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先月(2017年8月)

book-gogoさんのレビュー一覧

投稿者:book-gogo

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本プリンセス・トヨトミ

2009/04/17 10:05

ハッタリも、ここまで素晴らしいとアッパレ!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

祖母の家にオレオレ詐欺の電話がかかってきたことがある。明らかにオッサンの声だったと聞いた。ちなみに私の声はお兄さんである。祖母は機転の利く人間だが、その才能を発揮するまでもなく一蹴したらしい。

しかし、そんなオレオレ詐欺をやっている輩には『プリンセス・トヨトミ』を読んでもらっては困る。おそらく詐欺の成功率が上がってしまうからだ。

なにせ、日本の中に“大阪国”という国が密かに存在しているという、到底ありえない設定を、「もしかしたら本当かもね」と、つい思ってしまう。かなり緻密にストーリーを考えないと、これほどの完成度にはならない。

この完成度の高さの、その最たる部分は第四章にある。“大阪国”の成り立ちを、実際の歴史に絶妙なフィクションを織り交ぜて語り、さらには“大阪国”があることで現在の大阪人の気質が出来上がったという、“さもありなん”な解釈まで披露している。小説で語られるハッタリも、ここまで素晴らしいとアッパレである。

第四章を過ぎれば、後はもう楽しさ全開のストーリーが待っている。第四章より前の部分も当然面白い。個人的には、登場人物の個性や行動、やりとりが『鹿男あをによし』よりも楽しかったし、ストーリーの出来具合にも文句のつけようがないと思う。

おそらく、2009年マイベストブック・ベスト5には入るだろう。これからは、万城目学の新作は無条件で買うことにしよう。

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屋上ミサイル 1

2009/04/15 20:19

秘密道具なきドラえもん

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ドラえもん」がなぜ楽しいかといえば、秘密道具の存在が大きいと思う。のび太がジャイアンにいじめられ、ドラえもんはのび太のため秘密道具を提供する―と、大体こういうパターンが毎週繰り広げられているが、それでも、老若男女問わず楽しめる内容である。

『屋上ミサイル』の感想を一言で表すと、“秘密道具なきドラえもん”と言う言葉が個人的にはしっくりきた。登場人物の個性は、はっきりしていて良い。中でも、屋上部を強引に結成する国重は“高校生になり思いやりが増したジャイアン”である。しかし、良いのはそれだけ。ドラえもんのように“コレがあるから楽しい”というものがない。

そう感じざるを得ないのは、なんといってもストーリー構成が中途半端なこと。小説を読み始めると、ちらほらと謎が出てきて、小説の最終局面で謎が解ける―といったミステリのパターンの、前半の謎の“種まき”が特に不十分。

もっと上手い文章にしたら良いのか、根本的に伏線が足りないのか、書評家でもないただの個人だから、理由は正確にはわからないが、とにかく不十分だと感じた。だから、最終局面で謎が解けても、「あっ、そう」といった具合に特に何も感じない。読み終えて印象に残るのは登場人物の台詞とやりとりだけである。

ただし、秘密道具がなくてもドラえもんはそれなりに楽しいかもしれない。サザエさん、ちびまるこちゃん、クレヨンしんちゃんなどは秘密道具がなくても楽しい。とりあえず、山下貴光という作家の今後に期待は持てる作品ではあった。

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