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ミステリマニアさんのレビュー一覧

投稿者:ミステリマニア

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禅をモチーフにしたペダントリック・ミステリー!?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

台湾を舞台に、日本人の特別捜査官・郷左六が活躍する長編推理小説三部作の第一巻。
日本の推理小説で、台湾を舞台にした作品というのはあまり聞かないので、珍しさもあって読んだのですが、期待以上の面白さで、一気に読んでしまいました。

台湾は日本の推理小説界との関係も深く、『幻影城』の編集長だった島崎博が『幻影城』休刊後、台湾で日本の推理小説を次々と紹介したことで推理小説ブームが起きたことも有名です。
また、「島田荘司推理小説賞」という本格ミステリを対象とした新人賞も開催されていて、日本の“本格”が台湾でも広まっていることはミステリ好きの間ではよく知られています(たぶん)。

本書の作者は日本人の作家で、2000年以降台湾在住で、本作が小説デビューとのこと。
現地のミステリ作品などにも親しんでいるのかもしれません。

謎に満ちた事件の数々とサスペンスあふれる展開、そして主人公による謎解きとどんでん返しは推理小説の醍醐味に満ちています。
三部作の第一部ということで、大きな闇の全貌は見えませんが、おそらく様々な伏線が二部・三部と進むごとにサラサラとつながって、みごとに収束するのでしょう。

主人公のキャラクターも愉快で、達観した僧侶のようにゆらゆらとした印象を受けます。
並の人間には歯の立たない全能感があって、常にすべてを見通しているにもかかわらず、わざととぼけてみせるような・・・
作者もそんな方なのかもしれません。プロフィールには、「南禅思想の習得に努め」とありましたし。

おそらく、作者は推理小説を書こうとしているのではなく、推理小説という形式を使っているだけのような気がしますが、あえて日本ミステリの流れに当てはめてみると、小栗虫太郎や京極夏彦に代表されるペダントリックなミステリの”禅”バージョンなのかもしれません。

そんなことを考えながら、第二部・第三部と、作者のねらいを推理しながら読んでみたいと思います。

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