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日はまた昇るさんのレビュー一覧

投稿者:日はまた昇る

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パラダイムが転換する時

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 目次を眺めてすぐにレジに走った。書店のそばの喫茶店で読むこと3時間。久々に経験した興奮に満ちた時間だった。
 執筆陣は、古代、中世の歴史・考古学の第一線で活躍する研究者たち。それだけに、本書から受けるインパクトは大きい。論集とはいえ、各論文は互いに連関しあっており、バラバラな印象は受けないのも、本書の良さだろう。
 誤読を恐れず言えば、古代・中世の「キカイガシマ」が琉球弧と本土、朝鮮半島、さらに中国とを結ぶ役割の果たした大きさ、そして「キカイガシマ=喜界島」が琉球弧の社会、文化の形成に与えた衝撃がいかに大きかったを示唆し、想像させ、確信に至らせるのが本書である。
 これまでの琉球史研究とはまったく異なる。交易によって諸地域との交流があったとはいえ、自立的に発展の道を歩み、やがて琉球国が形成されたというシナリオとはまったく異なるスタンスで貫かれているからだ。
 素朴な印象を述べれば、海に囲まれている島々だからこそ、物資、文化、ヒトが入り込まなければ、社会は新たな展開を遂げることはできなかったと考えるのは当然ではなかろうか。
 沖縄を中心に据えて考える人たちにとってはあるいは面白くない論集かもしれない。しかし、こうした論集が刊行された以上、知らん顔をして済むような問題ではないと思う。もし、対等な議論の場が現れないようであれば、沖縄を中心に考える人たちの歴史は、単に、「われわれはこう信じる」という歴史に過ぎなくなってしまうのではないか。
 本書を読んでも、明らかにしなければならないことはまだまだたくさんあるようだ。しかし、研究の流れの大勢は決した、という印象を持つ。
 ひとつだけ無いものねだりをすれば、本書の書名『古代中世の境界領域』では内容は伝わらず、副題の「キカイガシマの世界」があってようやく内容を知ることができるということだ。
 これから、本書をめぐってさまざまな評価が出ることと思う。その時、これまでのパラダイムが転換するのか、しないのか、見届けていきたいと思う。傍観者とはいえ、その過程に立ち会うことのできる喜びを感じる。スリリングな知の興奮が味わえるのは滅多にあることではない。
 価格の6,000円+税。普通は躊躇し、近所の図書館に購入希望を出す値段だが(最近はどこの図書館も渋く、高価な本は入れてくれなくなったが)、沖縄に関心があれば、内容から考えて、決して高くないように思う。

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