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  3. アントネストさんのレビュー一覧

アントネストさんのレビュー一覧

投稿者:アントネスト

188 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本貴族探偵

2020/02/10 00:22

探偵は言った「労働(推理)は下々のすることですよ。私はしません」

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「労働は下々のすることですよ」
ゆえに主人公・貴族探偵は何もしない。調査も、尋問も、推理さえも労働。労働(=推理)をするのは執事やメイド。貴族探偵は見ているだけ。よくもこんな名探偵を思いついたものです。彼と周囲のかみ合わないやり取りが、なかなか笑わせてくれます。
しかし、キャラクターのとっぴさに目を奪われがちですが、単純に本格ミステリとして秀逸な作品ぞろいなことが、この短編集の最大の売りではないかと思います。
特に、大胆すぎてユーモア(ブラックユーモアの類ですが)の域に片足を突っ込んでいるトリックの切れ味がよい「トリッチ・トラッチ・ポルカ」。ごく平板な物語がラストで変貌し読者を驚嘆させる、超絶技巧の「こうもり」が、印象深いです。

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紙の本

紙の本切り裂きジャック・百年の孤独

2021/01/21 22:32

切り裂きジャックの真相はここにある、のかも

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

切り裂きジャックがロンドン市民を恐怖に陥れてから一世紀。
統一前の西ベルリンを舞台に起こった、ジャックの再来を思わせる猟奇的な娼婦連続殺人。
実際の切り裂きジャック事件の概要、不可解なポイントなどをすっと読者に理解できるように物語は進み、実際の事件の奇怪さと、現代の事件への興味とで、引き込まれます。
かつてのスコットランドヤード同様に、事件に翻弄される西ベルリン警察の前に現れたのは、正体不明の外国人クリーン・ミステリ。彼の推理は、西ベルリンの連続殺人を食い止め、そして本家切り裂きジャックの事件をも解き明かします。
実際の事件の不可解なポイントをほとんど、ミステリとしての伏線、手がかりへと転化する着想が鮮やかで、現実の切り裂きジャックの正体もひょっとして・・・・・・と思わせる。現実の未解決事件を題材にしたミステリー小説のお手本のごとき一冊です。

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紙の本

紙の本メルカトルかく語りき

2018/02/01 00:00

読者への挑戦の、極まった一冊

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

論理を研ぎ澄ませ、推理が緻密になればなるほど、説得力を増す――のが普通のミステリですが、本作はそれには当てはまりません。
メルカトルの推理がシャープさを増すごとに、導かれる真相は不条理に、曖昧模糊となっていきます。
と言っても、決して書きっぱなしの無責任な作品ではなく、伏せられた真実が読者の深読みや推理を誘っているだろうことは、麻耶作品の愛読者なら想定範囲内。ミステリ読みを挑発する、油断ならない傑作短編集です。

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紙の本

紙の本体育館の殺人

2015/08/31 14:39

平成のクイーン、華麗なる船出

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

第22回鮎川哲也賞受賞作にして、平成のクイーンという異称で呼ばれる著者の処女作。
現場に残された黒い傘についてのめくるめくロジックの展開は、まさにクイーンの衣鉢を継ぐできばえ。文庫に添えられた英語タイトル『The black umbrella mystery』が、シルクハット(ローマ帽子)について論理を積み重ねていく過程で読者をうならせたクイーンのデビュー作『ローマ帽子の謎』を彷彿とさせます。
文庫版は、選考会で審査員から指摘のあった瑕疵を修正、さらにロジックを分厚くしており、今から読むなら文庫がお勧めです。

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紙の本

紙の本マレー鉄道の謎

2015/03/28 10:58

数少ない目張り密室の傑作

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

有栖川有栖の国名シリーズ第六作。この作品からでも楽しめるオーソドックスな本格ミステリです。
本作の謎は目張り密室での殺人。目張り密室とは聞きなれない単語かもしれません。どういうものかと言うと、ドアや窓と、ドア枠・窓枠の間を、内側からガムテープなどで隙間なく貼り合わせてしまっている密室です。当然、ドアや鍵も施錠されており、通常以上に堅牢な密室といえます。
そのためか、膨大な数の古今東西のミステリの中でも、この密室を扱った作品は、片手で数えられるほどしかありません。
そんな困難な密室に挑む犯罪学者・火村英生の活躍をぜひ楽しんでみてください。

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紙の本

御手洗シリーズ第四長編。奇想理論に基づいた重厚な長編。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

こんな奇怪な事件は、暗闇坂の事件を別にして、ほかに私は知らない・・・・・・短編「山高帽のイカロス」(『御手洗潔のダンス』所収)で、予告されていた暗闇坂の事件が、この名探偵御手洗の第四長編です。
幕開けは、人を食うという伝説のある暗闇坂の大楠の横に建つ邸宅でおきた住人の奇怪な死。台風の夜、男は屋敷の屋根の上にまたがって死んでいたのです。
調べ始めた御手洗の前に現われるエキセントリックな人々と、あまりに大勢の人の死に関わってきた楠の来歴。本当に、この木は人を食べるのでは・・・・・・という、うすら寒い戦慄が記述者石岡君と読者に忍び寄ります。
さらに事件はイギリスへ。海外へ飛び出す御手洗と石岡が、ネス湖に程近い寒村で見た「巨人の家」が意味するものは・・・・・・?
怪奇、冒険、そして謎解きのエッセンスが詰まった名作です。

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電子書籍

電子書籍マツリカ・マトリョシカ

2021/10/26 18:53

『medium霊媒探偵城塚翡翠』の次はこれを読んで(切望)

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2019年のランキングを席巻し、本格ミステリ大賞も受賞した『medium霊媒探偵城塚翡翠』。著者の一ファンとして嬉しかったですが、同時に忸怩たる思いも覚えました。
なぜなら、相沢沙呼の最高傑作は他にあると私は考えるから! というわけで、私が著者のベストワンと固く信じる本作を強く推します。
気弱な陰キャ高校生柴山が通う学校で起きた、女子生徒の制服盗難と、その制服が密室で発見された謎。いくつもの仮説が検討され、否定され、そして最後に明らかになる真相。オーソドックスでありながら極めてハイレベルなミステリーです。例えるなら、カーばりの斬新な密室トリックを、クイーンばりの精緻な論理で解き明かす物語、と言えば本格ミステリー愛読者なら、そのすごさをわかってもらえるでしょうか。
キャラクター的にも、探偵であるマツリカさんが(一部の人にとって)とても魅力的。mediumの翡翠が好きな人にはご褒美でしょう。

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紙の本

紙の本占星術殺人事件 改訂完全版

2021/01/22 10:14

現代本格ミステリの先駆けとなった歴史的傑作

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本格ミステリ冬の時代に、果敢に名探偵や奇想天外な大トリックをひっさげて登場した著者のデビュー作。今読んでも、キャラクター、プロット、トリック、いずれもまったく古びていません。
奇矯な言動の裏に、確かな叡智と優しさを秘めた名探偵・御手洗潔がとにかく魅力的。『2015年度 本格ミステリベスト10』の「みんなが愛した名探偵」アンケート一位も納得です。
またトリックのインパクトは大勢の方が既に語っていますが、そのトリックを成立させるために事件全体の構造も緻密に考えられています。トリック、犯人解明後に御手洗が死体を埋めた場所や穴の深さについて、一つ一つ丁寧に説明する箇所にそのことが表れていて、ミステリ好きとしては何度も読み返してしまうお気に入りのシーンの一つです。
本格ミステリが好きな人、名探偵という存在に心惹かれる人ならば、絶対に読むべきと断言できる名作です。

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紙の本

紙の本さよなら神様

2020/05/18 15:45

「犯人は○○だよ」からはじまるミステリー

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この短編集に収録された短編の書き出しはいつも同じ。殺人犯が誰かを鈴木君が教えてくれるところから始まります。
警察もまだ捜査中の事件の犯人が何故わかるかって? それは鈴木君が神様だから。事件が起きた当時から、いや、犯人や被害者が生まれたときから、いやいや、宇宙が誕生した瞬間から、鈴木君には犯人はわかっているのだ・・・・・・。
しかし鈴木君は、犯人が誰か、しか教えてはくれない。そこで主人公たちは、事件の全体像を推理するのだが・・・・・・。
犯人が確定しているがゆえに推理可能となる、衝撃的な動機、犯行方法、事件の構図。推理の可能性を突き詰める著者の真骨頂です。特に「比土との対決」は本格ミステリファンに必読の一編。

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紙の本

紙の本その可能性はすでに考えた

2016/12/13 10:01

2015年の本格ミステリ最大の話題作

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『恋と禁忌の述語定理』に登場した個性的な三人の名探偵の中でも、特に印象的な「奇跡の実在を証明するために探偵をしている」名探偵・上苙丞の単独主役編。
 共同生活をしていた宗教団体の村で起きた大量殺戮。唯一の生き残りの女性は言う。「私を救ってくれた男の子は、首を切断されてから、私を抱いて逃げてくれたような気がするんです」
 普通の推理小説なら、何らかの錯誤やトリックの存在があることを前提にして、それを解明する話になります。が、上苙は違います。
まずは、普通の探偵どおり、あらゆるトリックを検討する。そして、その全てが否定されたのなら――これは人間の知恵でなせる業ではない。僕が求め続けた真の奇跡だ。
相棒の守銭奴・フーリン姐さんの愛ある(あるよね!?)ツッコミもなんのその、「奇跡」を求めて猪突猛進する名探偵のひねりの利いたミステリ。決して設定の奇抜さだけでなく、検討されるトリックや、それを否定する推理の構築もきわめて上質。新たな傑作シリーズの開巻です。

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紙の本

紙の本七つの海を照らす星

2015/03/29 23:25

重くて優しい物語

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

児童養護施設・七海学園を舞台にした連作ミステリ。学園の若い保育士 北沢春菜の目を通して描かれるのは、親のいない、あるいは親と暮らせない事情を抱えた子どもたちを取り巻く現実と、そこに見え隠れする謎です。
子どもたちを取り巻く現実はきれいごとでは済まず、時にとても残酷です。それでも謎解きを経て、ほんの少しの優しさが見える瞬間があります。読んでいて、ほっとする気持ちになったものです。
そして、その救われる気分がもっとも高まるのは最終章、ある事実が明らかになった時。
最大の驚きと最大の希望が同時に現われる瞬間を、ぜひ味わってください。

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電子書籍

攻守優劣が二転三転する名探偵、怪盗、そして怪物専門名探偵の推理と仕掛け

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2023年7月よりアニメも放送が始まった青崎有吾の伝奇本格ミステリのシリーズ第二作。
日本からはるばるヨーロッパへ渡った一癖も二癖もある探偵「鳥籠使い」一行はロンドンへ到着。いわくのある宝石盗難をめぐる騒動にまきこまれます。
1巻で垣間見えていた趣向が、この2巻で大きく開花。名探偵シャーロックホームズ、怪盗紳士ルパン、冒険家にして富豪フィリアス・フォッグ(八十日間世界一周)、オペラ座の怪人、吸血鬼、人造人間、魔術師、世界一有名な犯罪者×2。現実&フィクションからオールスター勢ぞろい。昨今流行りの偉人バトルの趣ですが、著者がニックネーム「平成のエラリー・クイーン」の鮎川哲也賞受賞作家だけあってホームズやルパンの描き方は堂に入ったもの。ずば抜けた能力に裏打ちされた自信家ぶり(と、それゆえの愛嬌あるスキ)を見せるホームズ、どこまでも洒脱な策略家のルパン。キャラクターの魅力だけでなく、随所で光る推理(ホームズ)、警戒厳重な地下室の金庫から宝石を盗み出す秘策(ルパン)も秀逸です。
主人公たる「鳥籠使い」の面々も、個性でも推理でも負けてはいません。盲点を突くルパン対策は仰天すること請け合い。人外跋扈の超能バトルとしても、トリックを愛でるミステリとしても傑作と言えるでしょう。

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紙の本

紙の本陰の季節

2023/08/07 14:19

事件は会議室でも起きている

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人事、内部監査、署長秘書など、事件を捜査する刑事以外の警察官を主役にした警察小説にして本格ミステリ短編集の逸品。
天下り先からの勇退を拒むOB。骨の髄まで警察官だったOBが警察の掟に逆らうのはなぜか?(「陰の季節」)
叩き上げの警部が立場を悪用しパブのママと関係しているというタレコミが。密告は真実か、そして密告者は誰か? 内部監査の新堂は警部と同じ署に勤務する「細胞」を使って事実を確かめようとするが、切れすぎる「細胞」に不安を覚え……(「地の声」)
犯人逮捕につながる手柄をたて喜んでいた婦警が翌日、行方不明に。見え隠れする男の影。(「黒い線」)
市議が議会で警察に都合の悪い質問をするらしいとのうわさがたつ。警察へ意趣返しをもくろむ武闘派。保身を第一に考える臆病者。矛盾する議員像が意味するものは何か。議会対策を任された秘書課の柘植は、議員を止めることができるのか(「鞄」)
いずれも警察内部の人間模様を息詰まるリアルなエンタメに仕立てています。さらに本格ファンも満足させるひねりの利いた意外な真相も。「黒い線」の香水など小道具の使い方も巧みで、著者にはもっと本格ミステリ濃度の濃い作品も期待したくなります。

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電子書籍

電子書籍新装版 頼子のために

2022/01/16 00:19

苦悩する名探偵三部作の始まり

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

作者と同名の名探偵・法月綸太郎シリーズ第三長編。
著者の方向性を決した、出世作にして問題作です。
愛娘を殺した男を殺害した後、自殺したが、死にきれず昏睡状態にある男。彼の推測通り、殺された男は頼子殺しの真犯人なのか? スキャンダル避けとして雇用される名探偵という、実に現代的な役回りで事件にかかわることになる綸太郎は、錯綜する真実に分け入り、いばらの道を歩むことに・・・・・・
著者が評論で提示した後期クイーン問題に実作で取り組んだ三部作の一冊目。
「探偵の推理の真正をどう担保するか(できるのか)?」「探偵と裁きの問題」といった問題は、現代ではこだわる必要がないとの意見が大勢を占めそうですが、私は好きです。何よりこの時期の著者の苦悩と取り組みが、本格ミステリーの発展に寄与したものは決して小さくはないはずです。
法月綸太郎の苦悩の道行きは『一の悲劇』『ふたたび赤い悪夢』へと続きます。

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紙の本

紙の本空耳の森

2020/10/18 11:04

『アルバトロスは羽ばたかない』とつながるエピソードを含む全九編

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者三冊目の本巻は短編集。前作『アルバトロスは羽ばたかない』とつながっているエピソードを含むので、前二作を読了後に読むのがおすすめ。
とはいえ、この本単独でも楽しめる、バラエティ豊かで、繊細な技巧を持ち味としたミステリー短編集です。
ダブルミーニングが素晴らしい「冷たいホットライン」。真相が見破れそうで見破れない「アイランド」。巧みな描写が残酷な真実を照らしだし二重の意味で愕然とさせられる「さよならシンデレラ」など、いずれも読み応えがあります。

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