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先月(2017年8月)

ココちゃんさんのレビュー一覧

投稿者:ココちゃん

77 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本寄せの手筋200

2010/05/13 22:31

伝説の名著復活!

11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「寄せの手筋168」が「寄せの手筋200」となって復活しました!
「寄せの手筋168」は1988年発行の古い本なのですが、
某サイトで数年前に復刊されたり、オークション等で高値で取引されたりと、
将棋ファンの間では伝説の名著ともいえる一冊でした。
それだけに、この復活は未読のファンへの素晴らしいプレゼントだと思います。

ちなみに著者の金子タカシさんはアマ竜王にも輝かれたほどの強豪なのですが、
あるいは必死本の著者としての方が有名なのではないでしょうか。

この本は復活だけでも嬉しいのですが、問題数が増えたことはプラス点でしょう。
追加された問題のいくつかは、同じく金子さんの著書「ザ・必死」・「詰みより必死」から採られています。
こちらも何年か前にMYCOM将棋文庫として復刊されたのですが、再度絶版状態です…。
ちなみに、第1章「上から押さえる」の第11問は「ザ・必死」の第88問という具合です。

逆にマイナス点としては、
前著「寄せの手筋168」で監修者だった塚田九段の実戦から採った問題が、
本著「寄せの手筋200」ではなくなっていることです。
テーマに沿ったいい問題が揃っていたのですが…、古すぎるということなのでしょうか。
また前著にあった参考文献の一覧もなくなっています。

この本は既にトップクラスの評価を得ていますので、
わざわざ私が書くこともないのかもしれませんが、
全く知らなかった!という将棋ファンの方のために良い点を挙げておきます。

「テーマごとに、基本から学べる」
たとえば第1章は「上から押さえる」ですが、
下段の玉に対しポンと上から駒を置いてしばるだけの基本問題から始まり、
二段目の玉を下段に落としてから駒を置くと難易度が上がる応用問題へ続き、
最後は大駒を切りとばす、手筋を駆使する等、前提の下段玉の形を作り出すのも大変、という具合です。

ちなみにテーマは順に「上から押さえる」「挟撃の寄せ」「馬と角の活用」「龍と飛車の活用」、
「退路封鎖」「頭金までのプロセス」「端玉には端歩」「腹銀を使いこなす」「必殺の両王手」、
「さまざまな寄せ」「手筋の組み合わせ」です。
また前著と表現が変わっているものがあります。
(前著「基本は頭金」→本著「頭金までのプロセス」など)

「解説が丁寧」
まずテーマごとにどういう寄せ形を目指すのかが解説されます。
同じ「必死」と言っても「挟撃の寄せ」での必死と「必殺の両王手」での必死では、
狙いが全然違いますから、非常にためになります。
また問題ごとにも10行の解説がつきます、図は解答図ひとつだけですがカバーできています。

「即・実戦に応用できる良問揃い」
上に挙げたテーマからもわかりますが、どれも頻出の手筋ばかりです。
しかも本著の問題は必ず「必死」問題とはかぎらず、「詰み」がある問題もあります。
最善の寄せを探すのが目的なので、詰みがあれば必死をかけても×で、これも実戦的です。
よし、簡単に必死がかかったゾ、と思って答を見たらガクッということに(笑)。

最後にまとめますと、本著はベースは古い本ですが、
寄せの基本は昔から変わってはいませんので、問題ないでしょう。
とにかく練りに練られた良問がガンガン出てきます。
本著を何度も何度も解けば、寄せの力がつくことは間違いありません。
「寄せの手筋168」を持っていない方は確実に、100%「買い」です!
う~ん、アマチュアの書いた本かぁ…なんて渋ってたら大損しますよ!

…この本がヒットしたら「凌ぎの手筋186」も復活するのでしょうか、
そちらにも期待です(笑)。

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紙の本中原誠名局集

2011/04/15 21:19

中原将棋入門

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009年3月に惜しまれつつも体調不良のため引退された中原誠十六世名人の名局集が出版されました。
「今後は一評論家として解説や文筆などの仕事をしながらのんびり生きていこうと思っています」
との引退時のコメントがありましたが、こういった形での御登場は嬉しい限りです。
帯に「引退した今だから書ける当時の裏話なども収録」とあるのですが、
実際に現役時代にはとても書けなかったであろう米長邦雄永世棋聖・加藤一二三九段ら、
ライバルに対する正直な思いが語られていて興味深いです。

本書は棋譜の解説が3部構成でされており、最後に資料として記録集があります。
戦型は矢倉・対振り飛車・相掛かりを中心に、いろいろと(中原先生の振り飛車もアリ)指されています。

「第1部・自戦記編」は、升田先生、大山先生、谷川先生、羽生先生ら12人との名局が解説されています。
できるだけ多くの棋士との対局を紹介しようという姿勢のようで、第2部も同様になっています。
ちょっと気になる点として、当然名局中の名局ばかりが掲載されているため、
中原先生の将棋に詳しい方だと観たことのある対局ばかりかもしれない事があります。
とはいえ解説は丁寧で変化手順もあり、長考しての一手にはどういった読み・思いがあったか、
さらには対戦相手の棋士の印象やエピソードもまじえてあるので楽しめるのは間違いないでしょう。
私は中原十六世名人の全盛期の頃はまだ子供であり、将棋にそれほど興味がなかったため(笑)、
「中原の▲5七銀」で有名な絶妙手も今回初めて棋譜を並べて、感動することが出来ました。

「第2部・自選好局解説編」は、長年に渡りトップクラスで活躍された中原先生らしく、
大山・升田世代から中原・米長世代はもちろん、55年組から羽生世代との対局に加えて、
なんと渡辺竜王(対局当時五段)との対局まで扱われているのが凄いです。
中原先生が引退された2008年度の成績は5勝6敗なのですが、うち4敗は体調不良による不戦敗であり、
実質5勝2敗でしかも羽生先生や佐藤康光先生に勝っているという凄まじさです。
決して無理やり最近の将棋を掲載したような事はなく、まだまだ現在のトップに通用しており、
しかも満足のいく内容の将棋を指されていた事に驚きました。
見開きで1局で全28局、ポイント解説と対戦相手の棋士の印象、
当時の出来事なども簡単にですが書かれています。

「第3部・名人戦勝局解説編」は中原先生が名人を奪取または防衛した期の勝局を、
1ページ1局で全52局、ポイント解説で掲載されています。
名人戦しかも奪取または防衛した期だけなのに驚きの量ですね(笑)。
最後は「巻末資料・中原誠記録集」で年度別成績や各タイトル戦の戦績などが掲載されています。

帯に「中原将棋の集大成」と銘打ってありますが、確かに渾身の一冊だと思います。
中原先生のファンの方は当然購入されることと思いますが、
中原先生の将棋を詳しく知らない方であっても、私のようになお一層楽しめるかと思います。
将棋ファン全てにオススメの一冊ではないでしょうか。

第二弾として中原先生の獲得数の多い十段戦での名局集や、
他の棋士の名局集にも期待したいですね。

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まずはコレから!と言える一冊

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ひと目シリーズに待望の「寄せ」が登場しました。

第1章はひと目の詰み、まずは基本の詰み形を30問出題。
最初は頭金、並べ詰みから始まり金頭桂、一間竜とステップアップしていきます。
金頭桂とは何ぞや?と思われた方、ぜひ購入して勉強しましょう(笑)。
次に実戦の詰みを40問出題。
各種囲いをある程度崩した形で出題し、即詰みを狙います。
基本でやった形を応用したり、美濃囲いを角と桂で詰ましたり。
いずれもパターンとして覚えておくべき筋ばかりですが、難問も少しあります。

第2章はひと目の必死、まずは基本の必死形を約30問出題。
上から押さえる、挟み撃ちなど基本的なところからスタート。
どれも基本で大事なのですが、このレベルの必死から勉強する人は、
「必死」のルールを知らないケースがあるのではと思います。
なのに本書は「必死」についての説明がないので、ちょっと残念です。
次に実戦の必死を30問出題。
こちらも第1章同様に各種囲いをある程度崩した形で出題し、今度は必死を狙います。
必死は詰みよりも「知らないと指せない」という手筋が多いです。
それだけに勉強したことが即戦力となります。

第3章はひと目の受け、まずは詰みを逃れる20問から。
「受け」をテーマにした問題集は少ないので、非常に価値があると思います。
上に逃げたり、合駒したりの基本から学べます。
次の詰めろを逃れる20問は、「詰みを逃れる」よりも読むべきことが増えてくるので、
頭がゴチャゴチャしがちです。
それでもある程度の基本を知っておくと、実戦でも正解手を指しやすくなるはずです。

第4章は何を持てば詰む?20題、駒が変わると当然詰まし方も変わります。
ちょっと3章までと毛色が違いますが、問題をこなすことで
駒ごとのコンビネーションを、飛車と金ならこうする、角と銀ならあれがある、という感じで覚えられるといいと思います。

最後は第5章ひと目の攻防手7問で、まとめです。

1000円で200題、文庫サイズというシリーズの売りも健在です。
解答の裏透けは少し気になりますが、許容範囲です。
どの章も基本から段階を踏んで手筋がレベルアップしていくので、
途中で投げ出したりしにくいのではないかなと思います。
終盤を鍛えたい!という方、本書は間違いなくお勧めです。

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紙の本ゴキゲン中飛車の急所

2012/01/08 21:17

▲5八金右超急戦はコレで決まり!

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「序盤は村山に聞け」と言われる村山慈明五段、
過去の著作はいろいろな戦型におけるプロの最先端を紹介したものでしたが、
今作はゴキゲン中飛車に絞った定跡書という形になりました。
過去の著作から難解すぎる本になるかも?とちょっと恐れていましたが、
そのような事はありません、読みこめば最新定跡を使いこなせるようになるでしょう。

本書で大きく扱われている居飛車側の作戦は▲5八金右超急戦と▲超速3七銀です。
2011年9月に中村太地五段の「速攻!ゴキゲン中飛車破り」が出版されましたが、
そちらと作戦が重なっているので、両棋士の見解を比べたりして読むとより理解が深まると思います。

第1章は「▲5八金右超急戦」です。
「速攻!ゴキゲン中飛車破り」では最新形のみの紹介であったのに対し、
本書では最新の▲3三角に至るまでの▲7五角対策等の定跡の進化から解説されています。
なので超急戦に関しては本書に軍配が上がるでしょう。
プロでは消えた対策であっても、その最新の結論はアマには非常にありがたいです。
実戦で新手を指した棋士が書かれているのも特徴で、タイトル戦などでは棋譜を調べることも容易です。
ひとつひとつの結果図で形勢を書いてあるのが親切で(「難解」もありますが(笑))、
結果をうけての修正手順という流れがあり、さらに詳しい解説でわかりやすくなっています。
現在の結論としては後手有望のようですが、かなりきわどくまだまだ手が隠されているかも・・・?

第2章は「▲超速3七銀戦法」です。
「速攻!ゴキゲン中飛車破り」ではかなり詳しく解説されていましたが、
細かな変化もきっちり解説していて詳しすぎるため、少々読みづらくもありました。
本書では細かすぎる変化は省くことで、スッキリとまとめられています。
とはいえ▲4六銀に△4四銀の銀対抗から3三角省略、3二金型、3二銀型ときちんと網羅されています。
玉の堅いのが好み(と思われる)村山五段らしい中村太地五段とは違った見解が面白いです。

第3章は「さまざまな対策」です。
具体的には▲7八金、居飛車穴熊、相穴熊、角交換型(丸山ワクチン)の最新形です。
▲7八金が減ることになった後手の最新対策は必読でしょう。
居飛車穴熊・相穴熊を詳しく解説したのは「遠山流中飛車持久戦ガイド」以来でしょうか。
遠山五段の本が出てから2年たっており、定跡の進化がうかがえます。
角交換型は後手の二枚銀冠を優秀とみた先手の最新の▲4八銀保留についてです。

浅川書房の「急所」シリーズは名著揃いであり、
現在大流行中のゴキゲン中飛車でそれを出すのは大変かとも思いましたが、
現時点では「急所」の名に恥じない最高の出来といえるでしょう。
ゴキゲン党、居飛車党必読のオススメ棋書です、村山五段の次回作も期待大ですね。

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遠山流中飛車急戦ガイド

2010/09/11 20:37

2冊セットで

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

遠山四段による中飛車本がまたまた登場しました。
今度は持久戦で前著同様に、先手中飛車と(後手)ゴキゲン中飛車の最新定跡が解説されています。
第1~3章が先手中飛車で第4~6章がゴキゲン中飛車です。

章末ごとに遠山四段が実際にその章で扱われた戦型を指した将棋が載っているのですが、
定跡のポイントの解説に留めてあり、総譜は参考棋譜として一譜1ページで巻末に載っています。
定跡解説をメインとしたい場合は、この形式が合っていると思います。

第1章5筋&角交換編は、サブタイトルそのままに▲中飛車から角交換し5筋の歩を交換する作戦です。
△居飛車からの8筋攻めはなかなか難しく、
先手からの8筋反発や中央突破で負かされる事の多い形です。
それでいて5筋を謝ったりすると、そのまま作戦負けしやすい悩みもあります。
既存の定跡書ではガンガン攻めて▲中飛車良しとなっている戦形ですが、
本章ではプロレベルのギリギリまで作戦保留する指し方がメインとなります。

第2章角交換編は第1章と違い△居飛車から角交換し、
△6四銀と出て5筋の歩を交換させない作戦です。
これはプロ間でも流行していて、最新の指し方をたくさん紹介したとのことです。
さすがに難解ですが△居飛車側の指したい手ごとにメリット・デメリットを解説してあり、
どの手に注意して指せばよいのか、わかりやすくなっています。
例を挙げますと、△8六歩と突きたい→そのためには△7四歩が必要だ→すると隙が出来るのでまず囲おう、
という具合です。
中飛車党からすると、それぞれの手のとがめ方が学べます。

第3章は乱戦編、居飛車が序盤飛車先を保留したケースの定跡が解説されています。
8筋を突いてもすぐには交換や突破できないケースが多いので、当然ある作戦でしょう。
この章では中飛車は角道を止めるような作戦や、
居飛車は急戦から穴熊まで、様々な変化手順が紹介されています。

第4章▲4七銀型急戦、ここからは△ゴキゲン中飛車です。
いわゆる二枚銀急戦の解説で、木村八段が得意としている形です。
後手が歩損を避ける形と歩損を甘受する形の両方が解説されています。
歩損を避ける形は△3五歩と突き出して指しますが、手の遅れや▲3六歩の突き返しに対応が必要です。
この形の最新定跡紹介はあまり見た記憶がないので興味のある方必見でしょう。
甘受する形は、歩損の代わりに5筋交換や銀交換から捌いていきます。
こちらも居飛車最新の工夫がコンパクトにまとめられて載っており、やはり必見だと思います。

第5章は▲3七銀型急戦で、ある意味一番オーソドックスな戦型で郷田九段が得意としています。
現在プロ間では注目の戦型で、毎日のように定跡が進歩しています。
▲5八金右を省略した形で仕掛ける作戦や、加えて▲7八玉~▲6八銀をも省略した形で仕掛ける作戦は、
本書発売時(2010年7月後半)では定跡書で解説されるのは初めてとなります。
なので、この章を一番の楽しみにしている方が多いのではと思います。

ちょっと残念なのは、これらの新工夫手が「もっと早く動けないか」程度の解説で流されており、
どのような振り飛車の工夫にあって省略しない形が廃れてしまったのか、
これらの省略がどれだけ面白い手なのか等、本章だけ「定跡の進化」が説明されていません。
現在大流行の戦型のため手さぐりの状態で、まとめにくかったのでしょうか。
▲3七銀型急戦定跡の進化過程を知りたい方は、将棋世界連載の勝又教授の講座(2010年4~6月号)がオススメです。

第6章は▲5八金右超急戦です。
得意というか、よく指されているのは羽生名人でしょうか。
▲7五角型と佐藤新手△5四歩が消えることになった定跡の解説から始まります。
変化は多岐にわたるはずですが、本書ではキーとなった手のみ解説し上手くまとめてあります。
▲7五角型はプロ間でいつの間にか消えていましたが、公式戦で指されずに研究で潰されたようで、
その詳しい成果をアマチュアに伝えてくださったのは非常にありがたいです。
また最新の▲3三角~△4四銀型はプロ間でもころころと変わっている状況なので、
結論はお伝えできないと正直に書かれています。
本章も総じて上手くガイドされていると思います。

第5章▲3七銀型急戦のみ、ちょっとだけ不満な部分がありましたが、
全体を通して定跡進化の流れがよくわかる丁寧な仕上がりになっています。
「持久戦ガイド」よりも読みやすく感じられ、基本的に明快な手順・結論になっているのも良いです。
研究の土台や観戦の手引きとして素晴らしい出来の本に仕上がっていると思います。
ぜひ2冊セットで揃えて勉強しましょう!

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5手詰のスタンダード

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

先手では矢倉、後手では横歩取り8五飛を得意とされている高橋九段、
戦法・定跡の棋書の出版にも熱心な先生ですが今作は詰将棋の本です。

本書は「5手詰将棋」というタイトルで帯に「テーマは実戦」とだけ書かれていますが、
問題の大部分が「囲い」に玉が居る詰将棋です。
もちろん手付かずの囲いでは5手ではなかなか詰みませんから(笑)、
囲いが崩れていたり、端に手がついていたり、攻め駒が豊富、など工夫されています。
詰まし方も実戦的で退路封鎖、空間作成、大駒を離して打ち成る、
さらには駒取り問題とパターン豊富です。

矢倉・美濃にはじまり舟囲い・銀冠・穴熊の定番に加え
木村美濃・金無双・雁木・右玉といった珍しい囲い、
さらには居玉まであります、これは凄いです。
ただ、せっかくこれだけの「囲い」の問題を揃えたのですから、
本のタイトルなりサブタイトルなり帯なりでアピールすれば良かったと思います。

本書の難易度ですが5手詰の名著「5手詰ハンドブック」などと比べると易しめです。
アマ有段者ならひと目の問題も多いと思います。
ただアマチュアの早指し戦でも確実に詰ましたいレベル・質の問題と言えますので、
完全制覇を目指して練習するのによいと思います。

また解答の裏透けに対する配慮が完璧です。
透けにくい紙を使っている上に、前ページの黒塗り部にあたる所に解答を配置してあるので、
全く透けてません。黒塗りも大きくなく自然で丁寧なレイアウトだと感じました。

1000円で202題とコストパフォーマンスも良く、出来もテーマも作りも素晴らしい、
「5手詰本ではどれがいい?」と聞かれたらコレ!というくらい、お勧めできる本です。

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なかなかに難しい基本

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

石田流とゴキゲン中飛車をメインに戦う若手振り飛車党のエース戸辺六段、
将棋教室や棋書執筆に熱心な普及にも意欲的な棋士です。
本書「石田流の基本」は【本組みと7七角型】と題し、
石田流に組んで「玉をしっかり囲ってから攻める」がテーマになっています。
後手が▲7五歩に対して△8四歩~△8五歩とする石田流に組ませない戦い方については、
久保九段らによる他の棋書を読んでほしいという事でしょうか、
あるいは続刊で解説されるのかもしれません。

第1章は石田流VS急戦です。
「スピード棒金」は既存の棋書でも扱われている内容通り、7九銀型で捌きます。
「二枚銀からの棒金」が第1章のメインなのですが、なんと石田流本組み(7七桂-9七角型)を選択します。
棒金には▲7七桂としてはならない、というのが以前の常識だったのですが、
「本書には、これまでの常識に反する形がよく出てくるはずです」の言葉どおり、
戸辺六段の実戦と研究からつくられた「新感覚」を勉強できるようになっています。
具体的には▲4五銀と玉頭銀を狙います、7六の飛車を▲3六飛と応援に回せるので破壊力抜群です。
▲6五歩が捌きの起点、▲7四歩と突き出す手が切り札とまとめられています。

と言ってもそれほど簡単ではなく、▲6五歩・▲7四歩のタイミングの早い遅いで、
攻めが切れたり押さえ込まれたりと石田流が悪くなる変化も多く、
かなり本書の熟読と実戦練習が必要だと感じました。
難易度表示は「基本」となっているのですが…、第1章が最も難易度が高いとも書かれており、
しかも本書のほとんどのページが「基本」でたまに「応用」なので、あまりアテにならない難易度表示です(笑)。
後手の対策としては玉頭銀を受ける、避ける、積極的に呼び込む、3つの指し方が解説されています。

最後に「袖飛車急戦の狙い」として二枚銀からの△7二飛という定番の形も解説されています。
こちらも石田流本組みにしますが、定番の▲5六銀ではなく▲5六歩と動くのが面白いです。
高崎五段の「よくわかる石田流」で解説された形とは違うので好みで選ぶと面白そうです。

なお第1章では7七角型は登場しませんが、
軽い形のため後手の二枚銀のような手厚い形には向かない事が解説されています。

第2章は石田流vs左美濃・銀冠です。
ようやく登場の7七角型に対し後手は「左美濃急戦」か「銀冠持久戦」を選びます。
「左美濃急戦」に対しては先手の変わった動き方を解説してやや無理という結論の後に、
単純に引きつけて捌けば良しという結論だったので驚きました。

「銀冠持久戦」は「久保の石田流」や「よくわかる石田流」でも扱われている形です。
後手が隙をみせれば仕掛け、慎重に駒組みを進めてくれば、
ダイヤモンド美濃へ組み替えて角の転換と左桂の活用を図る指し方ですね。
なお戸辺六段の「戸辺流現代振り飛車手筋集」で紹介された攻め筋、
▲4五銀のゆさぶりからの仕掛け(実戦で久保九段に受けきられてしまった)については、
残念ながら改善策等は載っていませんでした。

「本組みVS銀冠持久戦」は千日手を狙われて不満というのが以前の考え方で、
7七角型からの捌き方が産まれる要因ともなったわけです。
こちらも「私自身、一度実戦で試してみたいと思っている仕掛け」という斬新な手順と、
じっくり指して千日手を狙って来たところで動く指し方の2つが解説されています。

第3章は石田流VS居飛車穴熊です。
居飛車穴熊は組むのに時間がかかること、駒が偏ることから石田流が指しやすいと考えられています。
本書でも美濃囲い+本組み、美濃囲い+7七角型いずれも積極的に動くことができるので、
角が取り残されないように気をつければ充分とされています。

それでも「美濃囲い対穴熊ではどうしても終盤が不安」というアマのために、
本書では「石田流相穴熊」も解説されています。
今まで石田流と穴熊はバランスが悪いという考え方であったため棋書も無く、本書オリジナルの作戦です。
後手は6四歩型か5四歩型を選択しますが、6四歩型は先手から仕掛けやすく、
5四歩型に対しては戸辺六段の「自慢の一手」が解説されています。

石田流党は間違いなく「買い」の1冊に仕上がっています。
アマ居飛車党は石田流に組ませて指す方が多いでしょうから、実戦に活かしやすいはずです。
構成もよく、かなり戦型を絞ってあるので戦型ごとにページを多く割くことが出来ています。
ワンパターンで上手くいくようなことは無く、細かな形の違いごとの仕掛けの成否・変更すべき点が丁寧に解説されています。
本書をマスターすれば積極的に動くフットワークの軽い石田流使いになれるでしょう。
ただしタイトルが「石田流の基本」で、まえがきで「石田流を指してみたい」方にはぜひ読んでほしい、
となっているわりには難易度は高めです。

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紙の本相振りレボリューション

2011/02/05 21:49

時代は三間飛車

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

杉本七段の著作がなかったらアマ間でここまで相振りが指されなかったのでは、
とまで言われる「相振り革命シリーズ」、第5作は「相振りレボリューション」でした。
レボリューション=革命なので、このタイトルはどうなのかと思いますが(笑)。

杉本七段の「相振り革命シリーズ」は向かい飛車や中飛車など多彩な戦型が扱われるのですが、
本書は三間飛車がらみの戦型を中心にいろいろな指し方が紹介されています。

序章には本書で解説されている戦型への導入部として、
相振りで三間飛車が流行し、向かい飛車が減少している理由が詳しく書かれています。
第1章と第2章は先手三間VS後手△5三銀型三間で、
▲7六歩△3四歩▲7五歩△5四歩からの相振り飛車です。
それぞれ先手ジックリ型、先手軽快型の解説と分けられています。

出版時点では石田流対策の相振り飛車としては一番ポピュラーな形のようです。
双方が美濃に組む形が中心で、結論としては左銀の差から先手が面白く戦える変化が多く、
(といってもアマレベルではかなり難しいです)第3章での後手の工夫につながって行きます。

第3章は相三間後手の秘策で、
「△8二角転換作戦」と「後手穴熊作戦」の2つが紹介されます。
この2つは先手の序盤の対応により使い分ける必要があるので、両方きちんと押さえておきたいです。
△8二角転換作戦は先手が7筋の歩を交換してきた時、△5五角と飛びだして△1九角成の筋を狙います。
先手は当然目障りな角を追いますが7三の歩がいない効果で、
△8二角と転換し角の睨みを維持できる、というものです。
後手は玉が囲いにくく守りは薄いですが、第1章や第2章の展開と違い後手から積極的に動くことができます。
後手穴熊作戦は先手が7筋の歩を交換してこない(=△8二角転換がない)時、
美濃では作戦負けになりやすいので穴熊にしようというものです。

ここで1・2・3章総まとめが入ります。
どの章も先後ともに主張があったので、流れを明快にしておこうという趣旨だそうです。

第4章は先手向かい飛車VS後手三間で以前は主流だった戦型です。
後手からの画期的な仕掛けが発見されたことで、先手の矢倉を恐れなくなりました。
その仕掛けや先手がそれを避ける駒組みをしてきた時の戦い方が解説されます。

第5章はその他の相振り、速攻三間、左穴熊対策です。
「その他の相振り」では4つもの戦型が解説されます。
「三間対後手角道不止め四間」は▲7六歩△3四歩▲7五歩△4二飛に先手が妥協しない形。
「先手向かい飛車対後手三間」は第4章とは違う昔ながらの定跡。
「先手三間対後手△5三銀型向かい飛車」は1~3章とも関連しており、
久保二冠VS羽生名人(段位は現在のもの)の王将戦でも登場した、以前は主流だった戦型です。
「相三間、阿部新手」では後手が受身になりやすいとされていた、
▲7六歩△3四歩▲7五歩△3五歩からの相三間の新手が紹介されています。
特に最初と最後は面白い戦型であり、指してみたくなりました。

「速攻三間」は先手三間超急戦で、石田流対居飛車でなんと相振り飛車じゃありません。
▲7四歩を突き捨ててから▲5八玉とする形ですが、急遽原稿を差し替えて最新形の紹介をしたとあります。
現在もこの戦型に関しては新構想が出ており、まだまだ進歩していくでしょう。

最後は「東大流左穴熊中飛車対策」です。
▲5六歩からの中飛車に対しては後手は相振り飛車にするのが有力なのですが、
それを見た先手が左に玉を囲い居飛車風の駒組に変化する、というのが東大流左穴熊中飛車作戦です。
後手からの有力な対策が紹介されており、この戦型に手を焼いている方は必見です。

杉本七段らしい多彩な戦型を扱いつつも丁寧なつくりの本書、シリーズファン納得の出来です。
前著の「相振り革命最先端」よりも試したくなる面白い戦型が増した印象です。
相振り党は本書も当然「買い」でしょう。

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紙の本よくわかる角換わり

2011/10/13 21:39

ついに出た角換わり入門

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

共著での実戦集はあるものの西尾六段の初著作といえるでしょう、
テーマは「角換わり」でよくわかるシリーズ第3弾として登場しました。

純正(手損のない)角換わりは同じ相居飛車の矢倉に比べると、定跡書が少ないのに研究が重要なこと、
後手番ではずっと受けに回るケースがあるなど、アマではあまり人気のない戦型だったと思います。
しかし一手損角換わりという、わりと自由で柔軟、面白い反撃筋のある戦法が生まれたこと、
プロ間で純正角換わりが流行していることから、アマでも興味を持つ人が増えてきました。
本書はそんな角換わりを「基本からわかりやすく」解説しています。

第1章は角換わりをめぐる戦いと題して、「純正角換わり」の「腰掛け銀」以外の戦型を解説。
いずれもプロ間ではあまり指されなくなっていますが、その理由がわかります。
「棒銀戦法」は▲棒銀(2六銀)VS△早繰り銀(△7三銀型で受け、機を見て△6四銀)で後手戦えます。
端攻めの成功例と後手の正しい受け方が紹介されています。
端を絡めない展開では後手の必修受け手筋△5四角、それに対する升田先生考案の▲3八角を解説。
互角といえる展開になりますが、互角では積極的に動いた先手としては不満でしょう。
「早繰り銀」は後手の正しい受け方、反撃筋を中心に解説されます。
後手としては▲早繰り銀(4六銀)VS△腰掛け銀がオススメで、どの駒組が有効かしっかり解説されています。

「右玉」は千日手も視野に入れた後手の作戦です。▲地下鉄飛車VS△右玉が先手有力のようです。
双方かなり特殊な駒組なので、知らない方は面白く読めると思います。
「後手棒銀」は先手でも互角なのに?と疑問に思うかもしれませんが、
先手なので早く形を決めることになる→有力である▲早繰り銀が消えてから△棒銀を選択できる、となります。
結果▲腰掛け銀VS△棒銀となりますが、後手も一気に潰せるわけではなく持久戦でまずまず…程度のようです。

第2章は角換わり腰掛け銀と題して、純正角換わりの同型相腰掛け銀の解説です。
▲8八玉△2二玉とお互いに入城した形から▲4五歩と仕掛ける、
先手必勝定跡として有名な「木村定跡」の解説から始まります。
「相腰掛け銀」の基本となる定跡で、これを知らないと細かな形の違いにもついていけなくなるのですが、
現在容易に手に入る角換わりの定跡書では扱われておらず、角換わりが指されない一因となっていました。
また後手6三金型への▲4一角の攻め筋も解説されています。

次は「木村定跡」では不満の後手が先手の▲8八玉入城に△6五歩と先攻する型です。
結論は3一に玉がいても木村定跡の仕掛けで後手有力となりますが、
先程の8八玉型で仕掛けた先手と違い、一段目に飛車を打たれると王手○○取りとなるので、
攻め方を変える必要があるのですが、その辺りも本書はきっちりとフォローされています。

次はお互いに入城しない形(先手7九玉型&後手3一玉型)で▲4五歩と先手が仕掛けます。
入城すると上からの攻めが厳しい、端攻めに近くなる、▲4一角(△6九角)がある、等のデメリットがあります。
後手玉の位置の違う今度は「木村定跡」の攻めが有効ではないですが、本書の攻め筋で先手充分です。
後手は攻め合いに活路を見出しますが、先手は歩を42173筋の順番で突いていく仕掛けで封じようとします。
これが現在プロ間で流行している形です。

この章で唯一不満なのが後手が同型を回避して△7三桂と跳ねない形の解説がないことです。
メリットは桂頭を攻められないことデメリットは反撃が弱くなることですが、
後手は千日手でも良いので受けに徹します。
先手は飛車先を2六で保留して▲2五桂を用意することで打開できます(本書でも△7三桂をみてから▲2五歩とされている)。
難しい話ですが、第3・4章での一手損角換わりとも関連する考えなので簡単にでも触れてほしかったです。
なお興味のある方は「豊島将之の定跡研究」に詳しく解説されていますのでオススメです。

第3章は一手損角換わり対腰掛け銀です。
一番の違いは△8五歩としていないので「木村定跡」の▲7四歩をみせても△8五桂と跳ねて無効に出来ることです。
8四歩型のデメリットで後手の攻めがなく、
先手は▲8八玉とは出来るのですが得とも言えず、後手充分にやれます。

第4章は一手損角換わりへの対策です。
純正角換わりで猛威を振るう▲腰掛け銀ではリードを狙うのが難しいので別の対策を採りますが、
それが第1章でいまいちとされた▲早繰り銀、▲棒銀であるのが非常に面白いです。
「早繰り銀」は8筋の継ぎ歩、銀の圧迫など後手の反撃手段が一手損のため消えています。
△8五歩として純粋にただの一手損で戦うなどの作戦があります。
「棒銀」は後手の反撃手段が少ないのでコンパクトな陣形で受けに回ります。
△4二飛と四間飛車に転じる駒組も紹介されています。
これらの後手一手損角換わりに関しては定跡書が結構出ていますので、
最新形など詳しく調べたい方はそちらがオススメです、本書では基本が解説されています。
「右玉」は先手が1筋の位を取り地下鉄飛車を緩和し広い玉で戦える戦法になりますが、
後手は穴熊にし桂頭攻めを狙って面白く戦えます。

テーマが「角換わり」だからか「よくわかる」シリーズにしては難しいな…と思いましたが、
「よくわかる振り飛車穴熊」も結構難解だったことを思い出しました(笑)。
とはいえ、わかりやすく丁寧に攻め筋を解説し、細かな形の違いにきちんと触れられており、
アマ有段者でも使えます、というよりは級位者には難しいかもしれませんが、
角換わりの入門書として素晴らしい出来なので、興味のある方は後のためとキープしておきましょう。
唯一の不満点である同型回避に関しては豊島先生の本で補えばOKだと思います。

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紙の本戸辺流現代振り飛車手筋集

2011/08/15 23:49

面白いテーマがずらり

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自戦記や相振り飛車の定跡書を出されている戸辺六段、最新作は「現代振り飛車手筋集」でした。
阿久津七段の「必ず役立つプロの常識」と同様に対話形式ですすめられます。
本書は戸辺六段の実戦から出題してテーマとしているのですが、
序盤編はプロ流行形からの仕掛けを解説したものであり、最新定跡解説ともいえます。

その第1章序盤編、石田流、先手中飛車、ゴキゲン中飛車から、
それぞれ注目のテーマ図が挙げられます。
升田式石田流は戸辺六段の得意戦法としても有名で、7七銀型からの仕掛けがふんだんに紹介されており、
なかなかアマレベルでは後手を持って受けきるのは大変だと思います。
細かな形の違いで仕掛けが成立するかしないか変わるのですが、
基本となる仕掛けと返し技、後手の陣形の注目すべき点がきちんと書かれているのでわかりやすいです。
ただし対話形式なので、どこに何が書いてあったか探しにくいという弱点はあります。

石田流VS左美濃の手順は戸辺六段自慢の仕掛けだったようで、
実際にプロ棋戦で指されたのですが、久保二冠に受けきられるという悔しい結果になってしまいました。
というわけで修正手順待ちの状態ですが(笑)、それだけ自信のあった手を本に書いてくださった事は評価したいです。

先手中飛車VS居飛車穴熊は戸辺六段の「楽しく勝つ!力戦振り飛車」でも紹介されている、
前からあった仕掛けが成立しなくなったため修正手順が紹介されています。
これは広瀬王位VS渡辺竜王で指されており、結論不明の研究課題との事です。
先手中飛車・角交換型は後手に新工夫が多く登場しているので、最新の状況を知りたい方にオススメです。

ゴキゲン中飛車は超速▲3七銀・▲4七銀急戦(二枚銀)・居飛車穴熊に対する指し方が紹介されます。
類書の多い戦型なのでいろいろ比較してみると面白いでしょう。
簡単に挙げておきますと超速▲3七銀には3二金型、▲4七銀急戦には銀をぶつけ交換する作戦、
居飛車穴熊には△5四飛から手をつくる作戦が中心に解説されています。

第2章は中盤編で、序盤編で扱われた戦型から攻めの手筋を中心に、
ゆさぶりや粘り、玉頭戦もテーマになっています。
手筋といっても戸辺六段の実戦がもとなので簡単に決まるわけではありません。
アマでも知っている手筋であっても、実際にどう使うか?という難しい問題に挑んだ好テーマが多くなっています。
なお戸辺六段が喰らってしまった、これだけは居飛車に指させてはいけない手筋(笑)も出ています。

第3章は終盤編です。手筋一発で明快に勝利!というテーマもありますが、
基本的には難しい終盤が多く手筋よりも考え方の解説が重視されている感じです。
対話形式を活かして一番普通の順ではどうしていけないかが上手く解説されています。
レベルの高い章ですが、かなりわかりやすく解説されているので、何度も並べて感覚を掴みましょう。

序盤編は他にも定跡書がいろいろとありますが、
中盤編・終盤編は類書が少ない上にアマの特に弱いところですから非常に役に立つと思います。
考え方は身につきさえすれば実戦で応用しやすいので、一気の棋力向上も狙えそうです。
振り飛車党であれば級位者から有段者まで、幅広くお勧めできる1冊だと思います。

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紙の本光速の終盤術

2011/03/30 21:12

またも名著復活

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十七世名人資格保持者である谷川浩司先生の名著「光速の終盤術」が文庫化という形で復活しました!
最近「寄せの手筋200」が加筆され復活したり、連載講座「変わりゆく現代将棋」が書籍化したりと、
将棋界に眠っていた資産がどんどん活用されていますが、この「光速の終盤術」もきましたね。

谷川先生は他にも「光速の寄せ」「谷川流寄せの法則」など優れた終盤の本を出しておられますが、
この「光速の終盤術」は他に比べ非常に難易度の高い事でも知られています。
なぜなら「光速の終盤術」は谷川先生の実戦の終盤を題材につくられており、
しかも谷川先生が実戦で読みきれなかったような局面が扱われているからです。

基本的な形式としては終盤に特化した谷川先生の自戦記ということになります。
本書の凄い点は、テーマ図での考え方を具体的にしかも緻密に文章化してある事です。
例えば第1章・1項・「終盤のテーマ」では、
「相手玉には○○という攻め筋があるが詰みはない」「自玉は今は大丈夫だが駒を渡すと△△で危ない」という前提が述べられ、
考え方として「駒を渡さずに詰めろをかける」「急所の銀を残す」が挙げられます。
次になぜ「この銀が急所なのか」が「相手玉への迫り方」「自玉の危険緩和」の両面から解説され、
ようやく谷川先生が実戦で指された手が示されます。
そしてその手が「どういう寄せを狙った手なのか」「有力な受けにどう対応するか」が解説され、
実戦で相手の棋士がどう指して来て、谷川先生がどんな決め手を指したかが書かれてテーマ終了となります。
谷川先生がどんな事を考えて一連の寄せを指したのかが、
かなり噛み砕いて説明されているので全部わかります。
いや実際にはもっと多くの事を考えておられるでしょうが(笑)、それぐらい詳しいんです。

最初のテーマでこの濃さですから、後半のテーマの難しさがご想像いただけると思います。
4章で計25テーマすべて力の入った濃密な解説が続いていくわけですが、
難解な手順の解説だけに終始しているわけでは決してありません。
本書の凄い点その2として、
終盤特有の「有利な時は直線、不利な時は曲線」といった役に立つ考え方が、
テーマに沿ってたくさん紹介されており、これらを頭の片隅に置いておくだけでも終盤力が向上するでしょう。
なお、絶版になっている単行本と今回の文庫との違いに、文庫では増ページにより参考図が増えている点があります。
単行本では盤面図がなかった変化に図がつけられるなど、読みやすいように配慮されています。

非常に難解である本書ですが、たとえ具体的な手順についていけなくても、
終盤の感覚・考え方を身につけることができ、それは必ずや力になるでしょう。
「究極の終盤術指南書」とありますが、納得の珠玉の一冊だと思います。
有段者向けだとは思いますが、今度絶版になったら手に入らないかもしれませんので、
とりあえず購入して置いておこう、というのもアリだと思いますよ。

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紙の本羽生VS森内百番指し

2011/02/16 21:48

30年間の激闘

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羽生、森内両永世名人資格保持者の激闘譜がついに発行されました。

本書は共著という形になっており、両先生ともまえがきを書かれています。
毎日コミュニケーションズの将棋関連スタッフさんのブログで一部紹介されていますが、
(「マイコミ将棋スタッフブログ」で検索できます。)
特に森内先生のまえがきに感銘を受けました。

本書は同じ名局集の「谷川VS羽生100番勝負」や「羽生VS佐藤全局集」に比べれば、
若干ですがあっさりとした(この言葉が適切かはわかりませんが)つくりになっています。
過去の2冊はハードカバーで作られており、
両対局者のタイトル戦の時のカラー写真が掲載されていました。
本書は残念ながらソフトカバーで、写真もモノクロのものが少しあるだけです。

また過去2冊は近しい棋士による分析等が読み物としてあり、非常に興味深いものでした。
本書の読み物は羽生、森内両先生のインタビューのみですから、
ちょっとだけ残念なポイントです。
両対局者とライバルである佐藤康光先生による分析があったら最高でしたね。

その代わりという訳ではないでしょうが、
自戦記・棋譜解説には力が入っていると言えるかもしれません。
自戦記は両先生とも3局ずつ(過去2冊は1局ずつでした)、
当時の思い出も交えながら詳細に解説されています。
なかでも特に面白く読めたのは、
羽生先生の自戦記では、森内先生が封じ手を避けたエピソードについての話、
森内先生の自戦記では、第54期名人戦で受けた羽生将棋の衝撃についての話です。

棋譜解説は過去2冊同様、見開きで1局、図は4、5個でいくつかのポイントを解説という形式なのですが、
本書ではなんとその対局の勝者が解説してくれています。(千日手局は指し直し局の勝者が解説)。
もちろん過去2冊で担当してくれた棋士は力をこめて解説をしてくれていましたが、
やはり対局者本人による当時のエピソードも交えた解説は素晴らしいと思います。
とはいえ、この解説量できちんと理解するには難しすぎる将棋ばかりなのですが…。

最後は記録やデータです、長考ベスト5等なかなか面白いです。
戦型別索引があるのは親切だと思いました。
両者の代名詞ともいえる矢倉戦の歴史がわかりますし、
どちらかが一方的に勝っている戦型などもあり面白かったです。

いくつか不満点も挙げましたが、重箱の隅をつつくようなものであり(笑)、
本書の価値を下げるような事などなく、すべての将棋ファンにオススメの一冊だと思います。

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紙の本相振り中飛車で攻めつぶす本

2010/07/28 22:42

期待以上の続刊

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鈴木大介八段の好著「パワー中飛車で攻めつぶす本」の続刊が登場しました。
「相振り中飛車で攻めつぶす本」も前著同様「指しこなす本」形式になっています。
「指しこなす本」形式は普通の定跡書と違って、一問一答式を採用することにより、
定跡を暗記するのでなく、攻めや受けを考えながら習得しやすい作りになっています。

本書では、先手初手▲5六歩から始まる中飛車に、後手が相振り飛車にする形が解説されています。
今までは(現在でも?)初手▲5六歩の中飛車には△相振り飛車が有効、と考えられていました。
実際、居飛車党の棋士である郷田九段や渡辺竜王でさえ、相振り飛車で対抗したことがあるほどです。
またこの事は、初手▲5六歩の中飛車に居飛車で対抗することが大変であることも示していると思われます。
本書では序盤の手順や駒組に新しい工夫を取り入れることで、
「相振り飛車にされても怖くないぞ」と自信を持って、
初手▲5六歩中飛車を選択できることを目指されています。

本著も前著同様「将棋世界」連載の「時代はパワー中飛車」という講座が元になっていますが、
相振り飛車の講座は2009年7月号~10月号の4回と少なめであったため、
連載7回分に1章加筆して1冊にした前著に比べると、
本著は連載時より内容や変化手順が大幅に増加しています。
具体的には第1章「向かい飛車からの速攻」(△8八角成▲同飛の展開)、
第4章「現代感覚の穴熊へ」(後手が最新最善の駒組に、中飛車側は穴熊に組む)、
第7章「中央突破が成立」(対△四間飛車)の3つが連載時には無く、
本書で新しく書かれて追加されたものです。
講座時に比べ非常に手厚い本に仕上がっていると感じられました。

第1章「向かい飛車からの速攻」
後手からの△8八角成と角交換に対し▲8八同飛とする形で、以下どのように攻めるかが解説されています。
連載時は良形で指しやすい、という解説のみであったため、
章の追加で具体的な攻め筋を学ぶことができるようになりました。

第2章「早めの△3五歩を標的に」
第2・3・4章は△三間飛車の相振り飛車です。
従来▲中飛車には△三間飛車で後手が指しやすいのでは、
と考えられており、強敵と言えるでしょう。
本章では早い△3五歩に対し▲4六銀と出ることをポイントにし、
飛先交換等を牽制することで、三間飛車の思い通りにさせない指し方が解説されています。

第3章「すべてを変える銀上がり」
すぐには△3五歩を突いてこずに、後手が△4四歩や△6四歩と持久戦を狙うケースが解説されます。
▲中飛車は攻める際、従来は▲5六銀としていたので、飛車が重く使いにくい面があったのですが、
▲6六銀とすることで飛車を軽く使えるようになったこと、
新たな攻め筋が生まれてきたことがポイントになっています。
これは「鈴木大介の将棋 中飛車編」等でも解説されておらず、
最新のもので面白い指し方だと感心しました。

第4章「現代感覚の穴熊へ」
本章は後手がプロ級の最善の対応をしてきたケースで、後手がすぐには形を決めてこない形の解説です。
逆に先手が▲4六銀か▲6六銀を決めるのを見てから、それぞれの銀上がりに対しての有効な駒組を狙ってきます。
そこで先手も形を決めずに穴熊を狙いますよ、というのが定跡の進化の流れになっています。
しかも穴熊の組み方や、それに関連しての攻め筋に新工夫がたっぷりと取り入れられています。
前述のように連載時には解説がなかった最新定跡ですから、
非常に嬉しい追加点と言えるでしょう。

第5章「攻めの速度が違いすぎる」
サブタイトルでは何のことかわかりにくいですが、対△向かい飛車の解説です。
相振り飛車では向かい飛車が最高と言われた時期もあったのですが、
今は足早に動ける三間飛車などにおされています。
とはいえ向かい飛車特有の安定感は健在ですので、
中飛車は居玉のままでの仕掛けなども狙っていくことになります。

第6章「鏡を壊す中座飛車」
対△中飛車、いわゆる相中飛車の解説です。
本書での相中飛車は中央で2枚の銀を対抗させる同型将棋で、
いかに打開するか、とことん後手が追随してきたらどうするか、を紹介しています。
が、後手がどこまで追随してくるかわかりませんので、
不十分な体勢からでも先に先手の狙う打開をしてきたら…、
と少し不安な面もありそうです。
同型打開でなく、序盤からリードを狙う相中飛車については、
「鈴木大介の将棋 力戦相振り編」で詳しく解説されていますので、
好みで使い分けると面白いのではないでしょうか。

第7章「中央突破が成立」
対△四間飛車、あまり見かけない四間飛車による対抗です。
が、後手に有力な駒組があり、知らないとハマってしまうのではないでしょうか。
四間特有の攻め筋に対する駒組、受けのポイントが、
わかりやすく解説されていますので必見です。


相振り中飛車に特化した本は今までにありませんでしたし、
初手▲5六歩中飛車党は当然ですが、△相振り飛車で対抗している方も必見だと思います。
なにしろ初手▲5六歩を避けて通る道はありませんから(笑)。
私は今まで△三間飛車で対抗していましたが、本書を土台に勉強し直す必要アリと感じました。
追加された章も大きいプラス点ですが、他の章でも連載時よりも解説・変化手順が豊富になっている点、
「指しこなす本」形式で読みやすい点も◎で、オススメの良本だと思います。

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ついに登場

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将棋ファン待望の後手一手損角換わりを一から学べる本がついに発売されました。
著者は対振り飛車の「鷺宮定跡」を開発するなど、精密な研究で知られる青野九段です。
しかも青野九段はA級順位戦ではじめて後手一手損角換わりを指した棋士です。
今ではタイトル戦でも指されていますが、青野九段も最初は指すのにためらいがあったそうです(笑)。
この戦法の本の著者としてこれほどふさわしい方もいないでしょう。

第1章は相腰掛け銀で、まずは基本となる先後同形型の解説がされます。
本書は青野九段らしく丁寧に書かれていて、一手損角換わりのメリットから説明があります。
飛車先を保留しているので、桂跳ねや作戦の幅があること、逆に相手には飛車先を決めさせていて動きづらいこと、
これらは有名ですが具体的にどういう手順で良さにつなげるかを解説されています。
一手損はもちろん角換わり自体の本が少ないので、
基本がわからないアマ(私ですね)は多いと思います。
なので角換わり特有の攻め筋、受け方、手筋満載の本書は勉強になりました。
後手△6五歩の位取り型(先後逆表記なので実際には先手▲4五歩位取り型ですね)
も最後に少し解説されています。

第2章は対急戦早繰り銀。相腰掛け銀とはガラリと指し方が変わります。
第1章では飛車先の保留がポイントだったのですが、早繰り銀を見てこちらも飛車先を決めます。
これで純粋な一手損になるのですが、早繰り銀は腰掛け銀に相性が悪いので充分とのこと。
これは知らないと指せない構想で驚きましたし、実際にとがめ方も解説されます。
また定跡となっている反撃手順の継ぎ歩攻めにも感心しました。

第3章は対急戦棒銀、現在プロではこの対策が主流のようです。
棒銀に対してはいくつか受け方があり、好みで選べるように書かれています。
たとえ反撃重視の指し方でもきちんと受ける必要があるようで、
相手のいろいろな攻め筋とそれに対する受け方が解説されます。
相手の動き方次第で右玉にする展開も解説されています。

第4章は実戦編ですが、なんと青野九段が指した将棋ではないものが載っています。
後手一手損角換わりの元祖であり升田賞受賞者である淡路九段の将棋です。
青野九段らしいですし、元祖への敬意が感じられて面白く感じました。

本書は後手一手損角換わりの基礎として文句ない出来になっています。
とにかく戦法特有の手筋・指し方が多いので、今まで漫然と指していた方は目から鱗でしょう。
また相手を誘導しやすい戦法でもあるので、得意戦法にうってつけです。
お勧めの一冊だと思います。

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紙の本永世竜王への軌跡

2009/08/07 23:35

竜王の会心の一作!

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渡辺竜王による永世竜王獲得までの自身の竜王戦全集です。

第一部が自戦記編で10局(棋士段位は当時のもの)。
決勝トーナメントでの谷川二冠との対局に始まり、竜王獲得への森内竜王戦、
防衛戦の木村七段戦、佐藤棋聖との2連続七番勝負、そして羽生名人との歴史に残る七番勝負から、
選び抜いた名局10局です。

本書の自戦記は一局ごとにページ数をたくさん取ってあるため、解説が丁寧でわかりやすいです。
変化手順の説明などももちろん詳しいのですが、
形勢判断が単に「良い」「悪い」でなく「○○だから良い」となっているのがいいです。

また1ページごとに注釈がついていることがあるのですが、いわゆる将棋用語の説明もあって親切です。
「先手先手で攻める」など棋士なら普通に使ってしまうわけですが、説明し将棋初心者ファンにも配慮されています。
注釈は定跡について、変化について、おやつのエピソードについてだったりとパターンも豊富です。

しかし、なんといっても本書で一番凄いのは心理面の描写でしょう。
「○○で悪いと思っていた」「△△は読みに全くない手だった」と正直に明かされるので、
考慮時間の長さは苦慮の時間であったとわかります。
また「カッとなった」と考慮時間の短さが、読み筋通りだからではなく、失敗だったのか!ということも…。
しかし「早く勝ちたい、という気持ちが表れている」などは、あるいは勝負師としては損かもしれません。
それだけに渡辺竜王のとにかく将棋ファンに楽しんでほしい、という気持ちが伝わってきます。
羽生名人との第1局、第4局、第7局は凄い将棋だったわけですが、
それについて当人の口から色々と語られるのはやっぱり凄く面白いですね。

竜王戦は封じ手があるので、封じ手にまつわる駆け引きや、
封じ手時点で既に悪くて眠れなかった!などのエピソードも面白いです。
また七番勝負1局ごとに秘蔵のエピソードが紹介されているのですが、これも将棋ファンには必見だと思います。

第二部は棋譜解説編で40局。
自戦記で扱われなかった対局で、竜王挑戦までのランキング戦から、各七番勝負の残り全局を解説。
こちらは見開きで1局でポイント解説と簡単にエピソード紹介されています。
無難な作りではありますが、この充実度で自戦記の方を20局にしていたら渡辺竜王は大変だったと思います(笑)。

将棋ファンは、もうとにかく読んで下さい。
間違いなくお勧めです、将棋上達のためだけでなく、読み物としても楽しめます。
自戦記として文句のつけようのない最高のものだと思います。

唯一の不満はハードカバーで作ってほしかったなと、これだけです。

渡辺竜王のブログによると「文章を書くことは苦になりませんし、またやってみたいという気になっています」だそうで、
そして「タイトル戦にあと数回は出ないと、ネタが溜まらないのです」と、
なので応援したいと思います(笑)。

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