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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

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    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

テオ・カロアさんのレビュー一覧

投稿者:テオ・カロア

9 件中 1 件~ 9 件を表示

紙の本現代萌衛星図鑑 第1集

2009/08/22 00:54

人工衛星の見方が変わります。読書感想文にもいかがでしょうか。

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これはいい本です。とてもいい本です。
掛け値無しにそう言えます。
最初の「気象衛星 ひまわりの章」を読んだ時点で心の底からそう思いました。

毎朝テレビの天気予報で見慣れた衛星写真。
当たり前のように出てくるその写真の裏に、どれだけのドラマが隠されていたか……。
これを読むことで、それを写すために衛星達がどれだけ必死に頑張っていたのか、知ることが出来ます。
特に「ひまわり5号」のエピソードは、その過酷さと絶望感が想像を絶するとてつもないものです。


上記の「ひまわり」以外にも先日ニュースで取り上げられた「月探査衛星 かぐや」を始め7つの衛星のエピソードが載っていますが、どれもその使命の厳しさと研究者達の熱意に目頭が熱くなります。
擬人化されたイラストもあいまって、健気さがより際立っています。


あまり知られてはいませんが、人工衛星というものは
過酷な宇宙空間でぼろぼろになりながらも壊れきるまで観測や実験を続け、最後は宇宙の塵となるか大気圏で燃え尽きるのが定められた運命。
どこかに故障や不具合が起きたとしても、何も無い宇宙空間、誰も助けに来てはくれません。
そんな中で衛星達はあらん限りの力を尽くして使命を全うしようとします。

泣かせるために作られた話ではありません。
衛星とそれに関わる研究者達の生き様、一途さという現実の出来事、その事実が心を熱くさせるのです。


説明文がとても丁寧で優しく穏やかな文章なので、
大人もさることながら、ぜひ小中学生くらいの年代の子に読んでもらいたい本だと思います。
ひたむきに頑張る彼ら彼女らの姿から、何か感じ取ることが出来るはずです。
タイトルやイラストで敬遠したら損をする。これはその典型とも言える本です。



来年2010年夏には、
本書にも書かれている「小惑星探査機 はやぶさ」が地球に帰ってきます。
「はやぶさ」は世界で初めて小惑星への自律着陸・離陸に成功した機体で、
今はそのサンプルを地球へ持ち帰るため、3億kmの彼方から1円玉を引っ張るのがやっとというちっぽけなエンジンを吹かして、何も無い宇宙空間をひたすら地球へ向かって飛び続けています。
彼女にもまた、サンプルが入ったカプセルを投下した後、自分は大気圏で燃え尽きるという運命が待っています。
それでも、離着陸という非常に難しい仕事が成功した時点で彼女の仕事はほとんど成功。今は言わば凱旋行進の途中なのです。
地球に帰る時にはお疲れ様と出迎えてあげたくなります。



この本には、上に書いた他にも様々な衛星達の様々な物語が詰まっています。
中にはひたすら悲しい運命ばかり背負った衛星もいますが、
一方でハレー彗星探査のため各国で艦隊を組むような気合の入った熱い衛星達もいます。


是非読んでみてください。
夜空を見るとき、衛星の成し遂げた成果を見るとき、何かが変わって見える筈です。

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夢の樹が接げたなら

2008/05/30 19:27

言葉という名の新しい世界

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『夢の樹が接げたなら』、SF小説『星界の紋章』シリーズを書いた森岡浩之のデビュー作を含む短編集です。

その中でも特に面白い話なのが表題作の『夢の樹が接げたなら』。
カテゴリ的には言語SFと言うのでしょうか、
現在とあまり変わらない世界を舞台にしながら、言語体系の構築が言語デザイナーの手によって自在に出来る世界、という条件だけで見事にSFの世界を描いています。

時は近未来、言語の学習が勉強ではなくアリステ式というある装置によって自動的に頭に叩き込めるようになっている時代です。
その結果、言語デザイナーの手によって現行言語の亜種や新種が開発され、社会には様々な言語が流通しています。
それは従来からある国家言語、民族言語だけに止まらず、社内言語や家族内言語、さらには個人言語なんてものまで開発されてしまっていて、中には100以上の言語を学習する言語マニアなんて人もいたり。

しかし、言語デザイナーである主人公の恋人の弟が、ある特殊な言語を学習したことから妙な話になっていきます。
それは、従来の概念を覆すような言葉の物語の始まりだったのです……。


とても面白い作品でした。
これまで持っていた言葉というものの概念をぶち壊してくれました。
まさに固定観念からの脱却です。
普段当たり前のように使っている日本語、そして知識として知っている英語や中国語といった外国語の数々、普通思いつくのはこういった言葉でしょう。
しかし言語というのはその範疇で収まるものでは無かったのです。もっと奥深く、もっと別次元で可能性のあるものである。そのことに気付かせてくれました。旅行とか勉強とは違った意味で世界が広がった気がします。
いやぁ、言葉って面白いなぁ~。

この本は表題作含め全8編の短編が入った、ちょっと変り種のお話が読んでみたい方におすすめの短編集です。


ただ、同時収録されている短編『スパイス』は…………大いに人を選ぶので心臓の弱い人は避けた方がいいかも。
読んでから「よくこんな凄いの公開出来たな……」って思ったので。
でも、面白さにかけてはこの作品も抜群です。

とても面白い本でした。
おすすめです。

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紙の本わたしたちの田村くん 2

2008/05/23 17:24

想うゆえの若く悲しく優しい、それでいてどこかほんわかした恋模様

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アニメ化も決まった『とらドラ!』の作者、竹宮ゆゆこのデビュー作です。

全二巻(いまのところ)の第二巻。
とりあえずこれで完結です。

一巻のラスト、驚きのひと言で続いたわけですが
それに伴う混乱と行き違いと揺れる心が描かれます。

一巻に引き続きヒロインの松澤小巻と相馬広香、そして主人公である田村雪貞が出てくるのですが、
相変わらず松澤は実は考えているのに言葉に出さないから不思議な子で、
相変わらず相馬はプライドとそれゆえの弱さを秘めているため頑なな子で、
雪貞は相変わらずの暴走バカです。

でも、愛すべき暴走バカ。
恋愛モノでは優柔不断な主人公が嫌味になりがちですが、彼はとても好感が持てる。応援したくなる。
今回も突っ走りますが、たとえ暴走しまくったとしても、最後は彼なりに考えに考えた末、しっかり答えを出しています。


三角関係の話だというのに、2つの頂点である筈のヒロインふたりが最後まで顔を会わせないというのも何気に凄い。
大抵のラブコメがこの直接対決で話を盛り上げようとするのに対して、それをあえて外してきて、それでいて盛り上がってるんですよね。
(まあこの話に直接対決は似合いませんが)


全二巻という長いような短いような長さですが、お話としてキッチリ終わっています。
作者さんもお望みの終わり方だったようで何より。
続編は無くてもいいかな。というか無い方がいいかな。
この後は読者が目一杯想像しましょう。

読後感も良い、とてもいい作品でした。
ライトノベルを普段読まない方も、こんな作品を試してみてはいかがでしょうか。
おすすめです。

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紙の本MISTERジパング 1

2008/07/01 03:16

カッコイイ信長が見たいならこれを見るべき!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

戦乱に明け暮れた戦国時代。
そこに現れた数多くの武将。
その中でも特に有名なのが織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三人だ。
この作品は、彼らに徹底的にスポットライトを当てて精製、エンターテイメントに昇華した漫画である。

とてもよく出来た作品である。
漫画だからと侮ってはいけない。それは人生の大きな損失である。


描いているのはGS美神などで鳴らした漫画家、椎名高志。
ギャグとストーリーの絡ませ方では定評のあるベテランである。

今作品でも作者特有の解釈の妙で、シリアスパートとギャグパートが波のように入れ替わり立ち代りやってくるが、そのサジ加減もまた上手い。
そしてその両パートが登場人物達の深みを増している。
描かれているのは生きた人間だ。戦国の時代を生き抜いている人間だ。硬っ苦しいだけじゃない、おちゃらけただけでもない、彼らには硬軟取り混ぜた人間味がある、それでいて何か凄いものを見せてくれそうな奥深さを秘めている。

そして読めば分かるが、
何と言ってもノブナガのカッコよさがしびれる。
徹底的にカッコよく描かれているのだ。
合理主義で既存のしがらみに囚われず、アイデアマンで柔軟性があり、部下の信頼もあって決断力に優れる。
普通いい場所ばかり集めると嫌味になりそうなものだが、彼の場合それが引き際をわきまえた強引さと相まって、むしろ大きな魅力になっているのだ。もし実際現代にいたら、思わずついて行きたくなるくらい魅力的な人物だ。

今作品、本来の主人公は日吉だが、彼は完全にノブナガを引き立てる役回りである。(現時点では)

第一巻なのでまだ物語は序章だが、これからもさらに広くなる世界で彼らの活躍を見てみたいという気にさせてくれる。


いい作品である。
普段漫画を読まない層も、戦国時代に興味があれば是非一度試してみて欲しい。
僕はこのノブナガに、惚れた。

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紙の本わたしたちの田村くん

2008/05/23 16:59

ひとり時間差、三角関係

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アニメ化も決まった『とらドラ!』の作者、竹宮ゆゆこのデビュー作です。

全二巻(いまのところ)の第一巻。
読んでみて思ったこと。
うん、面白かった。面白かったです。純粋に面白かった。

特に目立ったところも無い筈の主人公の少年が、中学3年と高校1年、時期をずらして現れる2人のヒロインに惹かれ、揺れるお話。

主人公の田村雪貞がかなり暴走気味なのでコメディタッチになっていますが、
何気にところどころでシビアな設定が見え隠れしてます。それでいて主張しすぎないサジ加減がいいですね。

とかくラブコメというものは普通の少年を主人公にすえながら、それなのに女の子にモテるという不可思議時空が発生するものですが……この主人公なら分かる。いいじゃん雪貞。
確かに普通。目だったところは無い。
なのにそれでいてちゃんと悩む。ちゃんと考える。そして決めたら突っ走る。たとえそれが明後日の方向だとしても。
好感が持てます。ヒロインもいい男を好きになったね、と応援したくなる。
まあ所々難はあるし、友人にしたらやかましいタイプだとも思うのですが……。

それぞれのヒロインも一生懸命で、それゆえに空回りする境遇に悩み、頑張る健気さと強さがとても可愛いです。


この一巻では本編二話と番外編1話の計3話を収録。
各話ごとにちゃんと短編として完成しているのですが、同時に絶妙の引きで続きが気になります。
結局一巻読んだ次の日には二巻を買いに本屋へ走っちゃいました。(笑)

悩み、焦がれる青春の恋愛模様を描いたとてもいい作品だと思います。
おすすめです。

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神様のパズル

2008/06/08 00:02

「宇宙は“無”から生まれた。なら人間にも作れるんですか?無ならそこら中にある―」

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008年6月に映画化、また平行して漫画化がされ、ゲーム化も予定されている第3回小松左京賞受賞の作品です。

冒頭、物語はこの言葉から始まります。

「宇宙は“無”から生まれた。すると人間にも作れるんですか?無なら、そこら中にある――」

主人公の学生が、出会った老人に聞かれた問いである。
盲点だった。
読んだ瞬間ハッとした。
100億年以上前、ビッグバンという爆発が起こり、宇宙が“無”から発生した。
――これは聞いた事がある。
そして宇宙は発生以来膨張を続け、今もなお凄い勢いで広がり続けている。
――これもどこかで耳にした。
さらに、宇宙には星があり、分子や原子があり、放射線がある。しかしその間は何も存在しない宇宙空間である。
――それも聞きかじっている。
でも――
だから「そこらじゅうにある“無”から、人間の手で宇宙を作りだすことも可能ではないか?」と考えたことは無かった。
まさに盲点である。

物語は主人公である物理学部の大学生(あまり出来は良くない)の視点から描かれている。
彼が所属するゼミと、それに溶け込もうとしない飛び級で大学入りした16歳の天才少女との交流がメインだ。
彼女は精子バンクを利用して天才たるべくして生まれ、期待通りの天才として物理学の世界でその才能を開花させた。
しかし、その彼女がわずか9歳にして展開した理論を基に、国家プロジェクトとして建設された大型粒子加速器は――周囲が勝手に期待するのとは裏腹に問題も秘めていたのである……。



物語の舞台が物理学ゼミだけに、物理学の言葉がそこらじゅうに散りばめられている。
場所によってはむしろ物理用語の合い間に日常描写が埋め込まれていると言っていいくらいだ。
正直理系でない人間には敷居が高い。
でも、だからといって避けるのは早計とも思える。あまりに難読と思ったなら、投げ出す前に分からない所はスルーするという手法をとってみてもいいかもしれない。
私自身、読んでいる間はかなり手強い小説だと思っていたが、不思議なもので読み終わってみればそれにこだわる必要は無いとも思えてきた。
何故ならこの物語の根底に流れるものは「人間とは、存在とは何か」という命題だからだ。ことそれに関しては理系文系の敷居は無い。普遍的かつ終わりの遠いテーマである。


かように敷居が高い小説だが、その先はしっかりまとまっている。
終盤、加速する物語は純粋に面白い。
この人物配置はこのためか、とパズルのようにピースがはまっていき、そして初めて「これは青春小説だったのだな」と気がつかされる。
なるほど、“自分の人生を見据え、それを飛躍させた先に見える宇宙の始まりに熱中する想い”――それは、残された時間の少ない老人と、先の見えない時間を持て余した若者が共有する、意外な共通点なのかもしれない。

難点は、前半の理系展開に馴染んだ人は後半の人間的な描写に逆に抵抗を感じるのではないかと思う辺りか。


内容が内容だけに映画版や漫画版など他のジャンルに移す際は大幅な改編がなされているようである。実際、正直とてもこのまま映像化できるとは思えない。
それだけに、この小説、すなわち『神様のパズル“小説版”』には価値がある。この良さは小説でなければ読めないものだからだ。

なかなか手強い本で、確かに人は選ぶ。けれど、面白かった。
読み応えがあり、それでいて読後感の良い小説だと思う。
腕試しに読んでみてはいかがだろうか。

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ほうかご百物語

2008/07/01 02:49

ほのぼのとした学園の、ほのぼのとした美術部の、ほのぼのとした妖怪達の物語。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

【第14回電撃大賞小説部門大賞受賞作】
ライトノベルレーベルでは最大の約3,000作の応募作品から選ばれた電撃大賞受賞作品。
だからといって大賞作品だからと気負わず、気楽に読んだ方が楽しめる小説です。
逆に言うと、大賞という肩書きに期待しすぎると肩透かしを食らうので注意。気楽に、気楽に読みましょう。


物語は学校に妖怪が現れたことによる騒動が主軸です。
冒頭、深夜の学校でイタチさんと出会う主人公。
美術部員である主人公は、綺麗で可憐な彼女を絵に描きたいと願い、受け入れられます。

以来、イタチさんが来たことで広がったあっちの世界との扉から、様々な妖怪たちがやってきます。
それは音を出すだけで特に何もしない無害なものから、相当な攻撃力を持ったかなり有害なものまで多種多様。まさに妖怪万国博覧会。

結果、いつのまにか物の怪対策本部と化した美術部が出張って各問題を解決していくのですが……基本的に力押しによる解決はあまりありません。
妖怪専門家で知恵袋の先輩の助言を元に、伝承に残る弱点や解決法を駆使して妖怪に対峙していきます。この辺り、ちょいと言葉遊びの感があって面白い。読んでるうちに妖怪に関しての雑学が身についたりして。

そんなスタイルですから、基本的にバトルという感じはしません。だって根本的に力押しで戦う場面があまり無いから。だから戦うというより、むしろとんち合戦の様相が強いですね。
そもそも古来、妖怪の伝承にはその恐ろしさと同時に大抵何かしら弱点も伝えられているわけで、それを駆使して切り抜けるのがちょっと変わった感じで面白い。

最初はついて回るだけだった主人公が、後半になって結構いい役どころを見つけたのも良かった。
強い女の子の後ろに隠れるだけじゃなくて、前線に立つ訳じゃないけれどちゃんと重要なお仕事を担っている。とても重要かつ貴重な戦力です。この辺り、うまいポジションを見つけたなぁと素直に感心してしまいます。


もっとも個人的には、文章を読んでみた印象と挿絵のデザインがちょっとイメージと違ったかな。本文を読んでて作者はもうちょっと大人びたスマートなイタチさんをイメージしてたんじゃないかな?とおも思ったのですが、表紙にあるようにイタチさんはどう見ても可愛い系……。まあこれは個人差が大きいのでなんとも言えません。
表紙と挿絵のイタチさんも十二分に可愛いので、これに惹かれて読む人も多々いるんじゃないでしょうか。それもまたひとつの読み方です。

妖怪学園モノという従来からあったジャンルに「ほのぼの」という味付けをした今作品。
読みやすく気軽に手に取れるまさしくライトノベルないい作品だと思いますよ。
ご一読あれ。

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紙の本海の底

2008/06/11 17:34

政治・人間・恋愛・そして巨大ザリガニ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

一説には『塩の街』『空の中』そしてこの『海の底』で自衛隊三部作とも呼ばれる有川浩作品の海自編です。


今更言うまでも無くその完成度に定評のある有川浩という作家の作品、さすがの文章力である。
相当細かい設定が織り込まれているし、登場人物もかなり多数なのにしっかり物語が波打ちながら流れていく。お見事。

物語は、横須賀の海から人を食らう巨大ザリガニの群れが上陸したことで巻き起こるパニックが主軸である。
もっともここは怪獣が居て当たり前の世界では無い。当然、想定外の化け物の来襲に人々は騒然となる。犠牲者も大勢出る。
その描写は襲われるとか殺されるとかいう生易しいものではない。文字通り「食われる」のだ。
この辺り、人によっては嫌悪感で読めなくなる人も多いと思われるので先に注意しておく。生々しい描写があるので苦手な人は覚悟が必要だろう。


しかし、そういった事が苦手な人も最初の山を乗り越えれば大丈夫。
話の大半は有川浩お得意の政治と人間描写だからだ。
何故なら、この非常識な事態に直面しているのは極めて常識的な面々であり組織なのである。
怪獣が出ました。じゃあ戦車出して戦闘機出して戦艦と一緒にバンバン撃ちまくりましょう……なんて事には到底なり得ない。
ウルトラ警備隊なんかいない常識的な日本を舞台に、従来の常識で非常識な敵に立ち向かわされるのは――果たして警察であった。

本来人間相手に運用されるために組織された警察機動隊を、人を食う化け物相手に無理やり相手させればどうなるか……これが悲劇となる。
逆に言えば、何かあった時、現代日本において極めて慎重に運用されている自衛隊をいかに持ち出すか、が秘められた課題なのだろう。
実際、某全国紙で政治的観点から評価されたこともあるという。
ライトノベルと侮るべからず。この作品は真面目に現在の情勢を問いかけている。


また、作品を読んだ印象として、全体から大人の姿が匂ってくるのが魅力のひとつ。
他作でもその傾向があることから見て有川浩のポリシーなのだろう。
ここに出てくる海自隊員も警察官も陸自隊員も、職務に忠実で現実の難しさと戦う大人たちだ。如何にして事態を乗り越えていくか、自分の置かれた立場で苦闘する大人たちの姿が見られる作品である。
そんな追い詰められた状況から、痛快なひと言や打開策が飛び出してくる辺り、爽快だ。
これが、有川浩の作品が幅広い層に受け入れられている秘訣なのかもしれない。


ただ……難点がひとつ。
艦内での人間関係をひっかきまわしトラブルメーカーとなる中学3年の少年については…………年齢設定が少々辛いと思ってしまった。

いっくらなんでも中学3年を子どもに描きすぎである。
思春期と成長期の真っ只中である15歳の少年はここまで幼く母親に依存していない。ごく普通の中学生の自我がこの程度で収まるわけがない。
彼のとりまきである少年達も身近すぎる生活範囲から抜け出せていない事から、この設定だけが残念である。
恐らく閉鎖された人間関係から来る歪みを描きたかったと推察されるのだが……小学生ならまだしも、中学生にもなれば部活や趣味などで世界が広がり、その行動範囲は「クラスや団地のグループ」なんて枠には収まるものではない。
たぶん、これが小学6年辺りだったらしっくりしていただろうな、と思う。私は途中から勝手に「この子は小学生」と思って読んでいた。
だからこの点だけが残念で仕方ない。


それ以外では違和感も無く、有川浩の文章世界に引き込まれた。
作者の他の作品と比べて残酷なシーンがあるので少々面食らうかもしれないが、まぎれもなくこれは有川浩の実力作である。

なお、この『海の底』の番外編みたいな短編が『クジラの彼』に収録されている。登場人物の幅に惹かれた方はそちらも読んでみてはいかがだろうか。


『海の底』は大きく広げた風呂敷をしっかり包む、有川浩の筆力が遺憾なく発揮された作品である。
一読の価値があると言えるだろう。


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商業誌のレベルではない

14人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ネットで知っていたので発売を心待ちにしていたのですが
完全に裏切られました。

漫画自体はそんなに悪いものではありません。
国家を擬人化して歴史を描いたコメディがツボをついていて、とても面白いです。
しかし編集・構成が酷い。
素人が組み立てたのではないかと思うくらい滅茶苦茶です。
見ても誰が誰なのかさっぱり分からない。何を考えているのでしょうか。
印刷の解像度も低く、ごく普通の本のレベルの印刷を期待すると目を疑います。
とても商業ベースで販売されている本とは思えません。
ネットでの予備知識無く初めて見た人は、何が描かれているのか分からず混乱すると思います。
既知の人にだけ見せたいのであれば同人誌で出せばいいのです。
とても商業誌のレベルではありません。

誤解の無いよう付け加えておきますが、私は『ヘタリア』という作品が大好きです。
それだけにせっかく本になったものが、こんな出来というのが残念すぎる。
本にするには作品の出来以外にも構成が大事ということがよく分かりました。

初めて見る方、買って勘違いしないで欲しい。
『ヘタリア』はこんな出来の悪い作品ではありません。

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