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  3. ゆこりんさんのレビュー一覧

ゆこりんさんのレビュー一覧

投稿者:ゆこりん

70 件中 1 件~ 15 件を表示

衝撃の内容!

19人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工施設で臨界事故が
発生した。大量の放射線を浴びた大内久さんの、83日間にわたる
壮絶な闘病記録。

読んだ後、かなりのショックだった。その状態がしばらく続いた。
頭の中を、読んだばかりの本の内容がぐるぐると回っていた。これは
人的災害だった・・・。マニュアルを無視した、あまりにもお粗末な
作業内容。安全性の考慮のかけらもない。
大量の放射線を浴びると人はどうなってしまうのか?それは恐怖の
一言に尽きる。骨髄細胞の検査で判明した染色体の破壊。そのことは、
今後新しい細胞が作られないことを意味していた。古い細胞から新しい
細胞への入れ替わりがない体。再生できない!朽ちていくだけなのだ。
現代の最新医療をもってしても、それを止めることは不可能だ。
こんなにも放射線被爆というのは凄まじいものなのか。遺伝子レベルでの
破壊が起こるのだ。最後まであきらめることのなかった大内さん本人、
ご家族の方たち、そして医療現場の方々。壮絶な闘病記録は、読んでいて
胸が痛くなるほどだった。
原子力の利用。それはこれからも続くのだろう。原子力を利用しようと
する限り、この事故のことを決して忘れてはならないと思う。つねに
危険と隣りあわせだということを認識していなくてはならない。
あらためて、この事故の犠牲者の方々の冥福を祈りたい。

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紙の本永遠の0

2010/04/20 17:27

感動的な作品

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

娘のため、妻のため、必ず生きて帰ると約束した祖父・宮部久蔵。
だが、厳しい戦況ではその約束を果たすのは不可能に近かった。
健太郎がたどる祖父の軌跡・・・。ある者は久蔵を卑怯者で弱虫と
言い、ある者は久蔵を尊敬していると言う。「いったいどれが本当の
祖父の姿なのか?」調べを進めていくうちに見えてきたのは、祖父の
人生だけではなかった。戦争の悲惨さが、健太郎や姉の慶子だけでは
なく、読み手である私にも痛いほど伝わってくる。勝利の可能性など
どこにもない。それなのに兵隊たちは上部の者たちの捨て駒にされて
いく。爆弾を抱えたまま敵艦に突っ込んでいく特攻隊の描写は、読むのが
本当につらかった。また、宮部久蔵が生きて家族のもとに帰ることが
できなかったと知ってはいても、「どうか、生き延びてほしい。」そう
願わずにはいられなかった。久蔵の切ない生と死のドラマをまざまざと
見せつけられ、それだけでも感動で目がうるんでいたのに、ラストに
語られる意外な真実では、ついにこらえることができなかった。ただ、
涙、涙、涙。読後も強い余韻が残った。ひとりでも多くの人に読んで
もらいたい、感動的な作品だった。

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紙の本盤上の敵

2009/08/28 19:58

ミステリーの面白さと、人間ドラマとしての読み応え♪

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

妻友貴子を人質にして我が家に立てこもった殺人犯。しかも彼は猟銃を持っている。夫である末永純一は、警察には内緒で極秘に犯人と直接交渉する。はたして彼は、無事に妻を救出できるのか?ラストには、驚愕の真実が待っていた!!

この作品を読んだ感想をひとことで言うのなら「衝撃」だろう。本当に、これほど衝撃を受けた作品はあまりない。人質となっている妻をいかに無事に救出するか?孤軍奮闘する純一の妻を思う心には、胸を打たれる。だが、その裏に隠された真実には驚愕させられた。
何の理由もなく、人が人に対し憎悪をむき出しにする。「ただそこに存在する。」そんなことが憎悪の理由になる。こんな恐ろしいことがあるだろうか。「つらい、つらい、つらい。」読み進めるのがつらかった。ある人間の悪意が残酷なできごとを引き起こす。「どうしてここまでするのか?」読んでいて、怒りと同時に恐ろしさを感じる。その人間の残酷さはの象徴は、あとがきで作家の光原百合さんが述べているように、私も「第3部中盤戦第8章」の「蚊」の描写だと思う。状況を直接的に表現するより、この方が何倍も衝撃的だ。
作者がこの作品の冒頭で、「物語によって慰めを得たり、安らかな心を得たいという方には、このお話は不向きです。」と述べていることが、しだいに鋭い痛みを伴った実感となって迫ってくる。
そしてラスト・・・。人の悪意や残酷さと人質事件がどう結びついていくのか?真相が分かったときにはあ然とした。同時に、作品の中に巧みに張りめぐらされていた伏線に気づき驚いた。見事なストーリー展開だった。
はたしてこの後ふたりはどうなっていくのか?決して平坦な人生ではないと思うが、幸せになってほしいと願わずにはいられない。
ミステリーとしても、人間的なドラマとしても、読み応えのある作品だった。オススメです!!

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ひとりの人間としての「星新一」に迫る

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本を読む人なら誰でも一度くらいは彼の作品を手に取ったことがあるのではないだろうか。発想の面白さ、奇想天外な結末は、多くの人を魅了した。テンポがよく軽快な文章から、星新一自身もきっとそんな性格なのだろうと勝手に思っていた。だが、実際は大きく違った。製薬会社の御曹司でなに不自由なく育った幼年期。父の突然の死により社長になった苦悩の20代。そして、そこから逃れるように書き始めたショートショート。彼が望む望まないに関わらず、「星新一」はSF界の第一人者になっていくのだが・・・。
アイディアが枯渇し「もう書けない。」とつぶやく日々、自分だけおいて行かれるという焦燥の日々を経て、彼はショートショート1000作に向かって突き進んでいく。それは命を削りながらの作業だった。この人はこんなにも苦悩し、傷つきながらショートショートを書いていたのか!
遺された膨大な資料から、最相葉月は見事に「星新一」の実像を描き出している。それは、外見や作品からだけでは決して想像することのできないものだった。ひとりの人間としての「星新一」がこの作品の中にいる。
読み応えがあるというだけではない。星新一を知ることができる貴重な資料的作品だと思う。

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紙の本ばんば憑き

2011/04/27 17:36

珠玉の短編集

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

表題作の「ばんば憑き」では、老女が淡々と50年前のできごとを
語る。ちょっと不思議な話だとは思ったが、それほど怖さを感じ
なかった。けれど、読み終わった後にじわじわと怖さが湧き出てきた。
「やはり人の心は怖い。」そう思わせる話だった。
また、「お文の影」では、子供の数より一つ影が多いというぎょっと
するような話だが、こちらは怖さよりも切なさのほうが大きかった。
5歳の女の子に起こったできごとは、哀れと言う以外に言葉が見つ
からなかった。
「博打眼」では人の心の隙につけ入る妖怪を描いているが、その妖怪を
生み出したのが人の心の醜い部分だということに複雑な思いを味わった。
退治方法はユニークで、面白かった。
「野槌の墓」はひとつの野槌にまつわる話だが、人の身勝手さが野槌の
運命をガラリと変えてしまった。人の形をしているが心は鬼という者が、
世の中にはたくさんいる。野槌はそういう者の犠牲になってしまった・・・。
6編は、個性豊かな話ばかりだ。そして、どの話も読み応えがあり、心に
強く余韻を残す。善にも悪にも簡単に染まってしまう人の心を、本当に
よく描いている。作者の力量やその感性に、感心したり驚かされたり
だった。「珠玉の短編集」と言っても過言ではない、多くの人にオススメ
したい作品だ。

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紙の本下町ロケット 1

2011/01/24 16:32

あきらめるな!夢は、きっと叶う!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大手企業から取引終了を告げられ、資金繰りに苦労している佃製作所に
魔の手が伸びる。ナカシマ工業から、特許侵害で訴えられたのだ。会社
存続の危機!次々に起こる困難に、佃航平はどう立ち向かっていくのか?

吹けば飛ぶような町工場。父親の跡を継ぎ社長に就任した航平に、次々に
試練が襲いかかる。大手企業からの取引終了宣言、銀行の貸し渋り、特許
侵害訴訟・・・。八方塞がりの中、航平はおのれの信念を曲げることなく
貫いていく。どんな状況の中でも、どんな困難に陥っても、夢をあきらめる
ことなく追い続ければ、いつか夢は叶う。この作品からは、そういう作者の
思いがひしひしと伝わってくる。「こんなにうまくことが運んでいいのか?」
そういう疑問もあったが、あきらめないことの大切さを教えられ、努力の
先に待っている素晴らしい感動を存分に味わうことができたので、満足だ。読後もさわやかで、心に余韻が残る面白い作品だった。

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紙の本人生という名の手紙

2012/02/17 19:54

人生の指針となる本

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

30代の頃の事故で四肢麻痺となってしまったダニエル。彼が53歳のときに、孫息子が生まれる。だが、たったひとりの孫サムは自閉症だった!精神分析医、家族療法士でもあるダニエルが、サムに贈ったメッセージ。

生きるということは、楽しいことよりもつらいこと哀しいことの方が多いかもしれない。だが、心の持ちようで人は人生の困難を乗り越えていくことができるのだ。そのことをこの作品は教えてくれる。サムに当てたメッセージだが、ここに描かれていることはどんな人にも通じるものがある。
負けてはいけない。どんなものにも立ち向かう強さや勇気を持たなければならない。そして、まわりのものすべてに対し、感謝の心を持たなければならない。このことを強く感じた。
「さじ1杯分の塩を茶碗1杯の水に溶かして飲むのと泉に溶かして飲むのでは、当たり前だが味が違う。問題は塩ではない。問題は入れ物なのだ。」
この描写がとても印象に残った。自分がどういう心を持たなければならないのかが、はっきりとわかる。優しく穏やかな気持ちで書かれた文章は、素直に受け入れることができる。
人生についていろいろ考えさせてくれる、感動的な作品だと思う。

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紙の本空飛ぶタイヤ

2009/09/14 16:38

多くの人に読んでもらいたい。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

脱落したトレーラーのタイヤに直撃された主婦が亡くなった!運送会社の社長赤松の衝撃は大きかった。トレーラーの製造元ホープ自動車は、赤松運送の整備不良が原因だという結論を下すが、納得できない赤松は独自に調べ始めた。浮かび上がってきたのは、ホープ自動車の驚くべき真の姿だった・・・。

読んでいて腹立たしかった。大企業とはこんなものなのか。人が犠牲になっても、決してその責任を認めようとはしない。考えることは、保身や、自分のプライドのことばかり。自分たちにとって不利益なものは徹底して隠そうとする。そのやり方は、悪質で卑劣だ。消費者の信頼があったからこそ、会社が大きくなってきたのではないのか?そのことを忘れ、消費者のことなどどうでもいいと思ったとき、企業は手痛いしっぺ返しをくらう。消費者をなめるな!そう叫びたい。孤軍奮闘の赤松。事故のことが原因で子供たちもいじめにあう。会社も倒産の危機に。だが、決してあきらめずに突き進む姿は感動的だった。家族や仲間の絆も、読み手の胸を熱くさせる。ラストもよかった。一人でも多くの人に読んでもらいたいと思う作品だった。

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読書好きの方はぜひ!!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

小説はいかにして生まれるのか?また、なぜ小説家になったのか?
読書好きとしても有名な俳優・児玉清が25人の作家に本音を問いかける、
興味深い作品。

大崎善生・角田光代・町田康・村山由佳・森絵都・真保裕一・江國香織・
北原亞以子・荻原浩・あさのあつこ・北方謙三・浅田次郎・東野圭吾・
三浦しをん・山本兼一・宮部みゆき・上橋菜穂子・有川浩・石田衣良・
万条目学・北村薫・小川洋子・桜庭一樹・川上弘美・夢枕獏と、錚々たる
顔ぶれの25人だ。こんなにたくさんの作家の人たちと会い、直接話を
聞いたのだと思うと、本当にうらやましい。作品からは見えてこない作家の
本音を、児玉清さんは実にうまく引き出している。並の人では太刀打ち
できないほどの豊富な読書量があってこそ、この対談が成り立つのだと
思う。作者の素顔、そして児玉清さんの人柄、この両方を知ることが
できる、貴重な作品だ。読書好きの方にオススメしたい。

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うまい!!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ある事件がもとで心に深い傷を負い、神田の三島屋という袋物屋を営む
叔父夫婦のもとで暮らすことになったおちか。彼女は、人びとが心の
内に抱える「不思議」を聞き出していた。ある日おちかは、「紫陽花屋敷」
と呼ばれる空き屋敷にまつわる不思議な話を聞く。そこには、意外な
「不思議」が隠されていた・・・。表題作「暗獣(あんじゅう)」を含む4話を
収録。三島屋変調百物語シリーズ2。

まずひと言。うまい!本当に宮部さんはうまい!それぞれの話の中に
込められた作者の思い。そのひとつひとつが、読んでいてしっかりと
伝わってくる。きちっとしたテーマを持ち、ストーリーを構成していく。
読み手をしっかりと物語の中に引き込んでいくその巧みさには、ただただ
感心するばかりだ。
どの話も甲乙つけ難しという感じだが、特に心に深く響いたのは「暗獣」
だった。くろすけがなぜ生まれたのか?そして、くろすけの宿命とは?
人とくろすけとのふれあいがほのぼのとしている分、ラストは悲しみが
深かった。いつまでも余韻が残る話だった。「逃げ水」は、誰からも
必要とされなくなってしまうということの悲哀を描いている。人でも神でも、
存在価値を認めてもらえないということは本当につらいことだと思う。
「藪から千本」は、ひとり娘を愛する気持ちは同じなのに、心の中に
闇を抱えてしまったために起こった悲劇を描いていて、読み応えがあった。
「吼える仏」は、外部との接触を絶った里で起こった出来事を描いている。
人の心は、仏にも鬼にもなる。人の心の醜さが里の運命を変えていく
さまに、ぞっとする思いを味わった。
起伏に富んだストーリー展開や、登場人物の細やかな心理描写も、読み手を
充分満足させる。読後も満足♪とても面白い作品だった。

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紙の本天狗風

2010/01/11 19:54

人の心の不思議さ・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

その風は天狗風と呼ばれた。その風が吹いたとき、娘が神隠しにあった
ように忽然と姿を消した。不思議な力を持つお初は、右京之介とともに
姿を消した娘たちの行方を追うが、得体の知れない何者かがふたりの
前に立ちはだかった・・・。霊験お初捕物控2。

文庫本で564ページ。怖ろしく長い作品だが、構成力がとてもよく、
長さをまったく感じさせない魅力ある話の展開になっている。次々に
行方不明になる娘たち。そのときに吹く不思議な風の正体は?お初と
右京之介がしだいに真相に迫っていく様を、息詰まるような気持ちで
読んだ。また、登場する人たちの描写もていねいで、読んでいると
その人物像がくっきりと浮かび上がってくるようだった。
この世の中、怖ろしいのは妖怪や幽霊などではない。人の心や、人の
思いから作り出される怨念だ。そのことをいやというほど思い知らされた。
人は、仏にも鬼にもなれる。そのきっかけはほんの紙一重の差しかない。
だが、人が作り出した怨念を鎮めるのも、また人の心なのだ。そこに
「人の心」の不思議さを感じる。ラストもよくまとめられていて、読者の
期待を裏切らないものになっている。特に最後の10行はほっとして
微笑まずにはいられない。一気読みしてしまうほど面白い作品だった。

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紙の本エミリーへの手紙

2009/11/13 16:34

胸を打つ作品

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アルツハイマーが進み、物忘れがひどくなった頑固な老人。
ハリーのことを人はそう思っていた。しかし、彼はだれよりも
家族を愛していた。詩の中に隠されたパスワード。そのパスワードで
開かれるメッセージ。その中のひとつひとつの言葉が心に響く。
「人生の選択は裕福か貧乏かでもなく、有名か無名かでもなく、
善か悪かだ。」人にとって本当に大切なものは何かを教えてくれる、
胸を打つ作品だった。

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紙の本誘拐

2010/11/02 16:14

面白さを追求した作品

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

韓国との条約締結を間近に控えた日、首相の孫娘が誘拐された。犯人の
要求は、日韓友好条約締結の中止と「活動資金」の用意だった。まったく
正体をつかめない犯人に振り回されるばかりの警察。誘拐された少女は
無事戻ることができるのか?犯人の真の狙いは何なのか?行き着く先に
見えるものは・・・。

周到に計画された誘拐。痕跡を残すことなく、警察の裏をかくように
行動する犯人。条約締結の中止が真の狙いなのか?身代金の受け渡し
方法は?警察との行き詰るような駆け引きや刻一刻と変化する状況に、
ページをめくる手が止まらなかった。後半の展開も、誘拐事件が単なる
誘拐事件ではなくなり、意外性を感じた。「公」を取るか「私」を取るか?
孫娘を誘拐された首相がとった行動にも考えさせられるものがあった。
細かい部分で気になる点がいくつかあったが、全体的には面白く読ませる
ことに徹した出来になっていると思う。ひとつ残念だったのは、犯人の
正体があっさり分かってしまったことだ。もう少し工夫がほしかったと
思うが、これは作者の意図したことだったのか?それでも、この作品が
面白いことに変わりはない。とにかく、とても楽しめる作品だった。

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紙の本オレたちバブル入行組

2011/06/17 19:46

戦え!半沢!!

25人中、23人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

夢と希望に満ちて入行したはずだった・・・。大阪西支店の融資課長の
半沢は、入行以来の最大の危機に直面する。5億円の融資を行った会社が
倒産したのだが、支店長の浅野は全責任を半沢ひとりに押しつけようと
したのだ。「泣き寝入りしてたまるか!」半沢の反撃が始まった。
はたして、彼に勝ち目はあるのか!?

組織が大きくなればなるほど、客や利用者のことを考えず、おのれの
プライドや地位を守るためなりふりかまわず行動する人間が現れる。
責任をほかのものになすりつけ平気な顔をする。立場が危うくなれば
陰謀をめぐらす。この作品の中に出てくる支店長の浅野もそういう
タイプだ。部下ひとりをつぶすことなど何とも思わない。半沢は戦う。
徹底的に戦う。銀行という巨大な組織の中に巣くう魑魅魍魎たちと。
職場は戦場、そしてそこで働くものたちは戦士だ。半沢は勝利できるのか?
まさに、手に汗握る展開だった。しだいに浅野が追い詰められていく
描写は快感!
「あきらめずに、おのれの信念を持って果敢に行動すれば道は開ける。」
そういう思いを存分に味わった。爽快感が残る、面白い作品だった。

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紙の本果つる底なき

2011/08/29 20:26

文句なく面白い!

11人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「なあ、伊木、これは貸しだからな。」「いまにわかる。」
坂本の謎めいた言葉の裏には、いったい何があったのか?ハチに
刺されたことによるアレルギー性ショックで死んだ坂本。だが、単なる
事故ではなかった!その陰には、黒く醜い思惑がうごめいていた。
伊木は、坂本の死の真相に迫ろうとするのだが・・・。

上司と対立し左遷された伊木。これ以上問題を起こせば、銀行マンとして
やっていけなくなるかもしれない。だが彼は、坂本の死の真相を追い
求める。調べれば調べるほど、疑惑が増えていく。「融資」を利用した
巧妙な不正。決して姿を見せようとしない黒幕。その狡猾さには憤りを
感じた。巨大な銀行・・・。その中で人より抜きん出たいのなら、並大抵の
努力では無理だ。一度でも出世コースから外れてしまったら、そこに待って
いるのは絶望的な現実だけだ。そのことが今回の悲劇を生んだのかもしれ
ない。
序盤から中盤、そして終盤へ、その構成力は見事だ。また、銀行内部の
事情も詳細に描かれていて、さすがだと思った。池井戸潤にしか描けない
世界だ。最後まで読み手をつかんで離さない、とても面白い作品だった。

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