サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. YKさんのレビュー一覧

YKさんのレビュー一覧

投稿者:YK

253 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

「南京事件」を調査せよ mission 70th

大手マスコミが触れたがらない「南京事件」の真相に迫るノンフィクション

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

日中戦争において日本軍が南京で中国の一般市民を虐殺したとされる南京事件。未だに「中国のねつ造だ」「中国のプロパガンダだ」と主張する人も多く、某大手新聞社もその見解を支持しています。著者の清水氏は従軍兵士の日記を基に可能な限り「事実」を追い求めて取材を進めています。そのプロセスは理詰めで飛躍がなく、非常に説得力のあるものです。本書を読んだ個人的な印象としては南京事件は”あった”と言ってよいのではないでしょうか。
南京事件の取材の延長上に、日清戦争で起こったもう一つの虐殺の件にも触れています。日本では教科書にもほとんど取り上げられることのない出来事であり、私も初めて本書を読んでその存在を知りました。
太平洋戦争を顧みる報道では「原爆・空襲・沖縄戦」などが多く、これは戦争によって被った被害者の視点と言えますが、日本が加害者となった事象についての報道はまだ数少ないのが現状です。その状況に一石を投じる一冊であることは間違いないと思います。次の一文が印象的でした「どれ程に長い時間が過ぎ去って、加害者側からはもはや消し去りたい歴史であっても、被害者たちは決して忘れることはない。戦争とは、つまりそういうことなのであろう」

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

まさに調査報道の真骨頂!是非ご一読をおすすめします

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

幼女誘拐殺人犯として誤認逮捕された菅家さんが2009年に釈放されました。17年におよぶ刑務所生活からの解放です。実はこの釈放の背景には、真犯人が他にいるとの信念のもとに取材を続けたジャーナリストの存在がありました。そのジャーナリスト本人が、いかにして菅家さんが冤罪であるかを突き詰め、そしてついに検察、裁判所までを動かす大きな波を起こしたのかを辿るノンフィクションです。著者の「真犯人を野放しにさせない」との執念が結実した1冊です。まるで推理小説を読んでいるかの如く引き込まれます。菅家さんを自供に追い込んだ当時の警察の取り調べの状況、一旦下った判決への疑念に対する取材への警察の抵抗、そして事件の報道とは誰のためになされるべきか等、読みどころ満載で、書評サイトHONZでも高評価なノンフィクションです。昨年「文庫X」と書名を敢えて隠して発売され話題にもなりました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう

ホーキング著、青木薫訳という贅沢な組み合わせによる自然科学系読み物。期待どおりの充実の内容!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2018年に亡くなられたホーキング博士が生前に書きおろされた最後の本。「神は存在するのか」、「宇宙はどのように始まったのか」、「宇宙には知的生命は存在するのか」、「タイムトラベルは可能か」、「人工知能は人間よりも賢くなるのか」、「ブラックホールの内部にはなにがあるのか」等々、10の難問に対するホーキング氏の見解が述べられています。
ホーキング氏はこれらの問題の「正解」を読者に与えようとするのではなく、敢えてちょっと過激な見解を述べることで、多くの人々にこれらの問題に関心を持ってもらい、自分なりの見解を持ってもらうことを望んでおられるように感じます。
「ビッグバン以前には”時間”そのものが存在しないのだから、”神”が宇宙を創造する時間もなかった。故に神の存在を問うことは無意味だ」、「コンピューターウィルスは生命であると考えるべきだ」、「核戦争、あるいは気候変動により次の1000年のいずれかの時点で地球は人間が住めない環境になるのは避けられないのではないか」、「人類は地球を離れて宇宙に目を向けなければ絶滅の危険にさらされる」、「人間が制御可能なAIでなければ、増大するテクノロジーの力とそれを利用する知恵との競争に敗れてしまう」など、警鐘を鳴らす見解が多いです。
AIにしても温暖化にしても、多くの人の無関心が最も危険であり、「科学を理解し、勇気をもって解決に向かて力を注ぐ世代が必要だ。勇気を持とう。知りたがりになろう。確固たる意志を持って困難を乗り越えてほしい」という一節が本書を通じて一番伝えたかった事ではないかと思います。
非常に広い分野にわたる問題を扱った本書の翻訳は青木薫さん。自然科学系の翻訳だったら、この人しないない!と思える人です。ホーキング氏と青木薫さんという組み合わせの本書、期待通りの内容でした。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い

身近にもこんな人がいると思うと、恐ろしい

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005年長野県の丸子実業高校バレーボール部に所属する高校生が自殺する事件がありました。その原因をめぐり、生徒の母親と学校側(校長、担任、部顧問他)、教育委員会、バレーボール部員の保護者間で訴訟が繰り広げられたのですが、その経緯を追ったノンフィクションです。
本書によれば、自殺に先立つ生徒の不登校に対しては学校側、教育委員会ともに懸命にこの生徒が登校できるように配慮していますし、バレーボール部の部員達も生徒の登校をずっと待ち望んでいたのです。生徒の母親は「いじめが原因だ」と一貫して主張していますが、学校関係者や部関係者の誰にヒアリンをしても「いじめ」と判断されるような事実はなく、自殺した生徒自身は一貫して学校に行きたがっていたというのが実情で、学校と生徒との間に強大な壁として母親が君臨していたというのが真実でした。
生徒の母親の異常とも思える言動に翻弄される関係者の様子。校長は母親からの殺人罪の刑事告訴の事実を知った時、「一体どうして、こうなるんだ…」と茫然自失となり、いじめの加害者として名前を挙げられた生徒は「えっ?俺?何で…」と信じられない気持ちになったと描写されています。生徒を救おうと親身になって懸命になった人ほど、理不尽な避難を母親から浴びせられるという状況になっていました。
この事件は母親側と学校側やバレーボール部の保護者間で複数の訴訟が入り乱れ、最終的に母親側の全面敗訴が決定しました。
しかし、「いじめ→学校側が悪い」との思い込みから、マスコミには相当偏った報道をされ、それに乗じて多数の抗議電話が殺到した結果、学校関係者が精神的にかなり追い詰められたり、何よりも何の罪もないバレーボール部の部員達が目標としていた大会に出場できなかったりと、深い傷を残す結果となりました。
本書前半は母親が学校関係者に理不尽な言いがかりをつけて事態が混乱する様子が、後半は訴訟の進展に伴う状況が詳細に描写されています。自分がもしもこの母親の攻撃の対象となる立場だったらと思いつつ読んでいると、本当に恐ろしいというか、薄気味悪い気がしました。
真摯に対応しようとする学校関係者の労力が、この様な人物への対応に浪費される状況がないように祈るばかりです。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

原発労働者

紙の本原発労働者

2016/07/14 18:14

「平時」の原発とはどういう作業環境なのかを描いた好著

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

東日本大震災以前の「平時における」原発というのは、どのような労働環境で、どんな作業によって運営されているのか、という視点から、原発内の工事請負業者や、中央操作室のオペレーターなどからの証言をまとめた本。ある程度予想はしていたけれど、ここまで労働者の健康や、安全を犠牲にしなければ立ち行かないプラントなのかと恐ろしくなった。「いくら自動化しても、どうしても高線量の現場に人間が入らないと設置できない部品があり、そういう時は被ばく量測定用メーターは外して作業する」、「ボヤが発生しても水をかけたり消火剤を噴霧すると記録に残るので、燃えるものを遠ざけて自然鎮火を待つ」、「被ばく管理区域にはトイレがなく、どうしようもないときは間に合わないので垂れ流す」、「燃料プールに落としてしまった物は被ばく量管理にかからないという理由から外国人労働者が定期検査の時に水を抜いたプール内に降りて拾う」、「原子炉出力が計画値を超えると、係数を書き換えて計画値に収まるように修正する」など。でもこういう危険な作業に従事する人々にとってはその仕事がなければ生きてゆけないという状況に仕向けているのが現在の状況の度し難い罪深さなのか。原発を今後どうするかを考えるとき、エネルギー政策としてだけではなく、労働問題として目を逸らせてはいけない一面であることは確かかと感じた。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

首都崩壊

紙の本首都崩壊

2016/04/18 16:58

首都遷都を題材にした災害フィクション小説

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「M8」で首都直下型地震、「TSUMANI」で巨大津波、「東京大洪水」で巨大台風による都市災害を災害シミュレーションとも言えるリアリティで描き切った高嶋氏が本書で描くのは、災害リスクによる経済の破綻です。
『東京を首都直下型地震が襲う可能性が5年以内90%以上という研究成果が発表されます。このリスクに対して効果的な対策が講じなれなければ、日本国債の暴落、極度の円安、そして株価の暴落が引き起こされ、日本がデフォルトとなる現実が目前に迫ります。この機に乗じて国際ファンドや某大国が日本への経済的攻撃を仕掛けて来る中、首都直下型地震のリスクを回避するには首都遷都しかないと、官僚や政治家が動き出します。果たして彼らの遷都プロジェクトの進捗は、国債ファンドの仕掛けによる国家破綻と、首都直下型地震の発生に対して間に合うのか…。』
本書の中でも指摘がありますが、阪神大震災、東日本大震災からの復興は必ずしも迅速ではなかったにせよ、首都機能に大きなダメージが無かったことが救いとなって進めることができたことは否定できません。今ほど東京に政治的、経済的、文化的なウェイトが集中している状況で、その首都機能が壊滅したら…という想定に対して首都遷都という回答が決して現実離れしていない選択肢であると納得させられます。
国際金融の裏舞台をこの小説を通じて垣間見ることができる、リアリティー十分な大作です。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八

異色の宇宙本。高校生、中学生に是非読ませたい!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

宇宙に関する新書は多数出版されています。本書を読んでもそれらの他の著作と比較して、目新しい事実が紹介されているわけではありません。しかし、本書は他の自然科学系の新書とは全く異なる視点で書かれています。
人類が現代まで宇宙開発を継続してきたその動機が人間が持つ「イマジネーション」であるとし、そのイマジネーションは読者の誰でも持っていると語りかけます。宇宙を含む自然現象への理解の進展が、純粋に知的好奇心に突き動かされた数多くの研究者のリレーによって成し遂げられ、知的好奇心は誰もが持ち併せているという著者の言葉に勇気づけられる読者も多いのでは。次の一節が非常に印象的でした。
「我々はどこからきたのか?我々はひとりぼっちなのか?もちろん、その答えを知ったところで誰の暮らしも物理的に豊かにはならない。飢えた子供を救えるわけでもない。その答えを追うことは無意味だろうか?もし、無意味と断ずるならば、物質的豊かさのみを追求するのもまた、人類の生き方だと思う。でも、僕は知りたい。あなたも知りたくはないだろうか?きっとまだ人が科学を知るはるか以前から、人は星空を見上げて自らに問いて来たのだ。我々はどこからきたのか、と。そして、人はイマジネーションの中で気づいていたのだ。その答えが、星空の中にあることを」
著者の文章にはどんどん引き込まれる不思議な力があるように感じました。理系の研究者で、これほど文学的な雰囲気を持つ文章が書けるとは。本書のどの章を読んでも面白いですが、何といっても地球外文明の探査に触れた5章が著者の素晴らしさがダントツに凝縮されている印象でした。
もちろん、著者はNASAの研究所で火星探査ロボットの開発に携わる第一線の研究者なので、5章以外の部分も素敵な文章の中に科学的な事実や、分かりやすい解説もちりばめられています。
これを高校生ぐらいの時に読んだら、自然科学系の大学の学部に行きたい、と考える学生が出てきそうな気がします。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

日本海軍400時間の証言 軍令部・参謀たちが語った敗戦

敗戦に対する検証として名著”失敗の本質”を凌駕する内容のノンフィクション

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

太平洋戦争の作戦立案を担当した大本営の海軍部門ともいえる軍令部。そこに在籍した高級士官らによる400時間以上におよぶ「反省会」とも呼べる研究会の録音テープを取材のきっかけとして、「なぜ開戦に踏み切ったのか」、「航空機による特攻攻撃はなぜ実行されたか」、「回転(人間魚雷)による海上特攻はなぜ実行されたか」、「戦後の戦犯裁判における戦争責任回避の工作」という4つのテーマについて切り込んで行きます。
国の存亡よりも陸軍に対する海軍のメンツを優先した結果として開戦へ流される意思決定、上官(軍令部=海軍としての組織)からの命令という形をとらないように計画・実行された特攻、軍令部に在籍した士官への戦犯責任が軽微となるように予め口裏合わせを敷いていた事実、などが明らかにされています。
敗戦が決定的となった時、軍幹部は戦後の戦犯裁判に備えて証拠隠滅を図り大量の資料、公文書の焼却処分を指示し、そのために開戦や特攻の経緯については正確な検証が行われないままとなってきていました。それらについて当事者であった軍幹部幹部の証言をもとに明らかにすることで歴史的事実を追求するだけでなく、「責任の所在が不明瞭な組織」、「空気に流される意思決定」、「良くないとわかっていながら声を上げない”やましき沈黙”」といった現代の企業も陥りがちな誤りへの教訓を導き出そうとしています。
国同士の対立が目立ってきた昨今だからこそ、戦争に向かって走り出してしまった当時の意思決定についてもう一度目を向けるのは非常に重要なことだと思いますし、そのような時に非常に参考になる資料となりうる1冊です。
10年以上前に放送された同タイトルのNHKスペシャルの取材班によるノンフィクションです。番組の再放送があれば良いのにと思います。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

原因不明の遭難事件に迫ったノンフィクション。妥協しない科学的検証は秀逸

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1959年、冷戦下のソ連・ウラル山脈で起きた遭難事件。キャリアを積み重ねた9名の大学生パーティーの全員が不気味な死に様で発見されました。極寒のウラル山脈の山麓であるにも関わらず、9名全員がまともに防寒具も身に着けず、靴も履いていない状態で、しかもその内の3人は頭がい骨骨折、1名は舌がないという状況でした。
当時、直ちに捜索隊が結成され、遭難の原因が追究されたのですが、明確な原因は特定できずじまいで当局が下した結論は「未知の不可抗力」によるものでした。それ故に様々な原因が独り歩きする状況となりました。雪崩、突風、地元少数民族の襲撃、野生動物の襲撃、武装集団の襲撃、ソ連軍の核実験の巻き添え、隕石の落下、雪男説やUFOが関与しているという突飛な説まで…。
そのどれもが説得力を持ちえず、50年近くの間に渡って「謎の遭難事件」として語り継がれてきました。
筆者はこの謎の遭難事件の原因を科学的に究明しようと遭難現場にまで足を運び、そして見事に科学的に説得力のある原因を同定しています。その原因が何かというのはネタバレになるので割愛しますが、読了するまで全く予測していないものでした。
遭難するまでの9名の動向、遭難後の捜索隊の動向、そして筆者による調査の3つの時系列によってこの事件の真相に迫る、読み応え十分のノンフィクションです。結構なボリュームですが、どんどん引き込まれて読み進めることができます。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

未解決事件グリコ・森永事件捜査員300人の証言

グリコ森永事件を俯瞰する決定版とも呼べるノンフィクション!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昭和59年、グリコ社長の誘拐から始まったグリコ・森永事件。犯人グループに肉薄した焼肉「大同門」での現金受渡しの現場、キツネ目の男が捜査員の前に姿を現した丸大食品脅迫事件でのJR京都線高槻駅や京都駅での現場、そして名神高速道路を舞台に犯人グループに迫ったハウス食品脅迫事件での現場の3つの局面をクローズアップし、当時の捜査員からの証言で当時の現場の状況を克明に描き出しています。
その上で現場捜査員や、捜査の指揮をした警察上層部に至るまで、さまざまな立場の元捜査員からの証言でこの一連の事件の推移を描き、なぜ犯人をとらえきれなかったのかという点にも力点をおいて触れています。
怪人21面相という自称と、マスコミ、警察への挑戦的な手紙で強い印象の残っているこの一連の事件について、「当時の現場ではこんなことになっていたのか!」と改めて感心したり、多府県にわたる捜査で警察組織が現場と指揮層の上下において、各県警同志の縄張り意識・ライバル意識での横方向においても一枚岩になりきれなかった問題点など非常に興味深い事実も描き出しています。
この事件を俯瞰するとき、この1冊がまさに決定版と言える印象を受ける読み応え感満載のノンフィクションでした。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

全電源喪失の記憶 証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間

福島第一原発事故の生々しい記録

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

島第一原発の事故については多くの本が出版されていますが、本書は現場に居合わせた現場作業員の方の証言をメインに集めて事態の推移を描いた本です。
東日本全域が人の住めなくなる状況となるような最悪の事態を避けられたのは事故発生からの数日間に現場の方々の文字通り自らの命を顧みない作業のおかげであったことを改めて知ることができます。
しかしその現場がいかに過酷であったのかが読み取れるのは、本書に登場する多くの作業員の方が現場で感じた命の危険や恐怖を正直に語っておられる証言です。以下に抜粋します。
「怖かったです。でも原子炉建屋に入るってことは半端じゃない被ばくをするってことです。死ぬかもしれない。やっぱり行きたくなかったですよ。家族のことが頭をよぎりました(原子炉建屋に入る作業員を募る際に挙手できなかった時の心境)」、「完全に戦意喪失でした。『死を覚悟した』なんて言うけど、俺は死ぬって覚悟もないまま実際に死にかけた。あと10秒早く車に乗っていたら車ごと潰されていた。目の前に『死』があった(3号機建屋の水素爆発の際、飛散したコンクリートの塊で作業車両が破壊された作業員)」
他にも生々しい証言が多数収められています。忘れてはならないのは2名の方が地震直後の点検作業中に津波によって原発内でお亡くなりになっている事です。
技術的な説明は極力抑えて、多くの人の証言から事態の推移を描いているので非常に読みやすく、何よりあの時に現場がどのような状況であったのか、その過酷さの一端が伝わってくるノンフィクションでした。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実

自衛隊の海外派遣について考える時、まず読むべき1冊と思う

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1993年、日本が初めて国連のPKOに人員を派遣したカンボジアで文民警察官の高田氏が殉職されるという悲劇を覚えておられる方は少ないのではないでしょうか。
政府は自衛隊を初めて国外に派遣することになったこの機会に万が一戦闘に巻き込まれる様な事態を恐れていました。自衛隊が配置されたのは治安も良い地域に全員が1か所に派遣されるという恵まれた状況であったのに対し、文民警察官の方は政府の関心も自衛隊ほどではなく、事前の根回し不足もあって数人ずつの小グループで各地に分散し、タイ国境付近の治安の悪化した地域にも配置されました。彼らが派遣されたのはポル・ポト派が支配するまさに「戦場」だったのです。「支給された防弾チョッキは拳銃にしか対応しておらず、そんな装備で普通の農民がAK47という自動小銃を携帯している所に放り込まれた」、「夜には遠くで迫撃砲の着弾音がひっきりなしに鳴り響き、塹壕の中で身をかがめていた」、「自動小銃の乾いた発射音。銃弾が車体をこする高い金属音。車体に銃弾がめりこむ鈍い金属音。窓ガラスが割れる粉砕音。頭上でロケット弾の炸裂音。弾丸が顔の肌を舐めていく。その弾丸の風圧が顔の皮膚に伝わる。」等の証言があります。襲撃を受けた際に殉職された高田氏と同じ車両に乗っておられた方の証言は、もはや戦闘の最前線としか言いようのない激しいものです。
派遣の前提である「紛争地域には派遣しない=派遣先に危険はない」という建前論のために十分な装備も準備されない中で起こった悲劇であったのです。
当時のカンボジアの政治状況から、PKO活動の実態、そして驚くべきことには襲撃した加害者側であるポル・ポト派の元司令官にまで取材をして証言を得ています。現地に派遣された警察官の方々の信じられないほどの責任感、派遣された文民警察官の現地指揮官が部下の安全を案じる苦悩と、建前論に徹する政治家の議論がここまで対照的に、かつしっかりとした裏付けで描かれている本書はハードカバーで400ページ近い大作ですが、是非一読をお勧めします。ここ数年で読んだノンフィクションの中で間違いなくベスト3に入ると思います。
政治家の答弁が「停戦合意は成立している」等の建前論に終始する様は南スーダンPKOの時と全く同じじゃないか、と改めて憤りを感じます。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

小泉進次郎と福田達夫

紙の本小泉進次郎と福田達夫

2018/05/01 19:14

元総理大臣の父を持つ二人が語る究極の世襲の世界

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

元総理大臣を父にもつ小泉進次郎氏と福田達夫氏の対談をまとめた本。父親が元総理大臣という究極の世襲ともいえる状況で敢えて政治家を志した二人が農業行政の改革でパートナーとなってお互いを認め合うことになります。その二人の対談をベテラン政治記者田崎史郎氏がコーディネートしています。
読みどころは、父親が総理大臣という家庭環境や親子関係がどういうものか、子供から見た総理大臣の姿、政治家を志すことになった動機や心構えなどが記述されている前半部です。いくつか抜粋します。「世襲で政治家になる以上はゼロからやっている人より仕事ができなくては意味がない(福田)」、「マスコミに叩かれているときは評価されるスタートで、持ち上げられているときは叩き落されるスタートだと割り切っていた(小泉)」、「子供の時に同級生から『お父さんが政治家だから仲良くしておけって言ってるから友達になろうよ』と言われ、周囲が自分をどう見ているか子供ながらによくわかった(小泉)」、「(総理大臣とは)孤高に平気でいられる。1億2千万人に対する愛情をこめて冷静に判断ができる(福田)」
私も世襲で家業を継いだわけですが、レベルの差はあっても共感できる部分がたくさんありました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

64 上

紙の本64 上

2017/09/08 17:06

横山氏の描く世界に引き込まれます!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

横山秀夫氏による警察を舞台にした小説。映画やドラマになっているのでストーリーについては言及しませんが、上巻を読み終えた印象は、さすが横山氏の描く世界だなという感じです。事件を解決する刑事の活躍ではなく、警察を監督する警務部に属する主人公の葛藤や心の揺らぎの描写に多くのボリュームを割いています。
組織内での嫉妬や縄張り意識、不祥事の隠蔽、出世のための保身、など人間の嫌な面だけれども、誰もが心のどこかには感じることがあって、目を背けたくなるような一面をよくここまでストーリーに落とし込んだものだと思います。爽快な読後感はないですが、著者の描く世界にどんどん引き込まれていきます。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

人質の経済学

紙の本人質の経済学

2017/05/28 22:23

綺麗ごとではない世界情勢の1面を伝える内容充実の1冊

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

イスラム国に後藤健二さん、湯川遥菜さんが殺害されたニュースは衝撃的でした。人間の命を交渉の材料として利用するに至った背景を今から20年ぐらい前の世界情勢からたどります。
身代金の決定プロセス、助かる人質と助からない人質は何で決まるのか、なぜ現地のリスクを理解しない若者が危険なエリアに次々と向かうのか、など興味深いテーマについて誘拐から生還した人や、身代金の交渉人などの当事者のインタビューから紐解きます。
「どこの政府でも人質の解放のためには多かれ少なかれ身代金を払っている」、「現地のリスクを正しく理解せず、正義感だけで現地から報道することは慎むべき」、「誘拐から数週間のうちなら数千ドルで解決できる」等々の生々しい証言が次々と明らかになっています。
シリア周辺での誘拐だけでなく、ソマリア沖で多発した海賊、EUへの難民の違法入国斡旋など人命をビジネスの対象とする多くの事象を取材対象としている本書は、ますます保護主義的傾向を強める世界の現状を理解するために大変参考になると感じました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

253 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。