境誠輝さんのレビュー一覧

はじめまして、翻訳者です

12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2013/10/16　honto

翻訳者がレビューを書いても良いものかどうか？
意見の分かれるところではあると思います。ただ、現時点では「日本中の誰よりもこの本を読み返し、読み込んでいる」ということで、勝手に有資格者と判定を下、筆を進めさせて頂きます
もしかすると、地球上で私ほど本書を読み返した人間はいないかもしれません。

私は今、オレゴン州ポートランドに居ます。
ちょうど2週間前のことです。27年間住み慣れたニューヨークを後にしたのは。

本書を読むにつけ、自分がイントロバート＝内向型人間であることを痛感せずにはおられませんでした。
重なる、共感できる箇所のなんと多いことか。もっと早くにこの本に出会えていたら。広く世に、こうした本が読まれ「そうした人間〈も〉」いるということが認知されていたら。
遠回りせずに済んだかもしれません。辛い思いも少なかったかも知れない。
とは言っても、私の歩んできた道は決して無駄なものではなかったという自負はあります。本から得ることのできるものと実体験から身体に染み込んだものでは、おのずとポテンシャルが違ってきます。厚み、深みの違いです。ただ、もっと楽に生きることができたとは思います。指針、海図となるべきものがあれば。

内向型人間と分類される（こうした分類はあまり好きではないのですが）一人でも多くの方に本書を読んで頂きたい。
それと　―もしかしたら、それ以上に―　そうではない方々に手にとって頂き、理解を深めてもらいたい。
「こんな人間がいる」ということを。
厄介者やFRAGILEでもなく、そこには眠っている力のあることに気づいて欲しい。できるなら育ててあげて欲しい。
親、教育者、人の上に立つ方たちにこそ読んで頂きたい一冊です。
読むはなから実践できるように仕立ててあります。

今、私は優しい街ポートランドに居ますが、ニューヨークも優しい街だった。
傍目には外向型人間が切磋琢磨しあう街と見られがちですが、あの街は内向型人間にも実に優しい。喧騒の中に静けさの潜む街。群衆の中で孤独を味わえるように。

光と灯り。
これが私の思い描く世界のイメージです。



失礼いたしました。



境誠輝