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    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

nyancoさんのレビュー一覧

投稿者:nyanco

77 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本県庁おもてなし課

2011/03/29 08:23

有川さんの地元愛たっぷりの作品。地方環境行政に携わる方必見ですよ!有川ファン、ご心配なくちゃ~んと甘いの入ってますw

25人中、24人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

高知新聞に連載が始まった頃からずっと気になっていて読みたかった作品。
有川さんの地元・高知愛に溢れた素敵な作品でした。
県庁観光部の中に作られた「おもてなし課」、ネーミングはインパクトがあるものの実態は…
何をやったらいいか解らない4人の職員が手始めに依頼した『観光特使』制度。
県出身の有名人に打診したし快諾してもらったものの、1ヶ月経てどもその後の連絡は梨の礫…
お役所仕事と民間の温度差を感じさせてくれる物語序盤のエピソード。
県出身の作家・吉門が、おもてなし課の若手・掛水の尻を叩きながら、物語が進行していく。
『フリーター家を買う』を書かれてからの有川さん、こうした社会派ネタを取り上げて作品に仕上げていこうという姿勢がとても良いと感じています。
実はこの『観光特使』の依頼は有川さんに依頼された話で、その後、梨の礫…のエピソードも実際にあったお話だと巻末の特別企画の対談に載っていました。
本、資料、そして実際に現地に行かれ、歩き、体験し、多くの方と会った有川さんが綴る地元愛がたっぷり。
作家の私が出来ることは小説を書くことと「おもてなし課」を舞台に小説を書く吉門=有川、読者は、有川マジックによってどんどんと高知に行ってみたくなってくるw
箱物や〇〇博のようなイベントが重視されてきた行政の観光政策だが、何もないことを敢えて売りにする…という中にいると解らないことを一度外に出た作家・吉門と清遠にアドバイスされながら行政の垢にまみれていないバイト・多紀ちゃんをプロジェクトに参加させ、船はやっと動き始める。
何も無いが溢れんばかりの自然を売りにしているニュージーランドがイメージモデルとされたり、田舎のない人の田舎…というコンセプトは地方観光の考え方として実に面白い。
やはりこれは売り方なのでしょう。
馬路村を例としてあげているのも非常に解りやすく興味を惹く。
各地方自治体の観光に関わる方々は、是非、読んでみるべきです!
たぶん、目からウロコでしょう。
ウミガメの産卵?、そんなものは何処ででも見れるが…と言った彼らのように…。
こんなふうに書くと何だか硬そう…と思われてしまいそうですが、いえいえ、有川さんのラブ要素もちゃ~~んと入ってます。
掛水くんと多紀ちゃんのじれったい恋愛進行具合にイライラさせられたり、馬路村のオヤスミのシーンは身悶えしてしまうことでしょう。
かわいい多紀ちゃんと、ネコ科肉食獣・佐和さんの対比も実に面白く、シアターの鉄血総裁を彷彿させてくれる吉門の「バカか、あんたらは」ぶりもファンには楽しい。
有川さんらしい巻末のあとがきやインタビューから、あの「パンダ招致案」をぶちあげた清遠のモデルが有川さんのお父様だったとは…w
キャラクターが生き生きと動き回る有川作品ですが、本作には清遠、掛水、リアル多紀ちゃんと実在の方々がモデルとして登場しているので、いつもよりも更にキャラが生き生きと動きまわり、小説とリアルの両方を楽しめたように感じます。
キャラが楽しい有川さん、この作品、ただひとつだけ残念だったのは楽しみにしていた新聞連載時に挿絵を描いていた大矢正和さんのイラストが見られなかったこと。
ウチダヒロコさんのカラフルな装丁もとてもキュートだけど、シアターでもタッグをくんだ大矢さんによるキャラの絵が見られないのが哀しかった…
地方新聞購読の有川ファンの方々、切り抜きをして綴っていたりするんだろうな~、全く羨ましい限りです。
地方を応援したいという気持ちで書いた作品だからこそ、『県庁おもてなし課』で発生するすべての印税を東北地方太平洋沖地震の被災地に寄付することにされたと ご自身のブログ「有川日記」に書いていらっしゃいました。
私もこの思いに賛同させていただきたく思い、いち早く購入させていただきました。
有川さんの思いが多くの人の心を動かし、この波紋が更に大きく広がり、被災地に届きますように…

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忙しく疲れているあなた、少しゆっくりしてみませんか・・・

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

たそがれ堂第二弾。
前作はオリジナルの児童書に加筆したものだったので、子供たちが主人公でしたが、今回は書き下ろしなので主人公たちの年齢が少し上がった感じ。
ひきこもりの少女が出てきたり、逢いたい人がもう現世にいなかったり…と、ちょっぴり大人向きでほんのりビター。
『雪うさぎの旅』は、少女の寂しい思いを勇気づけようと旅に出た雪だるまと雪うさぎ。
旅は険しく、体は汚れ、解けていく、やっとたどり着けたのは雪うさぎだけ。
雪うさぎは少女に会うことはありませんでしたが、少女への思いはきちんと伝わる…。
第二弾の中では、前作のような児童文学の香りが強い作品ですが、せつない感じがとても好きです。
『人魚姫』は、ちょっぴりホラーテイストもあったり…。
『魔法の振り子』は、忘れることのできない薫子の気持ちと青年の想いがせつない。
『ねここや、ねここ』お伽話のテイストも加え、もののけも登場して、それでいてじんわりと胸に沁みる…。

心が疲れた時に読みたくなる本です。
(この感想は昨年9月に書いたものです)

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紙の本コンビニたそがれ堂

2010/05/20 14:04

いつまでも大切にしたい私のたからもの

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

夕暮れ時、迷い込んだ風早の街の駅前商店街の外れ、古い路地の赤い鳥居が並ぶ辺りに見慣れないコンビニを見つける。
レジの中には長い銀色の髪に金色の切れ長の目を持つお兄さん。
「いらっしゃいませ、何をお探しですか?」
この世で売っている全てものが並んでいて、この世には売っていないはずのものまでが何でもそろっている。
大事な探し物がる人は必ずここで見つけられる。
店の名前は『たそがれ堂』、不思議な魔法のコンビニ。

本友さんにお薦めいただいた一冊、
主人公たちが子供だったり、動物が出てきたり…。
もうこれだけで、ホロリときてしまいますよね。
児童文学に加筆された本作、かつて子供だった大人の方が「さよなら」の場数を踏んでいるので、身に覚えのある傷にじんわりと沁みてきます。
我が家の老猫・キキが体調を崩しています。
彼女との別れが近づきつつあることは、受け入れ難いけれども受け入れなければならない事実です。
『あんず』を読んで、キキもこう感じていてくれたらと思いました。
キキは、時折、私の眼を黙ってじっと見つめてきます。
私も黙って彼女の眼を見ます。
彼女の思いを受け止めたい。
彼女から貰ったたくさんのことを忘れないように…。

表紙も内容にピッタリの綺麗なイラスト。
イラストを楽しむには帯は不要なのですが、帯の言葉まで良いんです。
『じんわり温めて心の疲れをほぐします=温湿布みたいな本』
*用法* 心の患部にあててください。
*容量* 一冊
*効用* 痛みと疲れをほぐします。
*使用上の注意* 体質によっては村山早紀にかぶれることもあります。

帯は、綺麗に二つに折って栞代りに本に挟んでおきました。
大切にしたい本です。
(この感想は昨年9月に書いたものです。)

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紙の本あなたの恋人、強奪します。

2011/01/10 10:36

ヒナコに依頼したくなる!?女性心理の描写が見事です。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「あなたの恋人、友達のカレシ、強奪して差し上げます」。
携帯サイトで見かけた、怪しげな広告に、疑心暗鬼になりながらも、縋りつくように電話を掛ける女達…。
なかなか気になるタイトル、内容は如何に…と思いましたが、非常に面白かった。
彼と別れたかったり、彼を取り戻したかったり…、泥棒猫稼業・ヒナコをとっぴにさせないのは、依頼人の女性達の心理描写の巧さだろう。
こんな男とは別れたい…と思っていたのに、ヒナコに気持ちを惑わされる彼を見て動揺したり、ヒナコに騙されているのでは…彼は本当はいい人だったのでは…と、企みをぶちまけてしまう女がいたり…。
女性の心理を非常に上手く描いています。
ヒナコの泥棒猫稼業はコスト的には割りに合わない…、それでも同じような思いをした過去があるからこそ、救ってあげたい…というCATの女達も非常に良い。
「泥棒猫貸します」では、CATの仕事の仕組みを描き、「九官鳥にご用心」では依頼人のコンプレックスの部分までも解決するヒナコの手腕に唸らさせた。
「カッコーの巣の中で」と「マイ・フェア・マウス」は、敢えて見習いの楓を使い、カラーを変えることで連作に飽きが来ないようにしている仕立てが巧い。
「カッコーの巣の中で」は、依頼人の年齢を下げ、ほのぼのと始まった物語がラストはハードボイルドタッチになっていくという構成の仕方が見事で、「マイ・フェア・マウス」は見習いを使ったために…というヒナコの粋な計らいに拍手!
「カワウソは二度死ぬ」では、姉妹の心に棘を残さないようにしたヒナコの仕事の巧みさが清々しい。
そして「鳥かごを揺らす手」では、CATの仕事のハードさ、そして無くなることのない女性を取り巻くトラブにこれからも強く逞しく戦い続けるであろうCATの存在を頼もしく感じさせてくれた。
連作短編でサクサクと読めるのですが、心に響くものを持つ非常に魅力的な作品で、まだまだ続編を読みたいと感じさせます。
女性ならきっと共感する部分があるはず、そして男性は女性心理を学ぶためにも是非、オススメです。

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紙の本わにわにのごちそう

2010/05/20 13:27

ドキドキさせてくれる私のヒーロー

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

絵本コーナーで、わにわにが強烈なパワーで私を誘ってきました。
これはとても魅力的。
小さな子供むけのシリーズなので文字は少ないのですが、絵から伝わってくるパワーが凄い!
このわにわにの正体不明さ!、気になって仕方がない!!
わにわにはペットなの?
それともわにわにのお家なの?
誰かと一緒に住んでいるの?
冷蔵庫の中はとてもきちんとしているけれど、同居人が買い物しているの?
それともわにわに自身が…?
エプロンはぴったりサイズだからやっぱりわにワニの物なの?
とても几帳面でチキンローストはきちんと盛り付けてミルクはカップに入れるのに
食べた後は片付けもせずに散らかしっぱなし…
これはやっぱり誰かと暮らしているの?
それとも後で片付けるの…?
ワイルドな食べ方でちょっとわにわにのこと、怖い…って思ってしまったのに
ラストシーンではしあわせな笑顔・・・
ああ、謎のわにわにに心を奪われてしまいました!!

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紙の本トッカンvs勤労商工会

2011/07/01 09:23

働く女子にオススメの一冊!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

とても楽しかった前作『トッカン』、予想よりも早く続編登場。
柳の下のどじょう? やっぱりオリジナルのほうが…と、なりがちな続編ですが、本作はたっぷりと楽しませてくれました。
トッカンこと「特別国税徴収官」の鏡が、今回は大ピンチ!
鏡が担当していた滞納者が自殺、滞納者を恫喝した鏡のせい…だと、遺族が鏡を訴えるらしい・・・
おまけに原告をサポートするのは勤労商工会、税務署の天敵。
イキナリの天敵出現、おまけにその相手チワワこと吹雪弁護士がナイスキャラ!
ハスキー顔のトッカン・鏡に対抗するのは、チワワだったとは・・・w
おまけに、可愛い容貌に反して、ひねくれ曲がったその性格、鏡の自転車に対して、こちらはバイク・・・と、全く逆のキャラ設定もお見事。
今回は、そんな訳でトラブルに巻き込まれた上司・鏡に頼ることが出来ないぐー子こと、鈴宮が自力で頑張り、涙ぐましいほどに成長していく、の巻でした。
上席(税務署ではこの呼称というの薀蓄も面白い)鍋島さんはデキる女、新しい同僚・錨さんはオンナ度高し、おまけに後輩の春路には目利きという能力が・・・
自分にはすき間(特化するもの)がない、何も出来ない・・・ともがくぐー子の姿は、働く女子誰もが共感し、応援したくなる。
ぐー子ちゃん、頑張ったよ!
汗まみれでファンデーションは剥げ落ちていても、頑張るぐー子は本当に素敵!
前作同様、へ~知らなかったという、薀蓄ネタも満載で、読後は「知ってる?」とやりたくもなる。
同僚女子キャラだけでなく、鏡の応援団、三遊間トリオの登場も楽しい。
地味なプーだと思った里見が実は・・・というのは、まだまだ第三弾もあり!?
一人で頑張ったぐー子、もっともっとデキル子になりますとも!
税務署嫌いの父との対立もずっと気になっていましたが、今回はゆっくりと氷解していくのも嬉しかった。
書き下ろしの第六話、錨さんの話。
なかなか辛いお話でしたが、一話完結にするのが勿体無いくらいミッチリ詰まっていました。
これだけでも、一冊になるんじゃないかな。
頑張りすぎる女子の姿に胸が痛くなりました。
新キャラもたくさん登場して、まだまだこれからですね!
今回はぐー子頑張る編で、鏡トッカンの出番が少なくてちょっと残念だったけど、次はチワワと全面対決か!?
続編、楽しみにさせていただきます。

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紙の本からまる

2011/04/15 09:23

大人のための小説。あなたもぬるい潮だまりの中で軟体動物になってみませんか?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

はぁ…千早さん、やっぱり凄い!
まだこれで3作目だというのに…
『魚神』で独特の世界観を背負ってデビューされ、次作の『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』では和から洋、そして異世界から現代へと舞台をシフトさせ、そして本作『からまる』では、連作短編に…と、全く違う趣きでありながら千早節をしっかり持っていらっしゃる。
凄い作家さんです。
『おとぎのかけら』でも惚れ直しましたが、本作でもうぞっこん、骨抜きにされました。

各章のタイトルがひらがなで表記されるのも、そしてテーマに無脊椎動物を使うという手法も、タイトルの『からまる』のとおりに、男女が絡まり合いながら進行していく連作短篇集という形式も…どれをとっても完璧すぎます。
千早茜というぬるい潮だまりに浸り、その中から外の世界をずっとぼんやりと眺めていたい気分になりました。
いつも何処かに不安を抱え、人と深く関わることによって傷つくことを恐れ、軟体動物のようにスルリ…と人間関係をすり抜けながら生きてきた七人の男女。
その彼らが誰かと絡まって生きていること、そして誰かの存在が愛おしく感じ、誰かによって生かされていることを感じていく…
掴みどころがない軟体動物のように見える登場人物たちが、光を見つけて歩き出す様子も押し付けがましくなく、とても好ましかった。
女医・葛月と華奈子は、特に掴みどころが無い不思議な存在だったので彼女たちについてラスト二章の書き下ろしを書いてくれたことが本当に嬉しい。
この書き下ろしは、連載に比べて全く遜色ない、いや、コレが書かれたからこそ見事にまとまったと言える。
いいな~、千早さん、この感じで今後、どんな作品を書いてくれるんだろう。
まだまだ若い作家さんなので本当に楽しみです。

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紙の本なくしたものたちの国

2010/10/22 15:15

寒くてあたたかくて、冷酷でやさしくて、孤独で満たされている相反する全て…。角田さんってやっぱり凄い!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

あぁ…私はやっぱり角田さんの書かれるものが好きなんだな~と痛感した本。
はっきりいってイラストとのコラボ本…って、そんなに期待していなかったんです。
でも、凄く良かった。
ドロドロで辛辣なのも角田さんの魅力だけれど、本作はいつもと少し違って、動物やものの声が聴こえたり、昔飼っていたネコが人間に転生して巡り会う…とファンタジックな設定なのですが、私の気持ちにピタ~っと吸いつくような感覚でした。

いつもとは違うファンタジックなお話に、あれ?角田さんだよね…と思ったのですが、松尾さんの優しいイラストに合わせたコラボだものね…と思いなおし読み進めると、やっぱり角田さんらしさもちらほら…。
経費節減なのかある日突然、動物舎が無くなって、動物は広い所に行きましたよ…といいつつも、何処に行ったかは先生たちは明らかにしてくれなかったり…
言葉の端々に角田さんのらしい鋭さを感じました。

『キスとミケ、それから海のこと』
「ぼく、ミケだけど覚えてない?」
小さい頃に飼っていた母が結婚する前から飼っていた猫のミケの生まれ変わりだという少年・銃一郎。
昔飼っていたネコが人に生まれ変わって現れてくれたら…、そんな素敵な想いにさせてくれました。
猫の話だけでなく、祖母の死に目に会えなかった成子とそのせいで母とぎくしゃくしてしまったことを絡みわせて紡ぎだされたこの話は素晴らしかった。
祖母が亡くなる直前のシーンなどは、突飛でとても角田さんらしかったりするのですが、今回は敢えて感情のドロドロを表に出さないように抑えていらっしゃる感じなのに、じわじわ~~と伝わってくる感じが溜まりませんでした。

『なくした恋と、歩道橋のこと』
OLになった成子、会社の人間関係に悩み、心を癒すために訪れていたペットショップで出逢った純丘さん。
二人がふと口にした「んもーやんなっちゃう」という言葉をオウムが真似したことがきっかけ。
それではあまりに厭世的だと楽天的な言葉も色々と覚えさせようと色々試しオウムが喋ったのは「愛してます。」
それが二人が恋に落ちたきっかけ…。
ちがう言葉がだったら…オウムが売れてしまっていたら…恋が始まった瞬間…見事でした。
でも純丘さんには奥さんがいた…
生き霊となって純丘さんや奥さんにくっついている成子には3人の生き霊親友がいたり…とこのあたりの展開が角田さんらしい。

『さようならと、こんにちはのこと』
表題の『なくしたものたち』とは、大切にしていたのに気がつけば無くなっていたものたち、ほんもののホットケーキをやくことの出来るおもちゃだったり、おばあちゃんがくれたぬいぐるみだったり…つまり借り暮らしのアリエッティの反対側の無くした人の気持ちから書いてある…という感じでしょうか。
陳腐な表現しかできない自分がもどかしい…。
成子は、なくしたものたちは、なくしたものたちの国に行くのだと考えていた。
結婚をし、子供を持った成子は、電車の中に子供を忘れてしまう。
駅員も夫も「よくあることだよ、だから大丈夫」という…
電車で無くしたものの行き先は『遺失物管理庫』
娘が見つかったというので成子は迎えに行く。
この管理庫の描写が素晴らしかった。
迎えに行った娘は…
ああ…夫の言っていた言葉の意味はそうだったんだ…と気付きます。
同じような体験をされた方は涙が止まらないかもしれません。

『なくしたものたちのこと』
無くしたと思っていた古いフィルム式のカメラを見つけた成子は色んなものを撮影して現像に出します。
プリントされた山の様な写真には…
ラストのメッセージがとても素敵でした。

あとがきもとても良かったです。
松尾さんのイラストを怖いと一ヶ月も開けなかった角田さん。
寒くてあたたかくて、冷酷でやさしくて、孤独で満たされている相反する全て…。
イラストも素晴らしいのですが、インスパイアされてこのお話を紡ぎだされた角田さんもやっぱりもの凄い。

読後、じわじわと来る本です。
暫く他の本を読みたくない…という気持ちになりました。

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紙の本砂漠の悪魔

2010/10/22 14:38

後味の悪さは一級品、打ちのめされれます。でも立ち上がれないこの感じに大満足!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

実は読む前はあまり期待していなかった本です。
事前情報を読んで、友人を亡くした青年が中国の大陸の大きさに触れ、生きる意味を見つける…という青春の苦さを描いた再生の物語だろう…と勝手に予想していたので。
序盤、主人公・広太が夏樹に感じていた嫌な感情はとても良く伝わったのですが、広太が榊に命じた指令がイマイチ腑に落ちなかった。
そして、おこった最悪の出来事…。
それをきっかけとして転落していく広太。
広太に苛々しっぱなしの中盤、榊や家族を守るため…と言いつつも、逃げているだけの流されているだけの広太に何の共感も感じなかった。
確かに雅之に出逢ってからの大陸の様子は面白かった。
でも、その為だけの取材旅行だったのか…といささかガッカリ感も…。
ただただ流され続けた広太が西の果てで、生き直すことを決意して…とありがちな展開かと思ったら…
いや、このラストにはただただビックリでした。
すっかりやられた感です。
最近の「サクリファイスシリーズ」や、日常の謎の「パ・マルシリーズ」も勿論大好きです。
そして『薔薇を拒む」も雰囲気が素晴らしかった。
本作は、何の明るさも見えない、後味の悪いラストでしたが、昔の近藤さんの重めの作品を彷彿させるものがあって、ドキドキしてしまいました。
設定とか小さいことで引っ掛かる部分もあるのですが、この打ちのめされた感じが堪らない…。
全く予期しなかったこのラストだけで私は充分に満足です。
『砂漠の悪魔』の本当の意味がラストになって明かされる…、う~~ん重いけれど、こちら側の近藤さんも大好きです。
本当に引き出しの多い作家さんだと、つくづく感じさせていただきました。
こんな近藤作品もあるのだと思ってもらえたらそれだけでも私は良いな…と感じます。
ただ、明るいものを予想して読まれるとギャップに驚くかもしれませんが…

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紙の本僕は長い昼と長い夜を過ごす

2010/07/29 14:50

ありない!何て言わずに首までどっぷりと小路ワールドに浸ってください!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

50時間起きて20時間寝る「非24時間睡眠覚醒症候群」の主人公・メイジ。
2億円拾ってしまったために、裏金融世界の魔手に追われて…と盛り沢山の展開。
父親からのDV、殺人事件…とハードなことがあるわりに、そのあたりはアッサリ。
そこで皆でご飯食べられちゃうの~!!というシーンもありますが、それがOKなのも小路ワールド。
あり得ない設定をぐいぐいを読ませるのが小路さんのパワーだが、やはりキャラクターが良い。
はっきりと解りやすい悪・デビル以外は、イイ人ばかりっていうのは、あり得ないんだけど、そこが小路作品の良さ。
メイジの兄妹、恋人役の麻衣子ちゃん、同僚の安藤くんも、いい味出しているのだが、何といっても秀逸なのはナタネ!!
この謎の人物の飄々とした感じが面白いのだが、彼が甘党の理由が解った時の驚き、感動!、この作品の良さはココに尽きます。
その後、ラストまでの一気に駆け抜ける感じもとても良かった。
結論を出して、誰かを悪者にしないのもとても小路さんらしい。
こんな設定、もともとあり得ないのですから、細かいことばかりに気を取られず、小路ワールドにどっぷりと浸って作品を楽しんでくださいませ。
私の中での小路作品、ベスト1!イチオシおススメです。

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紙の本風のマジム

2011/01/18 09:50

清々しい風が吹き抜けて、心の片隅にたまった埃やくすみを吹き飛ばしてくれる、そんな素敵な作品に出逢えました!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ああ…読んで良かった。
清々しい風が吹き抜けていく爽快感!
やっぱり原田さんが描く元気な女の子の話は面白く、読んでいて楽しい。
派遣社員だったマジムが社内ベンチャーコンクールに参加し、南大東島で沖縄産ラム酒製造会社を立ち上げるまでのお話。
南大東島ドリーム…まるで夢物語のようなこのお話…と思ったら、OLから起業してラム製造業の社長になっている金城さんというモデルがちゃ~~んといるんです!
ライター業時代、働く女性達のインタビューをしていて金城さんに出会った原田さん。
5年後、金城さんのラムが多くの人に読まれ、原田さんが物書きになっていたら小説にしてもいいですか…と交わされた約束がこうして小説になった。
素敵な女性達がここにいる、だからこそ私も…と素直にそう思えるのです。
他の作品もそうですが、ライター業時代のお仕事が礎としてきちんとあり、それがリアリティがありながら夢のある話…という原田さんらしい作品になっているように感じます。
私はそんな原田さんの作品がとても好きです。
豆腐業を営む母とおばあもとても素敵な女性だし、富美枝もとても良いキャラです。
醸造家・瀬那覇の心意気と技術、南大東島の人々に支えられながら、真心の酒、「風のマジム」が出来上がる最終章まで一気に読んでしまいました。
本を閉じ、「さあ、私も明日から頑張ろう!」と自然にそう思える、そんな原田さんの素敵な作品、、オススメいたします。

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私の願いも星は叶えてくれるでしょうか・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大好きなコンビニたそがれ堂シリーズ・第3弾。

さてさて、今回のお話は…
私の好みは、『喫茶店コスモス』
二人の思い出のコスモス。
毎年、必ず一緒に見ようと約束していたのに…
コスモスが原因で喧嘩をしてしまった喫茶店のマスターと奥さんの老夫婦。
いつも通り、一晩眠れば…と思っていたのに…。
マスターに何が起こったか、私は気付かずに読んでしまいました。
約束も果たせず、喧嘩をしたまま…は、やっぱり想いが残ってしまいますね。
それではあまりにお互い悲し過ぎる…。
マスターからコーヒーの入れ方がたそがれ堂に伝授されるエピソードも素敵。
コスモスのママさんや、かつての常連さんが、このコーヒーを飲んで、あれ…?というようなお話も今後あるのでしょうか。
楽しみです。

コンビニたそがれ堂は、大切な本友さんから教えていただいた本です。
本友さんも、第三弾を読まれたかしら…。
星に願いを…
いつか再び本友さんと感想を語り合える日が来ますように…。

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紙の本わにわにのおでかけ

2010/05/20 13:29

すっかり魅了されて・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

わにわにシリーズ、どうやら子供たちにもとても人気があるようです。
この謎の魅力、子供たちにも解るんですね。

暑い夏の夜、寝付かれないわにわに。
家の外をぞろぞろと歩くたくさんの足音…、わにわには家を出て人の後についていきます。
わにわに、いよいよ外出です。
やっぱり、誰も一緒には住んでいないのかしら…?
ワニがお祭りにいたら、大騒ぎになりそうなのに、みんな平気…
やっぱりわにわにのこと、みんなよく知っているってこと?
金魚すくいをするわにわに、『おいで、かわいい、きんぎょちゃん』ですよw
寄り目のわにわにが可愛い!
花火を見て、満足して家に帰ったわにわに。
お土産のヨーヨーを持ったままの寝顔が可愛いよ~!
『わにしょうゆ』に続く、今回の隠れ小物アイテムは『わにマッチ』でしたw

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紙の本作家と猫のものがたり

2010/10/22 15:04

やっぱり作家は猫が好き!?

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

先代・キキの一周忌を記念しての読書だったので…
17年間人生を共にしたゴブちゃんについて描かれた小池さんの作品が一番、心に沁みた。
初めての猫・ゴブちゃんに魅せられた出逢いの瞬間、海外旅行にも行かず文字通り17年間一緒に暮らした様子、そして病に倒れたゴブちゃんを見送り、その後の喪失感…
「猫のいる家」と「いない家」の違い、去年私が感じたままの文章が綴られていました。
そう、猫のいない家は生きていない…。
二度と猫は買わないと決めていた小池さんが野性児・クロとモモに出逢い、ゴブちゃんとの違いに苦労されながらも違いを愛していらっしゃる様子がとても素敵でした。
そう、「いてくれれば」それだけで幸せです。
流石、小池さん、引きこまれる作家さんでした。

21年連れ添ったソックスを亡くされた乃南さん、ソックスは愛犬「くま」の生まれ変わり。
その後、乃南さんの元に訪れた子猫は生き方が下手だったソックスとは正反対の愛され上手のクララ。
そして、更に半年後にはソックスの生まれ変わりのハイジが…
私もキキに生まれ変わって必ずまた一緒に暮らそうね…と言い続けたのですが、どうやら彼女は現世の修業で徳を積み終わり、当分、あちらに居るようで会えそうにないのが残念です。

島本さんの「たび」を描く様子は、猫ならではの性格が綴られ、猫好きはニンマリ…。
奔放で気高く、ごくまれに愛嬌をみせるのにきまぐれ…
帰りが遅いと目を吊り上げて怒り、旅行ともなると烈火のごとく大暴れ!
浮気旅行がばれた夫と嫉妬に燃える妻の様な関係…
いかにも猫だな~とその姿を思い浮かべてニマニマしてしまいました。
実家に猫を預けて迎えに行ったら、すっかり慣れて「あんた誰?」状態だったたびちゃんにガッカリした島本さんが荷物だけ先に…と実家を離れた時の様子が実に楽しかった。

最近、離婚、転居、再婚…と環境と心境が目まぐるしく変化している村山さん。
夫の元に残したもみじちゃんを引き取りに行った時のシーンはウル…っときます。
一人暮らしを始めた村山さんが戦友と呼ぶもみじちゃん。
そして他の人には懐かないもみじちゃんが選んだ新しいパートナーのお話も…
村山さんらしいお話でした。

今は亡き向田邦子さんの猫との思い出が綴られた妹さんによる文章も興味深かったです。

可愛い写真もいっぱいなので、猫好き・本好きさん、オススメです。

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紙の本遙かなる水の音

2009/12/11 09:35

「ダブル・ファンタジー」を経て、辿り着いた永遠の愛のかたち

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かつて生きていたものたちの、もはや生きてはいないものたちの気配を感じてしまうアマネが望んだのは『遺灰をサハラにまく』ことだった。
<せめて死んだ後くらい、ひとりで静かに眠りたい。
 過去の命の営みが、途切れることなく現在につながっている場所では、僕は静かに眠ることができない。
 全ての命から隔絶された砂漠のようなところで静かに眠りたい。>

アマネのために、姉・緋沙子とアマネの同居人のジャン、かつての旧友・浩介と結衣はサハラを目指す。
この4人にガイドのサイードを加えた5人の視点から、旅の物語が進行する。

この構成が素晴らしい。

ああ、やっぱり村山さんは巧い。

浩介と結衣、緋沙子と恋人・アラン。
彼らは、旅を通じて愛の意味、愛することの意味を考えさせられる。
仕事のトラブルで浩介がパリに一度、戻ることになる。
マラケシュで合流するはずの浩介の乗ったと思われる飛行機が墜落する。
浩介は?
愛する人を失うことの辛さを知る結衣。
このエピソードも本当に良い。
浩介と結衣は、やっと愛のかたちを見つける。
アマネの望むサハラを目前にした前夜、アマネの遺灰は浩介に託される。
大型犬のように純粋で疑うことを知らない浩介。
己がアマネの想い人であったことを知らなかった浩介は、その時、はじめてその意味を知る。

浩介の、そして愛する人たちの手からサハラの風になるアマネ。
生きているあいだ、居場所を見つけられなかったアマネは、生まれ変わりたくなどなかった。
しかし、一人になりたがっていたアマネは…。
ラストが本当に素晴らしかった。

愛する人を失った者と、愛する人から旅立つ者の物語。
そして死は終わりではないことを最後のメッセージで伝えていただきました。
愛する者は、いつかきっと還ってくる。
風となって光となって水となって…。

サハラとは、砂漠のこと。
真っ青な空と見渡す限りの砂漠。
清々しいこの表紙の装丁は見事です。
実際に旅をされた作者、作品を通して私も旅を堪能させていただきました。

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