いつもこころにラバーソウルさんのレビュー一覧
投稿者:いつもこころにラバーソウル
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乱反射
2015/06/22 21:35
サスペンス的スリルと現実味の作品
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ひとりの幼児の死の顛末と責任追及をドラマに描いていく。さまざまな視点からささいな行動が思いがけない形で繋がっていき……、というストーリーがカウントダウン形式でつづられている。先が読めるぶん、スリリングにかけるのかと思いきやかえっていまかいまかと胸がすりきれるような思いがした。視点もよく噛みあっているし、なるほど、たしかにありそうなキャラだと頷いてしまう。よく練られた作品だ。
ただどうしても気になってしまったのが、冒頭部分の伏線回収。もっとうまく回収されていて、具体的には幼児の死に直接関係していくのかと思いきや……、もっとシナリオに組み込まれているとよかったが。そう思い始めると各視点にもこじつけがましいようなところが読後感として残ってしまった。読んでいる間はそんなことはなかったのだが。この作品のよさはやはり読んでいる間のスリルと各視点のリアルさなのかもしれない。
葉桜の季節に君を想うということ
2015/05/24 00:56
考えさせられる叙述もの
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叙述です。読んでいって、読んでいって、「ああ……、そういう……ね」。瞬間的に、シュワァ、と脳内に回線ができるこの感覚はほかには代えられません。
真相への伏線は、マクロ的には章立てて説明がなされていて、ミクロでは本文そこここに散りばめられています。章立てのヒントはともかく、作中の小さなヒントは言われてみればそうだけど、といったレベル。ここまでくるとミスリードを誘う印象操作のための要素と言ったほうが適当かもしれません。ところが、不思議と文句は出てきません。フェア性は担保できているのです――というより、読者がだまされるとすれば、それはまぎれもなく「先入観」でしょう。だまされて、それに気づかされるわけです。
それはそうと、最後のほうにネタバレともとられかねない補足的な項目があります。本編読了後に目を通すのならまったく問題ないのですが、素直に前から後ろに読んでいったほうがいいかも、です。
ハサミ男
2015/05/23 22:24
驚きというより、構成の巧さに脱帽……
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あっと言わせる叙述もの。わかっていてもだまされます。読了後、再度読み直すことで視点の変化などに現れる構成の緻密さを再確認できる良書。
いかんせん、トピックとしては実に単純なアイディアの集合なので、個人的に納得いかない歯がゆさが残るかもしれません。ただ私はそのアイディアの組み合わせがほかにないこの本の良さそのものだと思います。トリック重視で、二転三転する推理小説が好みでないのなら、少し警戒したほうがよさそう。あるいは食わず嫌いが治るのかもしれませんが……。
密閉教室 新装版
2015/05/24 00:39
若さが論理を邪魔しないなら
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なんというか、胸にストンと落ちるような良さではありません。こういうのもありかな?と思わせてくれる作品です。
抜け目のない名探偵は出てきません。本作探偵役・工藤はミステリ・ファンですが(工藤のキレのある言い回しは読んでいて小気味良い)、よく推理を誤るし、そもそもそれを修正していくことで核心に近づいていく流れです。おまけに大神教諭には趣味を見下され、コンプレックスがあります。それでも探偵工藤は推理を武器に真相を追及していくわけです。プライドをかけて。もちろん、ミステリ・ファンとして、探偵役としての。
密室の必要性、机消失の必要性には改めて説明がされています。なるほど、巧いな、と感心してしまいました。冒頭部分の視点にはfairnessの疑問が残りますが。
名探偵がすまし顔で難事件を解決していく作品とは雰囲気が違うかな、というところです。名探偵ではありませんが、自己の哲学を持った探偵役。本編そのものにも筆者の哲学が垣間見えます。
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