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先月(2017年8月)

野ばらさんのレビュー一覧

投稿者:野ばら

1 件中 1 件~ 1 件を表示

セム温泉

2010/07/03 09:05

秘密の温泉場

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この小説はいきつけのバーに貼ってあったポスターではじめて知った。面白そうだなと思っているううち、FMのパーソナリティーの人とか、セレブ系の人のブログでもとりあげられ、そのうち新聞の書評にも載った。奇書ともいえる内容なので、ここで紹介したい。

重いテーマ。 現代の隠れたタブー、安楽死に挑戦している。死から苦痛と恐怖を取り去ったもの。つまり、快楽の安楽死温泉。高齢化介護社会に対する強烈なアンチテーゼともいえる。その意味で平成の最大の問題作の一つだと思う。しかし、文章はわかりやすく、ほとんど描写と会話で表現するスタイルをとっている。
独創性。 場面のすべてが手作りというか、完全なオリジナル。丁半博打一つをとっても、布をころがす反物賭博。共同風呂は同じ造りは一つもないという凝りよう。一つ一つの挿話の中の印象的な場面を版画家 畑中純が味わい深い版画に仕上げていて、これも魅力の一つ。 
第1話 トランプ占い 第2話 振り返るトカゲ 第3話 揺れる羽根 
第4話 疾走するトロッコ 第5話 女の打ち掛けを着た若旦那 第6話
舞台で踊る死の少女たち 第7話 蒸し風呂治療室 第8話 ワゴン車後部座席の開いたドア 第9話 女と男の露天風呂 第10話 男の手に重ねられた少女の手。

あらゆるものがデジタル化されたサイバー社会とまったく逆の、手で触れ、においを嗅げるアナログ共同体が見事な文と絵で構築されている。閉塞感がなく、風通しは非常によい。そもそもセム温泉という秘密の温泉場の空間がこれまでいかなる小説にもなかったもの。読者は未知の体験をすることになる。

一枚のハガキによるセム温泉への導入。セムでの滞在と生活。第10話はセム温泉から日常社会への帰還。読後は、長い旅が終わった感じになる。そして、何を思うかは読者次第ということだろう。

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