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先月(2017年2月)

リマの風さんのレビュー一覧

投稿者:リマの風

1 件中 1 件~ 1 件を表示

現代思想としての日蓮

2008/05/08 18:16

仏教が現代思想の最先端と接触

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2000円にしては400頁近くの分量。読み応えは十分だった。仏教の中道が単なるバランス論ではないこと、日蓮の苛烈な言動こそじつは中道の実践だったことを主張しているが、なかなか説得力のある論を展開している。「中道とは、両極端のバランスをとることでも、センターに立つことでも、ほどほどにすることでもない。それは、一切を生かして使うことをいうのである」「中道は、それ自体が主体的であり、生命的である」(5頁)など、今までもやもやしていたことについて、目を開かれるような表現に度々出くわす。
 しかも、その斬新な中道論から現代思想の最先端に切り込み、「デリダも二項対立的思考から離れきっていない」「アドルノの否定弁証法は、依然神話の反復でしかない」「ハイデガーの先駆的決意性もまだ半面的」「人間中心主義は否定せずに生かして使うべき」「レヴィナスの「存在の彼方」は非中道的なるがゆえに結局は「無」の存在論になっている」「ダライ・ラマの攻撃的非暴力はブッダの教育的非暴力とは異なる」等々、全く新たな現代思想の解釈が次々に示される。
 そのうえで日蓮の思想について、これまでになかった新しい視点で分析を行っている。とくに第一章の日蓮は「積極的寛容論者だった」との主張は、従来の折伏排他主義のイメージを根底から覆すものだろう。
 哲学の専門家はどういうかわからないが、これほどユニークな哲学論には近来、出会ったことがない。止めは最終章の池田大作の思想についての考察だ。これまで池田はゴシップ的な批判の対象になる場合がほとんどで、たまに研究的な立場からの論もあったが、せいぜいライフヒストリーの構成ぐらい。その思想の評価は、実際には日蓮思想の理解の浅い者には手がつけられない状態だった。
 ならば、日蓮研究者はどうかといえば、彼らには今度は哲学的、社会学的な素養がなく、これまた浅薄な議論に終わりがちだった。ところがこの本の著者は、非常にマルチな才能を持っているようで、日蓮の古典から西洋哲学史、社会哲学、現代思想にいたるまで、博覧強記の論を立てたうえで池田大作を論じている。このあたり、島田裕己の創価学会論などと比較すると、転地雲泥の内容の濃さだ。著者によれば、池田のいう「人間主義」は単に空疎なスローガンなどではなく、「「何ものでもない」からこそ「何ものでもある」ような自己を徹して打ち固め、万物相即の中心になりゆく人間の立場、また無限の謙虚さが無限の自信でもあるような人間の哲学」(373頁)なのだという。
 東西にわたる、きわめて浩瀚な資料を操っての壮大なスケールの論だけに、いくつかの主張については、おそらく専門的見地からはツメの甘さや誤解等が指摘されるだろう。しかし、それを差し引いたとしても、これほど大胆に仏教的な新しい知のパラダイムを切り開こうとした作品は初めてではないかと思う。



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