめられているからだ。「マーケティングとは、充足されていないニーズや欲求を突きとめ、その重要性と潜在的な収益性を明確化・評価し、組織が最も貢献できる標的市場を選択したうえで、当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し、組織の全成員に顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である」。
 この序文でのマーケティングの定義を土台に、本文でコトラーの洞察が存分に展開される。叙述は、明解でやさしく教科書、専門書的な堅苦しさはない。仕事で忙しいビジネスリーダーにはマーケティングの最新の考えを教えてくれる。マーケティング部門の管理職には日常業務の知識で一杯になった頭を蘇生させるのに役立つだろう。マーケティングに挑戦したいという若い人にとっては、しっかりしたキャリアを積むための必読書と言えよう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

はじめの一歩を踏み出そう 成功する人たちの起業術

2003/07/24 13:10

起業の成功を断言、出色の指南書

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 起業を考えている人か、起業して行き詰まってしまった人にとって、またとない指南書である。スモールビジネスで成功するために為すべきことを順序立てて極めて分かりやすく書いている。この本を起業前に読んだ人と読まなかった人とでは、起業の成否にかかわるような差が出てくるのではないだろうか。自らの夢を託しスモールビジネスを起こしても、生き残るのはごく僅か。著者は、この本に書いてあることを実行すれば必ず成功すると断言する。その断言も納得できる内容のある本だと思う。読み捨てのノウハウ本ではなく、読者が事業経営の基本を自然と学べるように構成されている。
 著者は、職人と起業家の違いを明確にして、すべてを自分でやりたがり結局頓挫してしまう職人型起業家に対し、「自分がいなくてもうまくいく仕組み」を作るのが起業家であると説く。
そして、成功するための3つの基本ルール、「イノベーション(革新)」、「数値化」、「マニュアル化」を挙げる。イノベーションは仕事を進める最適な方法を常に考えること、数値化はイノベーションの効果を数値データとして把握すること、マニュアル化は商品・サービスの品質を安定させ顧客の期待を常に満たすこと。事業はこの3つのプロセスを継続することで成長していく、という。
 3つの基本ルールに基づく「事業発展プログラム」を7つのステップに分ける。各ステップは順に、「事業の究極の目標」、「戦略的目標」、「組織戦略」、「マネジメント戦略」、「人材戦略」「マーケティング戦略」、「システム戦略」。それぞれのステップでスモールビジネスの規模、実態に合わせた適切な作戦を説明する。起業家として事業運営に欠かせないポイントを親しみやすく簡潔に述べている。
 米国の起業家向けビジネス誌「Inc.」が実施した成長企業500社のCEO(最高経営責任者)へのアンケートで、ビジネス書1位に選ばれた。ビジネス書では近来にない名著「ビジョナリー・カンパニー」は3位で本書の後塵を拝している。スモールビジネス、ベンチャービジネスで成功した起業家が高く評価しているのもうなずける深みのある本である。
 一般企業に勤めているビジネスマンが自分の日常の仕事を見直したい時や新しい事業に取り組む時にも良い参考書になる。米国で企業の研修用に使われているという話が、よく理解できる。また、大手企業の経営者には経営の初心を思い起こさせてくれるに違いない。スモールビジネスの起業家にとどまらず、ビジネスマンに広く読まれるべき本である。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本「現場」学者中国を行く

2003/06/16 16:50

経済発展を現地調査、現実の姿を追求

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「現場」学者を自称するだけあって、研究者があまり足を踏み入れない地域にも足を運び、目で見て聞いて確かめる姿勢には好感が持てる。実際の見聞に基づく叙述と、何年もかけた定点観測によって中国の急速な変貌ぶりを描いた叙述には迫力がある。また、熱気をはらんで進行する経済発展の現場を支える中国人のすさまじい向上意欲、将来に対する確信に驚かされる。
 著者が「この十数年でもっとも刺激を受けた」のは、「一郷一品、一村一品」運動、「中国小商品城」、「北京シリコンバレー」だ。
 温州市には洋服ボタンの生産業者1000以上が集積し、全国のボタン生産の75〜80%を占める。同時に巨大な卸売市場が形成され全国のボタン流通の80〜90%を占める。一村一品運動の掛け声で全国を制覇するような規模の産地・市場が誕生した。
 義烏市の「小商品城」は、2万4000店の卸売業者が入居する展示・取引市場で雑貨、服装、メリヤスを中核に20種以上の分野の商品が取り引きされ、宿泊施設をはじめ種々の関連サービスを提供している。そして、周辺には商品を生産する産地が形成されている。農村の個人企業が経済発展の中心になっている。
 北京シリコンバレーは、ハイテク企業、理工系大学、日本の秋葉原のような電子街で形成され、企業は外資系を含め8000社、大学・専門校約70、公的研究機関約230が集まっているという。
 本書の魅力は、日本では情報が十分に伝えられていない産業、企業の現場を研究者の立場で現地調査していることだ。計画レベルの話ではなく、現にあるものの報告である。中国の変容が客観的、現実的な姿で読者の眼前に広がってくる。「右肩上がりの成長軌道に乗っている中国」が、粗削りな面を残しながらも着実な基盤を整えつつあることが分かる。
 日本で経済・産業の再建の切り札と期待されている「産学連携」の中国スタイルが興味深い。日本では文部科学省が大学を管轄しているが、中国では教育部(日本の文部科学省に相当)が管轄する大学が少なく、他の各部、各省が多くの大学を管轄する体制だ。新製品開発などは各部の指導で大学も担当し開発が進んだ段階で企業を参加させた。このため企業の開発力が育たず大学が研究開発・事業化能力を持つようになったという。産と学はもともと強く結びついていた。大学が予算を大幅削減され自力調達を迫られたことも産学連携に拍車をかけた。外国企業との連携にも積極的になった。制約が多くて難航してきた日本の産学連携とは余りにも土壌が違う点は面白く読めた。
 台湾との濃密な関係も合弁事業などの具体例を通じて明らかになる。政治の表向きの舞台での対立がどこまで本気なのか疑わしくなるほどだ。韓国企業の中国への進出の現状、北朝鮮との事業協力などは日本のメディアでは実態が伝えられないので、興味を引かれた。
 企業ガバナンスへの共産党の関与のほか、少子政策によって急激な高齢化社会が日本以上に進むことなどを課題と指摘している。中国の企業、産業の実態は変化が激しいだけにつかみにくいと思うが、今後とも著者に現場を踏まえた事実と、分析を期待したい。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

ゴーンのリーダーシップが日産を再生させた

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、なぜ瀕死の状態にあった会社を3年ほどで復活させることができたのか。本書を読んで印象深いのは、ゴーン社長の経営手法の革新性や斬新制ではなく、為すべきことをきちんと遂行させるリーダーシップの力である。現状を冷徹に分析し、その対策を立て、対策を実行する。この経営のプロセスは当たり前で誰もがそうしようとするが、実際の場で遂行する際に様々な障害によって遅延したり、場合によっては頓挫する。遅滞無くこのプロセスを進むようにするのが、リーダーシップだ。
 比類の無いリーダーシップを発揮して日産を蘇生させたゴーン社長の基本的な考え方で注目されるのは次の2点である。
 まず、「解決策は現場にある」として、経営トップが机上で考えた再建策、改善策を押し付けるのではなく、自ら現場の情報を収集、分析し、現場を最もよく知る現場の人間に問題点を発見させ解決策を考えさせることだ。この現場の知恵を吸い上げ十分に活かす組織作りとそれを円滑に動かすことにゴーン社長は長けているのである。
 もう一つは、経営に徹底的な透明性を持たせようとしたことだ。「透明性は、二十一世紀の企業が直面する最も大切な問題」というのがゴーン社長の信条だ。経営不振の時などは知られたくない不都合なことは隠そうとしがちだが、ゴーン社長は日産の悲惨な実態ありのままにさらけ出すことによって社員、株主などからの信頼を得ようと努めた。
 本書には、再建のプラン、実行のための手法などが簡潔に分かりやすく書かれており、日産の再建過程の流れもつかみやすい。日産のリバイバルをテーマにした多数の書籍、記事があるが、本書は日産の将来を知る上でも大いに参考になるだろう。
 外国人ジャーナリストが日本企業とその日本人経営者の経営戦略を描いた本はこれまでにも数多くある。日産はルノーの傘下になったとはいえ典型的な日本企業で、その日本企業をリードする外国人トップのマネジメントを書いた本は珍しい。ゴーンという個人の持つ多様な文化的背景、異文化を受容する精神、偏見のない資質などが書き込まれているのは、著者が外国人であるからこそできたことでもあろう。
 本書は日産復活の成功物語であると同時に、現在の日本企業のマイナス面を浮き彫りにする物語でもある。ゴーン社長のような優れたリーダーを得て、底力はありながら低迷している日本の企業がどんどん再生の道を歩み出すことを望みたい。
 タイトルの「ターンアラウンド」は、「好転させる」、「自動車の向きをぐるりと変える」、「人の態度を変えさせる」といった意味だ。内容にピッタリの題だが、日本の読者のどれだけがこの英語の意味合いを感じ取れるのだろうか。読者を遠ざけるようなタイトルとしか思えないのが残念だ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

人事・労務に秘密がある

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中国の急激な経済成長、それに伴う社会、生活の変貌は驚異的である。「世界の工場」と言われるまでになった中国。史上例が無いスピードで企業が発展し、輸出品の安値攻勢が世界的なデフレの元凶と目されている。社会主義体制をとっているため、中国企業の華々しい急成長をもたらした経営戦略、管理・運営などマネジメントの仕組みは薄いベールに覆われている感じが拭えなかった。
 訪中して中国企業へのヒアリング、現地調査を重ねた学問的な研究をベースにした中国企業論は、派手な表面的な動きだけに目を奪われがちなマスコミのリポートでは分からない中国企業の経営の実態を、中国は門外漢と思っている人にも分かりやすく教えてくれる。中国の独特の人事・労務管理が競争優位の源——という本書の指摘に改めて中国企業の活動に目を凝らす人も多いだろう。
 著者によれば、中国ではこの10年ほどで「能力・成果主義」が浸透し、中国人は世界で最も勤勉で優秀な労働者に変身している。また、中国の労働法はアメリカ式の労働市場を前提にデザインされているため、企業の人事制度もアメリカに似ている。給与制度は、基本給、業績給、ストックオプション(国有企業では持株制)が3つの柱で、年俸制も導入が進んでいる。
 しかし、何よりも注目すべきは、中国企業のガバナンスだ。「工会」という労働組合に似た労使紛争調停組織が企業内に設置され、使用者側にとっては労務管理面のパートナーの役割を果たす。この工会は中国共産党の下層執行組織で、工会の上部に指示命令組織「企業内党委員会」がある。もう一つ企業内党組織としてリーダーの養成機関的な「共産主義青年団」があり、党委員会、工会、共産主義青年団の3者がワンセットで企業のガバナンスに関与している。企業組織の中に国家を主導する共産党の意向を反映させる組織を埋め込んでいるのである。中国の専門家には当たり前のことかもしれないが、一般の人にとっては極めて特異なガバナンスの形態に見えるだろう。
 著者は中国企業の強みと弱みを次ぎのように分析している。
・「中国企業の最大の強みは、低賃金労働者を働かせる厳格な仕組みと過酷とも言える人事・労務管理」。罰金、解雇といった厳しい処分まで設けた成果主義人事、賞罰を金銭で明確にした仕組みは共産党の方針である。
・「中国最大の弱みは、製品や技術の開発力が低いこと」。売上高に対する研究開発費の割合は平均0.5%、宣伝広告費の割合より低い。独自の研究開発と新製品開発がなければ、安価な国際生産下請業者で終わる。上・中級管理者の能力不足、売掛金の回収が難しいなどの問題もある。
 驚異的な発展を賛美する声が強い中で中国企業のアキレス腱、中国の政治、経済、社会の歪みを指摘する声も依然として強い。本書のように実証的なデータ・材料を基にした中国企業論は、中国企業を冷静に見るために欠かせないだろう。中国企業の競争力の分析で人事・労務管理に焦点を当てた点に新鮮な刺激を受けた。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

サービス・マネジメント

2003/05/13 14:59

サービスこそが企業の明日を開く

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「すべてのビジネスはサービスである」、「サービスは競争優位実現のためのツールではない。競争優位そのものである。人は製品やサービスを購入するのではない。期待を買うのである」。これが著者の根底にある考えである。
お客さんと接する店員の機転のきいた応対にサービスが良いと感じるかもしれない。また、物を買ったときにくれるオマケにサービスを感じるかもしれない。しかし、それはその店員の個人的な有能さによるものであり、オマケはちょっとお客の気を引くだろうが本来の事業とは関係のない余計な付属物である。本書のいうサービスは、このような類のサービスではない。
事業の成否を決するのは、サービスであり、その適切なマネジメントこそ競争に生き残るための最重要ポイントという。著者がサービスを最重要視する根拠、サービス戦略の中身、具体的な実行の方法、注意すべき点など、サービスのマネジメントについて、実際の企業の例を引きながら分かりやすく説明する。サービスがいかに重要であるか、その論旨の展開には強い説得力ある。サービスというあいまいなものを、徹底的に解剖して書き進める内容は、ビジネスパーソンを納得させるには十分だ。
実例が面白い。第8章「最悪の瞬間、最高の瞬間」では、顧客との接触の時である「真実の瞬間」に失敗したケース、成功したケースが取り上げられている。日本でも誰もが普段の生活の中で経験するような話であるため、思わず笑いがこぼれたり、身につまされたりするだろう。教訓にあふれた実例が並んでいるのである。
 第10章「高業績企業のサービス」では、優れた企業4社を紹介する。軍関係者に絞って金融商品・サービスを提供しているUSAA(ユナイテッド・サービス・オートモービル・アソシエーション)、アウトドア用品のREI(レクリエーショナル・イクイップメント)、レストランのバーンズ・ステーキハウス、エンターテインメントのディズニーである。これらの企業は、様々なメディア、他のビジネス書でもよく取り上げられるが、「すべてのビジネスはサービスである」という本書の主張に沿ったコンテキストの中で見ると、その経営と事業の特徴が鮮明に浮かび上がり、新しい姿を見せてくれる。
 サービスという視点から企業経営、事業を見た経営論である本書は、現在、そして明日の企業経営でビジネスパーソン・経営陣が焦点を当てるべきことを明確に示してくれる。読んでおくべき本に入れたい一冊である。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本新日本永代蔵 企業永続の法則

2003/05/20 10:54

超長寿企業を範として現代企業に警鐘

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 超長寿企業の永続性の法則を探るのが、本書のテーマであるが、何よりも強く感じられるのは、現在の日本の企業社会に見られる倫理の欠如に対する批判と将来を案じた警鐘である。
 京都の漆器専門店「象彦」の家訓と対比させ、「銀行に債務免除をしてもらって自身は私財の提供もせず、知らん顔している経営者や、自らは巨額のストックオプション(自社株購入権)を手にしながら、粉飾の事実を隠して従業員に株を買わせていた経営者に読ませたい」と語る。
 アパレル、インテリア用品の「チョーギン」の話の中でこう言う。「悪い情報こそ、速やかに最大漏らさず、トップに上げなければならないのである。よく不祥事が起こると、トップは自分は知らなかったと弁解する。しかし、そういう情報が上がらなかったこと自体が、トップ失格なのだ」。
 福田金属箔粉工業のケースから日本の製造業の問題を語る。「もの作りに対する愛情を持たず、四半期ごとの利益や株価ばかりを気にしている経営者、コストを縮減するため何から何までアウトソーシングをして、頭脳は自分たちが担当すると豪語する本部社員、そういう人々が現場のもの作りの力を損ねてきたのである」と。
 本書で取り上げる企業は創業数百年、千年以上の超長寿企業40社。実際にその企業を訪れ、事業展開、経営の原則、家訓、家憲などを聞いて話をまとめている。キッコーマン、国分、虎屋、小西酒造、ミツカンなどの企業は一般によく知られているが、風雪に耐え生き延びてきた企業がほかにも数多くあることに読者は新しい発見をするだろう。また規模も零細で、家業に近い長寿企業が現代に通ずるマネジメントの知恵、確固とした経営思想を持っていることに感心するだろう。日本の企業の再生のためには、日本人にとって確かな感じを持つことができる日本古来の思想、倫理観、人間観が必要ではないかという思いにさせられる。
 著者は大蔵省(現財務省)のキャリア官僚を長く務め、「日本経済の故郷を歩く」、「あらためて経済の原点を考える」というタイトルの著書があり、日本人の経済倫理、思想などを追い続けてきた。この「新日本永代蔵」も同様の問題意識をベースにしており、長寿企業に直接取材を掛けることにより自らのテーマをさらに深く掘り下げていると言えよう。しかし、何よりも現在の企業の行動や経営幹部に対する批判的な姿勢が、この本を今こそ読むべき本にしている。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

8 件中 1 件~ 8 件を表示