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    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

きんさんさんのレビュー一覧

投稿者:きんさん

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本0マン 1

2012/02/06 18:38

手塚治虫長編SFの最高傑作。初期手塚の濃密な芳香の余韻も残る、精緻な細部を精巧に積み上げた壮大な作品。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

主人公のリッキー、なんと勇敢で心優しい、けなげな少年でしょう。リスから進化を遂げた、人間より優れた生物0マン。0マンの子でありながら人間に育てられ、0マンと人間双方の立場が理解できるがゆえにしばしば苦悩するリッキー。基本的には人間の側に立ちますが、一生懸命尽くす割には報われません。アトムの姿にも重なります。

ところで、その鉄腕アトムの場合、1956年の「ミドロが沼」から翌年の「ブラックルックス」あたりまでが、初期手塚作品の密度の濃さや丁寧なタッチが漂う最後の頃かもしれません。この「0マン」は1959年秋から翌年末まで少年サンデーに連載されたものですが、初期の手塚作品が持つ良さも感じられる最後の作品の一つと言えます。繰り返して読めば読むほど、細部まで丁寧に描かれている、一つ一つのコマに刻まれた芸の細かさに気づき、天才の所業に改めて感嘆せざるを得ません。

著者が「ジャングル大帝」と肩を並べるほどの大河ドラマになったと述懐しているように、比類なきスケールの大きさと縦横無尽な構成力によって紡がれた傑作。わずか数ページの間に見事な展開を繰り広げる物語。東京、富士山、ヒマラヤの0マン国、アメリカのゴーストタウン、そして宇宙にまで及ぶ多種多様な場面設定。諸行無常な人類文明、戦うことの愚かさとむなしさ、人間中心の視点への批判、独裁政治、人種差別、人間の征服欲などが引き起こす問題、そして純文学にも劣らないほど人情の機微まで表現されているのです。

まさに波乱万丈なリッキーの生涯。何度か絶体絶命のピンチに陥ったリッキーに救いの手が差し伸べられる場面は印象に残ります。その他、数多くの名場面があり、枚挙に暇がありません。ヒマラヤで0マン国を目指すリッキーと両親が吹雪に遭うシーン、リッキーの献身的な自己犠牲に心を動かされていく飛車角副官の行動、自己中心的なランプの辿った運命など。

また、リッキーだけでなくピットやリーズなどにも感情移入が可能でしょう。さらに、多彩な登場人物の表情の豊かさ、数々の名セリフなどに加えて、桃山&甘井コンビの愉快なやりとりなど、そこかしこにユーモラスな場面や会話がちりばめられているのも手塚作品の楽しさの一つです。

現代にも通じるばかりでなく人類や地球の未来にも警鐘を鳴らす作品「0マン」。物語は、交響曲のように最後に再び主題が繰り返され幕を閉じます。傲慢になりがちな人間という生物。大地も水も空気も人間だけのものではありません。「だって0マンから見れば人間も動物の一種だい」というリッキーの言葉に謙虚に耳を傾けるべきなのでしょう。アンハッピーエンドが少なくない手塚作品ですが、リッキーの運命やいかに?0マンは果たして人間と共存できるのでしょうか?

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