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先月(2017年6月)

たぬぽんさんのレビュー一覧

投稿者:たぬぽん

1 件中 1 件~ 1 件を表示

「漫画家」として生きるということ

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

子供の頃、プリンセスを縁側で読んでいた。
どんな漫画が掲載されていたか思い出してみて、一番最初に浮かぶのが「イブの息子たち」だ。
思えばオマセな小学生だった。
「イブの息子たち」が1976年春に始まり、「エロイカより愛をこめて」が冬に始まる。
中学生の頃、友人達と少佐の似顔絵を描き、セリフを真似た。

連載が途中、中断されたのと同じように、私も漫画を読まない時期があった。
多くの人がそうではないか。仕事や家庭に追われ、いつしか「漫画=昔ハマったもの=過去形」になってしまう。
そしてある日ふと、「あの懐かしい漫画、最後はどうなったんだろう」と思い出し、本屋へ行く、または検索をかける。
まだ連載されてると知った時の驚きと喜びときたら!

前置きが長くなったが、少女(少年)の頃「エロイカ」にハマり、大人になって再会した人に、特にこの本を薦めたい。
(もちろん、ずっと連載を追いかけているファンはもちろんだ)

私達が生活に追われている間、青池氏はずっと描き続けていた。
彼女の生活は、漫画そのものなのだ。
氏の今までの苦労、情熱、印象深い出来事、家族の思い出がこの本に書かれている。
そこには私達の知らない、生身の人間がいる。

もちろん、「あのシーンにはそんな裏話が」などなど、ファンにはたまらない話もたっぷり。
若き日の部長とミスターLのイケメンぶり(これには正直、驚愕)など、登場人物のクスッと笑える挿絵もたっぷり。
なんという遊び心!

最後に、心に残った文章を。

<大切なのは題材に対する敬意だ。漫画だからといって、いい加減な扱いは失礼だし自分の仕事を貶めることになる。
題材に関連する資料をできるだけ多く集めて、間違いのない知識を得たい。
そこから新たなアイデアも湧く。想像力を駆使して自分流の漫画を創作するのはそれからだ。
手抜きのない基礎工事の上にこそ、堅牢な創作世界が構築できるのだ。>第13章より

青池氏の、コマの隅々までミッチリと描き込まれた美しい作品はこういう信念から生まれている。
感嘆すると共に、どうかどうかいつまでもお元気で、と祈らずにはいられない。

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