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窓ぎわ猫さんのレビュー一覧

投稿者:窓ぎわ猫

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本Googleの正体

2010/04/03 23:16

グーグルは何をしたいのか――これまでの企業とは大きく異なるグーグルの性格がよくわかる良書。ボリュームも値段もお手軽で、読みやすくわかりやすいが、内容は濃い。新書のお手本のような本。

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 わたしがこの本を手にとったきっかけは、尊敬する、ある米国人作家が、グーグルブックを巡るグーグルと米作家組合との和解を批判して、同組合を脱退したというニュースに接したことだった。本と図書館をこよなく愛し、かつて「自由(liberty)とは図書館(library)のことだ」と書いた彼女が、インターネット上の無料図書館サービスのように見える「グーグルブック検索」を批判するのはなぜなのか、知りたくてたまらなかった。
 本書『Googleの正体』は、わたしの疑問にしっかり答えてくれた。グーグルという企業の全貌――その特異性と重要性、そして潜在的な危険性が、ビジネスや経済にうといわたしにもよくわかるようにあざやかに描き出されていた。
 まず、グーグルが、多くのサービスを無料で提供しつつ、急成長をとげているのはなぜなのか――その富が湧き出す仕組みが解き明かされる。グーグルの戦略が既存の企業の戦略とどのように異なり、グーグルがどのようにしてライバルを倒してきたかもわかる。
 とくにグーグルとヤフーの比較は興味深い。「ヤフーはあくまでも、ポータルサイトであることを目指している。利用者が好みそうなコンテンツをできるだけ増やし、長時間ヤフーの内部にとどまってもらう。その間に広告を表示し、クリックしてもらおうという考え方だ。一方で、グーグルは検索をしたらさっさと外側にある別のサイトに飛んでいってもらってかまわない」「いわば、ヤフーは広告がちりばめられたディズニーランドで、グーグルはクーポン広告が置いてある街中のインフォメーションスタンドのようなものだ」(ともに93ページ)。
 そういわれれば、この半年の間に、わたしのコンピュータのインターネット接続時に最初に出てくるサイトの設定は、にぎやかなヤフーのトップページから、そっけないグーグルの検索ページに変わっている。自分が無意識のうちにグーグルのビジネス戦略に沿った行動をとっていたことに気づいて、わたしは愕然とした。
 後半の「第四章 成り立ちから読み解くグーグルの姿」では、グーグルの創始者たちの高い倫理性が評価されている。「悪事を働かなくてもお金は稼げる」というのが、グーグルのポリシーだそうだ。それは、徹底して利用者の側に立つことによって可能になる。「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです」(本書161ページ。グーグルの会社概要の冒頭にある言葉だそうだ。)
 一方、グーグルのあり方に危惧を抱く人々ももちろん多い。すでに多くの個人情報をためこみ、「当人以上に当人を知っている」存在になってしまっていることに対する本能的な恐怖。プライバシー、著作権など他者の権利を侵しているという問題。
 グーグルは他者の権利について、事後承諾方式だ。「まずはサービスを始めてみて、問題点は後から考える」(183ページ)。権利を侵されたと思った側が文句を言わなくてはならない。
 グーグルのこの強引なやり方に対する著者のまなざしは、割合好意的だ。「利益のためなら他人の権利さえ侵害することを厭わない」という20世紀型の邪悪さとは色合いの異なる、21世紀型の天真爛漫さを感じるという。
 最終章である「第五章 グーグルと私たちの未来」では、すでに地球を覆うインフラになっているグーグルが「邪悪にならない」ままでいられる場合と「邪悪に変貌してしまう」場合の、ふたつのシナリオを考える。グーグルが高い理想に忠実なままであれば、世界は公平化に向かっていく(ただし、公平化は先進国にとっては貧困化である、という指摘があり、興味深い)。しかし、グーグルが「変節」すればどうなるか。「今のグーグルは、ビジネスと消費の間に立って互いの情報の流れを交通整理しているだけだが、情報の流れをグーグルが意図的に操作し始めたら、ビジネスも消費もグーグルを通してしか活動ができなくなる」(205ページ)

 著者は、グーグルという独特な企業を分析し、評価した上で、その力の巨大さゆえに、監視し続けることが大切だと訴える。著者自身は、ややグーグルに好意的である感じはするが、その意見を読者に押しつけることはせず、公平な配慮のもとに、読者自身が考える材料を提供してくれる。
 特筆すべきは文章のうまさだ。そのおかげで、読者は楽しみながら、学び、考えることができる。
 現代に生きるすべての人におすすめしたい本だ。

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紙の本「希望」という名の船にのって

2010/07/26 12:34

絶望の中に希望を見出す、近未来の子どもたち

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者 森下一仁(もりした かつひと) 画 きたむらさとし 発行 ゴブリン書房
 小学校中学年ぐらいから読める近未来SF。
 巻頭に「希望」号の外観(非常に尻尾が短く腹がふくれた魚のような形。おたまじゃくしの手のような一対のロボットアームがついている)と正面方向からの断面図、上から見た平面図があり、ページをめくると、この船の乗組員四十一人全員の名前と家族関係、そして個々の人について、大人の場合は船内での役割、子どもの場合は年齢が記されている。
 平面図を見ると、「農場」と「食料工場」が大きな部分を占めている。細長い十二のキャビンは、十二の家族の居室だろう。
 少年がロボットアームを操っているらしいカバー絵と、航行している船の前部を描いた扉、そして上記の巻頭情報を見て、読者はどんな物語を予想するだろう。
 この船が広い宇宙で出会うであろう数々の冒険にわくわくする人、船の航行メカニズムに興味をもつ人、こんな狭いところにこんなに大勢暮らすなんて、人間関係がさぞ大変だろうと心配する人などいろいろだろう。だが、おそらく、予想のほとんどは見事にくつがえされ、物語は思いもよらない方向に展開する。
 主人公ヒロシはこの船で生まれ、育ってきた十二歳の少年。船の中以外の生活を知らない。午前中は教室の授業で地球のことを習い、午後は、大人たちの仕事を手助けしたり、遊んだりする。この船は地球に蔓延する悪い病気から逃れて、「新しい地球」を見つけるために旅を続けているのだ、とヒロシたちは教えられている。もっと具体的なことは、大人の仲間入りをするときに教えてもらえるはずだった。
 だが、船には大きな秘密があり、船が出発当時から背負わされている「危険」は年月とともに深まりつつあった。現実を子どもたちと分かち合うべきだと考えたひとりの大人がいて、その人の出したヒントを手がかりに、子どもたちは真実を探り出し、やがて大人たちと力を合わせて危機に対処する。
 この物語では、船を襲う危機の性質も、人々が希望を託すさまざまな解決案も、そして、なかなか予想どおりに事が運ばない理由も、科学的な知識に基づいて詳細に記述され、とても説得力がある。
 物語が進むにつれて困難は増し、絶望の色がかなり濃くなる。こんな状況でどうして子どもをつくったかと親にくってかかる子どもや、パニックに陥って自殺したり、仲間を傷つけたりする大人が出ても不思議ではない。だが、この物語ではそういうことは起こらない。この船の人々は、不服を言わずに不安や恐怖に耐え、仲間を思いやる。そして、科学知識や科学技術に基づいて――つまり理性によって、絶望の中に希望を見出そうとする。ひさしぶりに「けなげ」という言葉を思い出した。
 作者自身の人となりもあるだろうが、ひとつには、科学的知識に基づいて現実を認識するということが、人を謙虚にするのではないかと思う。自分よりはるかに大きな力の存在を知り、自分の存在の小ささを知る。それでもなんとか自分の知恵と力を発揮し、属する集団の中で役割を担おうとする。わずかな可能性に希望を託す一方で、最悪の場合の覚悟も定まっていく。死を意識すればこそ、明るく輝く初恋もある……。
 清くせつなく心優しいジュブナイルSF。「たまにはSFも読んでごらんよ。おもしろいよ」という言葉とともに、身近な小中学生にプレゼントしたい一冊だ。

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紙の本プリンセス・トヨトミ

2011/07/04 19:53

吉里吉里人には遠く及ばぬ 経済的に自立してないなんて……。

5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大阪出身者として大いに期待した分、大変がっかりしました。
経済的に自立していない大阪国なんて……。
少しも嬉しくない、情けない設定です。
大阪人を、そんな恥を知らぬ人々だと思わないでほしい。
さっそうと見えた旭についても、思慮のない行動をしていたことがわかってがっかり。
数少ない収穫のひとつは、大阪の夕焼けがすばらしいのは
西に海があるからだ、という説明でした。
関東に来てから、夕焼けが物足りないなあと思っていたので
得心できました。
それからもうひとつ、よかったのは、
プリンセス・トヨトミその人のキャラクターです。

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紙の本オンナらしさ入門〈笑〉

2010/03/04 18:22

少女のためのジェンダー学入門――でも、親についての決めつけが過ぎませんか?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

(笑)とタイトルについていることでわかるように、この本は
オンナらしくなる方法を教えるものではありません。
帯に「ワタシたち、イバラの道を行くの(はあとマーク)――でも、見せてあげるね。あなたがいる場所の「ヒミツ」と「希望」を。」とあるように
本書は、少女のためのジェンダー学入門です。

「おとこのこってなんでできてる? ……かえるにかたつむりにこいぬのしぽ」「おんなのこってなんでできてる? ……おさとうとスパイスとすてきななにもかも」というマザーグースの歌に始まって、
「あなたが、産まれた日」から女の子の成長をたどり、とくに周囲から寄せられる、男の子とに対するのとは違う期待と要求が、いかに女の子を苦しめるかを描いています。
なかでも、「女の子のお母さん」に対する目は厳しい。
「お母さんは、あなたが、成績がよくて、仕事もして、結婚はして(原文ママ。結婚も?)、子どもも生んで、女として幸せになってもらいたいと、キルトのように継(つ)ぎ接(は)ぎの夢の応援をしているのです。何が幸福かわからないので、とりあえず選択肢を増やしておこうというつもりですね。それらが相互に矛盾しているとは思っていません。人生とは矛盾そのものだからです。(100ページ)」「お母さんがおばあさんにされてきたことにおかあさんは怒りをもっているので、お母さんはあなたに機会を増やしてあげたいと思っているのですが、それが女子には大きな負担になっていきます。(101ページ)」

当たっていなくはないだろう。だが、少し古いかもしれない。わたしは、五〇代の女で、二十代の娘をもっているが、むしろ、自分の母がこの、「女の子のお母さん」のようだった。だから、娘には夢をおしつけないように気をつけた。
「継ぎ接ぎの夢」を押し付けることができたのは、専業主婦として生きるのが当たり前だった世代の女性たちではないだろうか。今の若い女性や少女の母の世代――わたしたち――は「継ぎ接ぎの夢」を実現しようとするしんどさをよく知っている。わたしたち自身の大多数が、今も、人として女として、よりよく生きようとあがいているのだから。

本書にはいいこともたくさん書いてあるし、
はっとするような鋭い洞察もあるが
「お母さん」が敵であるかのような書き方は残念だ。
そのようなものの見方が、お母さんの足を引っ張る「女の子」をつくることもある。
たとえば81ページ。「女らしさ」を求める両親の期待について。
「お母さんは、部屋をかたづけるとか、やっぱり「キレイ系」になってほしいみたいですね。自分の身体だけでなく、自分の部屋もキレイにしなくてはならない。そうしないと、代わりに、お母さんがあなたの部屋をキレイにしなければならないからです。お母さんはあなたを侍女にしようとしています」

最後の一文はどう考えても「お母さんはあなたの侍女になりたくないのです。」が正しいでしょう。自分の部屋は自分でそうじしなさい。男の子でも女の子でも。

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