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先月(2017年8月)

読書とは何かを教えてくれるさんのレビュー一覧

投稿者:読書とは何かを教えてくれる

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本功利主義者の読書術

2009/12/23 17:24

読書の本質をついた項著

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 読書は何のためにするのかというと、大雑把に言えば、ひとつは知識を得るということ、もうひとつは楽しむためということになるでしょう。

 読書というのは意外と難しいものだと思うのです。ある本を選んで読みながら、ものすごく面白いものはひきこまれるように読めますが、そうではない(ほとんどですが)本を読んでいると、放り出すのが一番とはいえ、読み終われば知識が増えるとか、話題作を読んだと人に言えるとか、読むことの楽しさを離れたことを考えてしまったりします。

 読書とは、ただ本を読むことではなく、自分と本との間で葛藤しながら行う、なかなかに難しい行為だと思います。

 佐藤優さんの本はどれもとても面白く、さらに外交や政治などについての知識も提供してくれます。学者ではないですが(モスクワでは大学講師をしたそうです)、佐藤さんの本を読んだ人は、これほどのインテリが日本にいたのかと驚くことでしょう。

 その佐藤さんが「読書術」を伝授したのが本書です。「功利主義者の」という「しばり」をかけたことについて佐藤さんは「ビジネスパーソンや学生の『役に立つ』ということを第一義に考えたから」とのことです。どちらかといえば「知識を得るための読書とはどういうものか」を説いています。

 面白かったのは、一見楽しみのための小説を取り上げて、政治や社会的な文脈で読み込んでいるところです。
 
 たとえば、カレル・チャペック「山椒魚戦争」はその会話の内容が交渉術の教科書になると指摘します。相手の質問をはぐらかしながら自分に有利に話をもっていくユダヤ人的な会話が随所にあるそうです。

 また少女作家・綿矢りさ「夢を与える」について「思想小説として読んだ。そうすると、新自由主義的思想が具体的にどういうものであるかがよく見えてくる」と書いています。人間でありながら自分を「商品」として認識し、それを行動原理とすることが見事に描写されていると。主人公の少女タレントも周囲の人間も、消費社会のなかで「ブレーク」することを強く意識します。それがカジノ的な新自由主義のメンタリティーを表していると佐藤さんは読み込みます。

 マルクス経済学の本を多く取り上げているのも本書の特徴です。現在のグローバル恐慌のなかで、資本主義とはいかなるものかを知れば、その対応策が取れるという読み方です。マルクスのイデオロギー部分は排除して、資本主義の本質を知るために読むという、まさに功利主義者の姿勢です。

 読書とはどのような行為なのかを教えてくれる、とても面白い一冊です。知識を与えてくれますし、さらに読み物としても引き込まれるパワーをもっている本です。

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