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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

レントゲンのパパさんのレビュー一覧

投稿者:レントゲンのパパ

11 件中 1 件~ 11 件を表示

ガラクタ遺伝子から人類の軌跡をたどる。まさに人類学の至極の一冊!

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

男遺伝子であるY染色体の突然変異の頻度から、人類の起源と拡散の歴史をひも解く、という壮大な研究である本作品は、内容もさることながら作者の科学者らしからぬ豊かな表現力でとても読みやすい一冊です。

遺伝学から人類の起源を解明する研究では、アランウィルソンのミトコンドリア・イヴ研究(書評第2号『イヴと七人の娘たち』有名ですが、遺伝子の突然変異の頻度と速度を規定するのがポイントとなり、規定する速度によっては、その推定年代が大きく変動することが問題でした。しかし、男家系に引き継がれるY染色体からのアプローチで年代が推定され、その起源や拡散の推定値がミトコンドリアと見事に合致したことにより、晴れてイヴとアダムと手を結ぶことができたのです!

本書でお勧めしたいのが、著者が遺伝学のみならず、考古学や言語学にも精通しており、多くの学問的証拠をもとに、人類の軌跡をより確実かつ明確なものとしている点です。特に、著者の恩師にあたるルカ・カヴァッリ・スフォツツァの存在感は圧巻で、農耕の発展や言語の変遷を遺伝学から解明した、その幅広い功績を見れば圧倒されます。

ミトコンドリア・イヴに興味をもち、何かしらの本をお読みになった方に是非お勧めしたい本です。

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書評第1号にふさわしい大傑作!もっと早く読んでれば・・・

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

17世紀にフェルマーが残した最大の謎「フェルマーの最終定理」と、その証明に人生を捧げた数学者達との熱き戦い。これは完全証明者ワイルズの功績を称えるものではなく、3世紀におよぶ数学界を描いた「熱きドラマ」だ!

・・・とカッコいいことは山ほど言えるワケですが、、、私自身は三十路を迎えた典型的な数学嫌い。読書自体も好きではなく、高校を卒業するまで感想文の課題本しか読んだことがありません。「30」の節目に本格的に読書に向き合った次第で、この本が晴れて書評第1号となりました♪

この本と出会ったのは1年前。某ビジネス本で推薦されたのをきっかけに読んでみようと思ったのですが、立ち読みするなり、いきなりの「数式」に拒絶反応!そっと棚に戻したのを覚えています(笑)

今回は松岡正剛さんを見習って、「読書は遊び」「本は教科書」と念じながら、思い切って書き込みやマーキングをしながら一気に読みました。いわゆる「外もの」は名前(外人はカタカナ表記)が覚えられず読んだ先から忘れてしまうのですが、マーキングのおかげで最後まで楽しむことができました。正剛さんありがとう♪(ブックオフで売れなくなったけど)

内容は書評の多さが物語るとおりの傑作です!数論や定理といった「お堅い」テーマにも関わらず、すらすら読めてしまう文章力には驚きです。サイモン・シンは只者じゃない!(訳者がすごいのかな?)

読んだ後には「もっと早くに読んでれば・・・」の後悔ばかり。若いときに出会ってればもう少し数学が好きになってたかな?「過ぎたるは及ばざるがなんちゃら」ということで、本棚に大切に飾って、愛娘たちが読んでくれるのを楽しみにしています。

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紙の本生物と無生物のあいだ

2011/07/20 00:51

「生命とは何か」への答え。生命とは動的平衡にある流れ。

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

衝撃の刊行から4年が経過するも、未だおススメ棚を飾る一冊。内容も然ることながら、分子生物学者とは思えぬ美しく柔らかな文章構成は何度読んでも新鮮な感動を与えてくれます。

著者は冒頭から私たちに問いかけます。「生命とは何か?」と。

本書はその解答権を、DNA構造を発見したワトソンとクリック、PCR原理の提唱者キャリー・マリスといったノーベル賞受賞者たちに与えてくれません。遺伝子研究に多大な功績を残すも、日の目を見ることの叶わなかった影の立役者、3人のアンサング・ヒーローに求めています。

遺伝情報を運ぶ最重要分子がDNAであることを初めて発見したオズワルド・エイブリー。DNA結晶のX線解析によってDNAのらせん構造を初めて見出したロザリンド・フランクリン。そして同位体分子の質量分析から、生体を構成する全ての分子が常に代謝され置換されていく様を見て、「生命とは代謝の動的な流れであり、その流れこそが生命の真の姿」と提唱したルドルフ・シェーンハイマー。

著者は、彼らのひたむきな研究に対する情熱と決して諦めない信念、そして何より被ばくによる癌死や自殺といった非情な最後が、自身のポス・ドク生活や研究者の一面とリンクしたのでしょうね。

本書は、DNAをめぐるヒューマンドラマから、シュレーディンガーの「生命とは何か」への答えとして新たな生命観『動的平衡』など、幅広い領域をカバーしていますが、『動的平衡』に関しては新書では納まらず次回に続くようですね。

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紙の本センス・オブ・ワンダー

2012/05/24 23:53

愛する子供にできること。今の自分にできること。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

わたしがこの本を読んだのは、東北の遅い春の到来を感じることがやっと出来た5月の初旬でした。早朝を走っていたとき、普段走り慣れているコースにも関わらず、今まで感じることの出来なかった発見をすることが出来たのです。

仙台の花見の名所であり、わたしの早朝ランニングのコースでもある公園の林道は、今、絶え間ない鳥たちの鳴き声が聞こえ、名前の知らないさまざまな草花が活き活きと花を咲かせています。

朝日を浴びながらこの本をことを考えると、二児の父親としてわたしが彼女たちに教えてきたことの脆弱さを感じるとともに、わたしが目にしている鳥たちや草花に関する知識の無さに、ため息すら出すことができませんでした。

「目の前を横切る小鳥の名は?あの青く美しい花の名は?」

わたし自身が幼少にしてきた魚採りや山菜採り。結果は「採る」ことに変わりませんが、その過程である「経験」は、自然に触れ合うことでしか得られない「感性」そのものだったと思います。

わたしの父も、自然に関する知識は持ちえていなかったと思います。しかし、幼いわたしと夢中になって採りながら、彼の持ち得るわずかな知識をもって教えてくれたことは、30を過ぎたわたしの記憶に一字の誤りも無く刻み込まれています。

あのときのトキメキと感性をわたしはどこに置いてきてしまったのでしょう?

レイチェルは語りかけます。

「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない。

愛する娘たちに、センス・オブ・ワンダー(不思議さに驚嘆する感性)をこの都会で与えることはそんなに難しいことではありません。大切なのは、親が子供と向き合って発見の喜びを分かち合うことが大切なのだと思います。

いつか彼女たちをこの早朝の公園に連れてきて、図鑑を片手に発見の喜びを分かち合いたいと願うばかりです。

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紙の本十五少年漂流記

2011/08/12 23:12

中年男性必読!現代社会を生き抜くヒントがここに!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

少年時代に読んで以来(もしかしてロビンソン漂流記の間違いかな?)、20年ぶりに再読しましたが、改めてこの本のすばらしさを確認することが出来ました。

小さい頃皆さんが本書で楽しんだ場面はきっと、先人の漂流者の骸骨を見つけた場面や、後から漂流してきた悪党たちと決闘するところでしょう。しかし三十路になって改めて読み返すと、あの時とはまったく違う場面で本書の価値を見い出すことができます。

まずは主人公ブリアン。彼は勇気あるリーダーとして描かれていますが、それ以上に、先を予測して行動できる能力と生きるための知識の豊富さに圧倒されるでしょう。もしあなたが本書のような無人島に漂流したとしたら、島の植物生態から自分たちが住んでいた島(ニュージーランド)よりも寒い地域に属することに気づき、間もなく到来するであろう冬に備えていち早く準備することが出来るでしょうか?もしあなたが重い荷物を目的地に運びたいとき、川の流れが海の満ち引きによって変わることを利用してボートで荷物を運搬することを考えるでしょうか?

また少年15人が数年にも及んで秩序ある社会構造を維持し生活していた点も特筆すべき項目です。『たかがフィクション』と思うかもしれませんが、ここに現代社会を生き抜くヒントが隠されていると思います。集団を形成し長期間維持するということは簡単ではありません。本書でもドリファンという偏屈者によってその秩序を乱そうとします。しかし少年たちはドリファンが得意な狩猟を担当させることでその不満を回避し、集団の分裂を回避しています。またブリアンの見てきた事実を信じようとしないドリアンに対しては、自ら確認させる旅を促す決定を全員で選択しているのです。

今さら読むことに抵抗があるかもしれませんが、現代社会を漂流しないヒントがあるはずです。

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紙の本できそこないの男たち

2011/05/12 23:49

思わず萎える自虐的な男本。現代の社会構造に「メス」をいれた一冊。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

発刊から2年が経過するも未だ話題をさらう男本。改めて読み返してみても思わず萎えてしまう一冊です。男女平等が叫ばれる現代社会で亭主関白的な態度をとられる殿方にはぜひとも一読していただきたい。また、そんな殿方を選んでしまった奥方には父の日のプレゼントとしてお勧めしたい。

本書ではアリマキ(アブラムシ)の驚くべき生態について紹介しています。アリマキの世界は原則メスだけで成立しており、自らのクローンを生み出すことで驚異的な繁殖力を実現しています。しかし、一年に一度秋の訪れとともに、自身の染色体をひとつ削ったクローン、即ち弱いオスを生み出し交配を行うことで、種の形質に多様性と変化をつくりだし、環境の変化に対応してきたというのです。まさにオスは生き残るための使い走りです。著者はさらに男を追い込みます(著者も男なのに)。この風変わりな繁殖システムは、アリマキのような限られた種の中で行われているのではなく、地球上に生命が誕生してからの10億年ではむしろメジャーな増殖手段だというのです。

話をヒトに戻すとさらに悲しい運命が待っています。ヒトの発生、即ち胎児誕生の過程は女性を基本仕様としており、男性特有の生殖器は女性の仕様をその場しのぎで作り変えたものだというのです。さらに日本人の死亡率統計から見ても、男性はがんに罹患しやすく、ストレスに弱く早死してしまう。男性を決定する遺伝子が作り出す男性ホルモンがヒトの免疫系を邪魔するというのです。

著者の生物学的知見から、現代の社会構造に「メス」をいれた一冊です(笑)。

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数十万のDNAサンプルから人類の遺伝的ルーツは解明できるのか?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

前著『アダムの旅』(書評第3号)で世界のY染色体の突然変異の頻度から人類の旅路を解明する研究が、超巨大な国際プロジェクトとなって帰ってきました!

本研究のジェノグラフィック・プロジェクトは、世界各地の先住民をはじめとする数十万人から採取したDNAサンプルから、人類の遺伝的ルーツを解明しようというもの。グローバル化によって遺伝の多様性が失われていく現代において時間との戦いでもあるこの研究によって、多くの人類の謎が解明されようとしています。

本書で興味を引かれるのが、数十万人のサンプルが成し得る、Y遺伝子およびミトコンドリアDNAの突然変マーカーの頻度分布です。頻度分布を世界地図にあわせると摩訶不思議!そのマーカーをもつ集団の発祥の地や拡散の様子が伺えるのです。サンプルと統計を主に行なっている私のような医療研究者(自称です)にとっては、とてもとても魅力的な研究に見えてしまいます。(その代わりサンプルの分析にかける労力と時間を想像すると萎えてしまいますが・・・)

スペンサー・ウェルズの前作『アダムの旅』の完成度があまりに際立ってしまい、本書の内容としては消化不良のところはあります。しかし、今後の研究成果が本として出るのなら、真っ先に買ってみたくなるほど魅力的な研究であることは間違いありません。

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紙の本生命の未来

2011/05/20 23:33

東日本大震災から学んだこと、将来の世代を考えること

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

書評を書くにあたって私の読書の状況を少しだけ報告します。本書は今年3月初旬より読み始めましたが、3月11日の東日本大震災および頻発する余震のため、読み終えるのに時間を割いてしまいました。仙台で震災を経験した私にとって、本書に感じた思いが今回の震災によって大きく変わったことをお知らせしたかったのです。

本書では環境保全や生物多様性の保護を擁護する立場をとる根拠として、生物学者である著者は、世界中の環境と生物種に関する研究成果を紹介しています。しかし、何より私の心を捕らえたのは、もっと単純で道徳的な一文でした。著者は私たちに問いかけます。

『今から1000年後、私たちがどのような存在として記憶されることになるかあなたは考えたことがあるだろうか?・・・保全の倫理は、将来の世代に人間以外の世界の最良の部分を渡すことを目的とする』

安全神話が崩壊した被災国日本の子供たちが、将来安心して暮らせる社会をもう一度築くため、世界中の人たちが一丸となって復興を目指している今だからこそ、美しい自然環境と生物多様性のバトンを子供たちに渡すことを、いま一度考えることが出来ると思います。

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内容は申し分ないが、脚注の量が・・・

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は、ヒトの遺伝子配列が変化せずにDNAの性質が変化し、その変化が世代を超えて伝わるという「エピジェネティック」な変化を実例を挙げて紹介している。

特に、子供の環境や食べ物、ストレス、社会といった影響が、子々孫々の子育てや健康に遺伝するとは驚きだ。

本書で紹介しているエピジェネティックな例を挙げたいところだが、展開から少し脱線しているテーマのほうが面白かったので紹介したい。

まずは、『タスマニアデビルの悲劇的な生涯』。がん細胞と治療についての章であるが、タスマニアデビルの壮絶な生涯と習性がもたらす悲劇的な運命が切なくも面白い!

また『Xウィメン』と称した章では、男性よりも2倍の性染色体をもつ女性の色覚が遺伝学的に優れており、女性の半分しか遺伝子を持たない男性は色盲になりやすい、という男には残念なお知らせだ。

本書は遺伝学を中心に述べられているため、遺伝子の名称などが難しい。しかし、先に述べたような、興味をそそる例やテーマを挙げてくれるので、最後まで読める作品だった。

しかし、関連図書と比べてちょっと割高の値段設定なのに、全体の1/4が脚注と参考文献だったのは非常に非常に残念!

よって★三つ!

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イヴの七人の娘たち

2011/01/31 00:26

科学的根拠から描かれた太古の世界を生きた母たちに思いを巡らせて・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人生初のひと月で2冊目の完読!堂々の書評第2号です。
「たかが2冊・・・」といったご批判を甘んじて受けながらも(子育てと研究と試験の重圧に耐えながら読みきったので)胸を張って書かせていただきます。

私たちが知り得る太古の世界は、世界史の数行に納められた現実味のない文面と作り手のエゴが盛り込まれたフィクション映画だけしか知ることができません。しかし本書は、母親から受け継ぐミトコンドリアDNAの突然変異から、現代ヨーロッパ人を7つの群(クラスター)に分類、その一族の母たちを『イヴの七人の娘』とし、従来の考古学や気象学に基づく太古の世界に彼女たちを配置することで、当時を生きた母(娘)たちの営みをダイナミックに描いています。本書を読んだ皆さんは、太古を生き続けた祖先を身近に感じるとともに、『もし自分がその世界に生を受けていたら・・・』と思いを巡らすのではないでしょうか。

本書の大筋をなす研究成果は、ノーベル医学・生理賞者ジェームス・ワトソンの大書『DNA』でも取り上げられています。おそらくですが、ピューリッツァー受賞作『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイモンド著)の人類大移動の根拠ともなったポリネシア人の起源解明にも、この研究結果が採用されていることでしょう。こんな世界の常識を一変してしまうような大発見を物語るのですから、多少なりとも文面の難しさを覚悟していたのですが、短編のようにわかりやすく纏められて非常に読みやすい一冊になっていました。ただし、あえて注文を付けるなら、このダイナミックなドラマに読者を引き込むような巧みな文章表現がもう少し欲しかったです。半月前にサイモン・シン著『フェルマーの最終定理』を読んでいただけに物足りなさが残りました。

そんなブライアン・サイクス氏へ、今後の発展と第2作を期待して星三つ!

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グッと来るタイトルの割には・・・

2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

約1万年前の、人類による『農耕』の発明が、文明発展の契機となるばかりでなく、現代に蔓延する『厄災』に繋がったとするネガティブな影響について、農耕の象徴である「種」と「パンドラの箱」とをかけた作品。

著者は、農耕の発展がもたらした「食料の余剰」が、現代社会の肥満やストレス、環境破壊を招いたとする一方で、最先端の技術を積極的に利用すべきという科学者らしい見解も述べている。

その一例に著者は、現代のエネルギー不足に対して『原子力発電』を推進している(本作品は震災以前に書かれたものだが、震災と福島原発事故を経験していたら、その考えは変わっていただろうか?)。

正直・・・現代の抱える諸問題を、1万年前の農耕出現に責任を押し付けるのは無理があると思う(実際、著者は飛行機とノートパソコンを駆使して世界中で本書を執筆しているようだし)。

それに、「1万年前に農耕が世界各地で同時多発的に出現した理由」や「狩猟採集民より不健康だった時代があったのにどうして」といった謎を提起しながらも、本作品の中で答えを見出していない。

集団遺伝学者として、タイトルにふさわしく我々が見ることのできない1年前の出来事を述べて欲しかったのに、本書の大半を現代の問題に費やしているのが非常に残念(それは集団遺伝学者じゃなくても書けるでしょ)!

前作『アダムの旅』が大作だっただけに、タイトルを見るや否や中身も見ずに買いましたが、正直『名前負け』していると思う。おそらく著者の作品を読むのはこれが最後でしょう。ウェルズさん、さようなら。

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