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弥生丸さんのレビュー一覧

投稿者:弥生丸

紙の本おひさま

2007/11/01 00:11

おひさまのおくりもの

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

全頁にあふれるおひさま色が、読む人の心をあたためてくれます。生きているものは皆、おひさまから無償の贈り物を受けている。そのことに感謝しよう、一日一日を大事にしよう。そんな気持を思い出させてくれる絵本です。何度でも頁を繰りたくなります。

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紙の本天の鹿 童話

2007/10/27 18:30

鹿が導く幻想の世界

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

鹿狩りの猟師清十さんは、ある日不思議な鹿に連れられて、鹿の市で買物をします。美しい絹反物、かんざし、金の梨、きのこの雑炊などを売る鹿たちの顔はどれもこれも、見覚えがあるようでした。話をきいた清十さんの3人の娘もまた、胸躍らせて鹿の市へ向かうのですが…。天に昇れず地上をさまよう鹿の哀しみと、生き物を食らって生きなければならない人間の業を考えさせられます。幻想的な雰囲気の中に深い切なさが漂うお話です。

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祝爽香シリーズ三十作目

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

爽香シリーズ三十作目。杉原爽香は44歳。夫の明男、娘の珠実と共に、多忙ながら充実した日々を送っている。

珠実に危機が迫っているとも知らず、遠足に同行する爽香。偶然大女優の栗崎英子が遠足先に居合わせたことから、珠実と爽香はそれと知らずに難を逃れる。ある日、珠実の友達の母麻衣子が轢き逃げ事故を起こし、爽香も意外な形で事件に巻き込まれてゆく。

平凡な日常がふとした過ちから崩れてゆく過程は読み応えがある。悪意が忍び寄る女心の描写はさすがである。冒頭から謎の殺し屋が登場し、殺意の足音が次第に迫ってくるスリルも味わえる。

ミステリーと人生の無常がちりばめられた爽香シリーズを、毎年楽しみにしている。シリーズの過去作をまた再読したくなった。

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電子書籍【全1-7セット】砂の城

2015/10/19 16:35

愛の葛藤を描いた名作

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ずっと読みたいと思っていた名作。やっと全部読んだ。

名門の一人娘ナタリーは、共に育った孤児フランシスと恋に落ちる。しかし、2人に理解を示した両親が飛行機事故で死亡。ナタリーの後見人としてやって来た叔母は、身分違いの2人を引き裂こうとする。駆け落ちに失敗した2人は、追い詰められ、断崖から海へ飛び込む。1人助けられたナタリーは、亡き恋人の面影を追って生き続ける。そんなある日、死んだ筈のフランシスが生きていて、記憶を失ったまま妻子を得て幸福な家庭を営んでいる事実を知ってしまう。

心に深い傷を負ったナタリーは、不幸な死を遂げたかつての恋人フランシスと妻の息子を引き取る。4歳の息子マルコは、父の名フランシスと名のらされた瞬間から、悲劇を運命づけられる。成長するにつれ、ナタリーを女性として愛してゆくフランシス。一方、ナタリーも、フランシスを深く愛してしまう。だが、フランシスを熱愛するミルフィーヌの存在が、2人に大きな影を落とす。

かつて自分の出現により、恋人フランシスとその妻を死に追いやってしまったナタリー。その息子フランシスを激しく恋するミルフィーヌは、昔のナタリーそのものなのだ。自分が得るはずだった幸福を他の女性に奪われたことが許せず、愛し合うナタリーとフランシスを恐ろしいほどの自己愛で追い詰める。そしてナタリーは、かつて自分の出現により幸福を破壊されたフランシスの母と同じ立場に立たされる。

愛の形を深く追求した名作。フランシスを密かに愛する友人フェラン、ナタリーの聡明で優しい友人エレーヌ、深い内面を持つ精神科医ミッシェルなど、周辺の登場人物も魅力的だ。フランシスがコレージュに入り卒業するまでの心の成長、コレージュの人間模様も丁寧に描かれていて、読み応えがある。ナタリーが心の傷を抱えながら人生を切り拓こうとする姿は、女性として眩しく共感を持てる。作者の真骨頂といえる名作だと思う。

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電子書籍ベルサイユのばら(8)

2013/12/14 18:50

バスティーユ襲撃

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アランたちを救出したのも束の間、オスカルはアントワネットから、王家の軍隊が続々と近づいていることを聞き、愕然とします。何のために、誰と戦うのか。隔たりができてしまったオスカルとアントワネット。フェルゼンへの想いを吐露し、どうして今の私の傍へ戻ってくれと言えようかと嘆くアントワネットに、オスカルは答えます。「フェルゼンは必ずアントワネット様の元に戻ります。そういう男です。」そして、これがオスカルとアントワネットの最後の対面となります。

オスカル率いるフランス衛兵隊にも、遂に出動命令が発令。民衆に銃を向けるのかと反発する兵士たちに、、オスカルは直接自分が指揮を執ると誓います。オスカルを信頼し、従うと約束する兵士たち。その夜、オスカルとアンドレは愛の誓いを交わします。

1789年7月13日、民衆に軍隊が発砲して暴動発生。オスカルは遂に過去と決別、フランス衛兵隊と共に民衆側に加勢します。戦闘の中、アンドレは敵の銃弾に倒れ還らぬ人に。

明けて1789年7月14日、バスティーユ牢獄が民衆に大砲を向けたことから、民衆によるバスティーユ襲撃開始。オスカルたちフランス衛兵隊も駆けつけ、戦闘は次第に民衆側の優勢に。銃弾が飛び交う中、オスカルもまた敵の弾を受け…。

1789年7月以降、長年に渡り、フランスでは多くの血が流されることになります。恐怖政治の残酷さを見ることなく、理想に燃え尽きたオスカルは、まだ幸せだったといえるでしょうか。

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電子書籍ベルサイユのばら(9)

2013/12/03 21:07

アントワネットの最期

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

久しぶりに読みました。

1789年のバスティーユ陥落から、テュイルリー宮監禁、ヴァレンヌ逃亡事件、フェルゼンとの最後の別れ、タンプル塔幽閉、ルイ16世処刑、アントワネット処刑と、すさまじい急落に息をのみます。

大人になってから読んでみると、昔読んだ時とは違うシーンに感動するのも新しい発見です。ルイ16世処刑前夜、愛のない政略結婚ではあったが、私はあの人を愛していた。これもまた愛であった、と祈り続けるアントワネットの姿に泣けました。

オスカルがバスティーユ攻撃で死なずに生き続け、国王一家の悲惨な運命を知ったら、命がけで助けようとしたのではないか…という想像も膨らみます。

何十年たっても感動が薄れない名作を生み出した池田理代子さん、非凡な方ですね。

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幸福は傲慢に背を向ける

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

グリム童話の中で一番好きな物語です。

美しいお姫様に多くの貴公子が求婚しますが、傲慢なお姫様は皆に難癖をつけてはねつけます。特にひどくからかったのは、あごが少し曲がった王様で、”つぐみひげ”とあだ名をつけて馬鹿にする始末。お姫様の父王は娘のわがままに腹を立て、城にやってきたこじき楽師と結婚させてしまいます。貧困のどん底に落とされたお姫様は、自分の思い上がりを悔やみますが後の祭り。ある日、見知らぬお城の下働きをしていたお姫様を、立派な王子が舞踏会の踊りに誘います。その王子とは、、、

古典的ながら、どこか現代風なフェリクス・ホフマンの挿絵が美しく、蒼白い人形のようだったお姫様の顔が、最後に生気あふれる人間的な表情へと変化する様が印象的です。

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ウクライナ版"鶴の恩返し"

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ウクライナの恩返し物語です。
傷つき倒れた動物が人間に救われ、化身となって不思議な贈り物をします。黙って見守り続ければいいのに、タブーを知りたくなるのが人間の性です。好奇心の報いとして老夫婦に残った後悔と淋しさ。哀しくも美しい余韻を残す物語です。

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紙の本旅の絵本 改訂版 2

2015/09/17 16:44

仕掛けがいっぱいの絵本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

イタリアの美しい風景に、聖書や物語の場面が登場します。アダムとイブの楽園追放、マリアの受胎告知、イエスの誕生、ヘロデ王からの逃亡など。また、三匹の子豚、うさぎとかめ、ラプンツェル、シンデレラ、ピノキオなども登場。探す楽しみを満喫できます。

旅への憧れと読書への好奇心を掻き立てられる絵本です。

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紙の本旅の絵本 1

2015/09/11 15:58

楽しい仕掛けの絵本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

登場する旅人と一緒に、読者も旅ができる絵本です。

美しい中部ヨーロッパの風景に、色々な物語の場面が登場します。眠り姫、ブレーメンの音楽隊、裸の王さま、赤すきん、大きなかぶ、ハーメルンの笛吹。そして、ミレーの晩鐘、落ち穂拾いなどの名画も。旅人がどこに隠れているか、探し出すのも楽しいです。

英語のタイトルは、ANNO'S JOURNEYとなっています。旅の好奇心をかき立てられますね。

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紙の本モチモチの木

2015/07/19 15:52

優しく美しい物語

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

周南市美術博物館で開催された「滝平二郎の世界展」に触発されて再読。表紙の、豆太を抱いているじさまの顔が、感動するほど優しい。

豆太の可愛らしさを再認識。暗闇がおっかなくて臆病なのに、「ヤイ木イ!」と威張ってみる負けん気。じさまが腹痛で苦しんだ時、怖さも忘れて、深夜の寒い山道を泣きながら駆ける健気さ。そして、老齢の身体に豆太を背負って、夜の山をじさまと豆太の家まで、杖をつきつき登って行く医者さまの優しさにも打たれる。

斎藤隆介氏の味わい深い語りと、滝平二郎氏の迫力ある美しいきりえ。いつまでも色褪せない名作。

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紙の本マローンおばさん

2015/07/04 00:13

あんたの居場所くらい ここにはあるよ

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「あんたの居場所くらい ここにはあるよ」
マローンおばさんの優しい言葉が、心に響きます。

ひとりぼっちで貧しくて、誰からも顧みられないマローンおばさん。次々とやってくる、ひもじい傷ついた動物たちに、わずかな食べ物、粗末な寝床を分け与えます。そして時が来て、マローンおばさんに与えられた、新たな居場所とは、、、

アーディゾーニの挿絵も素晴らしく、何度でも読み返したい絵本です。

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幻想的な美しさ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ため息ものの美しい絵本です。シンデレラが魔法で変身する場面、12時が来て元の姿に戻る場面は特に素晴らしい。

お話は、子どもの読者を配慮してか、穏やかな流れとなっています。しかし、絵の芸術性が格段に高く、大人も楽しめます。

エロール・ル・カインほどの描き手は、なかなか現れないでしょう。それだけに、早すぎた死が惜しまれます。

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亡き弟さんへの哀惜

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弟よ 君の青春は
いったいなんだったのだろう

詩集冒頭の献辞です。

各2頁見開き上段にイラスト、下段に詩が載っています。詩を順々に読んでいくと、そのまま、弟さんの短かった人生を辿ることになります。

本やテレビで拝見したやなせたかしさんは、笑顔を絶やさない方でした。幼少期に父親と死別、母親は再婚、弟は伯父夫婦の継子にと、肉親の縁が薄かった過去を思わせないほどです。

いつも兄弟一緒だった幼少期、互いに成長してからの葛藤、22歳で戦死した弟さんへの哀惜が、本いっぱいに溢れています。「弟よ 君の青春は いったいなんだったのだろう」 やなせたかしさんは、この問いかけを、生涯心に抱き続けたのでしょう。

亡き弟さんと、今は故人となられたやなせたかしさんに思いを馳せながら、静かに味わいたい詩集です。

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紙の本西条八十詩集

2015/05/25 18:56

西條八十の豊かな世界

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西條八十の豊かな世界を覗き見ることのできる一冊です。

「唄を忘れた かなりやは、、、象牙の船に 銀の櫂」の『かなりや』、不思議な世界を映しだす『石階』は、特に好きな詩です。詩集『砂金』収録の詩は、不思議な世界と研ぎ澄まされた感性を殊に感じさせます。

童謡の「母さん お肩をたたきましょう タントンタントン、、、」が西條八十の詩だったことは、この詩集を読んで初めて知りました。カバンに忍ばせておきたい一冊です。

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