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迷える鍼灸初学者の”前向きな一歩”に寄り添う本

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同ジャンルの数々の分厚い本に比べれば薄く手にとりやすい本であるにも関わらず、東洋医学或いは鍼灸師としての大事なエッセンスの数々がコンパクトにまとめられており、どのコンテンツもとても親しみやすく描かれている非常に濃厚な本書。

例えば教科書に出てくる難解な内容において、視点や解釈を自分なりの角度で捉え直すことによって、勉強そのものが能動的で楽しく、何よりもその内容を”自分のものにする”ことができるという点。学生自身の、数年後の将来において一人のプロの鍼灸師として患者に接する際に必ず活きて役に立つような、そんな”今”と”未来”に向けた大切な視点であると感じた。

個人的には、最初から最後まで一貫して、著者が読者に向けてとてもやさしい言葉で丁寧に語りかけており、それがまるで目の前で著者に直接相談に乗ってもらっているような、そんな温もりを本書を読みながら感じられる点がとても好きだ。

やさしい文章も、時折出てくる鍼灸の現場の厳しい現実を示す部分も、Ｑ＆Ａのおよそ大半の初学者が聞きたいけれども聞きにくいであろう質問に対する真っ直ぐで丁寧な一つひとつの回答も全て、タイトル通り「やさしい鍼を打つため」、そして、それは何よりその先の「患者さんにやさしい」という点で一貫しているように感じられる。


悩んだり迷ったりした時は勿論、勉強或いは現場で調子良く物事が順調な時に本書を通して自分の原点と向き合ったり、若しくはスッと姿勢をナチュラルに正してくれるような、読者一人ひとりに寄り添う前向きなメッセージがちりばめられた一冊。