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mikimaruさんのレビュー一覧

投稿者:mikimaru

359 件中 1 件~ 15 件を表示

アジアの国々が充実

15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

前半は世界のお弁当紹介と、それぞれの国での昼食をとりまく事情の違いを解説し、中盤以降は世界の弁当箱コレクション、旅で出会ったお弁当などの話題を、写真とともにつづる。

世界の、となっているが、アジア諸国に多くのページを割いている。
韓国、中国、台湾、モンゴル、タイ、カンボジア、ラオス、ブータン、インドネシア、インド、といった具合だ。再現写真もできるだけ現地で使われているような容器を使っているらしく、その解説もある。

原則として冷たいご飯を食べる習慣がなく、テイクアウトの温かい弁当や外食を好む傾向がある中国、台湾、韓国の人々のことや、本人が出勤した後に家族が調理した弁当をピックアップし職場まで届けてくれる「弁当配達人」が活躍するインドのムンバイ事情、モンゴルの遊牧民の栄養源として欠かせない塩味ミルクティー「スーティツァイ」のことなど、読み物としてじゅうぶんに楽しめる。

P.94からの、浜松におけるブラジル弁当の話は興味深かった。

雇い主の企業がブラジル人従業員にも一括で日本的な弁当をとってしまうため、それが口に合わずに残す人が増えてきたと気づいた弁当納入業者。このままではブラジル人たちのお腹が空いてしまって気の毒だと、そんな優しい気持ちからブラジル料理の研究をはじめ、ブラジル人たちには好評となった。雇い主である日本の企業がなかなか導入しないという意外な盲点も浮上したものの、現在はクチコミで少しずつ軌道に乗ってきているそうだ。

弁当、あるいは弁当持参の習慣がない国では「昼食」といったものを通じて、お国柄やさまざまな文化の違いが浮き彫りになる。簡単な調理法も載っているので、料理好きの人にも楽しめるかと思う。

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読みやすい、和風の家庭料理本

15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

名前はおべんとう手帖となっているが、日々のおかずを作って詰めるのがお弁当であることを思えば、和風ヘルシーおかずの本と考えて間違いないはず——そう思って買ってみたところ、ビンゴ。低価格にしてこの充実度、これはあたりだ。

まず、この本のレシピに共通するダシや調味料(八方だし、酢たれ、昆布だしなど)がどんなものであるか、そしてその作り方が解説される。急いでいる場合には市販品でもかまわないと読み手のハードルを下げておいてから、具体的なレシピが始まる。たとえば「八方だしを大さじ1に、何々を大さじ1…」といった具合だ。

もしそういった読者への配慮なしに、いきなり個々のお弁当の具を解説されたら、読むことすら苦痛になってしまう人もいるかもしれない。なにせ冒頭から登場するのは「おからコロッケ弁当」、「飛龍頭弁当」(ひりょうず、いわゆるがんもどき)など、普通は買ってきてしまいそうなおかずがメインだ。

それら定番メニューにつづき四季のお弁当の解説があり、あいまに、週末に作りおきしておくと便利なおかず、じゃこや漬け物などの保存食などがつづられる。そして野菜や豆などの種類別に弁当箱の隅で彩りを添える「ちいさなおかず」がならび、ドレッシングやペーストなど食卓のヒント、ちいさなおやつ、外でピクニック気分で食べるお弁当の話題でしめくくり。

けして初心者向けとはいえないが、豊富な写真や読みやすさへの配慮からか、多くの人にとって、流れがすんなり頭にはいりそうな本ではないかと想像する。

家庭的な味は、身につけようと思ったときに機会があるとはかぎらない。尋ねれば教えてくれそうな親は田舎にいたり、それならまだよいが他界してしまったり。自分と相性のよい本を早めに手に入れて、実際に作りながら自分の味を作りあげていくことが、回りくどいが確実な方法かと思う。

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周辺国の料理を取りこんで広がるロシア料理の世界

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

表紙の写真は冷製ボルシチ。ページを開いて読むまで何の料理かわからなかったし、本を買うかどうかこの色でかなりためらった。

最後まで読んでくり返しページをめくるうち、この写真が表紙を飾ったのはそれなりによい選択と思うに至ったが、人によっては本を手にとる以前に、驚いてしまう色かもしれない。

日本で食べる赤っぽいビーフシチューのようなものではなく、ビーツ(赤い蕪のような植物)をたっぷりと使ったリトアニア風のボルシチは、こういう色をしているようだ。

さてこの本は、夏の間の週末を郊外のダーチャ(菜園付きセカンドハウス)で過ごすことが多いロシア人の習慣を写真やエッセイで紹介するもので、冒頭では必然的に夏の食べ物がならぶ。

つづいてピロシキやボルシチ、ロールキャベツなどの日本でもおなじみな定番料理、パーティなどおもてなしの料理、ティーパーティなどの軽食、そしてかつてはソビエト領であり現在は周辺諸国となっているバルトや中央アジアの料理が、郷土料理として最後をしめくくる。

紹介されている料理はどれも自然の恵みを活かしたもので、凝った調味料や下準備もなく、かなりシンプル。夏が短いロシアだからこそ、その期間で味わえるものを大切にするのだろう。

印象に残ったものをいくつか。

P.16の発酵飲料「クヴァース」は、ライ麦粉、果物、砂糖、イーストなどを混ぜて発酵させ、冷やして飲むもの。砂糖を入れずに野菜の冷製スープに使うこともできる。

P.38の「きのこの壺焼き」は、鶏肉やホンシメジを使ったソースを壺に入れ、パン生地を乗せて焼くもの。かなり手軽だが本格派。

ほか、ペリメーニ(シベリアの水餃子)、ブリヌィ(ロシア風クレープで中身はサーモン、イクラ、ハム、チーズ)、プロフ(ラム肉の炊きこみご飯)などがあるが、わたしがぜひ作ろうと思っているのは、ラム肉のミートパイ「サムサ」だ。

P.93の「ドラーニキ」は、ジャガイモのおやき。これはロシア人ならずとも、どこの国でも歓迎されそうなもの。アレンジ次第では一品料理にもおやつにもなる。

全体的に、レシピ欄に出てくる「サワークリーム」の頻度の高さに驚いた。チーズや生クリームはほとんど出てこず、だいたいがサワークリームになっている。だが本の冒頭で、生クリームとヨーグルトを合わせて作るとよいと書かれているので、市販のサワークリームが手にはいらない場合でも安心。

料理レシピのあいだに読み物が適度にはさまれている。

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紙の本旅行者の朝食

2008/02/07 21:16

極上の異文化エッセイ

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

語学で身を立てようと思っていた時期がある…と書くとかっこよいが、単に外国や異文化へのあこがれをいだいていた時期が長かっただけだ。だがそんな関係で、本としてわざわざ手にとることはまれでも、米原さんのように有名な通訳者は、語学雑誌などで文章をよく目にする機会があった。

最近になってこの本を手にしたのは、文庫本でありかさばらないこと、そして著者のように渡航の多い人が朝食に関するエッセイを書いたのならさぞかしおもしろいだろうと勘違いをしてしまったことによる。あとから思えば嬉しい誤算で、これは朝食エッセイではなかった。食べものという広くゆるいくくりになった異文化体験であり、著者の半生だ。

子供のころにチェコスロヴァキアで食べていたトルコ蜜飴から、ロシアのハルヴァに話が飛び、さまざまな国や地方の菓子(ヌガーやポルボロン)に世界が広がって、ついには日本の牛皮〔ぎゅうひ、または求肥)や落雁まで話がまとまってしまう「トルコ蜜飴の版図」は圧巻だ。

挿絵の見た目はネイティブ・アフリカンのちびくろサンボがホットケーキを食べるおなじみの話。わたしは疑問をいだかずに読んでいた気がする。だがトラがいるのはアジア大陸でホットケーキを食べるのはアメリカの風習、いったいどこの話だと言われると、なるほどと思う。

わたしがもっとも楽しく読んだのはP.249「叔父の遺言」だ。体調が思わしくなく、食事も思うようにとれない叔父さんが、姪(著者)に食べ物の話をする。一族に共通する食い道楽をふまえてそれをユーモラスに書く米原さんだが、わたしはその叔父さんの気持ちがよくわかる。食べるために生きていると思うほど食い意地がはっているわたしは、実際にこの本を読んだとき、病院で絶食の直後だった。どんな状況でも、持ちこむ本は料理や食べるものだ。それは別につらいことではなかった。

さて、最後にこの本のタイトルのことだが:
「旅行者の朝食」という単語を耳にするだけで、なぜロシア人たちが笑うのか…。それはぜひ読んでいただきたい。

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家庭料理から一歩踏み出したい人に

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

七人の料理長がレシピを提供する和食本の決定版。日ごろの家庭料理や気軽なお総菜から一歩踏み出して、本格的なものが作りたくなった人にむいている。

内容は、大まかに
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第1章 刺し身
まぐろ、鰺、鯛ほか、約20品目

第2章 酒の肴
酒肴や小鉢料理、小品など、約30品目

第3章 あえもの・おひたし・酢のもの
あえものとおひたしで季節を通しての8品目と、四季それぞれのメニュー5品目ずつ、酢のものは7品目

第4章 ごちそう椀
13品目と、料理長らの出汁について

第5章 おそうざい煮もの
魚16品目、肉7品目、野菜15品目、豆腐とその加工品5品目、豆・干物6品目、炊き合わせ4品目

第6章 焼きもの
魚27品目、肉6品目、卵4品目、野菜・豆腐6品目

第7章 揚げもの
14品目

第8章 蒸しもの
12品目

第9章 ご飯・丼・すし・麺
ご飯もの29品目、香のものや小鉢、麺などが計15品目

第10章 汁もの
11品目

第11章 デザート・甘いもの
21品目

そのほか、随所に短めのレッスン記事がはさまれている。
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出汁の種類や基本の調味料、包丁のあてかた、盛りつける器など、レシピ以外の面でも写真や記事を通して勉強になることが多くある。

外食や高級な仕出し弁当などでしか目にしない「物相(もっそう)ご飯」(物相の型に入れて梅や扇などさまざまな形にする)にも、目を引かれた。たしかにこうすれば料理の脇に平らな状態でご飯を添えることもできるし、正式な型がなくても、似たような工夫ができるはずだ。

354ページもある厚い本だが、無理なく気軽に読める理由のひとつは、和食であるだけに一般的な家庭にすでにあるような調味料や食材で着手できることだろう。仮に家になくても大きめスーパーに行けば用は足りる。

近いうちに、煮染めや鮭おこわを作ってみようと思っている。

最後に:
参加する料理長は川原渉、野崎洋光、後藤紘一良、村田吉弘、高橋正光、小山裕久、福田浩。

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読み手を惹きつける絵画とその背景

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

もとはヨーロッパの地方貴族に過ぎず、運の良さとのちの結婚政策によって、650年つづくまでに発展したハプスブルク家。これまでいろいろな角度から同家に関する本を読んできたつもりだが、今回は絵画から読み解く歴史本ということで、あらためて目を通してみた。

着眼点もすばらしいが、題材がよい。第二章には見開きでフランシスコ・プラディーリャの「狂女ファナ」を載せ、その絵画が示す情熱的な物語をひと息に読ませる。

ファナ本人はハプスブルク家の人間ではなく、マクシミリアン一世の息子フェリペとの婚姻により家族関係となった。

愛するフェリペの死に錯乱した彼女は遺体を埋葬地に運ぶまでの数ヶ月(説によって長さに違いがある)荒れ地を夜間に移動しては棺の蓋をあけさせ、夫が生き返っていないかどうかを確認し、気になるとミサをおこない、従者たちに多大な迷惑をかけながら文字通り迷走した。

のちに75歳で死去するまでの46年間を、身分は女王のまま、宮殿での幽閉生活を送った女性だ。

この話のみならず、どの人物であれ、ページ数の制約があるなかでよくまとめていて、読む側ををぐいと惹きつける。

章の表題として紹介される絵画は:
マクシミリアン一世、狂女ファナ、カール五世騎馬像、軍服姿のフェリペ皇太子、オルガス伯の埋葬、ラス・メニーナス、ウェルトゥムヌスとしてのルドルフ二世、フリードリヒ大王のフルート・コンサート、マリー・アントワネットと子どもたち、ローマ王(ライヒシュタット公)、エリザベート皇后、マクシミリアンの処刑

——以上となっているが、このほかに、小さな絵画は何枚もはさまれていて、どれもカラーである。

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紙の本おかずとご飯の本

2008/02/16 20:13

実用的で、毎日でも作りたくなる

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

料理の本でこれほど役に立ったものは、初めてかもしれない。気になるメニューに付箋をしていたら、かなりの数になってしまった。毎日でも作りたくなってしまう本。

表紙、裏表紙ともにシンプルなおかずの写真があるのみ。本文もまた、大きな写真が1枚と作り方があるのみ。だがどれも日々に密着した品ばかりで、食べてみたいという気持ちにさせてくれる。

今日までに実際に作ったのは、P.22「塩豚と野菜の白いスープ」と、P.18の「ひき肉とマッシュポテトのグラタン」だが、前者は半分を食べてから、翌日に残りを生クリームなど洋風の味付けをほどこしクリーミーなスープパスタに使うことができたし、グラタンのほうも、この作り方を応用すればイタリアンなコロッケやいろいろな料理に転用できそうだ。

簡単に目次を紹介すると:
● 「ご飯がすすむおかずいろいろ」約40品目
● 「豚かたまり肉で」12品目
● 「冬は鍋もの」7品目
● 「カレーライスいろいろ」6品目
● 「ご飯もの」15品目
● 「カンタン鍋ものとスナック」9品目
ほか、包丁のとぎ方、いかのさばき方などがところどころに出てくる。

使われる具材は身近なものが多く、高価なもの、手にはいりにくいものが出てくるわけではないので、無理せず作ることができる点もよい。いつもより少しだけ手間をかけて美味しいものがお食べたい人には、ぜひオススメの一冊。

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紙の本世界屠畜紀行

2011/04/24 20:01

純粋に知識欲として屠畜に触れたい

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

日本はニュース映像で、できるだけ残虐さのないものを選んで放送していると聞くが(いわゆる欧米諸国では遺体が写っているニュース映像がテレビに出る率は日本の比ではない)、本書のようなテーマには、家畜の命を奪うことを図解する以上の意味合い(行為をおこなう人々への差別という奥深い問題)があるため、なかなか書物などが出にくい背景があるようだ。

著者は製本を本業としてイラストレーターをしているだけあり、取材の発端は、生きている家畜からなめし革ができるまでを追ってみたいという思いだった。ご自身は昔からの部落問題、職業や婚姻の自由が制限されている状況について知識を持っておらず、ただ屠畜を扱う上で避けて通れない問題であると同時に、連載が部落解放という月刊誌であったことから、日本だけでなく各国の取材の際に、差別はあるかと必ず尋ねている。

結論から言えば、はっきりと「なんで差別が? 肉屋さんは金持ちですよ」と言いきってくれたのはチェコ在住の女性(日本人と結婚)のみ。あとは言葉を濁すか、質問の意図がきっちりと伝わっているかどうか曖昧な例、あるいは外国人(著者)にそんなこと聞かれたくないという態度を示すなど、あまりすっきりしない回答が多かったようだ。

さて、わたしも本来は部落問題や差別の問題が出てくる本とは思っておらず、著者はできるだけその問題を少なめに書いたようにお見受けするので、わたしも以下は屠畜について書きたい。ただ、食肉加工の現場にいわれなき誹謗中傷の手紙、メール、ファックスなどが届いているという話は、読んでいて胸が痛んだことだけは、書いておく。

内容の大まかな説明:
++++++++++
第一章 韓国
カラクトン市場の屠畜事情、マジャンドン(ソウルにある肉の市場)、差別はあるのかないのか

第二章 バリ島
憧れの豚の丸焼き、満月の寺院で見た生け贄牛

第三章 エジプト
カイロのラクダ屠畜、ギザの大家族 羊を捌く

第四章 イスラム世界
イスラム教徒と犠牲祭

第五章 チェコ
屠畜と動物愛護、ザビヤチカ・豊穣の肉祭り

第六章 モンゴル
草原に囲まれて、モンゴル仏教と屠畜

第七章 韓国の犬肉
Dr.ドッグミートの挑戦

第八章 豚の屠畜 東京・芝浦屠場

第九章 沖縄
ヤギの魔力に魅せられて、海でつながる食肉文化

第十章 豚の内臓・頭 東京・芝浦屠場

第十一章 革鞣し 東京・墨田

第十二章 動物の立場から

第十三章 牛の屠畜 東京・芝浦屠場

第十四章 牛の内臓・頭 東京・芝浦屠場

第十五章 インド
ヒンドゥー教徒と犠牲祭、さまよえる屠畜場

第十六章 アメリカ
屠畜場ブルース、資本主義と牛肉

終章 屠畜紀行その後
++++++++++

わたしは、食肉がいかにできあがるのか、その行程にとても興味がある。著者は毎日同じ場所にスケッチブックを持って出かけ、暑さのなか(生きものの発する熱で室内は高温になる)懸命に描いた。文章もとても読みやすいのだが、イラストには味わいのある文章も添えられ、その小さな文字を目を凝らして読んだ。

食品衛生の面からも、大勢の人間が出入りして実際に見学するような状況は今後も提供されないだろうが、生きものが食肉になる行程は、なんら忌み嫌うものではなく、知りたいと思う人が願う情報へのアクセスが、もっと容易になってもいいのではと思う。

東京の屠場における職人さばきは、実際に見てみたいと思うほど、イキイキと描写されている。

著者のような人がもっと現れ、純粋に知識欲として食肉加工を見られる日がくることを願っている。

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材料、手間、技術、そして「時間」

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

金額が金額なのでためらっていたが、実際に購入してみたところ、悩んでいたのが馬鹿らしくなるほど目の覚める本だった。

オーボンヴュータンといえば、知る人ぞ知る有名な店。店舗を無理に拡大するわけでもなく、デパ地下にもほとんどはいっていないが、味はもちろんのこと、本店を愛用する方々には店の雰囲気も好評という。そのオーナーシェフである著者の菓子に対する思いが、ひしひしと伝わってくる。

菓子には材料、手間、技術が不可欠だが、本書ではもうひとつ、「時間」がぜいたくに使われている。

マドレーヌの生地を型に入れて1日寝かせる(それによって表面に皮膜を生じさせ、焼成時に美しく膨脹させる)などと、思いつきもしないことだし、一般家庭や小規模の店ではスペース的にも実現がかなり難しいことだろう。

どんな小さな菓子店、場合によってはパン屋にでも並ぶマドレーヌ。たかがと思われてしまうこともあるその存在にも、けっして手を抜かずにこれだけの時間をかける。まさしく理想と思う。

本は大きく分けて21章をなしており——
パータ・ジェノワーズ、パータ・ビスキュイ、その他のビスキュイ、卵白系生地、基本のパーツを自分でつくる、パータ・シュー、パート・フィユテ、タルト生地、プリン生地、パート・ルヴェ、ガトー・デュ・テ、ポンポネット型でつくるもの、タルト、ケーク、フィユタージュ、ヴィエノワズリー、プラトー・ショコラ、ベニエ、コンフィズリー、ボンボン・ショコラ、クレーム・グラッセ
——と、なっている。

毎日のようにページを繰っているが、まずは少しずつこの世界に近づこうと、目標を決めた。P.204のトゥルト・ピレネーを作ることだ。そのためにまず同じ型を買い、数回ほど、別の「近いレシピの」菓子を焼いて、型を育てている。そろそろ型に油がまわってきて、型抜けがよくなってきたところだ。

より完璧にこの「型」が育ったころ、目標の菓子を焼いてみようと考えている。

内容はかなり高度なので、ある程度の知識がある人向けの本であることは、ご注意願いたい。

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満足度の高い一冊

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

手軽さ、情報量、価格などを総合的に判断して、類書の多いこのジャンルの本としては満足度の高い一冊。とくに注目すべきは、こうした本には珍しい、あまった酵母液のクッキング紹介コーナーがあること。デザートや料理、ご飯ものなどに酵母液を活かすレシピが掲載されている。

内容は:
○ 季節を楽しむ酵母、通年の酵母を11種類
○ パンを中心に一部おやつのレシピ48種類
○ あまった酵母液で酵母クッキング12種類
となっている。

能書きをならべず、写真が多く、読みやすい構成。とくに酵母液は、出来上がったときの目安となる写真を掲載してくれているので初心者にも参考になる。

全体的な特徴としては、乳製品と油脂(とくにバター)を使ったメニューがほとんど見あたらなかった。水と砂糖、塩、若干のメニューでオリーブオイルが出てくる程度で、副材料はきわめて少ない。おやつ的なメニューもあるが、おおむねヘルシー志向となっている。

初心者にも、おさらいしたい人にも適している。

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おうちカフェが楽しめる

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

カフェ13軒の紹介と、その店の人気メニューのレシピを掲載。店の内訳は東京が9軒、奈良、滋賀、京都、静岡が1軒ずつ。表紙の写真は東京「カフェ・ロッタ」のもの。

自分で買っておいて失礼な話だが、実はさほど期待していなくて、なんとなく表紙につられただけだった。だがページを開いてみると、美味しそうな写真であり、そこそこ簡単そうなレシピ。記載された分量も家庭で実現可能だが、自分で割り算をすればもっと小さくもつくれる。

小さくてもどっしりとしていてじゅうぶんに食べた気になれるケーキの定番がショコラ系や、チーズケーキ(ベイクトタイプ)だろうが、この本でも滋賀県「パティスリー ミア」のショコラ・ショコラ、東京「セイナカフェ」のショコラチーズケーキ、東京「カフェ・ロッタ」のたっぷりバナナのチーズケーキほか、バラエティに富む。

クレームブリュレ、プリン盛り合わせ、クレープシュゼット、ガレット(焼き菓子ではなくクレープのほう)など、その場で仕上げて供するカフェならではの味わいも掲載されている。

焼き菓子やスコーンも掲載されているのだが、割合は高くない。おそらく、その場で楽しむ人気レシピを優先しているためだろう。

近くにお気に入りのカフェがない方も、ちょっとした「おうちカフェ」を楽しむのに最適。

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紙の本酵母から考えるパンづくり

2010/12/04 22:40

読めば読むほどに味わいがある

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者はユーハイム・ディー・マイスターほか有名店で、シェフ・ブーランジェの経験を持つ。それらの店で使うために考案されたレシピも、この本において多く公開されている。

業務用、プロ用の本であるため粉はすべてキロ単位。それでは家で作れないと思う人もいるかもしれない。だがこの本からほんとうに得られるのは、レシピではなく行間にある何かだ。大げさではなく、ページをひらくたびに新しい発見がある。

なぜ生地を箱に入れる際に四隅を内側にたたむか。なぜブリオッシュやパン・ドーロは上に広がる(底がせまい)型で焼くか。なぜライ麦の比率が多いパンはどろどろになりやすいか。経験から何となくそうしているようなことが、必要な場所で簡潔に説明されている。

内容の大まかな紹介
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まず、酵母、発酵種、イースト、老麺、粉の知識などの解説で40ページほど割かれている。

ちなみにこの本でいう「老麺」は自家製酵母愛好家の方が想像する「小麦と水で起こした酵母」ではなく、完成しているパン生地の一部を流用するものを指す。

つづいて
○ 微量イースト・長時間発酵でつくるパン
○ イースト・通常発酵でつくるパン
○ イーストでつくるリッチ&スイートパン
○ 老麺でつくるパン
○ ルヴァン種でつくるパン
○ ホップ種でつくるパン
○ サワー種でつくるドイツパン
○ レーズン種でつくるパン
○ イースト、発酵種をさまざまに組み合わせてつくるパン
○ ベーカリーのお菓子
++++++++++
と、なっている。

後半にある「イースト、発酵種をさまざまに組み合わせてつくるパン」のあたりでとくに感じるのだが、さすが有名店は材料を贅沢に使っている。これならば、パン屋で買い物をしてぼられた気分になってはいけないと、いまさらながら気づいた。

レモンの酵母と聞いたら、だいたいがレモンと水、それを補うためにレーズンなどの勢いある酵母を助力としてブレンドするくらいかと思ったら、マッシュポテトほか、いろいろな材料が。恐れいった。

これほど専門的な本でありながら、巻末に各種のパンの成型を連続写真で解説。これはなかなかありがたい。また、表紙からして本格的なハードパンが多いという印象を持たれる方も多いかもしれないが、登場が少なめとはいえ、高級材料のイングリッシュメロンパンや発酵タイプのスコーンも出てくる。

2000円前後の本の相場に慣れているとやや敷居が高いかもしれないが、値段相応もしくはお得な本ではないかと考える。

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とても貴重な、驚きのデータ

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現代日本の食生活を、子供のいる一般家庭の主婦に自由記述のアンケート形式と食卓画像で協力してもらい、後日に不明点をインタビューで確認したデータに基づいて分析していく。本書のほかに同等の調査と分析に基づいた本がシリーズのような形式で出ているようだし、最近の調査に基づいた書も出版予定であるそうだが、本書は2003年に出版されたものの文庫化。

おもに1960年以降生まれの主婦の協力で、子供のいる家庭の食生活データを集めており、夫や子供の食生活や言動はすべて主婦の側の記述に基づく。本書出版時での蓄積データ数は前書きによれば2331件。その後も調査はつづいている。

驚かせることが目的の本でないのは明らかだが、テレビ番組で若い女性に料理を作らせて笑う番組よりもはるかに迫力がある。驚いた場所に付箋を貼ろうかと思ったが、おそらく貼らないページが少なくなりそうなのでやめておいた。

章の内容と、一部の例
++++++++++
第一章 食を軽視する時代
ゲーム感覚であるかのような食費切り詰め(5人分の食事で鶏のムネ肉を3回に分ける)、自分の用事だろうと昼間出かければもう疲れたということで晩は作らない(しかもほぼ毎日何らかの理由がついて晩は作らない)、カラオケボックスに子供も連れていき数皿の料理を二家族で食べて終わり。

第二章 「私」指向の主婦たち
家族が食べたいものより自分の気分、実際にはたいしたことをしない場合でも「作っている自分の姿」に理想を求めている現状(つまり「手作り」指向ではなく「手作りをする私」指向)。まずかったと言われないかぎり作りやすいもの優先で食事や弁当を支度し、自分からは味を確認しない。

第三章 子どもで揺れる食卓
食べてくれないと困るから、なんでも要求を呑む。菓子パン、カステラ、肉まん、ゼリーやヨーグルト、インスタント食品、冷凍食品など、相手(子)がその日の気分でないといえばすぐに下げられて次が出せるような商品を、たくさん買い置きしている。

第四章 個化する家族たち
ハレの日には家族の誰かが腕によりをかけた食事を楽しむのではなく全員がゲスト気分でくつろげるように外食にする。親の世代(子から見て祖父母)の家で何かを出してもらいたらふく食べるという傾向すら薄れ、いまや親世代は外食代金のスポンサー。また親世代もそれを喜ぶ傾向にある。

第五章 外向きアンテナの家族と食
食事の支度ができていても自分だけラーメンを食べて(あるいは自分の分だけ食べたいものを買って)帰宅する夫。母親(主婦)が定める「なんとなく理由がありそうだが突きつめるとよくわからない」家庭内のルール。1日1回納豆と決めたらラーメンのときでも納豆を出す、朝ごはんが玄米の日は栄養過多になるからおかずは作らない、など。

第六章 現代「食」志向の真相
自称グルメと言いながら市販の袋パン。美味しいものが好きな家庭に育った料理好きの夫婦の食卓でも「ソーメンのつゆにマスタードを入れると美味しい」といったレベル。夫や子供が味に敏感、味にうるさいといいながらもカップスープは粒入りでなければイヤといった程度。

第七章 言ってることとやってることは別
事前調査で野菜をたっぷり摂ると答えても献立を写真で提出してもらうと冷凍インゲンがたまに出てくる程度。化学調味料的な味は(体が)受けつけないので使わないと言いながらも、カレーも煮物もすべて市販調味料といった結果は多く、著者がインタビューで確認しても(事前調査のほうが本来の自分で)その週は特別だったとの答えが多い。

付論 家庭科で習った通り
1959年ころの生まれと、1968年ころの生まれで、食生活や料理の傾向にはっきりとした違いが見られるという。それは指導要領の変更にともなう家庭科教科書の違いではないだろうかと、著者は分析。
++++++++++

上っ面だけ読むと、せっかく自分の食卓写真まで提供してくれた人々(一般家庭の主婦)を笑う本ではないかとも思えてしまうのだが、著者にそういった意図はない。貴重なデータであり、類書はまずないだろう。

ただ、注意しなければいけないのは、個々のデータを提供してくれた方々は「これが普通だから」と胸をはって出してくれているのだ。もう少し上の世代を調査対象にしたら、かっこつけたものしか出さないだろうし、嘘の混じる比率が上がるだろう。つまり、60年代生まれから「急にこんなにひどくなったわけではない」と、わたしには思えるのだ。その親世代などから、いろいろな芽は出ていたはずである。

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紙の本コーヒーに憑かれた男たち

2009/02/10 00:08

そのコーヒー豆は、いつ焙煎したものか

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

珈琲は好きだがもっぱら自宅で飲んでいる。このところ流行りのいわゆるカフェに寄ることもないほどだから、専門店で楽しむことはまったくない。そのため自家焙煎珈琲に御三家がいることも、それら有名店のこともまったく知らずに読んだが、かなり楽しめた。

変人という薄っぺらい言葉で表してしまうには多少の語弊があるかもしれないが、世間的にはその言葉が近い3人の男性が登場。焙煎と抽出にとり憑かれ、ほかのことには目もくれない。

吉祥寺もかの標(しめぎ)氏にいたっては、客が飲み残せばなぜ残したのかと心が落ちつかず、気晴らしのため奥さんが企画した欧州旅行では観光地に目もくれずカフェめぐり。

生豆を適切な温度や湿度で管理し、熟成させる「エイジング」をきわめた銀座ランブルの関口氏。世界的なマーケットでは、新しい(若い)豆と新鮮さこそが命という考え方が現在もまだ主流と思うが、自宅を改装しエイジングルームを作って、何年でも豆を寝かせつづけた。

そして、台東区でかつて山谷と呼ばれていた地域にあるカフェ・バッハの田口氏。焙煎したての新鮮な豆にこだわり、焙煎してから日が経った豆はドリップしても湯でふくらまず逆に陥没すると、現在の珈琲ファンならまだしも当時の一般人が知らないこと、焙煎業者や同業者に嫌われることを声高に言った。彼は自分の言を守るため焙煎の道へと進んでいくことになる。

なぜかつて「アメリカン」が流行ったか。濃いめのヨーロッパ風が隅に追いやられた理由など、ちょっとした雑学や世界経済、流通の話としても楽しめる。

珈琲は、豆が挽きたてかどうかより、焙煎が決め手とのことらしい。これまでは挽いた日時のことしか念頭になかった。注文してから焙煎してくれる店で買うことも多いし、その店は焙煎日時をシールで教えてくれていたが、それには大きな意味があったのだと、いまさらながら気づいた。

これからは豆の買い置きを少し減らし、こまめに買い足していこうかと思う。

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ちょっとお洒落な、家庭の味

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同じシリーズの「フランス料理」が重宝しているので、イタリアが出たと知りすぐさま手にとった。こちらもまた、見やすくわかりやすい構成になっている。

内容は:
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○ 前菜 カルパッチョやサラダなど、約20品目
○ ピッツァ 6品目
○ パスタ 乾燥パスタと生パスタを合わせて、約25品目
○ リゾット&スープ 11品目
○ 魚介料理 7品目
○ 肉料理 9品目
○ 野菜料理・付け合わせ 16品目
○ デザート 13品目

となっているほか、随所に読み物や資料がある。
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白を基調としたシンプルな器や盛りつけの写真は美しいが、高級感を前面に出しているわけではなく、料理は原則としてマンマたちがつちかってきた家庭の味。どれも簡単で合理的であり、特別な技術や器具がいるものはない。また、ざっと見たかぎりは、食材や調味料で入手が難しいものもなさそうだ。

生パスタのページで美味しそうなのはP.83「リコッタチーズとほうれん草のメッツァルーナ」。パスタを丸く型抜きする際に、リコッタチーズやほうれん草などを和えてクリーム状にしておいたものをしぼって半月状に畳み、ゆでたあとバターソースとからめるものだ。

肉料理ではP.136「仔羊のカッチャトーラ(猟師風)」もぜひ作ってみたいし、色鮮やかなデザートP.162「グラニータ カンパリ」も、ひときわ目を引く。

食材の説明などの読み物も写真入りで、読みやすさと理解に配慮している。

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