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先月(2017年6月)

SZさんのレビュー一覧

投稿者:SZ

1 件中 1 件~ 1 件を表示

鏡像の戦後史

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。そう、マルクスは言った。それでは、やり直された歴史はどうなるのか?
 本書は、違ったかたちで敗戦を迎えた日本が辿った架空の戦後史である。もとはアニメ映画監督、押井守がマンガ・アニメ・実写映画で描いた作品群『ケルベロス・サーガ』の背景世界であった。戦後の体制打破をめざし過激化する政治活動家たち「セクト」と、これを取り締まるため先鋭化し、逆に警察機構から浮き出してしまう「首都警特機隊」。その紋章から「ケルベロス」と言われたこの武装警察隊の行く末をシニシズムを交えて描き、決して多くはないが深いファン層を生み出している。
 架空の歴史物は、著者と読者の了解の上でのみ成り立つ箱庭遊びでしかないかもしれない。それを越えてここにあるのは、物語の底流にある達観に支えられて語り直された戦後史のおもしろさだ。大きく見ると、歴史は変わっている。日英同盟を固持しドイツとの戦争に敗れた日本。しかし、細部では歴史は繰り返されている。潜水艦にシーレーンを打ち砕かれ、反応爆弾の投下で無条件降伏に追い込まれる日本。そして、押しつけの理想主義的なワイマール体制のもと、国共内戦の特需で日本は復興に向かっていく。
 ぼくたちの世界では、学生運動は先鋭化し民衆から浮き出して潰えていった。セクトも特機隊も同じように歴史に追い詰められて消えていく。その、変わらないさまを眺めるのが、川の流れを見ているようで心地よい。

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