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トム君さんのレビュー一覧

投稿者:トム君

6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本バカの壁

2010/03/24 11:43

本=タイトル、人間=表情、両者とも中身は評価に連動しない。これも「バカの壁」か?

13人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

こんな本が400万部超も売れたというのだから驚きである。内容を仔細に見れば、これは100万人以上の共感を勝ち得るような本ではない。むしろ特定少数のアッパーな人(東大等超一流の国立大学を卒業し、頭脳明晰で高い教養を積んだ秀才で金持ち)以外、多くの人は反発を覚える内容ばかり書いてあるように思えて仕方がないのである。辛口の批評で知られたコラムニスト山本夏彦の大ファンである私には、養老さんのコメントは、ほとんど山本夏彦が言っている内容と瓜二つに思えた。例を挙げると、「二軍の選手がイチローの10倍練習したからといって、彼に追いつけるようになるものではない。私たちには、もともと与えられているものしかないのです」と養老さんは言う。これって、山本さん流に言えば「ロバが旅に出たからといって、馬になって帰ってくるわけではない(だから凡百の阿呆どもがいくら海外旅行したって何も学ばないし何も理解できないで終わる。故に日本人の大多数にとって、海外旅行はムダである)」と言うことになるし、「分際を知れ、分際を」という罵声にもつながる話だ。しかし、私たち「巨人の星」を見て育った昭和の人間は「アメリカ人も日本人も同じ五本の指でボールを投げている。大リーグの人間に出来て日本人に出来ないはずがない」という努力至上主義を信じて研鑽を重ね、ここまで偉大で豊かな国を作り上げることに成功したのだ。養老さんの大脳決定論は、一歩間違うと、「人種決定論」に変化し、「所詮すべての文明は神にもっとも近い存在=白色人種が生み出したのだ。白色人種は文明を創造し人類を主導する崇高な使命を神から与えられているのだ。黄色人種や黒人土人は、所詮、いくら努力しても白人様には敵わないのだ」という人種差別にショートカットしかねない危険性を持っている。こんなこと、養老さんの文章を読めば、すぐに鼻についてくるはずなんだが、多くの人は、この点に気がつかなかったのだろうか。養老さんは別のところで「猫も杓子も学習塾に子どもを通わせて進学熱が高まっているそうだが、あんな無駄なことどうしてやるのか。バカな子はいくら詰め込んでも利口にはならない」とも書いていた。こんなこと言われて多くの読者は平気なのだろうか。不思議だ。

また養老さんは、脳の研究の重要性を繰り返し説く。基本的にはすべての国民の脳の構造をまず徹底的に調べてデータベース化し、次に異常犯罪者や精神疾患者、殺人犯、例えば宮崎勤の脳を徹底的に調べてその特徴を洗い出せば、もしかすると今後、類似の犯罪を予防することが出来ると養老さんは説く。人間の脳を類型化すれば、そこから「あなたはキレやすい衝動殺人を犯しやすいタイプ」「あなたは快楽殺人を犯しやすいタイプ」「あなたは連続殺人を犯しやすいタイプ」等の分類が明らかになるので、タイプ別に指導教育を施せば、より円満な社会が構築出来るかのように養老さんは提案する。しかし、これって神をも恐れぬ所業と私には思える。これも一歩間違えるとナチスドイツ顔負けの優性医学思想をダイレクトに社会に適用し、不具者を社会から駆逐するという思想に迷い込みやすいと私は恐れるのである。こういう極端な思想を平然と養老さんは垂れ流すのである。

それなのにどうして「こんな本」が400万部超も売れたのか。答えはタイトルにある。「バカの壁」というタイトルこそが、本書の売れ行きを決定付けた唯一の理由であり、それ以上でもそれ以下でもない。本書に書いてあることを仔細に知れば、多くの読者は本書を投げ捨てたことだろう。本の売れ行きは中身とは関係ない。タイトルで全てが決まるのである。同様のことは養老さん自身にも言える。これだけ辛らつで厳しいコメント、突拍子もなく危険な発想を垂れ流す養老さんは、別に個人的に批判もされず、マスメディアからも追放されず、いまだにご意見番としてテレビや雑誌に登場し続けている。こんなに弱者を見下した意見の持ち主が、どうして大衆に受け入れられ続けているのか。その理由は、ひとえに養老さんの表情にあるのではないかと私は疑っている。養老さんの口から出たことを文字にすると、読みようによっては実に辛らつで救いがなく危険なことを言っているように思える。しかし、その危険な差別思想を、養老さんは常にニコニコニコニコしながら楽しげに語るのである。あの独特のイントネーションとリズム、周波数とニコニコ顔に大衆は騙されているのではないか。非常に辛らつなことを言われているにもかかわらず、養老さんのニコニコ顔を見ると「ありがたいお話」に聞こえてしまうのではないか。脳科学を知り抜いた脳学者養老孟司は、もしかするととんでもない極悪人で、人間の脳のメカニズムを悪用して、大衆を欺いているのかもしれない。少なくとも養老さんと同じことを舛添要一が目じりを吊り上げて早口でまくし立てたら、彼は即日マスコミはもちろん日本社会からも永遠に追放されてしまうのではないか。人間の評価で一番重要なのは中身ではない。それが他人にどう映るかである。その点において表情というのは極めて重要なファクターなのである。

一冊100円とすれば、これで養老さんの手元には4億円超の印税が転がり込んだことになる。65歳を超えた老人に4億のカネは使いきれない額である。これをわたし続けるのを養老さんは「強欲」と決めつけ、「欲をかくのは良くないというのが仏教の教え」と本書にも書いているので、それが養老さんの信念なら、使いきれない印税を養老さんは寄付するなり寄贈するなりするはずだ。本書の印税で稼いだアブク銭を養老さんがどのように処分しているのか、是非、知りたいところである。

厳しいことばかり書いてきたが、私は基本的に養老さんの発想が好きだ。特にキリスト教やイスラム教のような一神教は、要するに「自分だけが正しい」「真実はひとつ」という強烈な思い込みを具現した危険思想であり争いの元であるという考えに私は200%同意する。「真実はひとつではない」「それぞれに言い分がある」「喧嘩両成敗」を旨とする日本の発想が世界を平和にするうえで、案外ユニバーサルな可能性を持っているという養老さんの発想に私は「我が意を得たり」と膝を打つのである。

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本書の白眉は「和辻哲郎と戦後日本 新偶像再興論」であろう。

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

和辻哲郎は哲学者として終始政治とは距離を置いた。「世界史の哲学」を提唱し海軍に接近した京都学派四人(西谷啓治・高坂正顕・高山岩男・鈴木成高)と異なり、知識人が政治主義的になることを徹底的に忌避した。和辻哲郎にとって最も忌避されるべきはファナティックな態度であり、左から現れるマルキシズムも右から現れる軍人の独善的なファナティックな態度も極端に嫌った。この和辻のスタンスこそが和辻を無傷で戦後まで生きながらえさせた。粕谷は和辻のスタンスを「戦争に何がしかコミットした人間が、敗戦に耐え、それを越えて、精神的営為を持続したことは、精神が国家の敗亡を越えうることを証明した」と評価しつつ、和辻を含む「日本人の資質の強靭さは、むしろこうした逆境のなかの姿に見出すべきだ」としている。

戦前に生まれ、戦中を生き、戦後まで生き延びた和辻はその姿勢を変えなかった。変えなかったことに本来の意義があるのだが、時流に流された岩波書店とその岩波に群がった軽薄な「進歩的知識人」と呼ばれた一群は、マルクス主義、コミュニズムに批判的な姿勢を崩さない和辻を含む自由主義者たちにオールドリベラリストという誹謗中傷のレッテルを張って攻撃と嘲笑の対象とし、当時岩波の看板雑誌だった「世界」から追い出してしまう。進歩的知識人とはどういう連中か。粕谷曰く「資本主義社会から社会主義へという歴史の発展(法則)は歴史的必然」で、「(世界の人々を図式的に)前衛・知識人・大衆(と色分けする)というレーニズムの命題こそ、知識人の位置であり、日本共産党への同調と協力のなかで、労働階級と連帯していくことがその責務」と信じる人々だということになる。具体的には丸山真男、大塚久、高橋幸八郎、辻清明、川島武宣、清水幾太郎らの社会学者。歴史学者では羽仁五郎、石母田正、北山茂、井上清、鈴木正四、奈良本辰也。文学では宮本百合子、中野重治ら「新日本文学」の常連や日本共産党に戦後入党した森田草平、出隆らの名前を粕谷一希は列挙している。

これら「進歩的知識人」は、時流を背景に矢襖のごとき罵詈讒謗を和辻哲郎らに浴びせ続けた。しかしそのいずれも「今日からみれば実効性のある批判といえるものはない」と粕谷は一刀両断している。マルクス主義に基礎を置いた社会科学が和辻らが提唱した哲学にとって代わることがついに出来なかったことについても粕谷は「体制批判と言う貴重な視点を提供したにも拘らず、その隠されたイデオロギー性のために、社会主義国家の現実が幻想を打ち破ると共に、次第に退潮してきていることは、蔽い切れない趨勢である」と断じている。注意しなければならないのは、本論文が書かれたのがベルリンの壁崩壊の遥か前、1981年だったことである。粕谷の慧眼は瞠目に値する。

ただびっくりしたのは和辻ともあろう大学者がSAPIO、WILLも真っ青な白人陰謀論を堂々と展開していたことだ。以下、和辻の文章を引用する。「日本は近代の世界文明の中にあって極めて特殊な地位に立っている国だ」「日本のこの特殊な地位は世界史的に規定されているのである。世界史上にこれまで高貴な文化を築いたものは、西アジア・欧州文化圏のほかにインド文化圏、シナ文化圏を数えることができるが、近代以後にあっては、欧州の文明のみが支配的に働き、あたかもこれが人類文化の代表者であるかのごとき観を呈した。従ってこの文明を担う白人は自らを神の選民であるかのごとく思いこみ、あらゆる有色人種を白人の産業の為の手段と化し去ろうとした。もし19世紀の末に日本人が登場してこなかったならば、古代における自由民と奴隷の如き関係が白人と有色人の間に設定されていたかも知れぬ」「だから20世紀が黄禍という標語と共に幕を開いたのは偶然ではない。近代文明の点においてはなお極めて幼稚であった40年前の日本の勃興が、直ちにジンギスカンの欧州席巻を連想せしめたごときも、日本人の能力が如何に欧州人にとって予想外であったかを示しているのである」「もし(白人絶対優位の)近代文明の方向が護り通されるべきであるならば、危険なる日本は抑圧されねばならぬ。この点において白人の国々はすでに連携して日本に対抗してきたのである」「英人がインドの資源を開発し、米人がアメリカの資源を開発することは、すべて文明の進歩を意味したが、日本とシナが連携して日本がシナの資源を開発することだけは、あくまでも妨害さるべきことなのである。シナにおける抗日の激成は日本を抑圧する最も有効な手段として、きわめて巧みに推し進められた」

この今も原田武夫や関岡英之あたりが垂れ流している陰謀論を粕谷一希は、一刀のもとに切り捨てている。「この(和辻哲郎の)世界観は多くの問題を孕んでいる。第一に、日韓併合、対シ21カ条要求、シベリア出兵、満洲事変と、欧米帝国主義を模した日本の帝国主義的行動についての批判的視点がない。第二に白人対有色人という観点が強調されて、対立が固定され、欧米の中の理想主義や宥和的態度の促進といった柔軟な戦略的思考が無い。また同じ欧米のなかでも政治体制やイデオロギーの角逐があり、そこでの合従連衡、権力政治と勢力均衡への観察が欠けている。いわば政治的思惟が欠如している」

けれどもと断って、ここまで陰謀史観を思い詰めた和辻を一転、粕谷は弁護したりもする。「船によって太平洋、印度洋を経て欧州に留学洋行する人々は、いやでも植民地支配の過酷さを目前の風景として眺める。その衝撃は深刻であり、近衛や和辻に限らない。大川周明のようなアジア主義者にその反応は典型的に現れるが、リベラルな傾向の人々にも、若き正義感を掻き立てるものがあったのである」

ただここで終わらないのが粕谷の優れたところで、「ここに、維新から日露戦争までを担った明治の第一世代と根本的に異なるところがある。自らの国力を計算し、日本自体が極めて脆弱な基盤の上に欧州列強の支配の中を辛うじて幸運に恵まれて生きて来ているという相対感覚が第二世代から消えていくのである。日本は今や日露戦争に勝って、列強に伍したのであり、同列の欧米列強を、対等に批判し自己主張を貫徹する姿勢だけが次第に強まっていく。敵を最小に、味方を最大にしながら自らの力の行使を最小に限定するという政治的叡智が失われていくのである」「アンゴロサクソンを敵に回すべきでないということこそ、我々が肝に銘ずべき最大の教訓なのだが、これを忘れるという愚を犯していくのである」

中国人民解放軍の現役の空軍大佐戴旭が書いた「中国最大の敵 日本を攻撃せよ」(徳間書店)を読んだ私には、なんだか戦争前の日本と、今の中国が二重写しになるんですよ。

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いちきゅうはちよんって

20人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

手にとって読み始めるまで題名はてっきりIQ84だと思ってた。IQは100が標準だから、きっと知恵遅れというか知的障害者の話なんかなあと思っていたら、なーんだ、ジョージ・オーウェルの「1984」のオマージュかよ。そろそろ春樹もネタが尽きたか。それにしてもセックス教団が舞台なんてなんだかなあ。村上春樹ならとにかく買うという思考停止の奴が多いから本書も売れているみたいだけど、そんなに面白いか、これ。石原慎太郎「弟」、山口百恵「蒼い時」。。。かつてのベストセラー本が今、どこかで平積みになって叩き売りされている、なんだか本書の明日をデジャブしているみたいな。。。

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もしかして、これも文部科学省の陰謀?

10人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書の著者は「従来の日本の教育は履修主義だから駄目で、これを習得主義に改めなければいけない」と熱く語ります。でもこれって、ちょっとおかしい。だって、習得主義ということはテストの結果次第でバンバン落第させるってことでしょう。留年する人が大量に出たら、翌年以降の授業どうするんでしょう。底辺校と呼ばれる高校なんか、生徒数があっというまに定員の2倍くらいになるんじゃないかなあ。

最近、医者に続いて弁護士試験まで6年くらい大学に通わないと受験できなくなりました。次は学校の先生だそうで、教師になるのさえ大学院を出ないとなれないようにするんだとか。でも、これって、要するに少子化で生徒の確保が難しくなった大学が、就学年数を伸ばすことで、より多くの学費を生徒からふんだくろうということでしょう。まさか習得主義もこの延長線上の話で、要するに勉強しない・出来ない生徒は長く学校内に留め置いて、より多くの学費を学校に納めろと、こういうわけですね。これって、いくらなんでもあんまりというかえげつないというか、やくざもようやらないカネ獲得のための阿漕なやり方だと思うんだけどなあ。

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紙の本間違いだらけの教育論

2009/09/05 08:40

日本の教育を一律に論じることの不毛

11人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人間には様々な能力の格差がある。一番わかりやすいのが運動能力で、誰しも「毎日激しいトレーニングを積めば、君も100メートルを9秒台で走れる」などと説教されても「そんなアホな」と思うことだろう。ところが知的能力となると話は別で、猫も杓子もみなさんやり方次第で「啓蒙」され「学習」する能力・姿勢が身に付くみたいな幻想というより妄想を抱いてしまう。その代表例が、本書の著者、諏訪その人だろう。

諏訪は教育において最もコストと時間がかかるのが「野獣である子供を啓蒙し、生徒にすること」にあって、そのことを論じず、ひたすら知識の効率的吸収ばかりを論じる「教育論」は有害無益なんだという。そして本書では斎藤孝や陰山英男をひたすら攻撃し非難している。しかし、本当に諏訪の言うことは「正しい」のだろうか。たまたま私の職場の周囲には東大法学部や京都大学法学部、一橋大学法学部しかいないわけなのだが、彼ら彼女らに本書を趣旨を説明しつつ「学校で、あなたは啓蒙され『生徒』になりましたか」と聞くと、「はあ?」という表情をする。「無意識のうちになっていたのかなあ」「幼稚園で生徒になったのかなあ」「いや、幼稚園に入る前だよ」と諏訪のいう「啓蒙段階」など、小学校時代は当然、まして中学、高校なんかではまるで経験していないのだ。多くは中学受験を経験し、すでに小学校の高学年から「がり勉」を自主的に行い、中学校高校ではひたすら知識の吸収に努めた彼ら彼女らにとって、諏訪の言説は「いったいどこの話をしているんだよ」状態なのだ。

ここで確認しておきたいのは、諏訪は小学校の教師ではなく高校の教師だ。高校とは義務教育段階を終え、大学へ進学するための準備期間であり、そこに進んでくる「生徒」は、当然、自ら進んで学習する態度が身に付いているのが前提とされるんであって、そうでないのは高校生とは呼べないのである。以前どこかで日本の底辺校を視察した欧米の教師たちが「これを高校と呼ぶのか」と目を丸くしたという記事があった。日本の「高校全入」「高校無償化」推進論者たちは二言目には「欧州では高等教育は無償が当たり前」だの「欧米やOECD諸国では高等教育段階への進学率が80%を超えている」だのと主張する。しかし、ここで気をつけておかねばならないのは「高等教育」の定義である。フィンランドやフランス、英国など欧州では高等職業訓練学校というのがわんさかあって、これも「高等教育機関」と分類されているのだ。日本でいえば「ものつくり大学」みたいなもんだろう。日本みたいな「単線型教育」を敷いている国は欧州にはない。欧州は今も昔も厳格な階級社会である。

人間には格差がある。その格差は運動能力のみならず知的能力にも格差があるのである。だから教育というものも「人類みな平等」というありもしない妄想・願望を前提にして一律平等に論じるのではなく、「能力に応じた」議論をしなければならないと私は思うのである。

教育論で今や「大御所」となりおおせた苅谷剛彦あたりは「教育を通じて平等を実現する」妄想の虜となっているが、本来教育とはすればするほど格差が開く格差の増幅装置である。できる子はどんどんできるようになり、できない子は、結局できないのである。そう、丁度わたくしがいくら走りこんでもウサイン・ボルトのようには速く走れないように。

昔、日本の子供の大半は、ろくな家庭での躾も受けず、小学校や高等小学校教育を修了し、社会へと出された。そしてその後の教育は「社会」が担ったのだ。じゃあ、その「社会」がどういう教育をしたかといえば、平たく言えば「いじめ」「いびり」こそがその実体だったのだ。相撲部屋をイメージしてもらえばよい。あるいは自衛隊の訓練キャンプをイメージしてもらえばよい。イメージできない人はスタンリー・キューブリック監督の「フルメタルジャケット」を見てもらえば軍隊における教育の中身を知ることができる。先日も相撲部屋での「教育」が行き過ぎて死者がでたが、昔からこういうことはあった。ただ事件にならなかったのである。報道されなかったのである。家庭で教育できない、あるいは教育を放棄した家庭に生まれた子供は昔から戸塚ヨットスクールや相撲部屋みたいなところで教育してきた。そしてその過程で多くの「生徒になりきれない野獣」は死んでいったのである。諏訪がいた埼玉県の底辺校は、こういうたぐいの場所だったのである。

だから確認のためにいう。開成や麻布にいて東大を目指している生徒、あるいはこれに準ずる学校に通う生徒の「教育」の話(斉藤や陰山はこういう階層に向かって話をしている)と、諏訪みたいな「高校という名の相撲部屋」の話を混ぜて論じるのは不毛なのである。まぜるな、キケンなのである。

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紙の本世界を知る力

2009/12/29 09:32

日米関係をめちゃくちゃにした男

18人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これほど事実を捻じ曲げて平然と語れる人を「デマゴーグ」というのだろう。

例えばこの人はあの人のよい、ぼくの大好きな、ジョージ・W。ブッシュさまが大嫌いなようだ。それはそれでよい。しかし9.11事件が「傲慢なブッシュ政権が自ら招いた事件」というのはウソである。アルカーイダがアメリカに対する怒りを募らせている時期、8年間も大統領の職にあったのは執務室でご乱行に及んだ前代未聞の破廉恥野郎クリントンである。クリントンが散発的に中東に打ち込んだ巡航ミサイルやクリントンがサウジに米軍を駐留させ続けたことにオサマビンラディンらは怒りを募らせていたのであって、その時期、ブッシュさまは政治には直接関与していなかった。ブッシュさまは、その意味で「被害者」だ。

私の大好きな小泉純一郎様を悪しざまに言うのもいただけない。小泉様の時代に格差が広がったというのは大ウソで、むしろ竹中小泉の天才コンビが行った素晴らしい政策の数々で不良債権問題にかたがつき、景気は回復し、株価が上昇したのである。天才政治家小泉純一郎さまが目指した「改革」は空疎でもなんでもな。それは国土の均衡ある発展という田中角栄政治の呪縛からの脱却という具体的な目標があった。人間、いくらカネを稼いでも、稼ぐ先からカネをドブに捨てていれば貧乏になるにきまっている。田中角栄の政治は2ケタの高度成長をバックに、田舎という日本経済のドブに日本の大企業や大都会に住む大企業の従業員がおさめた税金を盛大にばらまくことだった。だから田中みたいな馬鹿なことは低成長時代に移行したとたん、やめなければならないのに、野中広務以下のあほうは「弱者の味方」と言いながら「土建屋の味方」をするために、この田舎というドブに国民の貴重な税金をばらまき続ける政治を継続しようとした。だから小泉様が立ち上がったのであり、土建屋以外の職業に就く大多数の国民が半ば熱狂的に小泉様の「改革」を支持したのだ。そして野中らが死守しようとした「郵便貯金」こそ、田舎というどぶにカネをばらまき続けることを可能にするマシーンだったのである。

今、民主党は郵政民営化をひっくり返し、郵便貯金の「出口」である日本政策投資銀行の民営化をストップさせて、これを再び政治家のおもちゃにしようとしている。しかしいまどき政策投資銀行が貸しこめる相手先などない。政策投資銀行が貸し出せるのは民間の銀行が忌避するゾンビ企業、そう、日本航空くらいだ。日本政策投資銀行は日本航空にだんとつに貸し込んでいるが、日本航空が破産した場合、政策投資銀行が被る莫大な貸倒損失は結局全部国民負担となる。早い話、政策投資銀行がなければ、ここまで日本航空を無駄に延命させることはなかったし、日本航空がもっと前に破たんしていれば、赤字を垂れ流しながら地方の田舎空港に飛行機を飛ばすこともなかったし、そもそもド田舎に血税空港を作ることもなかったのである。

このあたりにまったく触れず民主党万歳を唱え続ける「寺島という異常な存在」を目の当たりにして、正直私はめまいを覚えた。

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