tapeさんのレビュー一覧
投稿者:tape
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2015/06/29 23:53
諏訪先生らしい歴史物
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
BC82年のローマを舞台にした、アッティクス、キケロ、カエサル(シーザー)など後に名を残す3人の若者達の話。
歴史を題材にファンタジーをスパイスにした、素晴らしい作品を多数描かれている諏訪先生らしい、読み応えある作品でした。
当時の文化や世界情勢を広さと時間両方で俯瞰した、知識や聡明な分析を感じる一方、冷たい上から目線では決してなく、そこに生きる人達に共感し、彼らの魅力を伝える物語として昇華されています。
2100前のローマの本屋のシステムやそこに出入りする人々、紙のリサイクル、水道橋、裁判システムなどの文化度の高さに驚かされますが、作品の中でそれらは知識の羅列に終わらず、当時の人々にとって当たり前の日常の背景として丁寧に描かれます。
彼らの日常を身近に感じることで、その苦悩も願いも、現代の自分達の延長上にあるものとして自然に感情移入できます。
諏訪先生はエピソードや心情やテーマの伏線が丁寧に組み上げられていく長編作品で特に真価を発揮するように思うので、続編が読みたいです。
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