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redbeniさんのレビュー一覧

投稿者:redbeni

2 件中 1 件~ 2 件を表示

バーナード嬢曰く。

2014/01/09 18:17

積読書家にささぐ

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

読書家による読書家のための読書家たちの漫画
読書家のあるあるネタにあふれた一冊。

作者の施川ユウキは『がんばれ! 酢飯疑獄』『サナギさん』など、シュールギャグ漫画の名手。
かねてから彼のギャグセンスはかなり独特だなあと思っていたけれど、この作品に触れ、作者周りの情報を集めてみたら、職業作家が舌を巻くほどの読書家であることが判明した。彼がこれまでの作品で人の心理の核心を突きながら、ちょっとずらした笑いを提供できるのは、その圧倒的な読書量に支えられているのかもしれない。

作者がデビューしたての頃は、ひねりが効きすぎていて何が面白いのか説明に苦慮するようなネタが多かったが、作品を重ねるにつれて人が社会生活で共有するおかしみを重視した、いわゆる「あるあるネタ」を得意にしてゆく。

本作は、彼の磨き抜かれた「あるあるネタのセンス」を読書に関している。
本に触れる人なら、とくに読書を趣味にする人なら、「あるある(笑)」と笑えたり、少しドキッとしたりするかもしれない。

主人公の少女は「本を読むこと」にステータスを感じ、読書家ぶる普通の少女。
彼女の周りには、図書館に入り浸る主人公に好意を寄せる少年、その少年が好きだけど思いを言い出せない図書委員、やたらSFに詳しい少女など、書籍をテーマにする漫画として隙のないキャラクターが配置される。
登場する書籍はすべて実在の作品で、主人公たちはそれら実在の作品を狂言回しに読書に関するあるあるネタを繰り広げる。

作品は読書に関するあるあるネタに終始しているため、ファンになる人は限られると思う。
まったく読書をしない人には共感を得られないだろうし、碩学にはゆるすぎるだろう。
この漫画に含まれた笑いや毒は、私のような中途半端な読書家ほどよく効くに違いない。

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ディエンビエンフー 10 (IKKI COMIX)

2014/01/10 12:48

間奏的な巻

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

角川書店版からの本作品ファンです。
 しばらくアナウンスが無かったためあきらめていましたが、待望の最新刊!

……しかし、開始当初のストーリーの勢いがこの巻にはあまりありません。

 プランセスとヒカルが別行動をとっているのは今まで通りで良いのですが、どうにも話が拡散してしまっている印象を受けました。主要登場人物の行動は、現在の位置と状況を簡単に説明するにとどまっています。

 疑問だったのが、ヒカルの扱い。
 絶望から表情をなくし、ライフルを手にジャングルを徘徊するという、かなり壮絶な状況にあったようなのですが、そのくだりに割かれているページがかなり少なく、その異常な状況を説明しきれていない印象を受けました。ストーリーとしてヒカルが追い詰められる状況をきっちり描けていたなら、そこに読者が感情移入して戦争の壮絶さを味わうこともできるでしょう。しかし、この巻ではその部分は触れられていません。とにかくヒカルが修羅のようになっていて、ジャングルの中で恐ろしい体験をしたという「設定」が数ページで語られるだけです。
 もちろん戦争では、恐ろしい体験をした人の性格や容姿がガラッと変わり、友人家族がその恐ろしい体験の詳細こそ聞かないものの、「なにかあったらしい」と察することはあるでしょうし、それはある意味でリアルな設定だとも考えられます。
 ですが、そのリアルさを作劇上で活かせているかと言えば、はなはだ疑問です。主人公の壮絶な経験を察する友人家族にあたる登場人物は、この巻ではヤスクニ提督なのですが、主人公の壮絶な体験を察する役割として登場から間もないヤスクニ提督は力不足な感が否めませんでした。まだプランセスやおばあちゃん、三連星やライトニングあたりがヒカルの変容を察するなら、さもありなんと思えたのですが。
 主人公が正気を失い、ジャングルを亡霊のようにうろつく……という、かなりショッキングな展開を導入しているにもかかわらず、その話を受け止めきれるキャラ配置ができていなかったために、私は「あー、そういう設定なのね、ハイハイ」と、物語への没入感が急速に失われてしまいました。

物語が動き出すなら次巻からでしょう。
この巻は間奏曲。
この作品を集めるなら買うべきですが、一冊の物語としては、どうしても減速感が否めませんでした。

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