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鯖カレーさんのレビュー一覧

投稿者:鯖カレー

8 件中 1 件~ 8 件を表示

蜂の中に籠められた、人間と自然の共生の行く末

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

蜂が消えた……
と、ニュース番組などでも数度小耳に挟んでいた。
初めて聞いたとき、「やっぱり温暖化か何かの影響なのかな?」と、
軽く流してしまう位だった今回の事件。
仰々しく銘打つならば
「ミツバチ大量失踪事件」と、鳴るだろうか。
余りに安直で陳腐だが、特に浮かばなかったので、そう言うことにしておく。

それよりも、本書の話である。
先に述べたように、初めは少々の関心があったものの、蜂が死んだくらいどうってことないと思っていた。
しかし、私の考えは甘かったようであった。
先ず、本書でも挙げられているが、野菜や果物のほとんどがミツバチたちのお陰で私たちの食卓に上ってるらしい。
ということは、ミツバチがいなくなったら……
いや、これ以上言うまい。その現実は本書を読めば嫌というほどデータとして突きつけられてしまう。

そしてその時始めて気が付いた。

ミツバチが消えるって、ダメじゃん!

どうすんの、どんなんの、そして、何でなの?
色んな気持ちが噴き出して来るが、とりあえずこの本を読めば、その答えはあると思い、冷静になる。
しかし、読めば読むほど冷静でいられなくなる……

……現代社会の経済システムに組み込まれたミツバチ……農薬の影響……寄生虫やウィルス……

様々な理由が推測としてあげられるが、全てに共通しているのは、
とりあえず人間が原因を作りだしたということだ。
つまり自業自得、因果応報、そして何よりも他の動物を巻き込んでしまったことを反省すべしと、本書は語っている。

だが、何もそんなに悲観的になる必要はないではないかと私は思った。
裏を返せば、その原因は現在人類が抱えている環境問題と通じるところがあり、今回の件を無事解決することが出来れば、人類は慢性化した環境問題を解決する糸口がつかめるかもしれないのだ!
どうやら、この本はただ蜂の悲惨な現状を訴える「蟹工船」とは違うようだ。私たちに、環境に対するテーゼを掲げてくれる、つまり希望を与えてくれる本であったのだ。

ノンフィクション小説としても面白いから、ぜひ様々な人に読んで欲しい。
そして、本書の中に込められた、
否、蜂の中に籠められた、人間と自然の共生の行く末を展望すべし!

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紙の本砂の女 改版

2009/02/06 19:59

現代社会を鋭く描いたシュルレアリスム文学/戦後文学の金字塔『砂の女』

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昆虫採集が好きな男が、珍しいハンミョウを求めて電車に乗り、たどり着いた広大な砂丘。男はそこの変わった住人に、一人の女と一緒に砂の穴に閉じ込められてしまう。過酷な生活を徐々に体に馴らしながら生活を営むが、やがて男は何度も脱出を試みる。果たして、男は「砂」から逃れることが出来るのだろうか……
1962年に発表され後に海外でも多数翻訳されており、翌年には読売文学賞、68年にはフランスで最優秀外国文学賞を受賞しているこの安部公房の小説。
砂の流れる生き物のような奇妙な性質を持つ物質、そこにひきよせられるハンミョウ。
穴の中で社会の歯車として生きる女、それに反発し穴からの脱出を試みる男。
この小説には無駄な比喩など何一つなく、全てがこの現代社会を映す鏡となっており、様々なことに対し問いかけをしている。

穴の中という狭いながらも、現代社会を濃縮した空間で、必死に生きる二人の人間の姿を冷静に描きながら時代を鋭く読み取った、超現実的作品。
日本文学戦後派の金字塔。

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紙の本蠅の王 改版

2009/05/23 10:11

理性と文明だけが野蛮に対抗する術だった……

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人間が人間たる所以は何だろう。
『パンセ』の中でパスカルは「考える葦」だと人を形容し、つまるところ、人間が人間であるのは「理性的に考えることができる」と、言うことであろうか。

他にも人と猿の違いは何か、とよく言われるのが「社会を形成する」だと言われている。だが一方で猿も、猿山を見ればわかる様に社会を形成している。だから強いてその二つの違いを挙げれば、それが理性的な民主主義社会か、野蛮な独裁社会かということだろう。
また、同時に道具を用いるともいわれる。だけど猿だって木の棒や、石を用いて食料を確保するために必死に知恵を働かせる。テレビ番組でも、様々な実験で、いろいろな道具をどのように使うか、という試みがなされている。でも猿が絶対に使いこなせないものがある。
それが「火」である。
火は人類の文化をその下で支えてきて、文明の始まりであり、その象徴である。

では本書を見てみるとどうだろうか。
飛行機が無人島に不時着し、少年たちだけが生き残った。
少年たちは無人島で様々な自らが生き残るすべを見つけだし、一旦は一致団結していくかに見えた。しかし少年たちのジレンマは次第に彼らの中に亀裂を作りだし……

主人公のラフーと変わりもののピギー、この二人は他の少年よりも殊に、火の大切さを訴え、法螺貝を大切にした。そして最後で死を与えられる。
この場合、法螺貝とは彼らの中で作られた民主主義的ルールの象徴であり、火というのは彼らが烽火を上げて助かろうとした道具であり、文明の象徴である。また、この野蛮な無人島と文明社会とを結び付ける一本の糸である。
当に、この二つを守ることだけが人間が人間であるための術であったのだ。
しかし未熟な少年たちの形成した社会とはひどく脆いものであった。
ヒーローの憧れ、残酷な少年たちの心の中では、そのような堅苦しい理性や分明なんかより、多少野蛮でも御馳走の味わえる狩りの方がはるかに楽しいものだったのだ。そして彼らが作り上げたルールは意味をなさなくなり、文明の象徴である火には愛想を尽かしてしまうのだ。挙句、野蛮な獣に変貌した少年たちは略奪や、殺人まで犯してしまうのだ……

少年だからそうなったのだろうか。少年たちが未熟だったから。
否、見ず知らずの人たちと無人島という野蛮な場所に放置され、助かる見込みがはたしてあるのかと絶望すれば、人間だれしもが野蛮になりうるのではないだろうか。
この話は少年たちの無邪気さという狂気を用いてその人間の中に潜む獣を描きだしたように思える。

その文章の流麗な雰囲気とは対照的な過酷な少年たちの運命、そして理性と文明が野蛮と拮抗する姿が克明に描かれている。
『十五少年漂流記』と併せて読んでおいたい。これが現実であると、むざむざと突き付けられた時、私は戦いてしまった。

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紙の本飢餓同盟 改版

2009/05/16 19:01

革命に翻弄されるペーソスとユーモア、そしてそこから浮かび上がるもの

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本は安部公房の小説の中でも少々色が違う。
「榎本武揚」程ではないが。

さて本書のあらすじを駆け足で言えば、
と或る小さな町の革命に奔走する男が結成した飢餓同盟という組織が、
権力転覆のために、地熱発電所の計画を企てるのだが、
最終的に、革命は失敗に終わり、発電所も権力者に横取りされ、

なんと主人公は狂人として精神病院へ行くことになってしまうのだ。

なんだか、この概略では、ただの理想というか妄念に取りつかれた男が、堕ちていく話を描いたただの滑稽劇に見えるかもしれない。

しかし、それは全くの誤解である。
その真意や、いかに。と、ここであえてこの本に対する解説は終えておく。
なぜなら、この本は実際に読まなければその真意は伝わることがないのだ。

その理由に、この一見滑稽劇に見える話の裏に脈々と流れる、
現代社会の矛盾に対する皮肉を受け止めるには、
話の流れを完全に把握しなければ、つまり全体を眺望しなければ、
不可能なのだ。

そう聞くと今度はすごく難しい話なのかとかまえるかもしれないが、
その必要もなく、門戸は広い。

一見滑稽劇に見えるからこそ、意味があり、それによって読者に、
強烈に伝わる安部公房の思想。
最後に大どんでん返しがあるわけではない。
ただ、ひたすら滑稽劇を読んで行くだけである。
だからこそ、ひしひしと、少しづつ、沁みいる様に安部のいいたことが伝わってくるのかもしれない。

現代が抱える、慢性的な保守的金権力主義。
それを浮かび上がらせるには、この話のような形をとらなければならなかったのだと、本書を読んだあと、誰もが思うだろう。

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前衛作家「安部公房」から科学者「安部公房」

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本の著者は自身の大学卒業論文を偶々安部に認めてもらい、卒論を通し、師弟関係を安部と築くことができた非常に稀有な人である。
その著者が、安部との幾年の付き合いの上で、伝えられたこと、理解したことを、わかりやすい言葉で紹介してある。
この本を通し、難解なアヴァンギャルド作家安部公房から、人間を科学的にとらえる、科学者安部公房へとイメージが変貌していく。
読者は思考に爽やかな風を吹き込み、安部公房の思想の素顔に迫る事が出来る。安部ファン必読の一冊。

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読書ノートをつける日々

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

あれ、この文章読んだ気がする……
そう感じるときはないだろうか?デジャヴのような感覚。
もしかしたら、それは本当にデジャヴかもしれないが、
実際のところ、大半が「読んだけど忘れた」と言う状態に陥っているのだろう。
本書では、読書ノートをつける事によって、それを防ぐことが出来、且つ情報整理を行うことが出来るようになるという。
勿論どのように読書ノートをつけるかも書いてある。
でもそこは要じゃなくて、実は、読書ノートをつけることで、情報整理を普段から容易に行う習慣が付くのである。
つまり、読書ノートをつけることは、ただ読書ノートをつけるだけにとどまらず、日常生活で大いに役立ってくれる。
私も実際につけ始めてから、とにかくメモする習慣がついた。
少しの考えや発見でさえ。そしてそこから新たな展望が見えるようになった。
この方法は、アメリカのある大企業の方法論と似ている。
「Google」本社の壁が全てホワイトボードになっており、思いついたことをすぐそこに書いて、そこから新たなアイデアがくわえられていくというシステムがある。そう、あの「Google」原理と同じである。

いかにこの「メモする」ということが大事か、それを教えられる本であったし、さらにいかに「メモする」か、という手引書にもなった。
他の人にも是非参考にしてほしい。

少なくとも私には役に立ったし、どなたにも役に立つ本であるとは思う。

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紙の本少女地獄

2009/12/27 18:23

耳元で囁かれる独り言

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

独白体と、書簡体。
夢野久作の作風として主にあげられるものだ。
それは、読者に語りかけるようであり、また独り言をぶつぶつとしゃべっているようでもある。
しかし、いずれも読者にごく近い距離で語りかけており、
読者は無意識に話の世界に誘われる。

「少女地獄」は女性に関する手紙を読む、
書簡体の文書であるが、やはり上記のような効果が読者に与えられる。
そして、そこから迫る人間の暗い部分……
狂気と呼ぶ場合もあるかもしれないが、そう言うものが迫りくるように感じられる。

「少女地獄」の話のうち、「何でもない」は書簡体という誰かの手を通して読者に伝えられる話として存在しており、話のテーマである「嘘」というものが、この話の本質的な所にも存在しているのではないかというウロボロスのような考えが頭をよぎった。

以上の話以外にも書簡体という事が巧みに使われ、
「書簡体による効果」以外に、ストーリー上のトリックとしてもその本領を発揮している。

耳元で囁かれる独り言は、時に戦慄を感じさせるが、
まさにこの本を読んでいると、そんな気分にさせられる。

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紙の本悩む力 正

2009/02/08 14:22

漱石、ヴェーバーと悩む事

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は題名に「悩む力」とあるが、悩む力を向上させるようなハウツー本ではないということくらいは、明らかなことである。
本書は「悩む」という行為にスポットをあて、漱石とヴェーバーを例に、どのように悩んで行くか、を著者の体験をからめひも解いて行く。
だから共感出来ない人物も当然いるだろうし、万人に当てはまる本であることもない。しかし、漱石とヴェーバーの二人の思想に触れることもでき、様々な点で参考になる事もある。そこから読者の思考は発展していく。
読んで無駄になる事はないだろうし、無駄にしてしまうのはもったいない。
読者を選ぶ本である。

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