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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

redhelinkさんのレビュー一覧

投稿者:redhelink

28 件中 1 件~ 15 件を表示

800字で書いてみました

19人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 書評でうまく書ききれないことが多い私の目に止まったのは必然でしょう。

 概要は、「書く」とはどういうことが原因で起こるものなのか、文章とはどのように構成されているのかというところから始まり、より魅力的な文章を書くための抑えたいポイントや、「書く」ことと表裏一体である「読む」ということについても触れられており、読み書きともに意識が変わる文章です。

 感想。かなり読み書きにおける意識や注意が変わります。著者が高校の国語の教員をしていたこともあるのでしょう。非常にやわらかい文章でありながら、それでいて内容は非常に納得のいく、論理的なものです。

 なぜ文が文章になるのか?一文では補いきれないから、という内容は当たり前でいて気づけない(私だけでしょうか?)部分に迫っています。文章は次の文で、前文では表せなかった風景や設定を補い、そしてそこから生まれる新たな疑問に対する回答を次の文が・・・というように、ある種の堂々巡りをしてくものであるということは、私には非常にわかりやすい説明でした。

 また、文章に波を持たせて、盛り上がりや、場面の切り返しの重要性についての文章も具体例が盛り込まれており、読みやすいです。リレー作文を例に考察している部分や、映画の一シーンにあるようなフレーズを使った例、天声人語での文章のひきつけ方などがそれらに当たります。

 疑問や不足に注意しながら文章を読むことで、自分の経験や想いとリンクさせながら、書かれていることを抽象化したり、逆に抽象的な表現を具体化すると、自分と文章との関係に気づけるということです。

 積極的に文章に疑問を持ちながら読むことは、すなわち自分を見つめなおすことにつながると言い換えても良いでしょう。

 書きたいことはたくさんありますが、秀逸すぎて私にはうまく伝えられないことがたくさんあります。ぜひご自身で読んでください。著者の文から自分を見つめていただける、価値ある1冊です。

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紙の本悼む人

2009/03/31 23:42

自分で本屋大賞を決めよう 第6弾

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 幼少期の“死”との出合い、モラトリアム期間での“死”との対峙、そ

れが悼む人の構成要素。



 何らかの理由で亡くなった多数の人を、亡くなった経緯ではなく、生前に



 “誰に愛され”

 “誰を愛し”

 “人に感謝された”



のかを聞き、その人を胸にとどめることをしている悼む人。



 正直に言うと、最初は面白みのない作品だと思っていました。ありふれ

た展開が“予想”されたこともあったと思います。



 しかし、ある人物がガンになり、死と戦い、そして受け入れていく流れ

辺りから、ありふれた展開が意味を持ちました。



 人の死と向き合う。



 自分が一度しか経験できず、そして認識できない“死”。私たちの祖先

や時の権力者が畏れていた概念。このテーマに改めて向き合う時間を提供

してくれたこの作品に感謝。



 私は恵まれているか、親しい人や知人の死にそれほど出くわしていま

せん。でも、その少ない経験はやはり辛かったです。内臓にダメージが出

るほどに。



 皆さんはそんな辛い死をさまざまな方法で乗り越える、あるいは向き合

っていると思います。ここで描かれている悼む人も、そんなありふれた人

なのかもしれないと考えさせられました。誰にでもありうるのだと。



 また、ガンになった人の配偶者の心の描写には思わず泣いてしまいま

した。人を愛するという行為の究極とも言える心には、憧れとそのような

ことが自分にもできるのかという問いを生みました。



 私は自分を形成する糧として、この小説を消化し続けたいです。

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大学時代から実践すべき行動規範集

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ビジネス書はタイトルがかなり重要だなと、何冊か読んでから思います。この本も完全にタイトル買い。しかも割と売れているとのこと。今の生活がちょうど節目を迎えていたこともあり、読んでみることに。

 内容としては、勉強を毎日続けるために必要な動機について熱かったり、時間の捻出方法や目標の立て方など、手取り足取り書かれています。そして注目すべきは、決して「やってください」的なやわらかい口調では書かれておらず、むしろ、「勉強はしんどいんでしょ?じゃあテレビを見るなり、お酒飲めば?」という姿勢でかかれています。しかも第1章の1段目に!

 ここがこの本の良いところではないでしょうか。自分から変化や進化を試みない者は、どんどん見捨てる筆者の本気の姿勢が文章からひしひしと伝わってきます。

 だからこそ、自分の課題をしっかり見つけて書かれている勉強法や浪費している時間の削減に励めるのです。私もいくつか実践しましたが、特にタイマーを使った勉強法は型にハマりました。やってみて合わなかったり、能率が上がらなければ、そういうのは自分で取捨選択すればいいわけで、かなりのものが参考になり、実践してみる価値があります。

 また、書評のタイトルにも書きましたが、大学生や高校生でも読んでほしいと思います。勿論、生活ステージが違ったら、紹介された勉強法がそもそも行えなかったり、工夫しないといけないことが多々あるでしょうが、それでもその手間以上の収穫が必ずあると思います。そして私は実際に紹介しました。

 私はこの本や友人に読書を勧められて、本を読むことが普通になり、そしてそのことに感謝しています。そのお陰で知見も(多少)広がり、文章というものをかなり見つめなおす機会が与えられました。

 勉強法だけでなく、波及した効果に私にとって絶大であったこともあるので、私はこの本を色んな人に読んでほしいです。

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紙の本告白

2009/02/24 01:54

自分で本屋大賞を決めよう 第4弾

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本屋大賞ノミネート作品。前評判が色々あったみたいですが、自分の感じ

たままを書くために、あえてシャットアウト。書評を書いている時点でも読

んだわけではないので、純潔と言い切れます。

 内容は、ある教師が娘の死を理由に職を辞めるが真相は・・・という人間

の“クロ”い部分をうまく描写しようとしている作品です。犯罪の加害者の

苦悩や心理の追い込まれ方などが、それぞれの視点で描かれています。

 1つの物語を立場の違う人間の視点で書くのはゲームみたいでした。



 感想。作品の“クロ”さや誰も救われない結末は、個人的にど真ん中スト

ライクなのですが・・・。文章が表現し切れていない感じを受けてしまいま

した。だから上の記述でも「うまく描写しようとしている」と書きました。

そしてその表現の足りない部分が、要らない描写としてあるのが残念です。



 “必要”な部分のみを書き連ねた文章は味気ないものかもしれません。で

も“不必要”な文章が“不必要”に多い文章は前者より受け付けにくいもの

になっていると思います。



 総評としては、テーマや設定は面白いが、書き手が素材を活かし切れてい

ない。

 今年の受賞作からは外れると思いますが、今までの作品と比べたら可能性

はあるかな。

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紙の本モダンタイムス

2009/02/24 02:06

自分で本屋大賞を決めよう 第5弾

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本屋大賞ノミネート作品。昨年に続き二冠となるのかどうかは書店員さん

の空気の読みあい?という書き出しはいかがなものでしょうか?w

 内容は、プログラマーの主人公が“プロの恐妻家”の仕打ちを受けたり

(脚色した表現ですが、読めばわかります)、仕事でシステムの解読をして

いくうちに、伏線が浮上する。・・・あれ?『ゴールデン・スランバー』と

似てないか?あとがきに同時期の作品と書いてあったので納得。



 感想。これは『ゴールデン・スランバー』のほうが面白くないか?と率直

に思いました。伏線が張り切れていない。回収が中途半端。ん~何ともやり

きれない・・・。伏線の張り方がイマイチだと思ったのは、雑誌に一年以上

連載する形式だったから、ということを考慮しても残念です。



 読み進めていくうちに、妻の描写が、対外的には攻撃的に、対夫には優し

くなっていくあたりに違和感がありました。

 妻に対する夫の恐怖心の延長にこの話があると思っていたことがショック

を大きくしたのかもしれません。



 一つ考えさせられたのは“現代社会”に対する警告でした。分業の細分化

で、全体が見えなくなってきていることの動物化の指摘や、情報提供者バイ

アスなどです。

 資本主義を謳いながら“平等”や“非競争化”を行う教育、選挙が主義・

主張を以って行われていない世の中の有権者。
 
これらは考えさせられた具体的な内容です。



 私は思想における知識や情報が少ないので、今後の読書や雑談を通し

て“芯”を形成したいと思いました。



 総評は・・・まぁ面白いよね?えっ?大賞?ん~たぶんない。

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紙の本博士の愛した数式

2008/02/07 01:38

数学を勉強しようとしている中高生に読ませたい

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私は数学が好きでした。でも日本史にも興味があったので文系へ行ったので3Cまでやりませんでした。大学でも数学系の授業は教職関係程度でした。それでも懲りずに授業を受けて、どのように教えたらいいのか、○○の単元では△△がポイントなんだな、と思いながらノートを作った記憶があります。

 そんな淡い記憶を蘇らせてくれた作品でありました。この本は勿論数学についても触れられています。そしてそれは読み終えたとき、数学が好きな人も、数学が好きでない人にも読んでほしいという作者の(私が勝手に感じ取った)意図があるように思いました。決して数学の『○○の公式』について熱く語っているとかそのような学術書ではないけれど、つい調べたくなる書き方がされていることにも注目してほしいです。

 登場人物は、80分しか記憶がもたない「博士」、家政婦として派遣された「母」、母の息子で博士がつけたあだ名が「ルート」の三人で構成されています。登場人物が少ないのは読み手にとっては、一人ひとりにより注目できるのでいいことだと思います(勿論多いものはそれはそれでいいところがありますが割愛)。この本では特に感情移入がしやすいことが特徴ではないでしょうか。博士の記憶のリズムをつかむまでの母の試行錯誤、家政婦規則に反するけれど、人道的に後回しにしたことで色々指摘されるやるせなさ、突然の雇用先変更などがあります。人と接していくことの難しさを考えさせられた場面でもありました。将来の自分の職業を思うと憂鬱です(笑)。

 また個人的に印象に残ったのは、博士がルートに数学を教えるときの姿勢や褒め方でした。ヒントの与え方、考え方について、答えが導き出されたときのリアクションや賛美の仕方は、私にとっては授業のうまい先生の学術書でも読んでいる気分でした。私はまだまだ拙い教え方しかできないので、生徒一人ひとりに教え方を使い分けることがうまくできませんが、そのようなこともしなければならないとか、考えるときの間の与え方や褒め方には、本文で描かれているような方法もあるのだと博士に教えられたのが印象に残りました。

 これを書いている時点では、本屋大賞を2冊ほど読んだことになります。『東京タワー』と共通して言えるのは、「いい話(感動もの)」であったということです。本屋大賞(票を入れた書店員)が今後もこのような話ばかり選ぶと、読者は本屋大賞そのものに対して飽きてくるのではないかとも思ってしまった私がいます。感動ものは確かに売れます。しかし、言葉はストレートにしか表現できないものではありません。たまには悲しい話、あるときは強烈な印象を与える話(例としては『バトル・ロワイヤル』なんかがそれにあたると思います。)を選ぶことで、

本屋大賞=感動ものしか選ばれない

ということを否定してほしいと思います。性格のひねくれた私の独り言として聞き流してもらえると幸いです。

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紙の本ジョーカー・ゲーム

2009/02/24 01:36

自分で本屋大賞を決めよう 第2弾

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本屋大賞ノミネート作品。5つの短編がまとまった作品です。

 時代設定は満州事変後から日中戦争までかと思われます。

 全体的に各国での諜報活動をしていた人を通した人間を描いています。今

の日本人ならば、変わった時代を知ることができる内容だと思います。



 では思ったことをつらつらと。ん~竜頭蛇尾って感じです。1つ目の「ジ

ョーカー・ゲーム」は、天皇=現人神の時代にそれすら疑って、既成概念に

とらわれない思想をもった日本人スパイという内容が魅力的でした。軍閥政

治に傾倒していこうとする時代に、より軍隊的でありながら構成員が民間出

身であることの、ある種の矛盾が個人的にかなり好きでした。



 しかし、残り4つについては筆に勢いが感じられなくなってきたというの

が正直なところです。これだったら普通にミステリーを読んだほうが楽しい

じゃんと思う作品もあったのがマイナスポイントかと思います。

 

 総評として、1つ目はおもしろいけど、他は普通。そして、今年の大賞で

もないと感じました。

 少しでも気になったら1つ目だけでも読んでみてください。

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紙の本夜のピクニック

2008/02/07 01:35

青春=葛藤???

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 あなたの高校時代で印象に残っているのは何ですか?私は悪友と部活の時間に部室にこもって麻雀をしたり、レクレーション大会のときに某所で麻雀をしたり、センター試験1週間前に麻雀・・・以下略。やっていることはともかく、それぞれが懐古できる何かがあるのではないでしょうか。私は麻雀をしていたからこそ、勉強とも折り合いがつきましたし(?)、今でも悪友と遊ぶときはそれを介してお互い会わなかった時間を埋めています。

 この本では登場人物である西脇融と甲田貴子にとって印象に残るであろう「夜間歩行」の出来事について書かれています。彼らは夜間歩行を通して、今までは決して交わることのなかった平行線が、ふとした気まぐれで交差するように・・・という表現がしっくりくるのではないでしょうか?(執筆時は『博士の愛した数式』を読んだ後でした。またそれだけではないことを後述します。)しかも、この本で主となる時間は24時間であり、その中で登場人物の思春期から大人への成長期に抱える悩みやもやもやを表現できているところが凄いです。

 物語の進行役は夜間歩行です。ある地点まで歩いて帰ってくるのが今回のコース。設定としては修学旅行の代わりとのこと。実際に体験してみないとわかりませんが、これはこれでいい思い出になる行事だと素直に思います。そしてその進行役に導かれながら、プチミステリーの絡まった糸をほどいていくように話は進みます。恋の相談、自分の親族について、昨年の夜間歩行での奇怪な出来事などがそれにあたります。どれもが思春期を的確に捉えた描写で、思春期の葛藤などを描く作品が好きであることを最近自覚した私にとっては至極品でしたよ(笑)。

 またこの話は西脇融と甲田貴子の二人の視点で描かれているので、話が違う方向から近づこうとしているのも面白い点ではないでしょうか。語り手が違うと話が多角的に読み取れるのは解釈が広がるので好きです。個人的にはお互いが抱いている相手への想いの描写が切なくて切なくて仕方なかったです・・・。

 あえてしょっぱいなと感じたところをあげるなら、登場人物の一人の描写です。捉え方によっては物語のキーパーソンなのですが、あの描写はないだろう・・・と思う人が一人います。ん~登場人物のキャラ設定って難しいのだなと思った一瞬でもありました。

 この本で本屋大賞は3冊目です。『夜のピクニック』、『博士の愛した数式』、『東京タワー』の順に個人的に読んでほしい年齢層があがっていると思いました。2冊目までで書いた書評で心配していたことはこの作品を読むことでひとまず安心しました(受賞した順番からわかる私へのツッコミはなしでw)。感動ものばかりではないということを確認できたことは私にとって大きなことでした。s

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紙の本アンノウン

2008/02/07 01:20

推理ができるフェアな小説

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 メフィスト賞を読み進めようということで手に取ったこの本。何が「UNKNOWN」なのか、どのような設定なのかを裏表紙を見ずに読み始めたので何も先入観なく読み始められたのは大きかったですね。数ページ読んで裏表紙をふと見てしまったことは切なかったですが・・・。

 この物語は陸上自衛隊の警戒監視隊の野上三曹と防衛部調査班の朝香二尉を中心に密室に取り付けられた盗聴器が誰の仕業なのかを探っていく話です。閉鎖的な場所で、しかも密室という条件はいかにもミステリーらしい設定だと感じました。かなりベタな設定ではありますが、自衛隊での出来事は私にとって新鮮だったのですらすら読むことができました。それと、朝香二尉がコーヒー中毒とも思える飲みっぷりは私の将来の行き着くところなのかなと思いました。設定が自分と似ていると共感を覚えやすく、どんどん読めるので、この小説と出合ったタイミングも良かったことは嬉しかったです。

 ミステリーではあっても考察できる箇所がいくつかあることから推理していくのですが、

<p79>
「いつ、どこで、だれが、なにを、どのように―ですね?」

を野上三曹が口にしているように、読者にも推理の道筋を示しているあたりはフェアな小説だと感じました。そして読み進めるときに注意をしていれば犯人や犯行手口は当てることができます。これはとても重要なファクターだと思います。推理することがそもそもできないアンフェアな推理小説、トリックが難解すぎて推理できにくい上級者向け推理小説でもないことは、推理小説の間口を広げることに繋がると思う点でこの小説は評価されるべきものと言えるでしょう。

 また朝香二尉の柔らかい構え方が話を読み進めていくとより際立ち、それはコーヒーを飲む頻度と関係している(←個人的解釈です。)のが面白いです。ところでトイレはいつ行っていたのかな・・・。

 ここで読み進めていく上で疑問に思ったのは題名でした。何が『UNKNOWN』なのかということです。

「名:知られていない人、無名の人」(プログレッシブ英和辞典より)

辞書による和訳はこのように表記されていました。そうするとますます本文との解釈が繋がらなくなってきた私がいました。ん~と悩んで今は私なりの回答を見出しました。皆さんも自分なりの解釈を考えてみると面白いと思います。色々な可能性を考えている時間は思っているより楽しい・・・はずですから。

 すごく大雑把な言い方をすればこの小説はベタであり、推理も簡単で、見方によってはつまらない小説になるのかも知れません。でも、それは一方向からの見方です。捉え方や自分で思考の幅を広げる努力をすれば、この小説は大いに楽しめるものではないでしょうか。私はそのように思うので、読書をあまりしない人に勧めてみたい本の一つになったことに対して嬉しく思います。

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紙の本少女は踊る暗い腹の中踊る

2008/02/01 03:07

初投稿

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「すききらい」と書けば、その内容は「きゅうりは好き、ピーマンはきらい」のような、子どもが抱くイメージに近いのではないだろうか。

 「好き嫌い」と書けば、その内容は「清楚な感じが好き、ギャル系は嫌い」のような、趣向に抱くイメージに近いのではないだろうか。

 一般にYes/Noで判断することは、このレベルで納まる。

 では次のフレーズはどうだろうか?


 「愛憎」・・・愛することと憎むこと。好ききらい。(三省堂国語辞典)


 私は「愛憎」にあてがわれた漢字とこの本のイメージを統合して以下のように定義したい。

・愛のために躊躇なく殺人が実行できる。
・憎という一瞬ちらついた感情で殺人が実行できる。

 えっ?なぜ定義をしたかって?そんなことに理由などありゃしませんよ。だがしかし、だがしかし!定義せずにはいられなかったというのが正直な想い。

 それは、両足のちぎれた赤ん坊だった。(p36-8)

 この一文は45章あるこの小説の1の最後の文です。私は今まで小説における殺人の被害者は高校生以上と勝手にイメージができあがっていたのでショックを受けました。そして同時にこの本の世界に取り込まれていったのです。

 序盤にも書きましたが、この小説で強く描かれているのは、行き過ぎた愛情から来る愛情表現の果てと瞬間に抱く憎悪の行き先が殺人を通して描かれていると感じました。それもかなり熱くです。主人公を通して心理の移り変わりを自分が体験しているかのような文体で描かれている点は、気持ち悪いくらいでした。(←賛辞です。)

 人間は欲深い故に、昔からほどほどが良いという文句はたくさん(?)あります。愛情もほどほどにしないと突き進みすぎて周りを壊してしまう。憎悪も悪口を言う程度で抑えないと取り返しのつかないバッドエンドはいくらでも想像できてしまう。

 この小説では悪い方向へ悪い方向へ話を進めることで、愛情も表現していたところが感動しました。殺意の抱くときの動機が薄いときがちらほらしていたので、その点は個人的に残念でした。(これを引用するとネタバレなので、約数の総和が96である数の前のところを読んでください。)登場人物の不器用だけど想いはまっすぐ、故に道を踏み外した原因の一つになったのだろうと思いながら読んでみると結構切なかったりもします。怖さの半分くらいですけど・・・。

 誰かと出会ったとき、その人の現在や近未来は付き合いを進めることで思い出を共有しながら創ることができる。過去は本人からの告白やその過去を共有した人物の曖昧な記憶から想像するしかない。

何が言いたいかと言うと、それぞれが背負ってきた過去は本人にしかわからない苦悩の塊が、忘却というシステムで都合よく抜け落ちているけど、現在の自分に何らかの形で刻印として刻まれているのではないだろうか。それを解釈してそしてともに歩むという締めくくりはやるせなさを感じずにはいられなかったものです。

毎度毎度意味不明な締めくくりで申し訳ないですが、それを持ち味にどんどん突き進みますよ。
駄文マスターより愛を込めて・・・。

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鵜呑みはまずいが参考になる

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私は『ダ・ヴィンチ』を友人に勧められて購読をするようになりました。そのときに必ずチェックするのは、今月の新刊のページです。本屋へ行く時間が最近はそう多くないため、またネットで手軽に購入できるので気になる本をチェックしています。

 そんな時、この本は私に「買え!」と訴えてくるような刺激的なタイトルだったので入手しました。

 内容としては、自己の磨きかけとしての読書を全面に押し出し、そして読書をしなければサルとうたっています。超攻撃的で、それでも様々な本を読まれているので、妙な説得力があるのがこの本の良い点です。

 タイトルにある「10冊同時」は、要は自分の手の届くところにはたくさん本を置いて、その場所で時間が空けばその本を読めと言いたかったと解釈しています。私もトイレに本を置いてみましたが、そのおかげでトイレに行くことが少し楽しくなりました。実際に、10冊同時に読むほど場所もなければ多忙でない私には5冊くらいがちょうど良いですね。

 たくさんの本と出合い、たくさんの考えや世界観を本から得ることで、自分の世界はかなり上のステージへ行けると言い換えられます。それがこの本のまとめの感想です。

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脳の仕組みを知って、自分の勉強を深める

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 メフィスト賞と本屋大賞を読むかたわら、ビジネス書も読んで勉強の仕方を固めようと思っていたら、本屋で出会った本です。

 人間の学習とはどのようなものなのかを素人にもわかりやすく、そして自分なりの方法で実践できるような文章になっています。自分の過去の勉強で、集中力があったときとそうでないとき、勉強がはかどったときの経験が(私には)わかりやすく解説されている点にこの著書の良さを感じます。一人ひとりの経験を一般化した文章に直しても、万人に共通させられるところが特にすごいのではないでしょうか。

 また、色々な勉強法で書かれているキーワードにも触れられていて、「脳科学者」という肩書きがあると信頼度も深まります。時間制限を設けたり、常に少し難しめの課題を脳に与えること、朝の時間帯の有用性を脳科学者からわかりやすく説明されれば、他の著者の経験に基づく推奨がよりすんなりと受け入れられます。

 学習の全ての処理をになっている脳について知っておくことで、記憶や更なる勉強への意欲がかきたてられるのではないでしょうか。

 この本を1時間ちょっとで読みきることで、脳への快感を増やすことができれば、その1時間はとても有意義になると思いませんか?

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「不完全さ」の美しさ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 最近はテレビのない生活を送っているため、この小説がドラマ化されていたことを最終回あたりで知りました。

 青春モノってドラマ化すれば、キャスティング次第で数字なんかがはじき出せるに決まっているだろうが!とか思っていたりもします。

 さて、本題に入りましょう。本屋大賞も4作品目ともなれば、心構えも違ってきます。私がこの小説を読む前に友人が読破していたときの感想は、ずばり「感涙」でした。だからしないようにと思っていたわけです。でも・・・かっ感動なんてしてないんだからっ!・・・でもでも目頭が熱くなる、心にグッとくる場面もしばしばと。もう一人の自分に負けた感があったりなかったりw

 内容は、中学までサッカーをしていた新二がふとしたことから陸上の短距離へ転向し、様々な経験をしていくというものです。また新二の友人である連も高校の陸上部の短距離に所属するのですが、彼は100mを全中の決勝で走っているスプリンター。そんな二人が互いに成長していくわけです。

 そんな青春モノで感動した点と、世間では100万部も売れたけど、すべてが良かったのかと疑問に感じた「違和感」について書こうと思います。

 まずは感動した部分から3つほど書きます。

 1つ目として、新二と連が陸上部へ入ると決めたときのやり取りがそれです。体育の50m走を競争するわけですが、二人にはそれぞれ感じたことがあったのです。新二は全中出場の連の圧倒的な速さを、連は新二がきちんとトレーニングを積むと、勝負が面白くなるのではと感じるわけです。お互いが「走り」を通じて、友人を見つめなおす、たった2ページ(1巻p35~36)が私にはグッと来たのです。

 2つ目として、陸上部顧問である三輪先生のキャラクターです。普段は面倒くさそうな言動が多いのに、新二や連がわき道へそれたら全力で叱ったり、「走り」の内容が良ければ(タイムのみでないということ)そのプロセスを含めて褒めたり、また一緒に泣いたりするのです。
 指導者としての責任感と、生徒と同じ目線で感動や悔しさを感じている描写が素敵です。中でも連がケガをした後に無理して練習しているときの叱り方は心に響きました。(2巻p90~)
 目先の一試合にとらわれがちな連に、客観的(この場合は試合は今後もあるということ)に物事を見る目を養うことの大切さを指導する。これって難しいと思います。連にとっては一度しかない大会だとわかっていても、ケガを押して試合に出ることで選手生命を捨てることになるのは、指導者としてはさせてはいけないという想い(また三輪先生も高校のOBであり、ケガ押して試合に出た結果、選手生命をつぶしたからこそ同じ想いをさせたくないという想い)が伝わってくるのです。

 3つ目として、描写されるキャラクターに共通する「不完全さ」です。例えば、新二は高校から陸上を始めたという短距離走者としての経験。連は陸上競技との向き合い方。最後の最後まで「不完全」な描写であり続ける内容が多々あるわけですが、それらは「可能性」という言葉に置き換えることができると考えます。
 「完全」に成り上がってしまうと、上を目指すということがなくなるわけです。この部分をこの小説は非常にうまく描写しています。3冊を通じて感じてほしい部分です。

 最後に、私が感じた違和感について書きます。それは「文章」です。妙にうまさを感じないのです。詳しく言うと、書き方と内容ともにということです。
 書き方は、新二の視点で書かれているので、口語的になりやすいのでしょうが、それを差し引いても・・・と思ってしまうのです。それらの指摘を私がうまく書けるといいのですが、そこまでのレベルに達していないことに問題がありますね・・・。
 
もう1つの内容については、「ありきたり」だということです。努力、友情、恋、葛藤など、青春モノにおいて、扱っていることは普通ですよね?

 それでもなぜ、この小説が大勢の人に読まれたか?私の感じたことで述べると、「不完全さ」の美しさにあるのではないでしょうか?キャラクターの「不完全さ」、描写が細部までなされていない「不完全さ」。「不完全」だからこそ温かく見守っていきたい。そんな支えないと崩れてしまうかもしれないデリケートな仕上がりだから、人々に感動と共感を与えられる小説として輝けるのではないでしょうか?

 終わりに偉そうなことを書いてすみません。わたしはもっともっと不完全もとい不良品なのかも・・・。

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紙の本コズミック 世紀末探偵神話

2008/03/30 20:52

「個性」について考える

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 メフィスト賞第二回受賞作。まず思うのは文章量!!ノベルスで700ページを読むためには覚悟がいる量です。その覚悟もあり無事読破したわけです。仕事そっちのけで・・・。割と細かく文章が切れるので、休み休み読めるのはとてもありがたかったです。

 内容は、次の文が入った犯罪予告状から始まります。

「今年、1200個の密室で、1200人が殺される。誰にも止めることはできない 密室卿」

 そして、300ページ弱が19個の密室殺人について描かれています。いずれも首を胴体から切り離されているという異常な死体。これはかなりインパクトがありました。また、被害者のプロフィールも載せられていましたが、法則性が見つからず、うなったことも今では懐かしいです。余談ですが、読破して振り返ると、真理に触れていたのに意識できていなかったことが残念でもありました・・・。

 序章の密室殺人では、被害者の殺害されるまでが描かれるわけですが、現代人の苦悩や思考の仕方、若者の想いなど、世の中の核心に迫ることのできるテーマが潜んでいると感じました。約10年前の小説ですが、変わらない悩みが多いことに驚き、また今はライトノベルでよく見られるパラレルワールドについても触れられていたことにも驚きました。
(パラレルワールドについては、文学におけるパラレルの歴史を知らない部分が多々あることを告白します。解釈がおかしい点についてはご了承ください。)

 密室殺人の描写のあとは、推理について描かれています。ここでも注目すべき点がいくつかありましたので、今回は2つほど取り上げたいと思います。

 1つ目として気になったのは探偵の人数の多さです。これは、小説の中にJDC(日本探偵倶楽部)という名探偵が集まった組織があるのですが、話に直接関わる人数が他の小説より圧倒的に多いです。

 2つ目は、1つ目と関連することです。それは、その名探偵一人ひとりに個性が強く描かれている点です。詳しく言うと、推理の仕方がまったく違う人物ばかりなのです。この点については実際に読んでもらうことで味わって欲しい部分です。

 さて、内容についてはこのくらいにして、私が思ったり感じたことを2点、以下に書いていきます。

 1つ目は、ヒーローがたくさんつまった話、つまり戦隊モノとダブったわけです。それぞれが違う個性を持ち、それらが相乗しあう美しさを私は感じました。

 誰かが引き立て役というわけではなく、それぞれが主人公格のような魅力を持っているのです。「個性」というものが特に注目される昨今、皆が自分も相手も高められる存在になろうとすることが大切だと考えます。

 2つ目は、解釈によっては1つ目を否定しうる内容ですが、書かせていただきます。

 それは、「九十九十九」という完璧なる人間の存在です。決して多くの描写があったわけではない彼の、人間を超越した存在感は、ある意味異常なのです。

 容姿端麗、探偵として世界トップクラス。

 これだけの文章が彼のアイデンティティに必要な言葉であり、十二分なのです。この「超越者」も個性の1つの在り方かもしれませんが、一般人の「個性」の域を軽く超えている彼と共に推理する他の探偵たちは一体何なのかと考えてしまったわけです。

 正直、描写が少なすぎるので結論を出すまでには至っていませんが、人としての在り方とは何かということを自分なりに咀嚼するきっかけになりました。

 700ページという量にはそれなりの思考する時間が提供されます。「個性」というものについて咀嚼してみようと思う人には読んでいただきたいです。

 追記。この小説の特徴の一つである「言葉」については他の方の書評に書かれていると思われるので割愛しました。

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紙の本掘割で笑う女

2008/03/03 09:54

いっぱい指南されました

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 真夏の夜の定番は怪談話。蒸し暑い中、みんなで様々な話をするのは青春です。ところで、今の季節は早春。冬の寒さが残っているのと、まだまだ夜が早いことから言えるでしょう。その早春に怪談をするのは、とても怖いと個人的に思います。だって、何もしていなくても身震いするような季節ですし、みんなが厚着をしているから、中身は本当に人間なのかと勝手な妄想をしてしまいます。・・・それは私だけですか?春先は変質者が多いと言われていますが、これを怪談話に置き換えると結構不気味な体験ができます。

 私は、それをこの小説でやってしまったわけです。この小説は序盤に、これから重要になってくる奇怪な死を遂げた話が数話出てきます。それを読みながら部屋をキョロキョロする私がいるわけですよ。恥ずかしいことこの上ない。

 そんな怪談話を、怖がりだけど剣術の腕はいい甚十郎とその彼を剣術で指導し、怪談話でいじめた平松左門が謎を解き明かしていきます。時代が江戸時代であることで、和服の魔的な魅力が想像できる辺りも好きです。

 この小説において、自分の目と耳と足を使い、奇怪に思われた現象を論理的に解決していく平松左門の姿が印象的です。何事も結果があるものは原因があることを悟らせてくれるというメッセージが、面白おかしく書かれているのがこの小説でしょう。

 また、推理できる部分も持ち合わせていて、しかもきちんと推理することで犯人もわかるように書かれているフェアな小説です。先入観(=著者)との戦いも楽しめます。

 事件を扱っている小説は星の数あります。そしてその数だけ個々人の勝手な思惑があり、そしてその数だけトリックがあるわけです。しかもきちんと整頓すれば論理的に誰にでもわかるような方法で。人間がやることは所詮足が着いてしまうということです。

 そこへ立ち向かう(=論理的にものを考えていく)ことがどれだけ大切で、またどれだけ難しいことかが、甚十郎と平松左門を通して感じられます。甚十郎は論理的に話を持っていこうとしているけど、マクロ的視点が少ないのではまってしまう描写は共感できます。マクロとミクロのバランスをとりながら考えることは、非常に難しいことを最近経験した私にとっては、痛々しいキャラクターでもあるのです。

 その本について共感できる本を読むととても楽しく読めることは、経験的にあることだと思います。私も友人に言われてしっくりきた台詞でした。寒い季節にびびりたい人、論理的な思考にあこがれる人は読んでほしい作品です。できれば数日かけてじっくりと読むと、よりいっそうその欲求を満たしてくれると思います。

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