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和泉潤さんのレビュー一覧

投稿者:和泉潤

5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本オバマ演説集 対訳

2009/01/10 15:37

あなたはオバマで泣いたか。

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

すごく売れている本だそうなので、言う必要もないことなのかもしれないが、私はアメリカとか大統領とかあまり関心がなく、オバマ氏は「自分のうちのベランダからは見られない対岸の花火の音」みたいな存在だと思っていた。「あえてこっちから行かなくてもいっか」、みたいな。だがこの本とCDを聞いた時、とくにAudacity of Hopeスピーチでちょっと涙が出てきてしまい、びっくりした。
たぶんオバマ氏は「希望の本質」みたいなものをすごく考えてスピーチを作っているのだと思う。他人の、対戦候補の、仮想敵国の批判をするだけなら簡単にできる。そうではなく、何が必要で、何が人を勇気づけるか、そういうことを考えて練りに練ったことば、選びに選んだ声と姿勢で話をしているのが伝わってくる。スピーチが芸術の一つであるというのが、このCDを聞くとよくわかる。
普通の人々が理解できなければスピーチとして力をもたないので、わかりやすい言い回し。高校生くらいの英語力があればわかります。わからなくても繰り返し聞いても苦痛ではないし、発音の勉強になります。勉強にならなくても英語嫌いでも、伝わってくるものは、善意とか、希望に満ちた何かです。これで1050円ならいうことない。1月21日の就任演説も楽しみです。

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第1位はこいつらの存在そのもの

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

待ちに待ちに待った最終巻でした。10年ずっと読んでいた。そしてなんども震えました。「人間」てすげえ!平野耕太の描く「人間」がすげえ!ただただかっこいい。
今回、一番すごいな、と思ったのは毎巻ある、巻末おまけ兄弟マンガでした。10大ニュースの発表で、あいかわらずの素敵さでふざけて終わってくれるのかと思ったら、欄外に「第1位はこいつらの存在そのもの」。私は涙腺が緩んだ。なんというキャラクターへの愛。だからこそ全部のキャラがこれだけかっこいい。
なぜかこのマンガ読むと、私は年を取るのが楽しみになります。そういうマンガってありそうで、ない。他に比類ない。

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紙の本時のかさなり

2008/12/23 07:20

6才のときのことをいつまで覚えていられるのだろう?

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

レーベンスボルンというのは、ドイツの人口を補うために東欧諸国から20万人を超す子どもたちがナチスによって拉致された出来事だ。時代は1940年代、拉致された子どもは『アーリア人風な』外見を備えた子どもたちで、ドイツ人の家庭に引き取られた。ドイツ語では「生命の泉」を意味する。この物語は4人の6歳児の視点から描かれる。2004年から1944年までにさかのぼって行く。『最後にどうなったのか』が物語の終着点ではない。悲劇を描くなら、時系列に沿って書けばいいのに、わかりにくいな、と思っていたけれど、いま気づいた。その行き着くさきが、スポイルされた現代っ子だったら、後味がものすごく悪いのだ。
古いものが全てよいとは限らない。同様に、現代に生きるものは過去よりも愚劣でありえる。人生のある時点で傷を受けてしまったものが、回復できない話なら他にもいくらでもある。ある日突然、自分の隣に帰るべきものが帰ってこないことは、バルト海沿岸でも日本海沿岸でも起こるのだ。ひどいことは、起こりえるのだ。
だがこれは、人にとって、6才だろうが何才だろうが、その瞬間が尊くかけがえの無いものだとわかる瞬間は等しく訪れる、という物語なのだと思う。よくも悪くも、人が傷によって変わるという話ならいくらでもあるのだ。この物語が特異なのは、一つの血族をさかのぼってゆくことによって、傷は傷のままであり、その人にとって尊いものは何才だろうと何年経っても尊い、ということを浮き上がらせるところだ。そして傷に踏み込むことなく、癒されることもなく、そのまま時が過ぎても傷が傷のまま残ることが、ひどく切ない。登場人物の1人、自分の親を知らない歌手は「私にこの声をくれたのは誰だろう?」と思う。だが、思うだけで探す姿は描かれない。その深い闇が、謎として読み手を引きつけ、ある種の透明な光を放っているように感じた。

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紙の本幻影の書

2009/01/11 14:14

あと24時間で、あなたが一番読みたかった本を燃やします。

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「あと24時間で、あなたが一番読みたかった本を燃やします。」
そういう脅迫を突きつけられたらどうしますか?私はすごく困る。この主人公もすごく困った。燃やされるかもしれない作品は、小説ではなくて、ヘクター・マンという音の無い時代の映画俳優の映画だ。その俳優は半世紀前に謎の失踪をとげていて、作品自体も世界に散逸しているので、見るだけでも大変な労力とお金がかかる。それでも主人公は見てきた、飛行機事故で死んだ家族の保険金を湯水のように使って。世界中に散らばったフィルムを見て、論文を発表する。そうしたら雨の夜に突然きた女が、あなたに銃を突きつけて言うのです。「実は彼はまだ生きています、ですがもうすぐ作品を燃やします」と。
書評を読んでくれるような方や、私は、大分やられてしまっているのだと思うのだけれど、本や映画や、とにかく自分の内面でぶずぶず燃えて自分を食い尽くすような、そういうメディアに取り憑かれてしまう人間は、なんでこんなに、似たような人たちなんだろう。そして、なんでこんなに共感を持てるのだろう。私は彼ほど、孤独でも有能でもないのに。その作品に対する飢えのようなもの、知識に対するそれを知らなければ、届かなければ生きていた意味が無いと思えるほどの、この飢餓のような気持ちはいったいなんだろう。この作品ではそれが語られ、それがあと一歩、というところで手をすり抜けてゆく。一歩と言うより、前髪に触ったくらいの感触はある、それがまた、切ない。

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紙の本テンペスト 上 若夏の巻

2008/11/21 10:17

とろけるようなめまいが

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 めまいがずっとつづく。苦しい息切れではなく、とろけるようなめまいだ。贅をこらしてつくられた、ジェットコースターに乗っているような。急降下と急上昇と回転と、そして一瞬制止したときにみえる空の代わりが琉球の美しさだ。みどりの珊瑚礁の海であり、深紅の宮殿のなかにある御嶽。物語は、とびきり優秀な士族の娘、真鶴が、女性であることを隠して科試を突破し、孫寧温という高級官僚になったり、島流しにあったり、側室になったり、という息もつかせないもの。まさに大嵐、あり得ないことが次々起こる。
 自分と接点の無い、どんなあり得ない状況であっても、物語が私をずっと最後までひきつけたのは、これが人々の恋の物語であるからだ。描かれるのは宝石のような琉球王朝の洗練された文化と滅亡。滅亡する、ということがわかっている状況の中で、薩摩、ペリー、清と二重三重の高等な外交手腕を持って、ウルトラバロックに赤く彩られた、龍のごとき王朝の記憶だ。今は無く、なのに存在し、外国でもなく、内地の文化とは異なる、これを異世界ファンタジーと呼ばなくて、なんと呼べばいいのだろう。
 同時に、これはひとりひとりが深く、激しくだれかを愛する物語でもある。終劇近くで、ある登場人物が言う。「ぼくはきみのことが愛おしかった。昔も、今も、これからも。だからぼくは寧温が愛した王宮を守る。いつまでも想い出が残っているように。千年先にも寧温の息吹を残そう。それがぼくの愛し方だ」あり得ない嵐の中で語られる真実のため息の連続であるからこそ、描かれる人間が必死に生きる姿が愛おしくてたまらない。

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