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シエルさんのレビュー一覧

投稿者:シエル

76 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本共産主義批判の常識

2017/12/22 19:56

『共産主義批判の常識』

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者紹介から引くと
ー小泉信三(こいずみ・しんぞう)
1988(明治21)年、東京生まれ。慶應義塾大学卒業。経済学者、教育者、評論家。
1916(大正5)年慶応義塾大学理財科教授。1933~47(昭和8~22)年同塾長を務める。戦後は東宮御所参与として皇太子時代の天皇陛下の教育を担当、ご成婚の仲人役を果たした。また、スポーツと文学に造詣が深く、野球殿堂入りした。
1959(昭和34)年、文化勲章を受章。保守的リベラリズムの立場からマルクス主義を批判。
主な著書に「リカアド研究」「社会思想史研究」「マルクス死後五十年」「価値論と社会主義」など。
「小泉信三全集」がある。1966年没。

と言うことで、70年前に予見された共産主義の終焉を予測したもの。
“民主主義との相反を暴いた終戦後のベストセラーを没後五十年に復刻”

200頁足らずの本だがよく纏められていて分かり易い。
資本主義は成長(膨張)していくからいつか弾けると言うのは我々は既にバブル崩壊で知っているがこれを70年前に予見したその知性には感心する。

この本はお勧め度最高ランク。
☆☆☆☆☆
は確実だろう。万人にお勧めの一書。

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『真淵と宣長』

5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

副題ー「松坂の一夜」の史実と真実

賀茂真淵と本居宣長の子弟関係を描いた一書。
帯にはー奇跡的な出会いと麗しい師弟関係ー。
戦前の日本人の誰もが知っていた「美談」の真実を、八つの視点から明らかにする。
と、ある。

賀茂真淵と本居宣長の師弟関係ぐらいは日本史では習わなかったか?
更に引用すると、裏表紙には
「松坂の一夜」とは、本居宣長が賀茂真淵に出会い、古代研究の志を受け継いで国学を大成するきっかけとなる、一期一会の一夜を指す。1917年に佐佐木信綱が発表した同名の文章は、二人の出会いを劇的に構成した。以来、麗しい師弟関係は人の記憶に残る物語として、国語教科書などさまざまなメディアを通じて流布することになった。
しかしこの「美談」は、一方の当事者である真淵から見ればどのようなものであったか。あるいは別の第三者の視点で切り抜けば、どのような姿を現すのか。残された資料を読み解き、いくつもの様相を呈する「松坂の一夜」の真実を描き出す野心的な試み。

と、裏表紙の文章にはある。
史実とリアルは違うし、200年近く前の人の師弟関係や“美談の成立”の背景を描く。

個人的には変な推理小説を読むより、ワクワク・ドキドキする感じの1冊だった。

☆☆☆☆☆と、言えるだろう。
安物の推理小説より読み応えがあって、且つ為になる感じ。
お勧め度もマックスかな、と思う、

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紙の本逆説の日本史 23 明治揺籃編

2017/12/22 19:52

『逆説の日本史 23明治揺籃編』

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

自分としては珍しく、初めて手にした(ネットからのオーダーだが)日本史の通読本。
枕に“逆説”とある通りにチョット、こういう本をこういう日本史の解釈をすか?と言う感じの1冊だった。
中々、読ませる書きぶりで昨日の内に半分読んでしまったので今日は残りを読了。

通説とはどう違うのか?或いは“順説”なら際物なのかも分からない。
然し、筆者はかなり文献や資料などに目を通しているのは間違いない。
そうでなければ、こういった日本史本と言うのは成り立たない筈だ。

何十どころか個別に数えれば数百の日本史本は読んでいると思うが、結構無難に筆を進めながら“じゃぁ、なんで史書や資料には出て来ないの?”と言う本は多い。
極端に言うと歴史本はそれで成り立っている、と思う。
が、本書を読む限り通説や俗説にはない新鮮さと同時にチョット危険な感じも無きにしも非ず、かと。

一番新しい本書が23巻目と言うことは通関で30冊近くにはあるんだろう。
日本史も掘り下げて読むと数だけなら数百は読んでいると思うけれど、多少の違和感はあるもののモノとしては充分に成り立っているだろう。
生意気を言わせてもらえればこちらも40年以上の歴史マニアでもある。

通説・俗説・逆説に際物と何があっても不思議はない。
小学校の時に読んだ松本清張の歴史物は子供ながらに“怪しい”感じはしたが、当時からではなく、奈良に住むようになる前から個人的には邪馬台国=畿内論者でもある。

問題は本書が1,600と言うことは全て読むのに多分、5万ぐらいの金がいること。
月に2冊しか読まないようにしても二度目の自己破産か?みたいにも感じる。

然し、新鮮な論には刺激を受けるし、読み出すと全部読まずにいられない質だからなぁ~

のんびりと考え、悩もうと思う。

取敢えずは☆☆☆☆かな。

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『グローバリズム以後』

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

いつもながら鋭い指摘の数々だと思う。
同時に預言者ではなく、歴史家・人口学者が彼の正しい肩書だ。

今までに予言してそれが的中したのは1つや2つではない。
ソ連崩壊、アメリカの金融危機(リーマンショック)、アラブの春、英国のEU離脱、そしてトランプ大統領の誕生も予言した。

彼の分析の仕方は家族制度や識字率、出生率に基づいて現代政治や社会を分析していくもので他の追随を許さない圧倒的な的中率である。

本書では今までのインタビューを豊富に掲載しながらこれからの世界情勢について氏の見識を確認する一書。

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『研究不正』

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

折しもノーベル賞受賞で湧く日本だがそれに水を差すつもりはないし、それを承知で読む順番になった訳でもない。
飽くまでこちらの都合で本を選び読むのでこうタイミングが好いとチョッと変な気もしている。

最近で思い出す研究不正と言えば、世間を大いに賑わせた挙句自殺者までだした上に本人は博士論文にまで疑念を持たれて折角取った博士号も失うに至った、本書にはHOとして登場するSTAP細胞事件だろう。

本書では古今東西の42にも亘る不正の数々を上げ乍ら一つ一つ検証して行く。
更に大変だったと思えるのは不正の原因とその手段、手口を分類している。
最古の事例は凡そ100年以上も前のものでそこから一番新しい事例までを全て取上げているのは大変な労苦であったろうと思える。

分類されたものを見て行けば分かるがお粗末としか言いようのないものはフェルトペンでマウスに着色したと言う、笑って好いのかバレることは想像しなかったのか、この塗ったマウスの白い毛に黒色の跡が時間が経って薄れてきたら露見しないようにまた塗り足すと言うような、もう小学生レベルのものもある。

そこから近年は込み入った手口になってくる一方、ノバルティス事件のように資金力をバックに都合の好いデータだけを集めるようなものに至っている。
最近の傾向としては所謂、コピペ(コピー&ペースト)で過去の論文の盗用と画像処理ソフトを使った改竄。
画像処理はそれを仕事にしていたので詳しく分かるがないものを存在するようにするなどお手の物だし、加工した画像がどこから持ってきたものかに関わらずコピペ共々ある程度の技術力は必要とするがパソコン操作に慣れた者やそう言う作業が好きな人には趣味と実益が重なって昨今では増加の一途だ。

筆者は研究費欲しさから来るものから短期的な成果を求める余りのもの、と言ったその背景にも論証している。

近年ではネットからの盗用が多いことから第三者機関としてのチェック機能を有する組織も出来てきているらしい。
いたちごっこの状態になっていると思うけれど、世界中で横行している以上はチェックを厳しくしていくと同時に不正を質す、教育もこれからは重要になって来るのではないか。

中々、内容の充実した好い本だったと思う。

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『失敗の本質』 日本軍の組織論的研究

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本書では失敗の本質を副題にある日本軍の組織論的研究に基づいて論じたものである。
一言も感情的な言葉は入っていないのは感心する。
正しく外国人が分析するように日本人が日本軍の敗北の因子を6つ挙げて一つ一つを検証し、分析してその「敗因の本質」を探るものだ。

6つの作戦は市場名高いものばかりで
1.ノモンハン事件-失敗の序曲
2.ミッドウェー作戦-海戦のターニング・ポイント
3.ガタルカナル作戦-陸戦のターニング・ポイント
4.インパール作戦-賭の失敗
5.レイテ海戦-自己認識の失敗
6.沖縄戦-終局段階での失敗
ミッドウェー海戦は勝利だろうと反論があるかもしれないがそれが正しく、陥穽でこの勝利に酔ってしまって日本軍は次々と奇襲戦を挑むようになる。

アメリカを筆頭にした連合軍はその圧倒的な物流で余裕綽々に無理をせずに陣を進めるが日本軍の作戦は局面を一気に打開しようとか、奇襲を掛ければ逃げ出すはずなどと言う、ビジネスでもそうだが「はず」とか「つもり」みたいな不安定な要素を多く含む。
日本軍は常にこの奇襲戦と精神論、これに尽きて合理性に欠けること夥しい。

自分の経営者としての失敗もそうだが負け戦を予め予想しておいて、その上でその先にどういう手立てを講じて局面を打開しこちらにチャンスを持ってくるようにするか?が常に問われる。

「たぶん」「だろう」に「はず」のような不安定な根拠が精神論だけみたいなだけで勝てるほど古来、いくさと言うのは簡単なものではない。
大学にいてもそうだろう、大学院に上がれば誰もが教授になるための講師や准教授と言ったポストが用意されている訳でもない。

先にノーベル賞受賞が決まった大隈氏の話からも分かる通り、日本では結果が直ぐに出るような研究には予算がつき易いが基礎研究には予算がないためにまず以って、なり手が圧倒的に不足している状況だ。

ビジネスも然り、戦争も然りと言うこと-この王道のような道が広く安全でなければどこの国でも安定して成長を続けるのは難しい時代になったのは昨日今日の話ではないことが本書を読んで良く分かる。

極めて良書。
二度と読まないかもしれないが一読で充分、学ぶことが出来たので762円+60円ほどの消費税は安いもんだと思える。
なんでモット早くに読まなかったのかとは思うがそれが運命って奴かな。

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紙の本登山外来へようこそ

2016/11/04 10:16

『登山外来へようこそ』

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初めて知った「国際山岳医」だが中々、本書の中にはイイコトが色々書いてある。
1つ挙げれば山での応急処置で基本となる部分に「3SABCDE」こと、ここ要チェックねと高校の先生なら言うであろう部分。
この「3SABCDE」は以下の通り。
3Sは「Safety&Scene」=安全&状況と、「Spine」=脊椎・頸椎固定のこと。
Aは「Airway」=気道が開いているか。
Bは「Breathing」=呼吸をしているか。
Cは「Circulation」=脈は触れるか、出血はないか、手のひらの冷汗はないか。
Dは「Disability」=障害部位はどこか、意識はあるか。
Eは「Environment」=環境。

最初の3Sは患者本人ではなく、疾病者に近寄るその場所が安全か確認し無理な救助はしないと言うこと。
最後のS(Spiine)は脊椎・頸椎の固定で疾病者に「どうしました?」と声を掛け、その人が頭の位置を動かさないように両手で支え、むやみに動かないで安静にするように指示すること。その際に、頭・首・体の軸がまっすぐになるようにすること。

ABCは差し迫った命の危険。
Aで気道確保、Bでは呼吸の正常確認、Cは3つのやることがあり1、脈が触れるか。2、出血はないか。3、手のひらの冷汗はないか。
1がなければ心臓マッサージ。
2は出血はないか、全身を調べ、あれば圧迫止血する。
そして3の手にひらを触って冷たく、じっとり汗をかいている場合は血圧が下がる前兆と。

Dは頭から足まで順番に外傷、骨折、変形、腫れがないかの確認を両手で触って確認する。
Eはその場所に待機したり、診断・治療に適しているかの状況を踏まえてそれに応じた対応。

読んだり書いたりは簡単なんだが実際に様々な場所・状況で滑落などの事故、体力消耗から来る脱水症状や低体温化など色々と見ているので納得できる。
然し、そこにこの3SABCDEを正確に行えるようになるにはそれだけの為の訓練が相当に必要になってくるだろう。

山岳会の年間スケジュールでは週末の2日を最大にして事前の机上講習を行ってから現地でけが人役をいつも自分がやらされて落ちたり、死にそうな振りしたりさせれたがそんなお粗末な芸じゃ到底、敵わない。
これだけのことを現地でテキストもなしに出来るように下界で覚える訓練を行う必要があるだろう。
今の社会人山岳会にそれだけの人的余裕と時間的問題、経費も掛かることで相当な訓練が必要だと思う。

本を読んでいるとサラッと5分と掛からずに読めるんだが“これはウチの会じゃやる前に大激論だな”と言うレベルである。
様々な職業・年齢・性別など存在するウチの会では20代から70代ぐらいまでが一緒に山行に行っていた。
そこで事故ったり、怪我したりするのは高年齢者とは限らず若いが故に無理したり、好いかっこしたりする奴がいるから統率は取り難いし、命令系統は曖昧だしその訓練をする前に大激論は間違いなしだなと想像しながら読んでいた。

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『人類の慟哭』

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副題に-思想、宗教、精神文化からみる人類社会の展望 とある。
島薗進は宗教学の第一人者で幅広い知見と学識を踏まえ、宗教の原理的な問題から時事的なトピックまで、縦横にさばく論客。
橋爪大三郎は社会学者。グローバル世界に関心を寄せ、宗教に注目してきた。
この対談は雑誌『サイゾー』の企画によって、実現したものでグローバル化の波にもまれる日本が、宗教についてどのような歴史的背景を背負っているかに、焦点をあてている。
日本人は意識しなくても、神道や仏教や儒教の、チリやほこりを吸いこんでいる。そして近代化も、政府が下書きをこしらえた特異なストーリーに従って進められた。自分の生きる社会の骨格を取り出してみることが、本書のねらいのひとつだと前書きに橋爪は書いている。

宗教を基点にした話から様々な世界への話題と発展しながら対談は進み読んでいても非常に分かり易く、現代社会が抱える問題を浮き彫りにしていきながら解の見えない世界が広がっているかを解き明かしていく。

ヨーロッパ・キリスト文明は、それ以外の文明を排斥してしまう。その価値と存在理由を理解することが出来ないからだ。自分と異なる生き方や考え方を、理解できずに排斥するなら、それは普遍的だろうか。ただの偏狭な思い込みではないのか。そういう疑問と反撥がそれ以外の文明から、とりわけイスラム文明からもちあがる。
とも書かれている。

非常に興味深く読めて好い本だった。
また再読したい。

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紙の本大転換 脱成長社会へ

2016/11/04 10:12

『大転換』

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副題は-脱成長社会へ、とある。
新刊で出た時から目についていて“文庫化待ちだな” と、思いながら数年で文庫化されると思ったんだが当てが外れて7年越しで文庫になった。

『大転換』と言えば、経済文明史家カール・ポランニーの『大転換』が本家本元で戦前の本だが同じように1929年に勃発した世界的大不況を転機とした経済社会の「大転換」について論じた本だ。
読んだことはないんだが書名ぐらいは頭の隅にあった。

本書もまた凡そ80年後のアメリカ発の金融崩壊をきっかけにして書かれている。
それは-あとがきにある通りだ。
時代は移ろいだが「文明の破綻としての経済危機」という点で同じであり、歴史は繰り返すの文言通り世界中を巻き込んで大変な危機から脱しようとしている。

我が国では3.11の東日本大震災によって壊滅的な被害を受けた原発の被害さえ収束どころか実態がまだ分からない。
にも拘らず、今度はオリンピック開催が決定してお祭りムードが一変し、昨年からケチがつけ続いてロゴ問題から今度は市場の移転に環状2号線の延伸が危ぶまれている。

リーマンショックから随分と経つのに立ち直るのが余りに遅い。
政権が変わって今の首相は経済政策で効果を強調したいようだが、さてさてどんなもんだか非常に怪しい。

本書が刊行されてから相応の時間は経たが成果はまだまだだと自分は思う。
大企業中心にかなり数字は良くなっているが庶民の苦しさは相変わらずで、別にバブルの再来は希望しないが貧富の差は拡がる一方に感じている。

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紙の本憲法という希望

2016/11/04 10:10

『憲法という希望』

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

日々、様々な報道に接する中で必ず法律論と言うか法律を扱う情報に接する。
否応なしで報道されるんだがロクに法律を学んだこともなければ大学で法律の授業を選べるまで在籍しなかった。
確か、中学で憲法を学んだような気がするがその授業を講じる先生はどの程度、法律のことを知っていたのかさえかなり怪しいもんがある。

然し、何となく知らないままに既に50歳を過ぎ学ぶより忘れる方が得意になってきている。
“今更、憲法!?”というなら笑えば好いと思う。
でも、余りに無頓着過ぎる。

憲法が話題に上るのは5月3日と決まってる。
そして、8月15日の終戦記念日だが日本だけが、日本人だけが8月15日に戦争が終わったと思っているようだが、国際的にはなんでもない普通の日だ。

本書では日本国憲法と立憲主義、人権条項、「地方自治」に各章を設けて説明している。
有体に言えば、“憲法って何?”という問いから始まって統治機構までに及ぶ一章。

二章では婚外子の問題から家族と憲法論である。
家族の問題で法廷に行きこそしなかったが2回も被告になっているので身近な問題であり、個々人に降り掛かる恐れの最も高い法律だ。

第三章は「辺野古問題」から地方自治を考える。
沖縄の問題は日本の端っこで起きている、自分と関係の遠い問題に思われているが自分の住む町に「基地」があれば他人事ではない。
非常に重要で大事な問題だと思う。

第四章は国谷裕子氏との対談で明らかにする「憲法論」で分かり易く説明してくれていると思う。
話者と対談がウマク噛合っていて、非常に分かり易いと思う。

最後に付録として日本国憲法全文を紹介して、参議院予算委員会のやり取りと憲法について学ぶ文献リストが載っている。

非常に分かり易いんだが読むとその深さが分かる。
それが書名の『憲法という希望』として現れていると思う。
憲法に興味が湧いたら是非一読して損はないと思う。
そんな一冊だったと思う。

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透析者の新バイブル

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入院時のあの3日間の絶飲食は何と言っても堪えて生まれて初めての経験でもあったし、今まで自分は病人である意識、身体障碍者にまで認定されている身体であることを甘く見ていたのは間違いない。
お陰で以来、随分と自分なりに生活のリズムや体調に関して自分で意識することが増えたと思うし極端に何かが変わった訳ではないが今までの生活態度はどう考えても自分自身の身体を理解せず、食べたいだけ食べ飲みたいだけ飲みと無節操と言えるほどに乱暴だったのを自覚させられた。
お陰で退院以来、随分自分の中で意識が変わったし何より生かされているとは言え自分で自分の身体について理解を深め、何が良くて何がどうしてイケないのか考え意識するようになってきた。
正直、今までの投げやりとも言えるような生活ではあの病状・病変を招いたのも当然とも言えるし医師の言うことさえ理解して実行していなかったのを正に身を以って痛感させられた。
以来、まだそんなに偉そうに言えるほどではないが生活態度を改め自制しつつ無責任にいつ死んでも構わないと言う姿勢で生活していてはまた同じことを招くし、それでは医者にも見放されるだろうし何より自分自身が苦しい思いをしなければならないと分かって、今後の人生設計のようなものから大いに病院のベッドで考えた。
幸い、自分の場合はまだ残腎機能が高いし透析者としてはビギナーに近く今後の生活を律していけばまだまだ人生を諦めるには早いと遅まきながら理解したつもり。
そして、何より本書のような本を手に取ることもそうだし今まで拒絶に近いように情報や知識は医師から与えられるものを100%信じていたくせに実行せず乱暴な生活態度を続けたことがあの絶飲食を招いたと深く反省させられた。
自分の身体、そしてこの病気についてもっと勉強して理解しそれに応じた生活に切り換えて税金で生かされているのだから早く死んだ方が良いではなく、自分自身の身体をまず理解してどうするべきかキチンと考えて実行し、まだまだ社会人としても復活のチャンスもあると思いを新たにしなければ本書のような本を手にする気にさえならなかったと思う。
医師を信用しない訳ではないが医師の知見よりも何よりも日々の生活の中で自分の身体を誰よりも知っているのは自分自身であることを自覚して、改めるべきは改めQOLを高めて納税する側になっていかなければイケないと思っている。
本書は透析者のバイブルとある通り、透析を送りながら生きている国内患者だけでも32万人に達する指針となると思う。
大いに勉強させられたし、これからも何度も手にすることになると思うし医師の専門的な知識ではなく、患者の側から書かれたものであるのも同病者として非常に分かり易い。
様々な事例と同病者の症状に対応が示されていると思うが大いにヤル気になってきた。
生きている限りこの病と共にいなければならないのは避けられない以上、そのことについてよく理解し新たな情報や治療についても学習し自分に取り入れていけばまだまだ自分にもチャンスは多いだろうと思う。
本書ではHD(血液透析)の方の症例が数多く紹介されているが自分と同じようなPD(腹膜透析)者のことにも触れられている。
これだけの患者数がいて日々増加の一途を辿る腎不全・透析の方々のことを取り入れて今後の長くなるだろう透析生活を有意義なものに高めていこうと思う。
本当に読んでよかった本だと思うし、これからもまた何度も読み返すことになると思う。

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マルチチュード

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マルチチュードと言う概念を提唱する2人(ネグりとハート)は地球規模で拡大したグローバル化した経済・高度資本主義化した現在の社会を「主体の多様性」、「絶対的に差異化された集合体」「欲望を表現し、世界を変えようとする装置を体現するもの」などの意味を含む。
一つの勢力でありながら、多様性を失わない、また多様性を失うことも求められないような多数者のことです。ネグリとハートによれば、マルチチュードは「統一性/多様性」や「同一性/差異性」という矛盾にとらわれない存在であり、統一されていながら多様性を失わない、また、共通性を持ちながらそれぞれの差異を失わない存在です。それが同一性・統一性を求められた(または差異性・多様性を無視された)「人民」などのこれまでの革命主体との違いであると言う。

最近でこそ一般的になってわが国でもLGBTの方々のような多様性を認めながら社会参加し、そして活動して行くことを前提に自分のような障害者であろうと如何なる人種・種族であろうと地球と言う星の単位で1つに住まう者たちとして価値観の共有を図ると言うより、相手を認めることこそ争いの源を断つと言うような考え方だと思う。

抽象的な論に本書の中では終始してしまうが焼く10年経った今だからかなり普通な感じを受けるがこれが2005年当時に紹介されて訳されたもので、時代の先を見据えたものであると言うことなんだろう、と思う。
哲学的な論考な上に訳書であることもあるのだろうが、文体としては難しい訳ではないのだが最初は何を言っているのか良く分からない感じがしたが途中から具体的な事例を上げながらの説明と並行しての論が入ってかなり納得できた。

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男の禅語

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はじめにに、禅の教えに男性も女性もありません。
あえて「男の禅語」としたのは、特に男性として、また父親、夫として、禅語は「生き方の軸」を考えさせられるからです。
とある。

禅語としてよく紹介される「知足」「不識」「無心」「無事」「主人公」「莫妄想」なども含まれるているが初めて目にした言葉も多かった。
解説を写すと長くなるから省くが「体露金風」とか「和敬静寂」「直心是道場」「時時勤払拭」「独座大雄峰」「大連透長安」に「不風流処也風流」からもっと長い「神通並妙用運水也搬柴」「水流元入海月落不離天」「心随万境転転処実能幽」に最後の「坐水月道場」まで全50語を紹介している。

見慣れない言葉も多かったので一度ではとても頭に入らないから再読、再々読とすると思う。
こういう本を読む時は落ち着いて読まないと頭に入らないし、心沁みて来ないので200ぺーじほどの本に3日も掛かった。

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愉快な哲学エッセイ

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副題にある通り、サルトル・ニーチェ・バルトの3人の哲学者・思想家の思想や思考・哲学的な手法についてピアノと言う楽器を通じて内面を描くような作品だった。
音楽についての知識は0ではないだろうが素人と思える自分自身がピアノを弾きこなしたこの3人の哲学者の音楽的趣向やその依存度合いについて論じることはできない。
唯、音楽と言う形態ではなくピアノと言う1つの楽器に絞って哲学的に迫る本書のような本は初めて読んだ。

今まで読んだ哲学者の伝記の類は思考の系譜として文学を取り上げることや例えば性癖のようなものの傾向を求めるものはあったが音楽だけでも珍しいのにピアノに限定されるとチョッと読んで情景が思い浮かばない。
文中では「鍵盤を指でなぞる」と言う表現から「打鍵」と表現など、様々に紹介されているのだが音楽は好きだが苦手で楽器などは40年ぐらい間にギターを一時習ったと言うか、担任から教わったぐらいで後は御多分に漏れず小学校のリコーダーぐらいな記憶しかない。
歌を歌うよりは楽器を弾くテストの方が気が楽で点数も良かったと思うが、家ではお袋が時折クラシックをラジオかカセットか、レコードプレーヤーは我家にはなかったのでそうやって聴いていたと思う。
クラシックのコンサートには幼児、連れて行かれあの静粛性を乱さないように何か食べるものかオモチャかで釣られて、ヒタスラ黙々と聴いていたらいつの間にか終わっていた。
曲の間中、自分は席で爆睡していたらしい、と聞いた気がする。
弟が一緒でなかったような気もするが。

この3人の哲学者がピアノに秀でていただけでも自分には驚きだったのだがこれまでピアノと関わったり趣味やそれ以上に嗜んでいた哲学者は他にルソー・ヴィトゲンシュタイン・アドルノ・ジャンケレビッチなどが譜面を読み、自らも演奏をして音楽を分析していたと言う。
これまた初耳で哲学者の以外な一面を垣間見れた気がする。

帯にもあるが「いっこうに上達しないショパンを弾くサルトル 
驚くほど美しく繊細な手で弾くニーチェ
ピアノを弾いていると「何かが勃起する」バルト
ピアノ演奏をこよなく愛した三人の思想家の知られざる側面を浮き彫りにする、哲学と音楽が豊かに共演したエッセイ」
とある通りだと思う。

ニーチェに至っては作曲まで手掛け、音楽家として立つことが出来ずに哲学者に変更したと言うのだが、それであの膨大な量の哲学書と難解な著述が出来るのかと不思議になってくる。

物凄く意外感の多い哲学エッセイだったと思う。

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紙の本社会科学としての経済学

2016/07/18 11:34

資本論の神髄

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本書が刊行されたのは凡そ50年前のことでその当時のことを筆者、宇野弘蔵は“日本は後進国であるから”と言う表現を何度も使っている。
50年前には日本は敗戦の痛手から立ち直れずに漸く、国際社会に復帰したばかりの頃であった。

そう思って『資本論』のことを考えると、マルクスは後進国たるドイツからイギリスに範を取って『資本論』を著わした。
当時、ドイツはまだ一等国ではなかったわけでイギリス・フランスなどが重商主義から発展して行ったのに遅れていて、マルクスは先進国であるイギリスにその経済を求めて渡り『資本論』の素地を求めたようだ。

重要なのは先進国であったイギリスにはアダム・スミスを始めとした経済学の基礎が出来ていたのに『資本論』を思いつく経済学者がいなかったことかもしれない。
否、いたのかも知れないがそういう発想に至らなかったと言うのが正しい所だろうか。

ここら辺から日本での近代経済学の導入にあたっては江戸時代に既に成熟した経済が出来上がり、この時代が250年も続くことでかなり完成度の高い経済が出来ていたこと。
それと政治状況としての明治維新を迎え、社会体制が変わり江戸時代の大店は変容して資本家になっていく、そして明治政府の殖産興業や富国強兵政策に則って第二次世界大戦まで日清・日露の戦争を戦い抜いて一等国になったつもりでいたが敗戦によって、国土は焦土と化し二等国以下になってしまった。

その敗戦から今日の経済体制が出来上がった行くのだが経済学は政治や社会情勢の変化と共にあって、封建時代の日本にいきなり近代経済を導入することは無理だったんだろう。
経済学自体が学問として重きを置かれていない時代にその礎を築いたのが宇野たち経済学者であろう。

経済学を科学として捉え、戦後のマルクス研究を主導して行く中で日本の経済も順調に発展した、その過渡期に記されたのが本書である。
どうも文中に古臭い議論が多い気がしたのだがその時代背景をよく考えれば如何にもな話である。
宇野理論のみならず、マルクスが唱えた『資本論』を積極的に推し進めていく中では色々反目があったのだろうが、当時の時代背景なども考えながら読むと中々興味深い。
日本の経済学の黎明期から今に至るまでの道のりだけでなく、現在では様々に経済学が分化してきているし、最近ではフィンテックなど新しい分野・産業形態まで出来てきている。

度々、恐慌やショックなどには見舞われるがまだ資本主義は続くだろうし、先々のことを思うに過去のことを知るのも好い勉強になると思わせる本だった。

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