ささき なおこさんのレビュー一覧
投稿者:ささき なおこ
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紙の本私の手料理
2008/07/11 11:58
料理をおいしく作るコツって… 手料理あれこれ
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
表紙のつややかな梅の美しいこと!
たっぷりの水で洗い、
ヘタを取り、水分をよくふき取ってから、
ボウルに入れられて焼酎をまぶされた梅たちだ。
これから梅干しになる。
味噌をつくる、
梅干しを漬ける、
うどんを打つ、
餃子の皮をつくる、
のっけから目次にそんな言葉が並ぶ。
私の大好きな料理家・高山なおみさんがシェフをしていたレストラン「Kuu kuu」でアルバイトをしていた瀬戸口しおりさんの料理本だ。
「高山さんの手の動き、しぐさ、料理が出来上がっていく匂いを全身で感じて、ずっと見つめていました」というしおりさんが作り出す料理は
やはりどこかしら高山さんを感じさせる。
よき師匠ここにありき、だ。
「Kuu Kuu」のまかない料理がたくさん紹介してあって、これがとても嬉しかった。
目玉焼きサンド、ラタトゥイユグラタン、汁ビーフンなどなど。
中でも、高山さんちのちくわ甘辛炒め キャベツのせん切り添えはまかないでよく高山さんが作っていたものだそうで、すぐさま作ってみたくなる。
材料も簡単にそろうし、なにより美味しそう。
それから、蒸し暑いこの時期に飛びつきたくなるのは
手作りの梅干しをアレンジしたレシピのあれこれ。
こっくりとした味わいの梅干しとじゃがいもと塩豚の炒めもの、
見た目もさわやかな梅干しとゴーヤ、くずきりの和えもの、
一気に飲み干したい梅干しほうじ茶。
手作りの梅干しはちょっと無理にしても、
こちらのレシピはちょちょいと作ることができそうな気がします。
なんだか口の中がすっぱくなってきました。
最後に一つ。
しおりさんが思う料理をおいしく作るコツをご紹介しましょう。
「手でさわって、今、素材がどんな状態なのかを知ること。
作りはじめの匂いや香り、味がどんなふうに変わっていくのか、最後にどんな味になるのか覚えること。
何回も作ってみること。
そして心をこめて作ること。」
まさに手料理、実感ですね。
紙の本ねずみ女房
2016/06/11 19:31
「わたし、自分の力でみることができるんだわ」心からの喜びが伝わる
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
石井桃子さん訳の児童書です。
タイトルそのままですが、ねずみの女房が主人公。
一緒に暮らすおすねずみは「これいじょう、何がほしいというんだな?」と聞きますが、
ねずみ女房は「何がほしいのかわかりませんでした。でも、まだ、いまもっていない、何かが、ほしかったのです。」
ほかのねずみとは違う考えを持っていためすねずみだったのです。
ねずみ女房は、鳥かごで飼われている鳩と出会い、
その鳩からこれまで自分の知らなかった世界を知ることになります。
つゆのこと、飛ぶということ、窓の外の世界の話。
あるとき、ねずみ女房は自分の力を振り絞って鳩を鳥かごから出してやることに成功しました。
飛び立ってしまった鳩、ねずみ女房は少し泣きます。
そうして鳩が飛び出した窓から、星の存在に気づきました。
星の話は聞いたことがなかったのに、気づいたのです。
「でも、わたしには、それほどふしぎなものじゃない。
だって、わたし、見たんだもの。
はとに話してもらわなくても、わたし、自分で見たんだもの。
わたし、自分の力で見ることができるんだわ。」
そう感じるねずみ女房。
彼女の心からわき上がるふつふつとした喜びは伝わり、胸が熱くなりました。
こちらは河合隼雄さん著『子どもの本を読む』(岩波現代文庫)で、
詳しく取り上げられていた児童書で、読まずにはいられないほど惹かれたのでした。
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