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  3. marumaさんのレビュー一覧

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先月(2017年6月)

marumaさんのレビュー一覧

投稿者:maruma

28 件中 1 件~ 15 件を表示

ただ、好きで好きで

14人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本を読むこと、ごはんを食べること。
私の土台になっている、とても大切な時間。

両方ともひとりでも出来ること。
でも、本を読んだ後に感想を話し合ったり
ごはんを食べる時に心許せるひととあれこれ話しあったりできたら
楽しさはきっと何倍にもなる。


両親を事故で亡くした小川悠(はるか)は高校に進学せず
コンビニエンスストアでアルバイトをしながらひとりで暮らしている。

しんどい時、悲しいことがあった時
悠は甘いお菓子に手を伸ばす。

それはキャンディや一口サイズのチョコレート、クッキー。


そうやって気持ちを満たしてきた悠に変化が訪れる。
満月の夜、月に見惚れているうちに車道にはみ出して歩いてしまい
悠は車に轢かれそうになる。

その車を運転していたのは弁護士の浅羽涼生。
おわびに、と強引に車に乗せられ連れていかれたのはラーメン屋。

それ以来、二人は金曜日に待ち合わせて夕食を食べに行くようになる。

料亭でのおせち料理、焼肉、ふぐ、窯で焼くピザ。

緊張して殆ど口をきけなかった悠に浅羽は鷹揚で優しかった。
おいしいものを食べる時間を共にするうちに悠は心を開いていく。


小さなチョコレート。
鮭とおかかのおにぎり、チーズ風味のスナック菓子、
チョコクリームが挟まったパン、キャラメルと蜂蜜色のキャンディ。

いつも御馳走になりっぱなしの浅羽に悠がバイト代から選んだ好きなもの。

それはとてもささやかなものばかり。
でも、気持ちのいっぱい詰まった贈り物。


一人の時、二人の時。
食べる描写に気持ちがあふれている。

この二人は仕事も年齢も全然違うので、普段の生活も重ならない。
重ならないからこそ、二人だけで過ごす時間の描写が繰り返されていく。

余計なものが殆ど混ざらないお話。
だからこそ、本の世界に浸れるのかもしれない。


このお話を好き過ぎて、ちゃんと表現できたか少々不安だったりする。
だから、本を読んで二人に出会ってもらえたら・・・と切実に思うのだ。

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紙の本かわいそうだね?

2012/02/02 06:28

頁をめくる手が止まらなくなる面白さ。あぶりだされる感情をぜひ見つめてみてほしいと思う

10人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「かわいそうだね?」には2つの作品が収められている。
彼氏が元彼女を同居させてしまう「かわいそうだね?」と美人の親友が常に離れない「亜美ちゃんは美人」
両方とも頁が進めば進むほど面白くなっていく作品だが私は「亜美ちゃんは美人」がより好みだったりする。

多分、人が小説を読む時は知らないものを知る面白さを求めるのだと思う。
逆にそれと同時によく知っているものを再確認する意味もあるのだと思う。

私にとって「亜美ちゃんは美人」は後者である。

物語はさかきちゃんの目線で進んでいく。
入試の日に高熱を出して運悪く志望校に受からなかったさかきちゃんが偏差値のランクで
大分下の高校に入学した日、彼女はこの高校にあるカースト制度を知る。
すなわち、かわいいは権力、ださいは死刑。
自分はかなり浮いているんじゃないか、と感じるさかきちゃんに話しかけてきたのが亜美ちゃん。
さかきちゃんがすぐに返事が出来なかったのは亜美ちゃんが衝撃的な鮮やかさを感じるほど可愛かったから。
女子高生にとって可愛いは人間の価値そのものとイコールで直結する。
この娘と友達になれば、私の高校生活、安泰かも。
さかきちゃんは亜美ちゃんと付き合いだす。
亜美ちゃんはさかきちゃんによくなつき、そんなさかきちゃんの評価も上がる。
たとえさかきちゃんが内心、少し苦手だなこの娘、と思っているのだとしても。

高校を卒業して二人は離ればなれになる。
念願の第一志望の国立大学に合格したさかきちゃん、私立大学に合格した亜美ちゃん。

離れたはずなのに亜美ちゃんはさかきちゃんの大学に遊びに来る。
そして大学が離れたならせめて同じサークルに入ろう、と言う亜美ちゃんに押し切られたさかきちゃん。
二人でサークルの新歓コンパに参加して、さかきちゃんは残酷なまでの真実を知る。

サークルの先輩の興味が集中する亜美ちゃん。
亜美ちゃんのマネージャー扱いされたさかきちゃん。

この扱いの差の切なさはとてもとてもよく分かる。
私にも高校時代からの付き合いの友人がいた。
明るくて勉強が出来て人懐こくて背が高くてスタイルがよくて。
何故か私を慕ってくれていた。
彼女は私の声を褒めてくれていた。
高校を卒業して別々の進路に分かれてからも、何となく付き合い続けていた。
私が先に社会人になり、仕事を辞め失恋して一人になってまた彼女と会うようになった。
彼女が働き始め、また離れて、彼女が仕事を辞めて自分で事務所を立ち上げた時そこで手伝うようになった。

あるイベントを手伝った時、隣のブースにいた女性から「一緒にいる綺麗なお姉さんは?」と訊かれた。
「ああ、今ちょっと出てるんですけど」と答えつつ、分かってしまった。
きっとこの人にとっては「綺麗なお姉さん」と「そうじゃない方のお姉さん」で分類されているんだろうな、と。

そんなことを思い出しながら、綿矢さんの書く文章を読んで感情を見抜かれた気分になる。

しかしきっと男の人が思うほど、女友達どうしの中には“役割”があるわけじゃない。
この子はお姫様だけど、この子はいくらでもからかっていいとか、まるでテレビのなかのアイドルと女性のお笑い芸人のようにやすやすと立ち位置を決めたがるが、女どうしの世界でははっきりした立ち位置などなく、みんな、同じだけ価値のある女の子として存在している。


そんなことを経て、さかきちゃんにも亜美ちゃんにも平等に時間は流れる。
さかきちゃんはサークルの先輩と付き合い続け、亜美ちゃんは付き合う人がどんどん変わっていく。

そして、亜美ちゃんは恋に落ちる。
周りの人全てが反対するような人と。

ぼろぼろになった亜美ちゃんが先輩との結婚を決めたさかきちゃんの新居を訪ねてくる。
そこでひととき亜美ちゃんは眠る。
そんな亜美ちゃんを相手が迎えに来る。
相手に諦めさせようと思うさかきちゃん。
さかきちゃんは相手にどうして亜美ちゃんと結婚したいのかを訊く。

そして、さかきちゃんはその答えを聞いた時・・・。


私と高校時代の友人とは今は付き合いが全くなくなってしまった。
彼女の仕事を手伝いに行く度、彼女の付き合っている人に関する愚痴を聞かされ続けて
(それは私が「受け止めるくらいならできるから」と言ってしまったせいだからなのだけど)
聞く役目ばっかりで私の話は「忙しいから」と一言言われたことがあって
自主的に口を閉ざしてしまったら、自分の中に重たいものがどんどんたまっていってしまったのだ。
そして、苦しくて苦しくてたまらなくなって、彼女と一緒にいることが出来なくなった。

冷静になって考えてみると彼女との力関係は彼女が上だったんだろう。
彼女が上で私が下だから彼女にとって心地いいものだったんだろう。
彼女にとって心地いいものがすべてだから、私のことなんてどうでもよかったんだろう。
「(私は恋愛をしていないから)分かる人に相談して」
そう言ったら、恋愛から結婚に関しては別の友人のところへ行って同じようなことをくり返したらしい。
そして、別の友人もかなり消耗していた。


しばらく思い出すこともなかった感情だ。
「亜美ちゃんは美人」を読みながら自分の感情が言葉になるってこう言うことか、と感じていた。
そして、私が気付かなかった感情を鮮やかに描き出していた。
多分、この物語を読まなかったら知ることもなかった感情。

私が高校時代の友人に感じていた本当の思い。


それは置いておくとしても、この本には頁をめくる手を止めさせない面白さがある。
決してどろどろしてはいないけれど、女子!と言う感じがする物語2つ。
私はとても面白く読んだ。
どんな感情をあぶりだされるのか、ぜひ読んでみてほしいと思う。

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季節がちょうど重なって

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本を読んだのはバレンタインの少し前。
ちょうど郁がチョコを配る場面があって、
読んでいる時期と本の中の時期が重なって倍楽しめたような気がしました。

有川浩さんの原作は全部読んでいるので、話の流れは分かっています。
原作を読んでから時間が経っている、と言うのもあるけれど
弓さんのコミックスはまた少し違った感じで楽しく読めるような。

今回、6巻を読み終わってから、
久しぶりに有川浩さんの「別冊図書館戦争I」を再読したくなって
ぱらぱらっと拾い読みしてみたんですが、バレンタインのエピソードがあって
ここを踏まえたのかな・・・などと思ってみたり。

弓さんの漫画を読んでいると、有川さんの原作を隅々まで理解していて
その上で弓さんのアレンジを加えているのが分かります。
原作の流れにきっちり沿っているのに甘さはちゃんと加えられている。
だから、その甘さがとても心地いい。

話の流れが分かっていても、先が楽しみになってしまう。
7巻が待ち遠しいです。

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紙の本よなかの散歩

2011/04/02 05:43

待ち時間の密かな楽しみ

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

銀行や病院へ行く時、待ち時間を思うと憂鬱になる。
いつともしれない順番を待つ時、歯を削るあの音を聞いている時間。

それが待合室に「オレンジページ」が置いてあると一転する。
順番なんて来なくていい、とさえ思ったりする。

「オレンジページ」を手に取って、
真っ先に開くのは角田光代さんのエッセイ「よなかの散歩」。
読み始めると「そうそう、分かる分かる」と思うことしきり。
これを読み終わるまでは名前を呼ばれたくない、と焦りながら読んでいた。

目次を見ると、食(一)、人、暮、食(二)、季、旅とある。

読み進めていくと、読んだ時のシチュエーションがはっきりと思い出せて
自分でもびっくりしてしまうほど。
本当にささやかな、日常のごく一コマなのに。

例えば「カレー、ですか……」は病院の順番待ちの時に読んだな、とか。
妻や恋人のいる人に「彼女の作る料理でいちばん好きなのは何?」と訊いて
「カレー」と返された時に感じる微妙な気持ちのこと。

これがかゆいところに手が届く感じで「分かる分かる」って思うのだ。
日々のごはんのこと、子猫を迎えてからのこと。
「なぜ私?」と言う角田さんが町なかでよく声をかけられる話なんて
「そうそう、私も私も~!」と叫びそうになったほど。

角田さんのエッセイはすごく身近な感じがする。
小説なら現実と遠い世界に飛ばされてその中に浸るのはものすごく楽しいけれど
エッセイだと「分かる分かる」と思いながら読むのが楽しい。
それはきっと身近すぎて、身近だからこそ案外友人と話さなかったりすることが
書かれていて文字として読んで一緒に話しているような気分になるからなのかも。

「分かる分かる」が一冊にまとまるのを待ち遠しく思っていた。
待ち時間を気にしなくてもいいしあわせ。

でも、時間を気にしながら急いで読んでいたからこそ
密かな楽しみとしての甘い時間だったのも、また事実なのだ。

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紙の本ルール

2010/02/26 05:58

甘さと苦さと

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「スキャンダル」シリーズの3作目。
「リスク」で高森の凛とした姿に惹かれて以来
雑誌でこの話を読んで、本になるのが待ち遠しくて仕方ありませんでした。

失恋して弱っていた高森と恋敵の秘書篠宮。
割り切った関係だ、と自分の中でルールを決めた高森と
冷静沈着な篠宮が一緒に過ごす時間が増えて行く中で変化していく。

仕事中に見せる顔と二人でいる時の顔。
この話では私的な二人でいる時の顔が描かれているので
人を想う時の甘さも苦さも全てが詰め込まれていた。
水壬さんの本は甘さも苦さもがつんと来て、その濃さがとても面白い。

甘いんだけど、それだけじゃなく。
でも、やっぱりとても甘い。

大満足の一冊でした。

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紙の本刑事と検事のあぶない関係

2011/05/12 05:43

分からないから、知りたくて

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今、一番興味があるのが「検事」だったりする。
そして、元々「刑事」が出てくる小説が大好きだったりする。

そうすると、この本は題名からしてわしづかみにされてしまった。
だって、「刑事と検事のあぶない関係」ですよ。
私の好きなものが2つとも揃ってるなんて!


どうして「検事」が気になっているかと言うと
ここしばらく「検事」絡みの事件があれこれ起こっていて
新聞で読んだりすることも多いけど、実際の仕事内容なんかが
分かっているようで実はよく分からなかったりするから。

分からないものは知りたくなる。
知りたいので「検事」が出てくる小説を片っぱしから読んでいった。


そう言う時、BLはまさにぴったり。
それはBLが恋と仕事で成り立ってるから。

「検事」をキーワードにあれこれ読み進めていった。
そんな中でもこの小説はダントツかもしれない。


高校時代に転校していった親友。
刑事と検事としての再会。

この二人はすごくきちんと働いている。
これって当たり前のようでいて結構珍しい。

話は刑事の桜木大也の視点で進んでいく。
大也の元親友に対する気持ちは揺れ動く。
そして、元親友である検事の椎名優はと言うとこれがなかなか分からない。

なかなか分からない上に事件も重なり。
ぐいぐい惹きこまれて一気に読んでしまった。


この二人の関係はお互いに一歩も引かない感じでとても面白い。
周りに出てくる人たちも面白い人が多くて、もっと読んでみたいと思う。

シリーズ化するといいな、と思いながら、本を置いた。

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紙の本インテグラ

2010/09/08 06:51

これも、愛?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

七地寧さんの本はクセになる。
決して甘い訳ではないのに、どうして?

BLには最後にはこうまとまると言うお約束のようなものがあって
波風が立っても基本的に安心しながら読み進めることが出来る。
でも、この本は・・・。

松秀良門は取引先の三十周年記念のパーティで
隅へ隅へ行きたがる素振りをしている青年に目が行く。
自分が自分が、と言う者たちばかりだったからこそ目に入ったのだ。

出会いの場面からして変わっている。
変わっているだけに先が読めない。
先が読めないからこそ純粋に話に惹き込まれてしまう。

役員待遇の良門には接待の誘いが多い。
取引先の接待の席で良門はパーティで出会った青年のことを尋ねる。
やっとその人物に思い至った相手は戸惑う。
戸惑いながらも翌日にはその青年、戸田忠志が差し出されるのだ。

良門が忠志に惹かれた理由も愛する理由も変わっている。

この本はノベルスに書き下ろしを加えて文庫化されたものだが
最初、ノベルスを読んだ時にはそれまでに読んだことのないタイプの話で
「一体、これは何なんだろう・・・?」と思ったのを覚えている。
一言で言うと、分類不可能。
分類不可能だからこそ、時々無性に読みたくなる。
そして、再読するたびに気づかされる。

七地さんの文章はとても力強い。
文章のところどころに真実を指し示す言葉が散りばめられている。
真実だからこその強さ、自分のことと照らし合わせてみて考えてみて負けそうになることもある。
その強さがクセになるのだ。

愛の形はきっといろいろある。
この本の中の形もきっとそのうちのひとつ。

これも、愛?と思いながら読んでしまうこと間違いなしの一冊だ。

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紙の本おひとり様物語 3

2011/05/16 16:04

それが恋でも恋じゃなくても

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

谷川史子さんのコミックスのお楽しみと言えば「告白物語」。
主に谷川さんの近況や日常が書かれているのだけど
本編の後に書き下ろされているのを読むとほっこり和んでしまう。

普段は本編を読んでから「告白物語」を読むのだけど
今回は珍しく「告白物語」から読んでしまった。
ほっこり和んでページを何気なくページをめくった。
しばらく目が離せなかった。


昨日、友人と大きなショッピングモールに出掛けてきた。
先月末同じ場所へひとりで出掛けた時、ビルとビルとをつなぐ動く歩道は
節電の為に動いてなくて、照明もぐっと絞り込まれていた。
それがごく自然に歩道は動いていて、多くの人が歩道の上を歩いていた。
変わっていないようで、あの日から少しずつ動き始めていることを実感した。

私の住んでいる場所はあの日揺れたけど、
目に見えるような被害はなかったように思う。

でも、見えないものが積み重なって疲弊していたんだな、と気付かされた。


そんな日の帰り道に谷川さんの本を手にした。
1巻の「告白物語」で谷川さんは「おひとり様」のことを

“独身”“特定のパートナーなし”の他に
“パートナーはいるけど物理的に離れている(遠距離とか)”
“パートナーはいるけど心が離れている”などなども含まれます

と書かれている。


ひとりでいる人だって人それぞれ。
恋をする人もいれば、しなくても大丈夫な人だっている。
仕事をしている人もいれば、そうじゃない人もいる。
それぞれにそれぞれの事情があるし、思いを抱えていると思う。

谷川さんの漫画はそんないろいろな人の思いをすくい取ってくれる。
ひとつの話は一話完結の基本16頁でさらりと読める。

でも、さらりと読める中に大切なもの、きらきらしたものが溢れている。
それが恋でも恋じゃないものでも。


今回印象に残ったのは第21話。
主人公は母と娘でふたり暮らしをしている。
彼女の母親はビデオの録画が出来なくて彼女にいつも頼んでしまう。
それは日常の一コマで、彼女はイラッとする思いを抱えている。

彼女が母親に対して思うこと。
私も父親とふたり暮らしなので同じようなことを思っていた。

親の為にしていることが、親の為になっていないんじゃないのか。

例えば、出掛ける時にごはんを作り置いて行くこと。
ごはんを作ることで私は安心できるけれど、父は自分で支度を出来ないままになる。

そんな親との距離感のこと。
今だからこそ読みたいし、理解できる悩み。


そう言うものをさりげなく掬い取ってくれるから
谷川さんの漫画は胸にしみるんだと思う。

ささやかな描写に涙出来るんだと思う。


何度でも読み返して、きっとその度に違う場所に反応するんだと思う。
その時の自分の思いを重ねて。


谷川さんのコミックスの中でも「おひとり様物語」3巻は特別な一冊になった。
これからも谷川さんの本を追いかけていきたいと思う。

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紙の本県庁おもてなし課

2011/04/04 07:14

好みの甘さが変わっても

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

最初に読む有川浩作品って何だろう?
ふとそんなことを考えた。

やっぱり「図書館戦争」シリーズかな。
それともドラマ化された「フリーター、家を買う。」か、
いやいや映画化される「阪急電車」か・・・?


私の場合、他の作家さん目当てで
アンソロジー「Sweet Blue Age」を手に取って
一通り読んでみたところ、お目当ての作家さんの作品よりも
有川さんの「クジラの彼」にすとんとはまってしまった。

それはきっと、下手な恋よりも深く。

「海の底」、「空の中」、「塩の街」と読み進めていって
「図書館戦争」シリーズで離れられなくなってしまった。

有川さんと言えば、「ベタ甘」。
「クジラの彼」の単行本のあとがきでびしっと言いきっている。

「いい年した大人が活字でベタ甘ラブロマ好きで何が悪い!」

アンソロジー「Sweet Blue Age」が発行されたのが2006年2月のこと。
有川さんを読み始めて5年、と初めて指折り数えてみた。

5年も経つと好みも変わっていく。
心地よかった「ベタ甘」も少し重たくなってきたりも、する。


そこで、「県庁おもてなし課」である。

とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。
おもてなし課の若手職員掛水を中心に物語は紡がれる。

おもてなし課のお仕事小説とも読めるし、
もちろんお仕事だけじゃなくて、人と人とが接していけば
恋もあるし、友情もあるし、家族としての繋がりもある。
そして、高知の観光についても詳しく書かれているので
高知に行ってみたくなったりもする。

言うなら「いろんなものが詰まった小説」なのだ。

そして、新聞で連載されていたせいなのか、あまりクセがないように思う。
親世代にも子世代にも受け止められるような。

有川さんと言えば「ベタ甘」だけど
今回はほんのりとした甘さのように感じた。
でも、他の部分がしっかり描かれているからこそ
ほんのり風味でもしっかり甘さがきいている。


何だかんだ言っても有川さんの甘さは私にとってはいいらしい。
そんなことに気付かされた一冊だった。

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セレクトショップを見ているような

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

店員さんが構ってくれるお店に行くのが少し苦手だったりする。
元気がある時はいいんだけど、そうじゃない時は気楽に応対出来なくて。

だから、カタログのような本が好きなのかもしれない。
選び抜かれた品物について、詳しく解説されているようなものならさらによし。
本屋さんに行っても、そう言う本を見つけるとついパラパラとめくってしまう。

でも、同じような本が沢山あっても、好きなものとそうでないものとがあって。

■写真と文字のバランス。
■品物についての説明。

眺めるポイントはこのあたり。


内田彩仍さんのこの本は「ナチュリラ」の別冊。
「ナチュリラ」の表紙には「大人ナチュラルな着こなしのほん」と書かれている。
「ナチュリラ」を眺めていて、内田さんのシンプルなんだけどどこか甘さのある
コーディネイトに惹かれるものを感じていた。

この本の表紙には「服、小物、日用品・・・ていねいに選んだ156点」とある。
内田さんが「好き」と思えるまで出会いを待った品物が沢山載っている。
「好き」の視点がまったくぶれないので、眺めていてとても心地いい。
品物の写真と好きな理由の文章のバランスもよくて、じっくりと読んでしまう。

それはまるで、内田さんが選びぬいて並べたセレクトショップをのぞいているような。
好きなものが沢山並んでいて、ゆっくり眺められるしあわせ。

無印良品の文房具のように気軽に手に取れるものもあれば
憧れだけにとどめられてしまうようなものもあるけれど。

必要だから、とか、とりあえずとか間に合わせで買ってしまうんじゃなくて
本当に好きなものをじっくりと時間をかけて選んでいく姿勢を見習えたらな、と思う。


私は今まで家族以外のひとと暮したことがないけれど
他のひとと暮らす時、自分の「好き」をこだわり抜けるものなのかな、と
内田さんの本を眺めながら思ってしまうのはここだけの話。

それはきっと、蛇足なのかもしれないけれど。

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紙の本朝から朝まで

2011/02/22 06:39

言葉のきらめき

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

一穂ミチさんの言葉の切り取り方が好きだ。
作品を読む度に、そう思う。

「朝から朝まで」はテレビ局が舞台になっている。
アルバイトの羽村結(ゆう)と報道局社会部記者の後藤京平。
結は忙しく仕事をしていく中で失敗したり、落ち込んだり。
京平は淡々と事実を伝えて、その誠実さが失敗した結に沁み込んでいく。

いつも自分を律している京平に素直になればいいのに、と願う結。

大人だからこそ、ぐっとこらえてしまう部分がある。
だからこそ、結の素直でまっすぐなところがまぶしかったりする。

テレビ局での日々が描かれていく中で
器用とは決して言えない二人に惹きつけられていく。
結や京平を囲む人たちとの会話のテンポのよさに惹きつけられていく。


優しくされたり、気遣われたりするのは、近づくことだろうか。
それとも遠ざけられることだろうか

誰も知りませんように。
誰の前でもあんな顔をしませんように。これから先もずっと。

ああ、笑った、と思った。
笑顔ぐらい、誰だって見せるのに。名前ぐらい誰だって呼ぶのに。
それがどうしてこんなに嬉しくて落ち着かない気持ちになるのだろうか。君は、ふしぎだ。


読む度に違う部分に惹かれていく。
それはきっと、ひとつひとつの言葉の切り取り方が心地いいからだろう。

器用とは言えない二人に何度でも会いたくなってしまうのは
一穂さんの言葉が気持ちに寄り添ってくれるから。

だからきっと、一穂さんの本を読み続けてしまうのだろう。
これから先も一穂さんの本を追いかけていきたいと思う。

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紙の本八月七日を探して

2011/02/09 06:02

分かりそうで、分からなくて

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本を読んでいたら、高校時代のことを思い出した。
勉強が出来て、でもそれだけじゃない大らかな友人たち。
話しても話しても話題の尽きない図書委員会の先輩。
そんな、あれこれ。

水沢涼太は病院のベッドで目を覚ます。
やっとのことで首を動かすと、傍らには幼なじみの姿が。
涼太はその幼なじみ、二宮恭一に尋ねる。

「俺、なんで病院にいんの? なんで腕、折ってんの・・・・・・?」

恭一と会話を交わしていくうちに
涼太は三カ月分の記憶をなくしていることに気づく。

そして、その後から夢を見るようになる。

外は嵐。
稲光が閃くと部屋の奥の生徒会長の机が青白く浮かび上がる。
涼太の上には涼太よりも一回り体の大きい男が覆いかぶさっている。

男に犯される、夢。


記憶のない三カ月の間に何が起こっていたのか?

生徒会を手伝っての文化祭準備。
生徒会副会長をしていて陸上部員としても活躍する恭一。
恭一と自分の姿を比べて劣等感を抱えて、夢の中の相手の男を
思い出せないことも重なっていらついていく涼太。

涼太を文化祭準備で自分の補佐に回す恭一。
補佐以外にも出来ることはあるのにとおもう涼太。
ひょうひょうとしながら実は仕事の出来る生徒会長北川が涼太を連れ出す。

恭一も北川も自分よりも一回り体が大きい。

どっちが夢の男なのか?
読み進んで行ってもなかなか分からない。
こっちかと思えばあっちのようで、あっちかと思えばまた違っていて。

気がつけば、ぐいぐいと話に惹きこまれていく。

幼なじみへの複雑な感情。
悩みの相談に乗ってくれる先輩。

学生時代の甘酸っぱい感情に揺られながら読み終わっていた。
恋愛よりも謎解きがメインかもしれない。

分かりそうで分からない、自分の気持ちも相手の気持ちも。
そんなことを思い出しながら本を置いた。

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紙の本朝ごはんからはじまる

2010/09/05 22:07

軽やかさの中に

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

我が家の朝ごはんは私が台所に立つようになってから
ずっとメニューは変わらなくて、トースト、カフェオレ、果物。
そのせいか、他の人の朝ごはんにとても興味があります。
本の題名に「朝ごはん」とあると胸がときめくほど。

「朝ごはんからはじまる」の題名に惹かれて見てみると
著者は山本ふみこさん。
日々のごはんを大切にしている様子が伝わってくる文章を読んでいると
母と話をしているような、ほっこりした気持ちになります。

そっと背中を押してくれるような、そんなささやかな文章の積み重ね。

新聞で連載されているエッセイをまとめたものでひとつの話は2頁。
「こんなことがあって」と山本さんから聞いているような気分になります。

文章はとても軽やか。
でも手渡されたものはずっしりと沁み込んでいく。

だから、山本ふみこさんの本を読むのをやめられないのかもしれません。

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紙の本逃した魚

2011/04/19 06:09

愛らしいひと

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中原一也さんと言えば、「おっさん」
そう言いきってもいいような気がする。

BLに出てくる年上の人と言うと常に素敵なおじさまと言う感じだった。
余裕があって少し意地悪で相手を手のひらの上で甘やかす。
馴染みがあるので安心して入り込めた。

でも、中原さんの本を読むようになって、それだけじゃないんだ、と知った。
読む度に違うタイプの「おっさん」が出て来る。
「おっさん」と言うのは奥深いんだなあ、としみじみ思ってしまったり。

今回、この本に出てくるのは「愛らしいひと」である。
本を読み終わって印象に残った言葉を一言で述べよ、と言われたら
「愛らしい」しかないくらいの「愛らしさ」

愛らしいひと、市ヶ谷。
そんな市ヶ谷に惹かれる気持ちはとてもよく分かる。
市ヶ谷の目線で物語が紡がれていくので、基本的には和やかに読める。
もちろん、和やかなだけじゃなく多少の波風はあったりもするけれど。

この「愛らしさ」は半端じゃない。
自分に殆どないと思うからこそ惹かれるのかもしれない。

派手さはないけれど、じんわりと和める。
そんな一冊だった。

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間違いのないお買い物

2011/04/19 05:27

見ても、読んでも

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私たちの周りには物があふれている。
手に取りやすいお値段のもの、ただ憧れるだけのもの。
お店も品物も沢山あって、どれがいいのか分からなくなる時がある。

つい最近、カタログギフトのカタログを戴いた。
いいな、と思うものを思いつくままにチェックを入れていく。
なかなか「これ」と言うものはないんだけど、それでも楽しい。
眺めながら、こんなものもあるんだな、あんなものもあるんだな、と思って。
自分の好みとは関係なく、アクセサリーだったりスポーツ用品だったり。
全然好みと違うものですら、見ているだけなら楽しかったりする。
(ちなみに迷いに迷っておしゃれな形の本棚を選びました)

まして、好みのものばっかりならば。
「間違いのないお買い物」は「暮らしのおへそ」の別冊と言う位置づけ。

「暮らしのおへそ」と言う本がある。
この本では日々の習慣を「おへそ」と呼んで
「習慣」を通してその人の暮らし方を紹介していて、今までに11冊発行されている。
人それぞれのこだわりがあって、シンプルですっきりしていて。
さらっと読めるけど読み応えがあって、結構好きな本だったりする。

「暮らしのおへそ」から「持ち物」をピックアップしたのがこの本。

本を開いてみると左側の頁に商品の写真。
右側の頁にはその品物についての説明やインタビュー。

これが意外と読み応えがあるのだ。
丁寧にじっくりと作られた本だからだと思う。
後は好きな人だったり、好きな人がこだわるものだったりするせいもあるかも。
ちょっと手に入れるのは難しいかな、と言うものもあるんだけどそれだけじゃなく。
計量スプーンとか柿の種とかエビスビールの小瓶とか、すぐそばにあるものも紹介されている。
そのバランスが絶妙で最初から最後まで眺めていて飽きない。

見ても読んでも楽しい。
そんな一冊だ。

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