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JPN101さんのレビュー一覧

投稿者:JPN101

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本民事訴訟法の論争

2007/07/28 23:13

民事訴訟法の学習が一とおり終わった人に

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大御所,中堅(山本教授を中堅と呼んで良いかは別として,はしがきにはそう書いてある。)の民訴法学者と,ベテラン裁判官が,訴訟物論争や判決効論,手続訴訟の第三の波論といった,民訴の世界でかつて大論戦になった問題や,証明責任論や和解論という「古くて新しい問題」などについて,対談方式で解説したものである。
 筆者の一人である加藤新太郎所長は,ロースクール生・法学部生にはなじみがないかもしれないが,現役裁判官では屈指の理論派である。

 この書籍は,上記に挙げた論点について,このような論争がされるようになった背景や論争の経過,現状について分かりやすく述べられている。とはいえ,初学者が,この本の内容について「ピン」とくるのはなかなか難しいと思われる。そこで,民事訴訟法の学習を一通り終えて,民事訴訟法の学説の沿革に関心を持った人や司法修習生,若手法律家向けといえるだろう。

 第1章「民事訴訟の目的論」や第2章「訴訟物論」,第3章「判決効論」については,どちらかというとロースクール生・法学部生向け。日頃これらの論点に関心を持つ実務家は少ないかもしれない(裁判官にとって判決効論は時に大問題になると思われるが。)。しかし,民訴の授業や司法試験の勉強のときに学んだこれらの議論について,その沿革や議論の現状等をもう一度整理したい人には参考になる。

 第4章の「証明責任論」,第5章の「証明度・証拠論」は,(ここだけでも)司法修習生や若手法律家(判事補も含めて)必読である。例えば,証明責任論あるいは要件事実論を勉強し始めると,いろいろな説(「法律要件分類説」とか)が出てくるが,第4章には,これらの議論が,いったいどんな問題意識から何を議論しているのかが簡潔にまとめられていて,イメージがつかみやすくなると思われる。

 第6章の「手続保障論」は,「手続保障の第三の波」の解説については,言葉は聞いたことはあるけど・・という人は一読を勧める。後半にある,釈明権(義務)の問題や時機に後れた攻撃防御方法の話は司法修習生あるいは若手実務家向け。実務に入ると,これらの問題は身にしみてよく分かると思われるが。

 第7章の「和解論」は,司法修習生あるいは若手実務家向けである。これだけ読んでも十分面白いと思われるが,草野元判事の「和解技術論」を読んでからこれを読むともっと面白いと思われる。

 第8章の「多数当事者論」は,法学部生から若手実務家まで幅広くお勧めしたい。多数当事者訴訟に関する議論は,訴訟物論争と並んで実務と学説の「乖離」としてやり玉に挙げられるところなので,これを読むと,実務家が学説にどのような不満を持っているのかが垣間見えるだろう。

 内容についての書評を長々と書いてきたが,この本の大きなテーマの一つは,必ずしも幸せな関係にあるとはいえない,民事訴訟法の「学説」と「実務」との対話の試みであるとも思われる。そのような意識を持って読み進めてみるといろいろと発見があるかもしれない。ページ数はそれほど多くないが,その中に内容が凝縮された良著である。

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紙の本医療訴訟

2007/07/14 22:40

医療訴訟に関する最新情報がコンパクトにまとまっている本

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

医療訴訟に関する実体法、訴訟法上の問題点がコンパクトにまとめられている。医療訴訟に関心があり、法的な論点や医療訴訟における審理の工夫などを大まかに把握したいと考えている実務家、司法修習生、ロースクール生などにお勧めできる。
 参考文献が豊富に引用されているため、この本をきっかけに医療訴訟の研究を深めたい人にも向いている。
 患者側弁護士、医療側弁護士、裁判官と医療関係者による共同執筆であることもあり、内容もバランスがとれている。ただし、実体法に関する記述部分は、有力な反対説があり得るにもかかわらず反対説の紹介がされていない部分も見受けられる(たとえば診療ガイドラインと医療水準の関係等)ため、他の入門書(手ごろなものとしては、稲垣喬・医事訴訟入門(第2版)など)にも当たった方がいい。

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