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Kさんのレビュー一覧

投稿者:K

4 件中 1 件~ 4 件を表示

電子書籍

電子書籍人間椅子~乱歩奇譚~

2015/10/13 20:43

もっと読みたくなる最高のノベライズ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

※一部事件のネタバレがあります


アニメのノベライズとして最高の出来だと思います。というか、単体で読んでも十分面白い。
普通の中学生として日々を送る美少女みたいな外見の小林少年が退屈で死にそうになっていたら、異常な殺人事件に巻き込まれてやったー事件だー! と喜ぶお話です。

愛情表現の異常なある人間の手記風の懺悔と告白、「恋人たち」との狂った蜜月がレトロ風の文体で情緒たっぷりに描かれます。
小林君に片想いしているようにしか見えない財閥の御曹司・羽柴少年のいじらしい嫉妬・懊悩・心配描写も堪能できます。


一番驚いたのは、アニメでサラッと描かれていた人間椅子事件の犯人の犯行動機の描写が、ノベライズ版では全く違う印象を受ける描き方になっていたことです。
○○がコバヤシ君に歪んだ愛情を抱いて椅子にしようとしていた、それに嫉妬したから××は○○を殺し椅子にした、アニメ視聴時は自分はそう思っていました。
自分が鈍くて見逃していただけなのかもしれませんが、ノベライズ版では犯人は全く違う動機で殺人をしていたことに気付かされました。
嫉妬は確かにあれど、犯人が先生を人間椅子にしたのは紛れもなく愛情と優しさから来る行動です。
犯人は「先生を「椅子にしてあげて」「小林君を椅子の所に連れて来てあげた」のです。
この構成にはやられました。
普通のミステリー小説としても良質なホワイダニットだと思います。
原作アニメを知らずにノベライズだけ読んでも、乱歩好きは楽しめるんじゃないでしょうか。
自分は普通にアニメから入りましたが、この作品に関しては小説から入ってアニメに入るのもアリだと思います。
小説で心理描写を堪能し、その後アニメで声つきのコバヤシ君を映像で観て「こんなにかわいいのか…」という楽しみ方ができるからです。


ちなみに原作のアニメ自体はコバヤシ君達が色々な事件に遭遇していくという分かりやすい構成でサラッと楽しめます。小説のようなねちっこい心理描写はだいたいカットされています。
ノベライズは文章で全力で勝負し、アニメは映像や音楽やキャラの魅力で全力勝負している感じです。
当たり前のようですが、ノベライズの場合、原作の単なる再現をしすぎてしまって、結果的にあんまり小説として読む意味がなくなってしまうということは多いのです。
乱歩奇譚にはそれはありません。アニメ版もノベライズ版も両方違いすぎて両方楽しめます。もちろん違いすぎて別物という意味ではなく、どっちも違ってどっちも乱歩奇譚なのです。
アニメの方はエグい事件も多いですが、テンポが良く変な説教臭さもないので観ていて疲れません。
音楽や映像など、作品全体のデザインが雰囲気たっぷりで美しく、何より登場人物が魅力的です。
この作品のお色気担当はコバヤシ少年です。少女ではありません。とにかくかわいくてひどい子なのです。


あと、主人公のはずの明智先輩はノベライズでは羽柴君に一方的に嫉妬されている以外はあまり目立ちませんが、これは原作アニメ通りです。
彼が輝き出すのはアニメ中盤のギャグ回からです。
作中では探偵モノのお約束で変人枠扱いにされている彼ですが、どう見てもアケチ先輩は一番まともです。周りの連中の方が変人揃いです。

アニメを最後まで見て、かわいい魔性の少年コバヤシ君・そんなコバヤシ君に振り回されるハシバ君・意外とまともで優しいアケチ先輩のトリオがとても好きになったので、
ぜひ何らかの形でアケチ探偵事務所が新しい事件に遭遇する話を見たいです。

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紙の本

紙の本名探偵に薔薇を

2015/10/14 20:15

かわいそうすぎる世捨て人系美人探偵の名作ミステリー

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

※なるべくぼかしたつもりですが一部ネタバレです


2部構成のミステリーで、世捨て人系美人探偵が主人公の暗いお話です。
1部はレトロ風の文体で描写されたエログロナンセンス怪奇(風)事件。
2部は探偵視点メインの「本番」です。
初めて読んだ時は普通に騙され、普通に真相に驚きました。
複数の前例のあるトリックということでミステリーの賞の選外になった作品ですが、個人的にはそれらの前例と比べてもこの作品が一番面白いです。


本作のメインの謎は「誰が何のために罪を犯したか」というフーダニット・ホワイダニットですが、この作品の特色は謎そのものよりも一人の女性が絶望するまでの過程を描き切ったことです。
容赦無い幕の引き方にもやられました。そこで締めるの!?もっとこう救いはないの!?ってなります。
逆にここまでされると狂った爽快感すら感じます。
ネタバレになるので詳しくは言えませんが、この作品は正しくアンハッピーエンドです。


城平京作品の主人公やメイン級の登場人物はだいたい酷い目に遭っている気がするのですが、ほかの作品の主人公は酷い中でも何らかの救いはあるのです。
目的を成し遂げた、大切な人が助かった、誰かの救いにはなれた、自分なりに納得できたなど。
でもこの作品には、そういう「不幸の中の救い」すらもありません。

この作品よりも大きな不幸を描いた作品はもちろんほかにもたくさんありますが、この作品の特筆すべき所はそういう不幸のデカさではなく、ラストで「彼女」が絶望する理由がよく分かる所にあります。
彼女にはこんな過去があって、そういう生き方になって、こういう子と出会ってしまい、謎を解いたらあんな結末になった。
これは絶望するしかない。
第1部から丁寧に張られた伏線が第2部で回収されていく様が非常にスマートで、同時に彼女が絶望に辿り着く流れも納得させられてしまうのです。
名探偵は世捨て人となり、第2部では好きだったミルクティを飲むことすら止めているほどに徹底的に人間らしい幸せをそぎ落としていました。
そんな彼女を迎えるのは、それまでの苦しみが報われるようなハッピーエンドではなく更なる絶望です。


容赦のないラストまで読み終えた後、個人的に最後に残った一番の謎は「この後、彼女はどうなってしまうんだろう?」ということです。
私は歴代の城平作品でこの暗い作品が一番好きです。
無責任ないちファンとしては、いつかスパイラルコンビでコミカライズしないかなあとか思ってしまいました。

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電子書籍

買ってみよ!そんでもっておもいっきり泣くんだー!! と買ってみたら…

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

北海道の獣医学部を舞台にした淡々とした雰囲気のコメディです。
とにかく雰囲気が独特で癖になるというか、何年経っても不意に読み返したくなる不思議な作品です。

この説明しづらい妙な雰囲気は佐々木倫子作品全般に共通していて、似た空気感のある作家はほかにはちょっと思い浮かびません。
作品全体のデザインもセリフ回しも独特で、写実的なタッチの絵柄ととフォントのような書き文字もクセになります。
オンリーワンすぎるせいで、いつ読んでも古さを感じずに楽しめるのかもしれません。


この本全巻を読み終えた時には
「このカシオミニを賭けてもいい」
「オレはやるぜ オレはやりたりないぜ」
「私はリス しっぽをそられたの」
など忘れられなくなる名フレーズがいくつもできていることでしょう。


個人的に獣医や動物をテーマにした作品と聞くと、可愛がっていたペットとの別れだとか病死だとかヘビーな展開がありそうで昔は避けていたのですが、
この作品については読んでみたら全くそんなことはありませんでした。
(おまけ漫画の読者の子供がこの漫画の表紙を見て『きっとこの犬は死ぬんだ』と思った気持ちがよく分かります)


主人公のハムテルが感動しづらい性格のせいもあり、感動的な展開も本当にありません。
あるのは大学のフリーダムな奇人変人達と、同じくフリーダムな動物たちの日常だけです。
でもその日常がじわじわと面白い。

紙書籍も持っているのですが、タブレットにも入れたくて購入しました。
基本的に1話完結のエピソードばかりなので、基本的な登場人物を把握していればどこから読み返してもほとんど支障ありません(たまに前後編ありますが1冊またぐことはないです)。


文庫版と異なり扉絵も収録されているのでとてもいい電子書籍化だと思います。

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紙の本

続編希望

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ツンデレ少女とのほほん半幽霊イケメンおじさんの短編連作ほのぼの話です。
大事件らしい大事件も特に起こらず、ささやかな事件を解決していく感じでサラッと楽しめました。
めちゃくちゃ面白い!この先どうなるの!って感じの話ではなく、疲れた時や癒やされたい気分の時に読む本です。

ただこの小説には冒頭で大きな謎が提示されていて、この謎が作品全体のメインストーリーになりそうな感じを匂わせています。
続編が気になる終わり方というか、気になる始まり方でした。
ぜひ続いて欲しいです。

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