KENさんのレビュー一覧
投稿者:KEN
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紙の本見えない都市
2015/11/15 15:46
都市の明暗
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マルコポーロがフビライ汗に訪れた空想都市の報告を行うという内容。
魅力的なのは、その報告内容である。ページを捲るごとに、次はどんな都市が報告されるのかと期待してしまう。
55の都市が報告されるのだが、住みたい、あるいは憧れるような都市は残念ながらなかった。いわゆるユートピアはついに出てこなかった。
どんな都市にも明暗があることを示唆しているようであり、筆者の文明論が述べられているようでもある。
まるで、詩を読むように、音楽を聞いているように、空想に浸った後に訪れるような読後感が味わえる。
紙の本帝国ホテルの不思議
2015/10/18 15:40
上質さについて
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著者と各部門のスペシャリストとの対談集。
帝国ホテルは自分も息抜きしたいときに利用する。「サービスが行き届いている」という、使い古された言葉では現しきれないくらい様々な点で洗練されている。ゆえに、普通のホテルでは目にかかれないような職種があるのだろう。そんな特殊な職種の話が読めるのは興味深い。
自分が帝国ホテルを訪れた際に、印象に残っているのが、エレベーターだ。エレベーターのドアが開くと正面の壁に、バラの花が一輪活けてあった。無機質な空間に浮かぶ花。その映像が今も思い出される。本書によるとこれは「スターター」と呼ばれる職種の仕事とのこと。粋な演出だと思った。
この対談集、最も印象に残ったのは、施設・情報システム担当役員の話。先に特殊な職種の話が面白いと述べたが、それだけが本質ではなかった。対談集のトリを飾るにふさわしい内容。他のホテルでも存在しそうな職種なのだが、その普通なものに、秀逸なクオリティを求めていく姿勢が印象的だった。
2015/10/18 15:38
広く浅く
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環境問題を俯瞰するには良い入門書だと思う。情報量は決して多くはないが、扱うテーマの数は多いので広く浅く知ることができる。オールカラーなので写真やデータが見やすい。
紙の本夜の真義を 下
2015/10/18 15:36
青春・恋愛・冒険
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仇敵のフィーバスの詩から引用した「夜の真義を」というタイトル。主人公が紆余曲折を経て、その仇敵に求めるものとなっているのだと、物語後半に知ることとなった。
物語は解説にもあった通り、復讐劇であり、青春・恋愛小説のようでもあり、冒険譚の要素も含まれている。それらが絡み合った骨太な読み応えのある作品となっている。
時代背景はヴィクトリア朝文学で有名なコナンドイルのシャーロックホームズと重なり、混沌としたロンドンの描写からイメージされるものに共通するものを覚える。対象的に描かれているのが、主人公の憧憬してやまないイブンウッドであり、景色の清々しさが心地よく感じられる。この描写の対称性が、主人公の現実と理想を表しているようで興味深い。
勉学と書物を愛する主人公は書誌学に通じ、希少本等には目がない。作中にも様々な希少本、珍本が登場するが、ほとんど自分の知らないものばかりであった。主人公は書誌学の知識から、登場する様々な人間と友好関係を築いていく。物語に重要なコネクションはほとんど書物の知識を通して形成され、彼の進むべき道を切り拓いていく材料となっている様子が描かれる。ここからは作者の書物に対するオマージュが感じられる。
作者が30年の構想を温めてきたとあって、重厚な物語になっていると思う。
紙の本田宮模型の仕事
2015/10/18 15:34
QCDが息づく
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製造業はQCDの3本柱で成り立っているといわれているが、模型業界も例外ではない。QCDとは、それぞれQuality, Cost, Deliveryをあらわしている。Qualityに拘り続けることで、同業他社との差別化を図り、存続を続け、成長し続けてきた。その様子を実例を交えながら語られている。
あのタミヤマークを見る度に、昔作ったプラモデルを思い出し、わくわくしてしまう。ひとえに製品の質の向上を追い求め、子供であった自分の記憶に鮮烈に今も残り続けるという、ある種の変わったブランド形成力に驚く。しかし、本書を読み進める内に、そのプロセスを知り、納得する。
Cost, Deliveryへの拘りはメーカーを疲弊させると思うが、Qualityに拘ることはメーカーを成長させることを示しているように思う。
終盤のミニ四駆の件は、小学生の頃の記憶を思い出し、ノスタルジーに浸りながら読めた。
紙の本竜が最後に帰る場所
2015/10/18 15:33
「夜行の冬」
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いずれの短編も日常から幻想に引き込まれていくような感覚で、読後の余韻がじわりじわりと楽しめる。個人的には「夜行の冬」がホラー感と少々のスリルもあり、読んでて飽きない。
飽きないといえば、すべての作品がそうであったが、いずれも展開が読めず、次に次にとページを繰っていて、あっという間に読破してしまった。他の作品も読んでみたいと思った。
紙の本スタア・バーへ、ようこそ
2015/02/25 21:57
技術者としての矜持
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同じカクテルをオーダしても、店ごとに味が多様だといつも気付かされる。
たとえレシピが同じであっても、シェイク、ステアの仕方で味が変わるのはもちろん、氷やグラスの形状も影響するようだ。さらにそれを飲む環境も大きく影響することに気付かされる。
著者が、店の雰囲気、バーテンダーの所作というソフト的な要素への配慮をいかに大切にしているかが伝わってくる。お酒の説明はもちろん、それらの説明に多くのページ数を割いていることからも推察できる。
単に美味しいお酒を出すことだけを、目的とするのではなく、美味しいお酒を楽しめる環境を作り出すことを目的としているところに、技術者としての矜持を感じた。
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