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    3月のライオン(1)

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    はらぺこあおむし 改訂

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    エリック=カール (さく),もり ひさし (やく)

    5つ星のうち 4.5 レビュー詳細を見る

あがささんのレビュー一覧

投稿者:あがさ

73 件中 1 件~ 15 件を表示

ペットを守るのは、獣医さんではなく、あなたです。

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

よい獣医さんを選ぶには、どうしたらいいか。
動物と一緒に暮らしてる人間にとっては、とても大きな問題。
大事な家族の命を預けることになるかもしれないわけだから、慎重に選ばなければならない。
だけど、どうやって選択すればいいのか、何を基準に「良い、悪い」を判断すればいいのか、わかりにくいと思わないだろうか。
そう思っていたときに、この本に出逢った。

獣医療の現場では、様々な問題が発生しているようだ。
本当に動物を愛し懸命に努力を重ねていらっしゃる獣医さんがいる一方で、モラルの低下した、いわゆる『儲け主義』に走る獣医も少なくはない。
どうして、このような獣医が存在しうるのだろうか。

犬や猫などの小動物を診る獣医さんの歴史というのは、まだ浅いものだそう。
40年前には、ペットの獣医さんは存在しなかった。
主に公衆衛生、牛肉や卵などの衛生管理などが獣医さんの使命だったのだ。
大学におけるカリキュラムも、いまだにこちらが中心であり、小動物の臨床について、あまり学ぶことができないまま、「獣医」として世に送り出されている。
それでも、卒業してすぐに、どこかの動物病院の助手として勉強することのできる若い獣医さんは、まだいいほうだろう。
問題なのは、長い間、畜産関係の仕事に就いていて、定年になったから動物病院でもやるか、という軽い気持ちで開業する獣医がいるということ。
小動物についての経験も知識も少ないはずなのに、免許さえ持っていれば「獣医」として開業することができる。
そして、何か問題を起こしたからといって、獣医師免許が取り消されることもない。
法律上、ペットは「モノ」なのだから、医療ミスで殺してしまっても器物損壊の罪にしか問われない。
恐ろしいことだ。

獣医には、いろんな人がいる。
儲けは度外視して、動物と飼い主が幸せに暮らせるためにと一生懸命に頑張っていらっしゃる獣医さんもいる。
危険だけど安い薬を使い、道具も使い回して、原価を下げ、「うちは治療費が安いですよ」という獣医もいる。
安全な薬を使い、1匹1匹に対して充分に誠意を持って治療にあたった結果、他より治療費が高くなってしまう獣医さんもいるだろう。
日々進歩していく医療技術について何の勉強もせず、ただ思いつきで診療し、ミスをミスと認めず威張り散らすだけの獣医もいるようだ。

よい獣医さんはどこにいるのか。
それを見つけるには、飼い主がもっと賢くなることが必要なのだろう。
医者にまかせっきりにするのではなく、自分でも勉強することが必要なのだと思う。
獣医さんに積極的に質問をし、情報を得ることができるだけの知識を身につけること。
そして、病気になって慌てて病院を探すのではなく、健康なうちから情報を集めることも大切なこと。

大切な家族の命を守るのは、獣医ではない。
いつもそばにいてあげられる飼い主自身なのだ。
私も3匹の犬を寿命ではなく病気で亡くした。
私自身が賢い飼い主であったならば、今も元気に楽しく暮らせていただろう。
本当に悔しくて、申し訳なくて、無念でならない。
この3匹の死を無駄にしないためにも、賢い飼い主にならなければいけない。
よい飼い主になるために、この本はとても役に立つ。
今の獣医療の問題点について、少しでも知っておくことは、絶対に無駄にはならないはず。
獣医の現場はどんな方向へ向かっているのか、どういうふうに獣医さんと接すればよいのか、そのヒントが得られる1冊だ。

ひとつ、どうしても気になるのは、獣医を育てる現場で、実習の名のもとに故意に傷つけられ、命を落としている動物がいるということ。
骨折の実習のために、健康な犬の足をわざと折ってしまう、そんなことが本当に行われているのだろうか。
そんなことをしなければ、学べないものなのか。
病院へ行けば、実際の治療の現場も見学することができるだろう。
欧米では、イミテーションやコンピュータを用いた実習が行われているそうだ。
それじゃ駄目なのか。
医学の進歩のためには、動物の命を犠牲にすることも必要な時もあるだろう。
ただ、この実習については、無益ではないかと思えて仕方がなかった。
これは、ただの感傷にしか過ぎないのだろうか...。

最後に、本書の冒頭部分に書かれていた言葉を紹介したい。

 選択を誤らなければ、あと数ヶ月あるいは数年、
 飼い主との幸せな日々を過ごせたはずのペットたちの魂に捧ぐ。
 誤った選択のために、不幸な死を迎える動物たちが減りますように...。

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紙の本五匹の子豚

2009/08/20 09:24

クリスティここにあり!というほどの名作。読まないと損をしますよ。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

16年前に裁判も終了し、一応の解決をみた殺人事件について再調査して欲しいという依頼を受けたポワロ。
依頼人は、カーラ・ルマルション。毒殺されたのはカーラの父。犯人として裁かれたのはカーラの母だった。夫殺しの犯人として獄中死した母は、無実だったのだとカーラは信じている。

事件の関係者は5人。
殺害されたカーラの父アミアスの親友、メレディス。
アミアスを敬愛していたメレディスの弟、フィリップ。
カーラの母カロリンの異父妹、アンジェラ。
アンジェラの家庭教師、セシリア。
そして、アミアスの愛人、エルサ。

まず、ポワロはこの5人を訪ね、この事件について手記を書いて欲しいと依頼する。既に解決した事件を蒸し返して何の意味があるのかと、誰もが不審に思いながらも、承諾する。

一人の気まぐれな芸術家が愛人を家庭に連れ込み、そして毒殺された。第一発見者である妻が、激しい嫉妬から殺害したものとして逮捕された。この事実を、5人それぞれが違う視点から捉え、振り返っている。
同じ会話を聞いていても、同じ行動を見ていても、受け取り方次第でこんなにも解釈が異なるのかと、驚かされた。

16年前の事件であるから、物的な証拠は何一つと言っていいほど残っていない。頼るべきはただ関係者の証言のみ。しかも、それが真実を述べているのかどうかの確証もない証言だ。
それをもとに、当時の警察も見つけられなかった真実をポワロが見つけ出す。最後に関係者を集めてポワロがいつもの謎解きを始めるのだが、その鮮やかさには、惚れ惚れする。
物的な証拠のみに頼らず、関係者の心理面からの捜査を重視するポワロならではのミステリだ。

もちろん最後には真犯人が明らかになる。
クリスティ作品の中でも、一、二を争うほど、哀しい結末だった。

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税金を遣うのは国民です!その第一歩は投票だということに気づいてください。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

税務に携わる仕事に就いて、十数年が経つ。それだけに、「税」とつくものには多少は他の人よりも興味を持っていると思う(もともと経済音痴ではあるが...)。

税金というと、みな「盗られる」という。それを私は「納める」のですよと言ってきた。
「盗られる」も「納める」も、その金額に見合った何かを求めていない言葉だ。
税金というのは、行政サービスを国民に提供するために集めているお金である。よって、その額に見合った対価を納税者は求めるべきなのだと、本書を読んでそう思った。
自分が支払った税金が、どのように運用され、活用されているのか、それに対しての国民の意識が、以前よりは高まってきた昨今。「税金」とは本来なんなのか、どのように集められ、使われるべきなのか、基礎の部分をとてもわかりやすく説明してくれる本である。

税金の素人の代表である「中村うさぎ」氏に、税金の玄人「加藤寛(元政府税調会長)」氏が、優しく丁寧に「税金」について解説している本書。
私も税金については半分素人、半分玄人である(半分以上「素人」かもしれないが(汗))。それでも、新しい見方を教わった気分である。
「税金」の基礎知識のほかに、現在の日本財政の危機的状況、それをどのように立て直していくべきなのかというところまで、本当に易しい言葉で説明されている。

「税法」というのは、非常にわかりにくい条文ばかりである。長ったらしい条文の中にカッコがあり、その中にまたカッコがあり、その中にまた...というのが続いて、最後に述語にたどり着く。述語にたどり着いた頃には、主語は何だったんだっけ?と、もう一回最初っから読み直さなければならない。
また、本法で決められたことが、附則では全く違ったことになっていたり、規則ではまたおかしなことをいっていたり、本当に難解。
国民にカラクリをばらしたくないために、わざと難しくしているのではないかと思うくらいだ。
難しいことを難しく説明するのは、簡単なこと。誰にでもできる。
難しいことを易しく説明することが大切なのである。
法律を作るのは結構だが、その内容を国民に易しく伝えてほしいと思う。

税金の無駄遣いがマスコミで報道されるたびに、国民のみなさんから強い風当たりを受けるのは、現場で働く税務職員なのである。悪いことをしたり、無駄遣いをしたりしている人たちではない。
税務職員も納税者の一人。納める苦労、徴収する苦労を知っているだけに、ムダに税金が使われるのを見ているのは、本当に腹が立つ。

しかし、官僚はともかく、法律を作る機関である立法府の議員たちを選出しているのは、主権を持っている「国民」なのだ。税金の集め方、使い方について、意見を反映させることのできる行為が「選挙」なのである。
国会議員だけではなく、地方自治体の議員についても同じことが言える。
一般の公務員は、立法府で作成された法律等に従って、業務を行っていく。
税金の徴収に訪れた職員に意見(文句?)を言う前に考えて欲しい。法律を作ったのは、皆さんが選んだ議員で構成される議会なのだということを。「選挙(参政権)」という貴重な権利をムダにしないで欲しい。
自分たちの貴重な「税金」を安心して任せられる人を、選ぶ目を持たなければならない。

この本は2001年に発行されたものであるので、多少現状とは違う部分があるが、それでも基礎を学ぶのに不足のない本である。

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紙の本「死体」を読む

2009/07/02 08:42

死んだ人間も、思いの外、多弁である。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

書店で見つけて、思わずタイトル買いしてしまった本である。
ミステリ好きとして、無視できないタイトルだとは、思わないだろうか?

この本の中では、元監察医である著者が、その経験を基に、エドガー・アラン・ポーの「マリー・ロジェエの怪事件」や、芥川龍之介の「藪の中」、横溝正史の「犬神家の一族」などの殺人事件を検証している。
それぞれの被害者の状況検分や、犯人の検証など、実際の法医学からみておかしな箇所を指摘している。
そういうことにこだわらなくても、面白く読めるのがミステリなので、それはそれでよいのだが。

また、面白い見解を示してくれた。
山の近くで育った犯人は海に死体を捨てに行き、海の近くで育った犯人は山に死体を捨てに行く、というのである。
山で育った人間には、重い死体を担いで山の中を歩き、地面を深く掘って、永久に死体を埋め隠すのが難しいことをよく知っている。
海で育った人間には、海流や時化の関係で、死体が岸へ打ち寄せられることを知っている。
だから、お互い逆の方法を選ぶというのだ。
著者ご本人が多少苦し紛れの説だ、というのだが、私は納得してしまった。
そういうものかもしれないな、と。

ミステリのみでなく、実際の事件についても数件触れられている。

生きている人間を相手にして病原を突き止める臨床医と、死体を前にして何故に死んだかを突き止める監察医。
生きている人間ならば、自分の状態や症状が起きる前後に何をしたかなど、医者に向かって話すこともできるだろうが、死体はそうはいかない。
「死人に口なし」という言葉もある。
が、しかし本当にそうなのだろうか...?
「死体」を事細かく検分することにより、「死体」が自分の死因を語ってくれることもあるのではないだろうか。

著者が指摘しているのは、我が国において監察医の制度が整っているのは、まだ大都市圏のみだということだ。
その他の地域においては、解剖して死因を明らかにしたい場合でも、財政的な問題などで不可能になるケースもあるのだそうだ。
本書を読んで、解剖せずに「病死・自然死・事故死」などと判断された死体が、実は殺害されたものであるというケースも、十分にあり得るような気がしてきた。

自分を死に至らしめた理由を話したがっている「死体」を黙らせてしまっているのは、こういう制度なのだろう。
今後、監察医制度がさらに整備された暁には、「殺人事件」がさらに増加するかもしれない。
いままで表に出てきていなかったものが、浮かび上がってくるからだ。

法医学の重要性を改めて認識できた気がする。
著者の他の作品も読んでみたい。
また、随時、ご紹介していきたいと思う。

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紙の本邪悪の家

2009/08/12 20:55

残酷な殺人も、最後のユーモアで少し心が救われる。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

殺人のトリックらしいトリックは無い。
ただ中盤まで殺人の動機が不明なのだ。
その動機が明らかになったとき、おのずと犯人に迫っていく。

動機がわからないから、誰を疑っていいのかわからない。
しかも、みんながみんな何かを隠しているようで、誰もが疑わしい。
ポアロが真実にたどり着くきっかけとなったのは、ヘイスティングズの他愛ない一言。
その一言を聞くまでは、ポワロですら犯人の思惑通り、全然違う方に向かって推理を展開していたのだ。
最後まで読んで真実を知った後なら、なるほどと思うのだが、そのときは何がなにやらわからなかった。
ポワロが何にそんなに驚いているのか、何に気がついたのか...。

この犯人、かなり魅力的。
すごく利己的で、狂気に近いほどの執着心を持っていて、大胆不敵。
ポワロの名声を知った上で、彼を利用しようとするんだもんな。
一度読んだら忘れられない殺人者の一人だ。

そうそう、本書ではポワロが最後まで解けなかった謎が出てくる。
最後の最後に、謎を投げかけた本人に尋ねて、その謎は解決。
何の罪もない女性が殺害された重い事件だったのに、締めくくりのユーモアのおかげで、少しさわやかな気分で本を閉じた。

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紙の本ホロー荘の殺人

2009/08/12 20:48

女性は魅力的。男性はだらしない。そんなミステリ。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ポワロものの一つだが、この作品の中でポワロはそれほど重要な役割は果たしてない。クリスティが語っているように、ポワロはいなくてもよかったように思う。

この物語にはいろいろなタイプの女性が登場。
その類いまれなる天真爛漫さで周囲を困惑させるにもかかわらず、人を惹きつけずにいないアンカテル夫人。
誰よりも強くて、優しくて、知性にあふれるヘンリエッタ。
報われない愛をいつまでも大事に暖め続けて、自分の道をひたむきに歩いていくミッジ。
ただひたすら夫と子供のことのみに自分の人生を捧げ、その愛にすがって生きているガーダ。
常に人に注目されることを望み、全ての男性が自分にはひざまずくものだと信じているヴェロニカ。

ガーダの夫ジョンの元恋人がヴェロニカ。今の恋人がヘンリエッタ。ミッジはエドワードを愛しているが、エドワードはヘンリエッタしか見えていない。
それぞれの愛が絡み合っている中、悲劇が起こる。ジョンが射殺されるのだ。
動機は...?
嫉妬...?
それとも...?

ミステリとしても、恋愛小説としても、とても読み応えのある作品だ。登場する女性たちがみんな魅力的。一度読んだら忘れられない人ばかりだ。
それに比べると男性陣は、ちょっと不満足かな。それでも彼女たちにとっては魅力ある男たちなんだろうけれど。
私の評価は、魅力的な女性が登場する作品だと甘くなる傾向にあるな。

最後のシーン。
悲しみに埋もれてしまいたいと願いながらも、それができないある女性の言葉で終わる。常に冷静な第三者が自分の中に存在していることに気づいてしまう彼女。一番悲しい女性かもしれない。

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言葉が静かに心に染みこんでくる一冊です。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ノートにメモしながら読んでいるので、読了までに時間がかかってしまった。それくらいじっくりと読みたい本だったのだ。

本書は「不安」がどこから来るのか、どうして「不安」になるのかを解明するのに重きをおいたものだという気がする。
読んでいるうちに、言葉がゆっくりと心の中に染みこんでいき、自分を納得させながら読み進めることができる。
読みながら心が落ち着いていくのも不思議だ。
私は経験はないのだけれど、教会で神父さんのお話を聞いている時やお寺でお坊さんの説法を聞いているときには、こんな気持ちになるのだろうか。

難しい話は一切なく、大事な言葉は繰り返し説明してくれており、本当に心の安定剤になる本だと思う。
興味のある方には、是非お薦めしたい。

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きらびやかな世界にもある表と裏

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

初めて読んだのは、高校生の頃。
図書館においてあったのを偶然手に取っただけだが、読み終わった後から、平安の世界に惹かれてしまった。
ありふれた現象の中にも、ふと覚える感動。
それは全く気にも留めない人だっているわけで、だからこそ同じ気持ちを分かちあえる人に出逢ったときに、更なる感動を得る。
定子中宮に出逢ったときの清少納言も、そう思ったのだろう。

父である藤原道隆が関白でいる間は、力強い後ろ盾のもとで、主上の愛情を一身に受け、とても華やかな後宮生活を送っていた定子中宮。
しかし、父が病死したあと、関白の位が叔父である道長に移るとともに、その生活は一変して不安定になる。
主上の定子中宮への愛は変わらないが、それだけではどうにもならない世界がそこにはあったのだ。
そんな中でも、やはり明るさと強さを忘れない中宮と、それを支えようとする清少納言。
いつでも前向きに、生きることの美しさ、楽しさを追求しようとする姿は、とても羨ましいものだ。

殿上人との機知あふれる言葉のやりとり、宮中での様々な行事の様子など、本当に生き生きと描かれている。
文章自体も語り口調で書かれているから、とても読みやすい。

下巻では、中宮の死も描かれる。
若宮出産とともに突然の死を迎える中宮。
中宮が逝った後の空虚感といったものが、私にも感じられた。
小説なのだから、読み返せばまた中宮に出逢えるのだが、何度読んでもこの部分では中宮を失う大きな寂しさを感じずにはいられない。
それほど、在りし日の中宮の姿が生き生きと輝いているのだ。
清少納言の、泣くこともできないほどの悲しさも伝わってくる。

私の中の『清少納言』像は、この小説から作られたものでしかない。
この小説の中の清少納言は、勝ち気で楽しいことが大好きで、ウジウジクヨクヨが大嫌いな人。
そして、一途に一人の人を愛すことのできる熱い気持ちを持った人。
そんな清少納言に共感を覚え、大ファンになってしまった。
次は、『枕草子』を、原文で読んでみたいと思う。

清少納言と定子中宮との物語としてだけではなく、清少納言と則光、清少納言と棟世、そして、主上と定子中宮との恋愛小説としての楽しみ方もできる一冊である。

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紙の本黒い部屋の夫 上

2009/12/06 22:28

うつ病の方・経験者の方には辛い内容です。読むには注意が必要かも...。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

まず、本書冒頭の箇所を引用したい。
「私の元夫は、私が妊娠した直後にうつ病になりました。出産や私の入院を経て六年間、家事育児と仕事、夫との闘病に私なりに力を注いだつもりでしたが、力尽きて離婚。私は新しい生活と、やがて新しいパートナーを得、元夫は自殺しました。」

そういう話である。

私は精神疾患をもつ家族の立場に立ったこともあるし、誰にも言えず一人うつ病と闘っていた時期もある。
今は、病院にかかり、うつ病を治療中の立場にある。
患者の家族の気持ちもわからないではなく、うつ病患者本人の気持ちもわからないではない。

今は、本書とは逆に夫に負担をかけながら、家でゴロゴロしている。
夫は出勤の支度をしながら朝食の準備をし、帰宅してからは夕飯の準備をする。もともと家事が得意ではない私は、うつ病というお墨付きを得て、それに甘えながらこの数年間、都合が悪くなると「動けない」と泣き言を言って逃げてきた。
そんな私が本書を読んで、何を語ればいいのだろう。
著者に対して何を伝えればいいのだろう。

突然うつ病になり、しかし自分の好きなことには生き生きと活動し、実家から援助をしてもらっている立場でいながら趣味に大金を費やす夫。にもかかわらず、妻には完璧を求め、仕事も家事も育児も手伝う様子をみせない。
著者は夫から渡されるわずかなお金をやりくりし、食事などの生活費を捻出するのに頭を痛める日々を送る。

うつ病患者は励ましてはいけません。
人はそういう。しかし、自分勝手に甘え放題している夫に対して、それでも励ましてはいけないのか。不満をぶつけてはいけないのか。妻としてどう接すればよいのか。彼女は答えを探して悩み続ける。
そして答えが出ないまま苦しみ続け、結局は離婚という決意をするのである。自分と娘を守るために。

離婚後、元夫は自殺する。
六年間、自分は夫を支え続けた。自分のことを顧みる余裕さえない日々を過ごした。なのに離婚後数ヶ月で元夫を死なせてしまった義父母。二人を恨む気持ちもあったようだ。死に逃げを求めた夫に対する恨みもあった。
死んでしまったら、文句も言えない。何もできない。
何故、死んだのか。誰が悪かったのか。
自分を責めるべきか、いや本人を責めるべきか、いつまで彼女は堂々巡りを続けるのだろう。

死んでしまった彼は、希望通りか否か、彼女の記憶から消えることはないだろう。
彼女が本当に心から笑える日はやってくるのだろうか。

うつ病患者、経験者が読むには、少々辛い本だった。
リアルすぎて、身近すぎて、恐怖さえ覚えた。
ただ、自分で自分の死を選んではいけない。
それは自分のためではなく周りの人間のために。
死んだ人間はそれでジ・エンドだろうけれど、周囲の人間はそうはいかない。重い十字架を背負って歩くようなものなのかもしれない。
それだけは、忘れないようにしたい。

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紙の本ファントム 上

2009/10/17 00:24

読んでいる間はエリックに恋してしまいます。切ないです。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本と出逢った瞬間を今でも覚えている。
一目、表紙を見たときから、なぜか惹かれた。
手に取り、1ページを見た途端、自分のものにせずにはいられなかった。運命の出逢いだったのかもしれない。
それほどに、私はこの本に惚れている。
というより、この本の主人公エリック(ファントム・オペラ座の怪人)に惚れているのだ。

ガストン・ルルー原作の「オペラ座の怪人」のファントムの生涯を描いたのが本書である。
エリックはなぜオペラ座に潜み、人を怯えさせ、ファントムと呼ばれるに到ったのか。

エリックは、生まれてから一度も愛を受けずに育った。母からでさえも。
原因は、その人間とは思えない醜悪な容貌のため。
誕生日のプレゼントに何が欲しいかと母から聞かれ、5歳の彼がこわごわ言い出したのは、「キスして欲しい」だった。息子がやっとの思いで言い出したその言葉から、母は背を向けた。二度とそんなことを言わないようにと彼に向かって叫びながら...。

醜い容貌を持つ彼の噂は村中を駆け回り、不吉だと暴力をふるうものも出てきた。自分がいては村人たちに忌み嫌われ、母の命さえも危ないと悟ったエリックは、わずか8歳で家を出た。愛する母を守るために。
皮肉にもその日は、母がエリックへの真の愛情を自覚したときだった。
あと1日、エリックが旅立つのが遅ければ...。
あと1日、母が悟るのが早ければ...。

それからジプシーに混じって旅をしたり、そこを離れひとりでさすらうごとにエリックは、冷たく強く、そしてある部分で弱い青年へと成長していく。

人間全てを憎むに到るだけの理由がある。
エリックは人間から人間として扱われて来なかった。
信じようとすると、いつも最悪の結末がやってくる。
それを学び、ますます人間から我が身を遠ざけるようになる。

残忍な殺人も行うエリック。
それでもなお、惹きつけられずにはいられない。
何度、この本を読み返しただろう。
読み返す度に、切なく哀しくなる。
本をそばに置いているだけで、落ち着かなくなるのだ。

著者もエリックを愛していたのだろう。
だから、エリックは非常に人を惹きつける。

上巻はペルシャで王室にとどまるところで終わる。
傲慢で我が儘で、残忍な后の欲望を満たすためにペルシャに呼ばれたのだ。
生まれつき正邪の区別がつかないエリック。
新しい殺人の道具を作れと言われれば、片手間にでも作ってしまう。
本当の彼は美しいものが好きなはずなのに。
后に与えられた麻薬に身をゆだねるようになってから彼は微妙に変わってしまった。

下巻ではさらに新たな苦しみを味わう。
あの運命の少女、クリスティーヌとの出逢いが待っている。
そこへ行くまでの旅も決して楽なものではない。

エリックに救いは訪れないのか...。
神を冒涜するエリックには、神も救いを与えないのか。
ただただ、哀しみと切なさが漂う物語である。

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家族なのに

2009/09/23 18:29

一度迎えた家族。いつまでも一緒にいてあげて!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

パパとママと一緒に楽しく暮らしていたワンコが、その夫婦に子供が生まれた途端、遠い待ちに捨てられ、ひとりぼっちになって、天国に逝ってしまうお話です。

哀しいと寂しいと泣いて、なぜ自分がひとりぼっちなのか理解できないまま天国に逝ってしまう子たちの気持ちを考えると、やり切れなくなります。
お願いします。自分の家族として迎えた子たちは、最後まで家族でいてあげてください。お願いします。ホントにホントに、お願いします。

イヌもネコも、自分の家族が大好きなんです。それは見捨てられた後も変わらないんです。自分がおいていかれたのは、何か悪いことをしたせいなんだろうかと考えながら死を迎えるんです。最期の最期まで、自分と家族との楽しかった日々を忘れないんです。いつ迎えに来てくれるんだろうかと、ずっと待っています。
これは人間からみた感傷にすぎなのかもしれないけれど、保健所にいる動物たちはみんな「哀しい眼」をしています。決して「怒っている眼」ではないのです。
「哀しい眼」をした子を増やさないでください。本当に心から、心から、お願いします。

基本的に、こういうお話は避けてしまいます。知ってしまうと、何もできない自分が悔しくて、どうしようもなく落ち込むから。
ドキュメンタリーやドラマや映画で、動物を主人公にしたものも、基本的に観ません。健気な(人間が勝手にそう見ているだけなのかもしれないけれど)動物たちの気持ちに、人間が100%応えきれているのかなと、疑問を消化できなくなるので。
でも、現実は現実として、そこにあるわけで、無視したところで無くなるものでもないんですよね。だけど、受け入れたくない自分もいて、どうしたらいいのかわからなくなる。

とにかく、自分が家族として迎えた命は、最期まで痛い思いも怖い思いもさせずに全うさせたい。今の私ができることは、それくらいしかない。あとは、こういう場所で呼びかけていくくらいかな。
なんて、無力なんだろう...。

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紙の本だれも知らない小さな国 新版

2009/07/07 07:39

時には子供に戻って、コビトたちと遊びたいですね♪

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「コロボックル」という言葉をご存じだろうか?
アイヌの伝説に出てくる小人のことだ。

実家に残っている自分の荷物を少し整理しようとしたとき、とても懐かしい本に出逢った。
コロボックル物語。
初読は中学生の頃だっただろうか。そうすると四半世紀以上ぶりに再会した訳だ。

この本では「こぼしさま」と呼ばれていた小人が登場する。
主人公の男の子が初めて出逢ったのは、小学三年生の頃。
家の近所の小山に1人で探検に出かけたのだ。
その山からの帰り道、トマト売りのおばあさんの話を聞いた。
昔からこの山は「鬼門山」と呼ばれていて、あまり人が近づかない場所だったそうだ。誰かが山を荒そうとすると、必ず災難が降りかかる。
「こぼしさま」が、悪い人間が近づかないように守っているのだという。

その後、ちょくちょく小山に遊びに行っていた少年は、ある日、自分より少し年下の少女と出逢う。彼女は川をジッと見つめているところだった。そこへ急に少年が声をかけたものだから、ビックリしてしまい、片方の靴を川に流してしまった。泣きべそをかいている少女のために、川に流れる靴を追いかけた少年は、不思議なものを見てしまう。靴の中に小さな小さな人間が3人乗っていたのだ!
これこそトマト売りのおばあさんが言っていた「こぼしさま」に違いない!
少年は確信する。この山にはまだこぼしさまがいるんだ、と。
靴を拾って元の場所に戻ると、少女はいなくなっていた。少年の手の中には靴だけが残った。

それから少年は遠くの町に引っ越すことになり、戦争が起きたりして、大人になったときには、こぼしさまのことを忘れてしまっていた。
久しぶりにむかし住んでいた町を訪れたとき、ふと小山のことを思い出したのだ。そして、この小山を自分のものにしたいと思うようになった。
その頃から、なんだかおかしな現象が起こり始めた。
目の前をスッと影が通り過ぎるのだ。1回だけでなく何度も。
これはコロボックルのテストだった。
信用できる人間かどうか、コロボックルがチェックしていたのだ。

テストに合格した彼は、正式にコロボックル達と挨拶を交わし、コロボックルの国を作ろうと決める。コロボックルが安心して暮らせる国を。
そうしている間に、昔、靴を流した少女と偶然再会した。
彼女もコロボックルのテストに合格し、二人してコロボックルと相談しながら、いろいろ準備をしていくのだ。

初めてコロボックルの本に出逢った頃、すでに中学生ではあったけれど、コロボックルのことを信じていた。決して口には出さなかったけれど。いつか自分の目の前にも現れてくれないかなぁと、周りを見回したりしたものだ。
本音を言えば、今だって信じてないわけではない。
もしかしたら、沖縄にだっているかもしれない。

だけど高校生になるころには、「誰か明日の朝までにこの宿題を終わらせてくれないかなぁ」とか「学校に行っている間に部屋を片づけておいてくれないかなぁ」などという「フトドキモノ」になってしまっていたので、もしコロボックルがいたとしても、私はテストに合格しなかっただろう(苦笑)。

昔々から伝わる小人物語。
読んでいて、懐かしさで胸がいっぱいになった。
何もしないから、一度くらい逢ってみたいなぁ...。

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本気でペットと向き合ってください。

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本書の「はじめに」から引用したいと思う。

****引用開始*****

この本は、解説書でもハウツウ本でもなく、ルポタージュです。

*************

著者がいろんな分野のプロと呼ばれる方々にインタビューしてまとめてはいるけれど、こうしなさいという文はひとつもない。いろんな意見を聞いて、自分の家族である犬・猫に対してどうしてやるのかを決めるのは一緒に暮らしている飼い主自身なのだ。

本書は4つの章からなる。

第1章 あなたのペットは病んでいる?
ペットは人間と言葉を交わせるわけではない。彼らが何らかの身体の異常を感じたとき、必ず飼い主に対してメッセージを送っているはずである。毎日、共に暮らし、身体を撫でるなどコミュニケーションを取っていれば気づく。
観察力が大事。ただ何となく毎日を暮らすわけではなく、今日はどこか痛めていないだろうか、食欲はあるだろうか、そんなことを考えながら接していくことが大切だと、私は思った。
動物病院に連れて行ったときに、適切に症状を医者に伝えることができるだろうか。これは大切なことである。
どんな病気も早期に発見し、適切に対処すれば、障害は最小限に抑えることができるだろう。
ペットの健康に責任を持つ。ペットを家に迎えようとする人は、是非覚えておいていただきたい。

第2章 一体何を食べさせればいいの?
この章は一番、不安を感じながら読み進めた。ドッグフードの質の悪さ。それは散々言われてきたことである。開封して数ヶ月経っても腐敗することのないドライフード。どれだけの人工保存料が入っているのだろう。
手作りの食事を、といっても、そこまで手をかけられないのが現実だ。今は手作りの食事を通信販売している店もある。しかし、費用がかかる。自分の楽しみを削ってそれをまかなえるのであれば、そうする。しかし、生活までも圧迫させるほどの費用はかけられない。多くの飼い主の方が悩んでいるところであろうと思う。
これから先、ペットフードの安全基準が守られるような体制が整うことを祈るのみである。

第3章 ブリーディングが病気をつくる。
私はペットショップ反対派である。犬や猫に値段をつけることには反対だ。ただそれは、金儲け目当ての悪質なブリーダーがいるからという理由からである。
本書を読んで、ブリーディングがいかに難しいことか、沢山の知識が必要なことか、よくわかった。なのに、ただ金儲けのためだけに、なんの知識も無いくせにブリーディングする人間もいる。それが許せないのだ。
ペットショップの小さな部屋に閉じこめられている犬たちを見ると、切なくなる。人の目にさらされるのもかなりのプレッシャーだ。それに生まれてから3ヶ月くらいまでは母犬や兄弟と一緒にいて、今後生きていくために必要な知識を学ぶ時期なのだ。それなのに、2ヶ月足らずの子犬を販売したりしている。この子たちは上手く犬として生きていけるのだろうか...。
欧米ではペットショップで犬や猫を買うことはできないそうである。ブリーダーから飼い主として認められて初めて家族を迎えることができるのだ。日本は愛玩動物に対する接し方については、かなりの後進国だ。

第4章 問題行動はペットのSOS
ムダ吠え、咬みつく、トイレを覚えない、そんな問題行動。ただ躾ができていないだけではない場合があると言うことを初めて知った。
犬もうつ病になることがあるらしい。本来ならば母犬や兄弟と一緒にいるべきだった時期に無理矢理引き離された犬。そして、ただ小さな箱の中で人目にさらされた日々を送った犬。心に病を持っても不思議ではないと思う。
正しく犬を観察し、必要ならば獣医師やカウンセラー等に相談すること。誤った認識で悪癖を治そうとすると、さらにひどい結果になることもあるらしいので、注意が必要だ。

今、私は1匹の犬と一緒に暮らしている。この子は老犬で、あと数年を待たずして逝ってしまうだろう。
その後、また動物を迎えることは恐らくないと思う。一緒に暮らして、その子を100%幸せにしてあげる自信がないのだ。これまで天国に見送った犬たちも、本当に私のところにきて幸せだったのだろうかと、今でも気になる。
今から動物を迎えようとしている方々には、いろいろと勉強した上で迎えて欲しいと思う。
この本はそのヒントをたくさん与えてくれるだろう。

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紙の本スカイ・クロラ

2009/07/02 08:26

スカイ・クロラ

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書の舞台は、戦場?
主人公は戦闘機のパイロット。
時には人を殺し、冷静に上司に報告したあと、その手で食事をし、ボウリングもする。

本書の裏にはこんな文句が。
「戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供」
そう、大人にならない子供のパイロットの話だ。

「スカイ・クロラシリーズ」が参加しているSNSで話題になっているということと、著者のS&Mシリーズがちょい好みに合うということで、読み始めたものの、どんな世界なのかサッパリわからないというのが正直な感想。
でも、なぜか画像は頭に浮かんでくる。
近未来的な世界。恐らく舞台は日本。

prologue
episode 1:cowling
episode 2:canopy

サッパリわからない世界。謎だらけの世界。
いつになったら謎は解ける?
スカイ・クロラを読み終えれば解ける?
謎が多すぎるけれど、謎は謎のままでもいいんじゃないかとも思う。

スカイ・クロラから読むのは、順番としてはOKなのかな?
時系列ではスカイ・クロラが最後らしいけれど...?

でも、読み続けてみよう。
何かを掴むまで。

episode 3:fillet

さて、ここまでで約半分超ってとこかな。何となく話は見えてきた。
少しずつ少しずつ。薄皮をはぐように、実が見えてくる。
なかなかこういうのも悪くない。

この本だけでは完結しないと思っているせいか、心は2冊目に向かっている。
さて、まずはこれを読み終えねば。

episode 4:spinner

ちょっとずつ、ちょっとずつ、ホントにちょっとずつ緊張感が高まってくる。
触れてはいけないところに触れつつあるのかな?
残すはepisode 5 と epilogue だけ。
この話はどこで着地するのだろう。
興味がどんどん沸いてくる。
登場人物の背景もほとんどわからないまま最終章を向かおうとしている。
ちゃんと着地するんだろうか。

episode 5:spoiler、epilogue

終わった...という気持ち。
全編を通して、何とも言えない張り詰めた空気が漂う。誰かがプチッと穴を開けたら爆発しそうな緊張感。
いつかは爆発してしまうのだろうか。

彼らはなんのために飛んでいるのだろう。
彼らは自分の心に沸いてくる疑問を、矛盾を、どのように消化していくのだろう。

本書はシリーズ5冊のうちの1冊。
そして、時系列に並べると最後の物語になるらしい。

では踏みだそう。本来の始まりの世界「ナ・バ・テア」へ。

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紙の本さまよう刃

2009/10/23 23:25

救いはどこに求めればいいですか?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

重い。とにかく重い。
最近の東野作品は、とにかくテーマが重いのだ。

妻を亡くした男の家族は、愛する一人娘のみだった。
その一人娘が、人間として扱われず、ただの肉の塊のように暴行され殺害され、ゴミのように捨てられた。
そのときから、一人の凶暴な殺人者が誕生した。

娘を殺したのは少年たち。
警察に捕まったところで、そう重い刑にはならない。
少年法に守られているとでもいえばいいのか。
それならば、自分の手で、自分たちのしたことを、心の底から後悔させ、あの世へ送ってやりたい。
そう思う被害者の家族の気持ちもあるだろう。

刑事たちだって人間だ。
被害者の遺族の犯罪も認めるわけにはいかない。
もちろん、少年たちの犯罪も。
だが、彼らに遺族の家族を捕まえることに、心の底から納得している人間がどのくらい居るだろう。

加害者、被害者の遺族、刑事たち。
どの人間の気持ちも、私には「わかる」とは言えない。
ほんの少し、想像できるだけだ。
本当にその立場に立ったものだけが「わかる」と言えるのだろう。

東野氏の作品の中には、過激な性描写の多いものもある。これもその一つだ。
それに嫌悪を感じる読者も中にはいるだろう。
しかし、それなくしては、被害者の父たちの怒りの感情の大きさは表現できなかったのではないかと、今回は思う。

手元に置いてから半年寝かせて読んだ本書は、本当に心を重くする作品だった。
少年法がどうのとか、被害者の遺族の気持ちをもっと裁判に反映させるようにとか、そういった議論になっていくべき話なのかもしれないが、読了したばかりの私には、何も言えない。
何が正しくて、誰がどうすべきだったのか、考えがまとまらないのだ。
ただただ苦しくて、悔しくて、悲しい。
どこに救いを求めるべきだろう。
私はそれを見つけることができない。
少なくとも、今は...。

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