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先月(2017年8月)

宵まちさんのレビュー一覧

投稿者:宵まち

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本脳と日本人

2007/12/18 12:29

『脳と日本人』

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「対話」という思弁の在り方は、自分の脳内思考回路とは違う他者の思考が割り込むことで、[2+1]の別の新な思考が生まれる面白さがあります。しかし時として、相手の言葉の意味を取り損ねたりして思考の流れが遮断、方向が変わったり、停滞したり、脳内は激しく振動、この対話においても、その「脳」の思考形態が流れとなって見えるという面白さがあります。

 茂木さんは今やテレビなどのマスコミに登場する寵児。『脳とクオリア』で注目を集め、片やISIS編集学校やweb『千夜千冊』でお馴染みの松岡正剛。「脳」や「日本」も共通しているのは“編集”というキーワードにあるといえるでしょうか。
 一般に「編集」というと、本や雑誌、新聞やテレビそうしたメディアでの編集を一番に想像されるでしょうが、松岡正剛の言う編集はもっと広義に捉えています。
 今日あったことを思い出すとき、頭の中から引っぱり出してくるものは一日の出来事全部ではありません。あるものは消え、選別され浮上するものだけが
記憶として残されていく。私たちは語るときも、考えるときも、無意識の内に情報の分別編集を行っていると言えるでしょう。こうした情報編集は脳内の思考ばかりではありません。情報体としての生命が誕生し成長してきた歴史も編集の歴史にあるのです。本書の見方として、そうしたことを念頭に入れて読んでいくと全体の理解に繋がると思います。

 ここに、ひとつ興味深い松岡正剛の発言があります。対象と自分との関わり。『自分がそれに出会った「場面」とか「局面」というものを含めて語るべきだと思っている。』
 『その断片の奥には共有する“遠さ”がある。その“遠さ”の中に世界大のものがある。』
 これはどういうことでしょう。実は記憶や文化の原型としての「アーキタイプ」、ストーリー構造というものが、“自身”を含めて語る「ものがたる」原型であり、編集の雛形と言ってもいいからかもしれません。
 本書では常に「方法としての世界知」「方法としての化学」「方法としての日本」「方法としての国家」ということが語られているということ。「編集」という見方で世界を見れば、また新しい関係性が発見できるのではないでしょうか。

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