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機動警察パトレイバーザ・レイバー・インダストリー

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　本書の目玉は言うまでもなく、多数収録された描き下ろしイラストだろう。しかし、本書の真の見所は寄稿されたコラム群だと断言する。『パトレイバー』の新作に飢えたファンが『パトレイバー』を改めて見直す素晴らしい材料であり、一番の見所だ。
　それらコラム群は虚実織り交ぜて巧みに書かれてある。敢えて似た例を挙げるなら、クトゥルフ神話の手法と似ている。「ネクロノミコン」や「セラエノ断章」という架空の書籍が、人類学者フレイザーの著した「金枝篇」と並べて表記されることで、あたかも「ネクロノミコン」が実在するかのように錯覚を覚えるのである。件のコラムも同じように、レイバー技術の進化という“虚”に日本の実際のコンピューター技術の発展や挫折（例えばスーパー301条）という“実”を並べることで、現実に存在するレイバーについて述べているように思わせられる。
　レイバーの成り立ちから体系、基本構造を詳述した「レイバー工学」、組織としての警視庁警備部特科車輛中隊特殊車輛二課に焦点を当てた「レイバー犯罪学」や、兵器として見たレイバーを考察した「レイバー軍事学」。この三つにカテゴライズされたコラム群は一見の価値ありだ。