hamada-ichiさんのレビュー一覧
投稿者:hamada-ichi
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紙の本できる男に見せる法
2008/02/20 16:18
異才の末路
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大分昔に古本屋でそのタイトルに興味を覚え手にとった。「できる男になる方法」ではなく、「できる男に見せる方法」だった。「なる」んではなく、「見せる」のである。その当時から始まった本物志向に潜むまやかしを、その著者はすでに看破していた。いわゆるマニュアル本なのだが、内容たっぷりで読み物としても面白い。この著者の才能はズバ抜けており、一般社会では理解されず、居場所を獲得することは難しいだろうと思った。僕の中では、この男を勝手に社会的に抹殺してしまっていた。著者からすればいい迷惑だが、この異才の本河裕という男の末路をいつも気にかけていた。
時は経ち、本屋で似たような本を手にとっては、「本河裕には遠く及ばない・・・」とつぶやいた。ようやく同じようなレベルの著者が現れた。樋口裕一なるおっさんだった。何か考え方が本河裕に似ているような気がして複雑な気分であった。ある時この樋口裕一が雑誌で3W5W1Hを説明していた。そう、この「できる男に見せる方法」のコアの部分だ。すぐにネットで調べると出身地と出身校から同一人物だと分かった。
2冊の著書を残して消えてしまった男は、別の名前で大学の教授になり、有名なベストセラー作家になっていたのであった。「できる男に見せる方法」は「できる男になる方法」であった。そういう意味でこの本は生きている。樋口裕一の愛読者は、樋口裕一よりも才気走った男をそこに発見するだろう。
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