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Hatsukiさんのレビュー一覧

投稿者:Hatsuki

2 件中 1 件~ 2 件を表示

全集っていうくらいだから、軽くはない。すごく重い思い。

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 河出から出ている池澤夏樹編の世界文学全集の第二巻。全集というわりにはいまいちマイナーな作家ばかりだったりするけれど、この叢書の素晴らしいところは三つある。
(1)『戦争のかなしみ』などといった邦訳の手に入りにくくなっているものの再刊。
(2)『ザ・ロード』などのように翻訳が些か古くなっているものの新訳。
(3)クッツェーやキシュなど、邦訳が待ち望まれている作家の新作。

 さて、この『楽園への道』は(3)に該当する。バルガス=リョサといえば、いまはマルケス『百年の孤独』ばかりが有名になってしまった南米文学の先駆者といってもよい存在。新潮社や集英社から出ている『緑の家』『世界終末戦争』といった代表作がことごとく絶版の憂き目にあっている邦訳不遇の作家といってもいい。だからこの作品を機に旧作の再刊があればいいなあと思う。

 画家ゴーギャンとその祖母フローラの物語が交互に配置されているものの、それぞれが独立した物語になっている。下手な小細工など無用という感じで書かれるふたりの激動の生涯は迫力がある。だから、決して軽くはない。二時間やそこらで読み捨てようかななんて(まさかそんなことを考えているひとはいないだろうけれど)甘い期待は捨てたほうがいい。でも、丁寧に綴られている、すなわち決して読者を迷わせようとせずに、丁寧に道筋を照らしてくれる筆致はそれこそ、ゴーギャンが未開の島に求めた楽園、フローラが過激な活動の果てに求めた楽園、それらに続く道を思わせる。もちろん読んでいる時間は長いし持っている手は重いしで読み通すのは簡単じゃない。けどまあ、読書って楽しいんだよね、と読み終わったあとに僕は言いたくなってしまったよ。何の保証にもならないけれど。

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紙の本遠い水平線

2009/11/07 04:19

タブッキ、須賀敦子

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私は狭量なので、いまところ須賀敦子の訳した作品以外にアントニオ・タブッキの作品を読むつもりはないのだが、とくに思い入れがあるわけではない。訳者はもちろん、作者にでもある。『インド夜想曲』『供述によるとペレイラは……』といった中篇を立て続けに読んだにもかかわらず、このタブッキという作家はなにか肚の底に言い残したことがあるのではないかと疑いたくなる。
 ・・・そもそもがこの作品だって、ある日仕事場に運ばれてきた身元不明の死体が誰なのかを探ってイタリアを彷徨する男のはなしである。この主人公にだって、死体が誰かなんていうのは関係ないのだ。そこに思い入れなんてあるはずもない。ないはずのものを「ある」ことにするために彼は動くのである。
 訳者の須賀敦子はそれをあとがきで、異人性と称していた。それを見て、ああ、と頷いた。「少し慣れた旅人はどこへ行っても家と同じように振る舞える、もっと慣れるとどこへ行っても孤独に感じられる」とは誰の言葉だっただろう。タブッキは、彼の描く登場人物も含めて、きっと正真正銘の旅人なのだ。だからお互いに相容れることはない。たまのときにすれ違い、ちょっと洒落たお酒でも飲む。そんな付き合い方がよく似合う、ナイスミドルなのである。

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