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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

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    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

mayumiさんのレビュー一覧

投稿者:mayumi

228 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本きのう何食べた? 2

2008/12/04 21:12

食べることのポジティブさを伝える、最強の料理コミック

19人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 弁護士のシロさんと、美容師のケンジの、美味しい日常を描く2巻。

 相変わらず、やたら美味そうです。しかも、ヘルシーメニュー。しかも、同時に数品作るので、レシピと同時に段取りも完璧。
 ある意味、最強の料理本ww

 にしても、ホント、食べることは大事で、ポジティブな行為なのだとしみじみ思う。
 ゲイカップルという、ハードな(?)関係でありながら二人の空気は常に優しい。それは、シロさんがケンジに食べさせるためにせっせとやりくりしながら美味しいものをつくり、ケンジはそれをこの上もない幸せな顔で食べるからだ。
 食べさせること、食べること、そんな本能の基本の快楽と安心感が、この中にはつまっている。

 そして、ただ作って食べてるだけのように思わせておきながら、現実という小さな石を投じてくる、よしながふみ。
 シロさんの父親が病気になった話など、ひょいと胸をついてくる。
 思わず自分を省みて、考えてしまう。
 現実は、いつでもハードなのだ。

 それにしても、最初に作ったメニューの気合の入り方を理解して、それをアニバーサリーメニューにリクエストするケンジは、いいヤツである。
 でもって、皆、パートナーにそういう気遣いしてやってくれよと、思うのである。

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紙の本さらば脳ブーム

2010/12/15 20:52

ありがとう、ありがとう、川島教授

16人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 個人的に、川島教授にはたいへん感謝している。
 旦那が脳出血で倒れたあと、リハビリで使ったのが「脳を鍛える大人のドリル」だった。おかげさまで、完全失語で、一生車椅子と言われた旦那は、今自分で歩き、日常会話も支障なくできるようになった。
 
 この本は、川島教授が「脳を鍛える大人のドリル」を出版するにいたった経過と、それに続くDSソフトの発売、そして起こった脳ブームのなかで、教授が感じたこと考えたことが赤裸々に書かれている。
 とはいえ、とってもあっさり書かれているので、むしろそのあたりの教授の自制心の高さに感動するのであった。

 研究者としての矜持と、プライド。
 そして、全く土俵の違うところからの攻撃や、マスコミの歪曲に対しても、それはそれで仕方ないけど、と現象を受け入れつつ言うべきことは言っている強さ。

 お茶目で、無邪気な川島教授の姿が、垣間見えて素敵でした。

 実際、脳トレをしたことによって、運動機能が改善された症例もあったそうだ。実験データーとしてとってないからか、教授は脳トレで活気がでてきたからであろうと書いておられるが、脳トレで脳の血流量が増えることでの改善だと私は思います。
 と、最初の医療現場の冷淡さも書かれていたが…。
 ドリルのおかげで、びっくりするぐらい読む力がついた旦那で、担当の医師がびっくりして「なにかやってるか」と聞くので、これをやってるとドリルを見せた。
 が、その後病院としてそれを取り入れた話はきかない。
 まぁ、病院としては臨床実証ができてないことは取り入れられないのだろう。それは理解する。
 なので、結局のところ自分を守るのは、自分自身なのである。自分の日頃の地道な学習意欲が、自分を助けるのだなぁと、改めて感じたのであった。

 にしても、DSでの利益を受け取らないとしたとき、家族を含めて色々いわれたそうだ。
 あのニュースを見たとき、家族の言い分があるだろうと思ったら、やっぱりそうだったんですねww

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紙の本夏目友人帳 11

2011/04/08 20:05

子供の狭い世界から脱するということを、妖怪というありえないものを使って描いていこうとしている作品なのかもしれない

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 タキの家の蔵にいた妖しの話と、夏目が親と一緒に住んでいた家の話。

 ちゃんと両親との思い出があって安心したよ。
 子供の頃のエピソードが、たいてい理不尽に可愛そうなものだし、夏目が自身の親を回想することが今までなかったので、ホントに赤ん坊の頃に親を亡くしてしまっていたのかと思っていたよ。
 ちゃんと、愛された子供時代があって、本当によかった。

 にしても、子供というものは残酷なものだ。
 父を亡くしたあと引き取られた家で、夏目にひどくあたるその家の娘。でも、彼女は彼女で自分の世界を守ろうと必死なのだ。夏目が子供の頃の切ないエピソードの数々は、彼が異質であった故で、子供達は自分の狭い世界を必死で守ろうとするから彼の異質は決して受け入れることができない。
 だから、子供は残酷になる。

 タキの家の蔵の妖怪の件では、タキや田沼も夏目に歩み寄ろうとしてくる。
 それは、タキや田沼がもう子供ではない存在だからなのだろうと思う。
 そして、夏目自身も子供ではなくなったから、二人の助けを、さしのばされる手に手を伸ばすことができるようになったのだ。

 …タキの家の妖怪が、最後に陣の中にはいってタキに「さらば、真一郎の孫」と告げるところで、涙腺決壊しました。ロマンチストのじいさまの話には、とっても弱いのですww

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紙の本文豪てのひら怪談

2009/10/08 20:21

万華鏡のような編集の妙。とばさず順番にお読みください。

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 基本800文字以内の文豪による、怪談。

 いきなり、久保竣公の短編で度肝を抜かれた。こんなの「魍魎の匣」にあったっけ?と考えるのだが…。
 これのために、書き下ろしていただいたそうですよ。
 なんと豪華な。

 800文字なので、どれも劇的に怖いというものではない。オチがないもの、説明の部分が全くないものも多い。そうなったのは、ただ怪異がそういうものであったから。ただ、その事象を見聞きしただけだから、というむしろその視点が怖い。
 怪異を前に、それがあるべきものだと、納得できるものであろうか。受け入れられるものであろうか。

 さすが、文豪さまは超越されてるもんだなと、感心。

 と、アンソロジーは数々あれど、まさに万華鏡なアンソロジーで、恐れ入った。
 個々の物語に関連性はない。ないけれど、一つの話は次の話へ、確かにつながっている。
 まるで、万華鏡が今の模様のつながりから次第に形を変えていくように、物語は変容していく。

 これはただのアンソロジーではなく、1冊の作品として成立しているものだ。

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紙の本きのう何食べた? 4

2010/11/11 20:32

大事な人がそばにいるという幸せをかみしめる

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 シロさんとケンジの美味しい日々。

 ゲイカップルであることに、なんとなく罪悪感というか、居心地の悪さを感じているシロさん。でも、パートナーとしてのケンジのことはすごく大事で…。

 その社会との軋轢とか、シガラミとか、そういう部分が描かれていた4巻。
 
 弁護事務所の所長が、息子と息子の嫁にたいして愚痴を言うのを聞かされて、「向かい合い続ける事しか仲直りへの道は無いんじゃないですか?」というシロさんに、「そんな努力をしてまで仲良くなりたくない」という大先生。
 なんつーか、人生の凝縮だよなと感じたのであった。

 と、美容師のオーナーから浮気したという相談をされたケンジと、ケンジがいなくて一人で夕食をとっていたシロさんと、二人が二人とも相手を大事にしなきゃと思うところが素敵なのだ。

 大事な人がそばにいるって、最高の幸せなんだと思うよ。



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でも、夏目のその危うさが魅力でもあるのです。

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 7巻は、的場という払い屋に会う話。妖怪たちと宴会つか遊ぶ話。と、「夏にはため息をつく」を収録。

 「夏には…」は、好きな子に素直に好きといえない純情な男の子の話。男の子は、ちょっと特別な子なんだけど、特別だろうが人を恋しいと思う気持ちの純度はまぁ、いつだって切ないもので、切なかったです。

 で、夏目の方だけど。
 夏目とは違う立場で妖怪とかかわっている名取がいるけど、それでも名取は妖怪と歩み寄るところがある。が、的場は、徹底しているわけで、当然のように夏目とは敵対してしまうわけだ。

 上手いなぁ。最初に名取を配して、しかもこの話の中では、むしろ名取が夏目をかばい、守る。きっと、友人帳を手にして、にゃんこ先生と出会った直後に的場に出会っていたら、夏目は自我を失っていただろう。
 結局のところ、妖怪が見える、見えるだけという夏目にとって、妖怪とのあれこれは自分というか、自我との戦いなのだろう。だからこそ、自我の乏しい子供時代、彼はただ傷ついていくしかなかった。藤原夫妻の元にきて、自分を大事にすることを覚えたからこそ、彼の自我は育ち、妖怪と向き合うことができるようになったのだ。

 とはいえ、彼の自我はまだ危うい。
 このさき、きっと的場はその夏目の危うさにつけこんでいくのだろうなと思うと、切ない。危うさを抱えながらも、全てを受け入れる度量の大きさを、自我を、夏目が持てるといいなと願うばかりである。

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孤独とは、内在するもの。そしてそれは、愛しいもの。

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ピアニスト舘野泉のエッセイ。
 っても、書いたものではなく、語り下ろしたもの。なので、他のエッセイよりより客観的な感じ。

 で、生い立ちについてかなりつっこんで語っている。
 両親ともに音楽家で、兄弟も皆音楽家になった家族の中で、唐突にフィンランドに渡った彼を、むしろ暖かく見てるのがやはり普通の家庭とは違うなぁと思った。
 舘野泉の力があったから、日本における北欧音楽が認められたといっても過言ではない。が、それは、舘野泉以前、北欧音楽は認められていなかったということなのだ。

 温和な笑顔を見せ、温和な語り口であるけれど、舘野泉の中には絶対的な孤独があるのだと感じる。
 だからこそ、彼は北欧にひかれ、その地に住むことを選択した。そして、左手のピアニストとしてやっていくことを、ピアノからは絶対離れないと、決意させたのだろう。
 
 孤独は誰の心にもある。
 舘野泉にとって、ピアノは、北欧は、その孤独を愛しいものへと昇華させるものであるのかもしれない。

 近頃子供用のピアノテキストに、やたらグリーグとかカスキとかがでてくるようになった。これは、舘野泉の功績であり、彼の北欧音楽への愛情が形になったということなのだろう。そして、それらの作品に触れるごとに、私は舘野泉の穏やかさと厳しさを聞く。

 …他のエッセイより客観的と書いたが、言い換えれば一般的ともいえる。ゆえに、舘野泉を始めて読む方や、音楽とは無縁です、という方にもしっかり読めるエッセイだと思う。

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紙の本大奥 第6巻

2010/09/26 20:13

高い絵のクオリティこそが、真の魅力です

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 疫病によって男子の数が極端に減った江戸時代を舞台にした、男女逆転大奥。
 綱吉から家宣の死まで。

 よしながふみは、画力の人だと思う。
 確かに、よしながふみの作品は「大奥」をはじめ、魅力的で斬新なストーリーばかりだ。しかし、そのストーリーも、このたぐいまれな画力だからこそ、生きているのだと改めて感じた。

 父以外に愛されないと感じ、自分は何もできなかったと悔んでいた綱吉が、その父の呪縛から解き放たれた瞬間を、打ち掛けが落ちることで表現している。その時の綱吉の晴れやかな、穏やかな表情。
 愛ゆえに、人は縛られ、縛り、足掻く。
 が、その束縛を振りきることもまた愛なのだ。

 子を成すことも愛であるはずだ。
 男女が逆転した世界だからこそ、その意味が問われ続けているのかもしれない。

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紙の本蒼路の旅人

2010/09/22 21:05

チャグムの成長の物語の底にあるのは相容れぬ父子の悲劇

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 サンガル王国から、助けを求める書簡がくる。
 が、それはタルシュ帝国の罠だった。
 祖父を助けるため、チャグムは海に出て行く。

 相変わらずチャグムの父親、新ヨゴ皇帝にむかつきます。
 精霊の卵を宿したせいで、父に命を狙われたというその確執は結局のところ解決してないところが、なんとも切ない。
 でもって、皇太子でありながら、自分のことは自分でできる市井のもののことを理解しているチャグムが、それはそれで切ない。

 ものが見えてない皇帝と、バルサたちによって視界が広くなっているチャグムと、二人が対極にあってそれぞれ切ない。

 これは、聡明で大胆なチャグムの壮絶な決意の物語であると同時に、決して相容れない父と子の物語でもあるのだ。

 にしても、運命はチャグムにどれだけ過酷な運命を背負わせたら気がすむのだろうか。
 どうかどうか、幸せになってほしいと、心から祈っている。

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紙の本ラピスラズリ

2009/11/24 21:42

美しい本を手にするという幸福

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 3枚の銅版画から導かれる<冬眠者>の話。
 短編集だが、連動している。連動してるが、明確な連結はない。<冬眠者>という糸では繋がっているが、では<冬眠者>とは何なのか、ということは明らかにされない。
 という訳で、とても読者に不親切な作品。が、昨今の明確すぎる、というかすぐに単純化、記号化していこうとする流れにいるとすごく新鮮に映る。つか、のめりこむ。久々に小説世界と現実とをワープするっていうか、そんな別次元に身体をもっていかれる感じを受けた。
 おそるべし、山尾悠子。
 
 と、この本はものごっつ美麗本です。
 箱入りはあれとしても、今時パラフィン紙で包んでいて、布張りの表紙だよ。完全に、マニアが買うのを見込んでますねww
 ともあれ、ここまで美しいと意味もなくいつまでもぱらぱらめくっていたいです。と、人には貸せません(苦笑)

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紙の本きのう何食べた? 3

2009/11/09 20:38

良く生きること、ということを考えました

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 シロさんと矢吹くんの美味しい毎日。

 相変わらずやたら美味そうです。
 いやあ、食いものを美味そうにかける方は、すごいと思いますよ。うん、食いものを粗末にするような氷原はいかんと、常々ww

 でもって、ちょっと気まずいなぁってなった時に、さりげなく(?)相手の好物を作り、そして、ああ好物を作ってくれたんだなと気付く、素敵な関係。
 なんだか、ほっこりあったかくなります。

 生きることは愛することで、食べることなんだと、シンプルでとっても大事なことをストレートに伝えてくれる一品(一作)だと思う。

 …休日の昼のビールは、最高の贅沢だよなっ!!

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紙の本ピース

2009/08/22 20:11

全てがすっきり解決するカタルシスは求めないでくださいww

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 なんでこのタイトルで、この表紙にしちゃったんだろうね。
 確かに、読み終わったらすごく納得はするんだけど、印象が操作された感じで、物語の核心へ触れられることをむしろ拒否しているようなタイトル&表紙みたいだ。
 もっとも、その拒否している姿勢は、寡黙で他人を拒否しているような主人公(であると断言するのもちょっと難しい部分があるが)の姿勢を象徴しているといえば、そうなのかと思わないでもない。

 秩父で、連続バラバラ殺人事件がおこる。
 その2人目の被害者は、元警官のマスターと彼の甥がやっているスナックのピアニストだった。

 田舎町で、縛られて生きる人間の閉塞感がこれでもかと描かれている。それなのに、主人公であろう元警官の甥の青年の主観は常に第3者的で、結局のところ彼がどういう人間なのかさっぱりわからない。
 そうだ。
 この殺人事件でさえ、一応の解決はあるものの、本当のところは何も明らかにされていない。

 閉塞は、曖昧さを要求する。
 多分、世の中のほとんどは、このように0か1のデジタルみたいに明確なものではなく、真実を追求することは必ずしも正義ではないと、そーいうことが言いたいのかなとなんとなく思った。

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紙の本大聖堂−果てしなき世界 下

2009/08/19 20:20

教会が絶対ではなくなった世界で、大聖堂の意味を問う

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 スパイ小説の重鎮、ケン・フォレットの歴史小説。
 「大聖堂」より、200年後の世界を舞台に、大聖堂建築をめぐる人間模様が鮮やかに描かれている。

 「大聖堂」が12世紀当時の土木技術への挑戦と宗教を描いていたのに対して、この「大聖堂 果てしなき世界」では、台頭してくる商人や吸引力を失っていく教会が描かれている。
 <絶対>を失った世界で、イングランドで一番高い塔を建てることを、どう意味つけるのか。

 信じていたものに裏切られ、身を守るために意にそわぬ選択をせざる得ず、またそれも砂上の楼閣のようにもろく崩れていくヒロイン。
 反対に、不幸な生い立ちながら、愛する男のためという一念を貫いていくもう一人のヒロイン。
 2人の対極のヒロインと、没落した貴族の子供として生まれ、建築家と騎士と正反対の生き方をする兄弟が、物語を極上のエンターテイメントに導いてくれている。

 フォレットの小説は、人物造詣がいつも素敵だが、これではそれが最大限に生かされてるように感じた。
 そう、前作のような建築技術の発展的な部分を求めると肩透かしをくらうし、前作で物足りなかった人が物語を作りあげていくという部分は、この上もなく満足させてくれる。

 これほど、最後のページを閉じるのが残念でならなかった物語はない。

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紙の本意味がなければスイングはない

2009/06/02 20:35

読後、たまらく音楽が愛おしくなるエッセイ

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 雑誌「ステレオサウンド」に連載されていたものをまとめた、音楽エッセイ。 
 クラッシックから、ジャズ、ロックと多岐にわたっているのがまず魅力的。

 村上春樹のエッセイの魅力は、なんといっても主観のゆるぎなさだと思う。どういうジャンルのどういう音楽でも、彼はまず受け入れる。それから、これは自分に合うとか、合わないとかを、判断していく。と書くと、当たり前のことのようだけど、世界にあふれる情報に惑わされることなくその判断をするって、とても難しいことだと思うよ。

 また、ここにあげているものが基本的に村上春樹の好きな音楽という前提もあるのだろうけれど、その文章もすごく優しい。ミュージシャンの中には、そういう時代性もあったのだろうけれど、破滅的な生活をして人間的には全くダメな人もいる。
 そんなミュージシャンに対しても、春樹の視点は常に水平を保っている。
 ゲイであると公表していたというプーランクにたいしても、単にそういう事実がありました、的は書き方をしている。

 彼らが作り出した音楽の前に、その人間がどういうものであろうと、それは些細なことでしかないのだ。
 
 これはこれ、あれはあれと、きちんと割り切れることが春樹の強さだと常々思っていた。
 そして、これを読んで、そのことの揺るぎなさがうれしかった。

 また、読後、すごく音楽を聴きたくなった。本にあげられていたミュージシャンや作曲家はもちろん、とにかくいい音楽が聴きたいと思った。
 音楽エッセイとして、それが最上のことであることは間違いないと思う。

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紙の本ロング・グッドバイ

2010/12/21 20:22

文句なしの名作であることは、間違いがないのです

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 村上春樹訳の「長いお別れ」
 
 私立探偵フィリップ・マーロウは、一人の男と出会う。男をめぐる謎と、その別れ。

 ハードボイルドというと、なぜかハンフリー・ボガードの顔が浮かぶのである。で、その印象とは全く違うマーロウ像に戸惑いつつ、結局のところひきこまれる。
 確かに、物語はハードボイルドなんだろうけど、卵っていうより、もっと無機質なものを感じた。
 というのは、ようするにマーロウを描いているようで、実際にはテリー・レックスという不器用で純粋な男を描いているからなのだろう。直接その像を見るのではなく、投影された影を見るように。
 影は、無機質なものだ。

 そして、とても情緒的で詩的な文章が、いやおうなしに切なくさせてくる。

 やっぱり、名作なんだなと実感した。

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