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    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

琉璃と瑠璃さんのレビュー一覧

投稿者:琉璃と瑠璃

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本尾崎翠砂丘の彼方へ

2010/09/24 20:02

尾崎翠研究事始

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この年に巡り会えたこと、この本に巡り会えたことを幸運に思う。
無視もされ、愛されもし、時に評価が迷走した尾崎翠作品を、精緻にかつ巨視的に文学の豊かな系譜の中に位置づけようという野心的な試みが結実した。

 印象批評の時代から、校訂、仮説、論証の時代へ。しかも、尾崎翠の繊細さ、柔らかさ、壊れやすさについて細心の注意を払って、研究対象とされる時代がここに始まる。

 孤立していたかに見えた尾崎翠の文業が、幾多の豊かな思想的文学的水脈の中で育まれ、息づいていたこと。
 それとともに、女性の書き手読み手としてカノンとの格闘を余儀なくされたこと。

 その栄光と悲哀が、次の世代に大きな宿題として手渡されている。
 尾崎翠読者としては、謹んでこの一冊の贈り物を受け取り、少しずつ先駆者の問いに答えていきたいものだ。

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紙の本琉璃玉の耳輪

2010/09/24 20:17

批評とオマージュと創造力

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 単純なノベライズを許すようなやわな対象ではない、尾崎翠。
 尾崎翠を理解するために欠かすことのできない、モダニズム尖鋭期の意匠,風俗を、贅沢に採りいれた力技。
 遊び心にもあふれ、そこここに埋め込まれた尾崎翠モチーフの変装を発見する読書の楽しみも味わえる。
 
 典雅にして残酷な、エログロナンセンスの光芒と深い闇の奥に、今なぜ、尾崎翠か、という謎が潜んでいる。
 尾崎翠は手強い。
 全力を挙げて「小説家」という方法によって尾崎翠の未完のシナリオと取り組んだこの書には、批評とオマージュと21世紀的な創造力が横溢している。


 尾崎翠新世紀が、内発的に始まり、次の世代の表現者に精神のリレーのバトンを渡しうるとしたら、ここからだ。

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