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先月(2017年8月)

scapaさんのレビュー一覧

投稿者:scapa

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本エレンディラ

2009/10/28 23:09

衰えぬ文学の姿

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ノーベル賞作家、ガルシア・マルケスの綴る作品集。シュールという言葉でまとめてしまうには失礼なほどに、奥底見えぬ作品が揃っています。
 
特に表題作でもある「エレンディラ」は中篇の傑作。尊大な祖母に奴隷のように従う美女エレンディラ。彼女が不注意で火事を起こしてしまってからは、その損害を償う為に、自らの体を使ってお金を稼がされるのです。
 
マルケスの作品に連なるのは、「血」なのだと思います。努力やそんなものであがなうことのできない「血」。祖母から働かされたエレンディラもそのラストで強欲と自由を求めて走っていきます。その姿は彼女が恐れて忌んだ祖母の姿のよう。

自分も文章を書いて始めて分かってくる凄さ。純文学とは暗く、分かりにくく、面白みの無いものではあるけれども、それ相応に権威を持ち、長く評価され続けるだけの理由は、確かにそこにあるのです。

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紙の本アトムたちの空

2009/10/29 00:24

うらやましき懐かしき社会

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

沖縄あたりの離島に引っ越した主人公一家。その離島での様々な日常が描かれた本。文の京文芸賞受賞作

 本島と離島との生活の違いや、イジメがあると匂わせておいて全然無いとか、アトムそんなに関係ないとか、消化されていない部分は確かにあるのだけれども、ドラマ性を意識せずに離島での日々を描いたと言えば通じるし、そうした瑣末な部分を踏まえても、補って余りあるほどの臨場感と迫力がこの本にはある。
 沖縄近くということで、特徴的な方言や戦争の記憶など、ディテールの細かさがこの本の厚みに繋がっているし、そうした環境の中で生きる、少年の古き良き青春の姿はに、どうしても涙を誘われてしまう。
 ムラ社会特有の閉鎖性と温かみ。そうしたものは、文明社会におぼれてしまった僕達には遠い世界だ。それが良いことなのか悪いことなのかは分からないが、少しだけ、うらやましいと思った

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