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先月(2017年6月)

モリエール山梨さんのレビュー一覧

投稿者:モリエール山梨

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朝日平吾の鬱屈

2010/01/12 09:53

「内在的理解」ということ

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 中島岳志の新著『朝日平吾の鬱屈』は、ひとりの不遇の青年がテロに至る過程を「内面から理解」しようとする。

 それは、大正末の閉塞状況の中で、「一君万民」思想にもとづく徹底した平等=平均化を追求した新たなタイプの暗殺テロ・クーデターの原型ともなるものであった。

 これに続くかのように、五・一五事件、相沢事件、二・二六事件と時代は一挙に戦争へとなだれこんでゆく。

 それ以後の時代の雰囲気をこの朝日の刺殺事件は不気味に予告するかのようだ。

 著者の眼には、「二重写しの風景」が見えている。もちろん朝日の姿の向こうに、派遣切り、デフレの深刻化、医療の崩壊という現代の容易に解決しがたいこの日本社会のありようがみつめられている。

 歴史を考えることは現代の難題の解決には直接には結びつかない。ではそれは無力なのか? だからこそ、「時代を相対化する指標を獲得する」ことの重要性を著者は言い、そのために朝日平吾の心に肉迫すること」を意思している。

 「時代を相対化する指標を獲得する」ためには歴史上の事象を「内側から理解」すること、「内在的理解」が必須となる。

 「内在的理解」とは藤田省三によれば、「<存在>するものの内側に這入り込んで全く内在的にその存在が現に妥当している<理由>を明らかにする」ことだ(『現代史断章』)。

 ある詩人は、「内側から理解することによってそのものが持っていた別の可能性を発現させることができる」という意味のことを書いている。

 <「希望は、テロ」。私たちは、その一歩前に立っている。>

 著者のこの日本社会への深い危惧がこの書を書かせた。朝日平吾の心への「内在的理解」が、この時代のテロを防止し、よりよい社会形態への可能性につながることを著者と共に切望する。

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