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たきぞうさんのレビュー一覧

投稿者:たきぞう

5 件中 1 件~ 5 件を表示

いねむり先生 1 (ヤングジャンプ・コミックスGJ)

2013/06/23 22:02

まるで映画のような漫画

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本屋でたまたま見つけて買ってきた。

今出ている2巻までを通して読んでみたところ、
漫画を読んだというよりも、まるで映画を見ていたような錯覚をおぼえた。

妻との死別という心に深手を負った主人公のサブローと、
時には大物、時には子供のようにも見えるいねむり先生との交流が、
非常に濃厚かつ静かに描き出されている。
2人の心理状態が、微妙な表情の変化に描き込まれていて素晴らしい。
こういう内容の小説を能條純一が漫画化しているのは大正解だと思う。

実は原作の小説はまだ読んでいないのだが、これを機に読んでみたいと感じた。

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地図が隠した「暗号」

2014/06/07 20:17

読後は思わず地図を見たくなってしまう本

11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

作者の今尾氏は地図研究家で、地図や鉄道に関係する書籍を数多く出されているようだ。

この本は、地図に遺された「暗号」から、昔の人達の営みや歴史を解読しようという趣旨で書かれている(特に前半のあたり)。たとえば、田舎なのに不自然と残る一直線の路は古代の官道だったとか、山間部の廃村の見つけ方など、思わず地図を片手に確かめてみたくなる。

後半は地図にまつわるウンチク話が多く、こちらもなかなか面白い。たとえば三角点の設置基準など、初心者が何となく思い込んでいたことなどを見事に正してくれる。著者の地図に対する深い愛情を感じさせてくれる本だ。

本書では、京都二条城について興味深い話が書いてあったので、さわりだけご紹介。
たとえばGoogleマップなどで、二条城の周囲を見てみよう。すると、二条城の東側を南北に貫く堀川通に比べて、二条城は少し時計方向に傾いて築かれていることに気が付く。その傾きはなぜだろうか? ヒントは、何を基準にして平安京と二条城がそれぞれ築かれたのか、ということで、答えは本書(228ページあたり)にてご確認を。

あと、各国の地図記号の紹介などでは、手書きの絵が挿絵に使われている。これが味わい深くてなかなか良い。

読後は思わず地図を見たくなるにちがいない本だ。

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相対性理論への数学的第一歩 共変微分のやさしい説明 新版

2014/06/08 12:55

相対性理論のややこしい数学を詳しく説明

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本では、相対性理論に出てくる独特な数学について丁寧に説明している。説明の範囲としては、共変/反変ベクトルの定義と意味からテンソルへの拡張、そして共変微分の導出までとなっている。


なぜそんな小難しい数学が相対性理論で必要なのかは、ざっくり書くと以下の通り。
まず、一言でまとめてしまうと、物体の運動変化に伴なって座標系も変化するからである。

物体が静止していると、時空の座標系は我々に馴染みの深い直交系(時間と空間は独立)を取るが、運動している物体に対しては、より一般的な斜交座標系となる。斜交系では直交系とは違い、ベクトルは異なる2通りの基底系(いわゆる共変と反変)によって表現される。そして加速度運動している物体は絶えず座標系が変化していくので、さらに一般的な曲線座標系を取ることになる。このような背景から、弾性体の変形(たとえばゴム球を縦につぶすと横に伸びるような類の話)に用いられるようなテンソル解析が、相対性理論の数学的記述には必須となる。

ベクトルを時間微分する場合、時間tとt+Δtにおける2つのベクトルの差を取り、それをΔtで割って、Δtのゼロ極限を取れば求められる。加速度を求める場合は、速度ベクトルに対して上記の演算をすればよい。しかし、速度ベクトルが変化すると、相対性理論では座標系も同時に変化してしまう。そのため、加速度は単純なベクトル差だけで求めることができず、同時に座標変換を含むような微分演算(すなわち共変微分)を必要とする。


それでこの本の内容についてだが、以上までの数学的な導出について細かく書いている。アインシュタインの縮約をなるべく使わず、Σ記号を用いてあらわに記述しているので、初学者にはとっつきやすいと思う。ただし、変数に含まれる「’」(座標変換後を意味する)の位置に少し注意。独学するには丁度よい副読本と思う。

相対性理論で用いられる4次元リーマン曲面までの説明(計量テンソルの意味とか)と導出がわかりやすい。

ちなみに、気を付けて読めば迷わない程度の数式ミス(特に13章あたり)が少しあるので注意。

巻末の略歴を見ると、著者は中学校の教諭(生まれた年からすると既に御退職かも)とのこと。相対性理論や宇宙などに興味のある中学生にとっては、身近にこういう先生がいるのは喜ばしい限りかもしれない。もっとも、偏微分などを理解するのは、もっと後になってしまうとは思うが。。

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神の素粒子ヒッグス 究極の方程式はどう創られたか?

2014/02/01 22:46

数式が出てくる踏み込んだヒッグス解説本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

自然界は、我々が日常体感している電磁力と重力、
それに原子の内部で作用している弱い力と強い力の、4つの力で成り立っているという。
本書の副題にある「究極の方程式」は、
電磁力と弱い力、強い力の3つを統一するもので、
こういう理論モデルは、標準模型とか標準理論とも呼ばれている。
本書では、究極の方程式を出発点にして、ヒッグス粒子の発見までを解説している。


この本の前半では、数式がバンバン出てきており、このあたりが、
他のヒッグス粒子(あるいは標準模型)の解説本と一線を画す点だろう。
正直なところ、万人に対して優しい本だとは言えない。
しかし、数式を使わない一般の解説本に対して、
もどかしさや物足りなさを感じている人は、一度手に取ってみればよい。
たとえば、「この方程式がどうやって力を統一するのか?」、
「ヒッグス機構をどうやって数式に取り込んでいるのか?」など、
そういう疑問を持った人に向いている。

数式を読み解くには、大学学部の物理と数学の知識があれば理解できる、
もしくは、おおまかな話の流れだけでも理解できる。
物理の知識としては、解析力学、電磁気学、量子力学、相対論あたりが分かると心強い。
しかし、未学の若い学生さん(たとえば高校生とか)であっても、
もし興味や疑問を抱いていたら、チャレンジしてみる価値があると思う。


本書の「究極の方程式」は、1つの式を4行にわたって書かれており、
かなり大雑把に要約すると、各行は以下のような役割を持っている。

まず1番めの行は電磁場についての式で、
これを解いてやると、マクスウェルの方程式が出てくる。
そして、光子が真空中を秒速30万キロで伝搬することが導き出される。
この行は、光子などのような力を媒介する素粒子を記述している。

2番めの行は、物質を構成する素粒子のことを記述している。
この行から、反物質の存在を予言したディラック方程式が導出されるし、
さらにアインシュタインで有名なE=mc2の式が出てくる。

そして1番めと2番めの行を合わせて考えることで、
素粒子間でどうやって力を及ぼすのかを知ることができる。
たとえば電磁力では、素粒子は光子をやりとりすることで力を及ぼしあう。

4番めの行は、ヒッグス場のポテンシャル形状を表す。
他のヒッグス粒子の解説本でよく出ていたメキシカンハット型、
あるいはワインボトル型のポテンシャルがこの式に相当しており、
ここから自発的対称性の破れによるヒッグス粒子の生成につながる。

最後に3番めの行は、素粒子とヒッグス粒子との結合を表していて、
この結合によって素粒子は質量を獲得するとしている。

以上より、物質を構成する素粒子の有様が明らかになった。
そして本書の後半では、「究極の方程式」から予言されたヒッグス粒子を、
巨大な粒子加速器を使って発見した経緯について書かれている。


最後に一言。
最近の自然科学系の解説本では、
数式を使うことを極力忌避する傾向が強いと思う。
そのような本は、文理問わず万人に情報発信するという意味では、
非常に意義の大きなものだと思う。
おかげで「ヒッグス粒子」という言葉がだいぶポピュラーになった。
しかし、もう少し先を知りたい人達にとっては、物足りない。
かと言って、いきなり専門書ではハードルが高すぎる。
本書のような解説本は、そのギャップを橋渡ししてくれる存在になり得るものであり、
このような少し踏み込んだ解説本は今後も増えてほしいと、私は思う。

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もやし屋 秋田今野商店の100年

2013/12/29 23:39

社史というよりも経営哲学の本かも

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

味噌や醤油、日本酒などの和食に書かせない種菌を生み出し、
その販売を生業とするところを、「もやし屋」という。
秋田今野商店はそのもやし屋で、この本では100年の歴史が綴られている。

本書では、現社長を含めた今野家3人のインタビューを中心として歴史が語られている。
101年前に元は醤油屋としてスタートした会社が、どうやって国内有数のもやし屋になっていったのかが、
その頃の社会情勢や3人の武勇伝(?)なども交えて描かれている。
後半は、現社長による今の会社の取り組みについて熱く語られている。
最近では菌の育成技術を応用して、試薬の合成販売や生物農薬も手掛けているという。
そして文章が語り口調なので非常に読みやすい。

そしてこの本は、経営哲学あるいは戦略本として読んでも有益だと思う。(こちらがメインかも
積極的な先端技術の導入で、優れた種麹の安定供給を可能にした点などは、
今でいうところの差別化戦略そのものだろうし、
大正時代には「醸造界」という業界専門雑誌を一企業が発行し、
テレビもない時代に広告を兼ねつつ、業界でのプレゼンス向上も図ったなど、
先進的で優れた経営センスがあったのだと感心させられる。
また、もやし屋としてだけではなく、先端材料メーカとして読み直してみても、学べる点は多い。

ちなみに現社長さんは、飛行機に乗るとだが、菌が肉眼で見えるらしい(page 27)。
また、東京農大出身ということで、漫画「もやしもん」の主人公のような人だ。
ただし、この社長さんが漫画のモチーフなのかは、私は知らない。。。

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