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  3. 求道半さんのレビュー一覧

求道半さんのレビュー一覧

投稿者:求道半

169 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

司書の願い

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本作は謎の図書館で働く女性司書と主人公の少年との出会いが、少年のその後の人生を大きく変える、本に関わる人々の物語であり、かつ想像上の生物や異形の種族、また不思議な書物が登場するファンタジーである。
 第一巻を最後まで読めば、謎の図書館の成立過程やその背景が読者に分かる構成となっており、その途中では、特に、本の修復に携わる司書の手仕事が、丁寧に描写され、最終頁まで読者を飽きさせる事はないであろう。
 作中では司書の仕事だけではなく、主人公が暮らすアムンの村やその周囲の自然も緻密に繊細に活写されて、中近東風の地理や習俗には実在感が宿り、作中に登場する本やその存在意義にも、説得力がある。
 主人公は読書が好きだが、所属する社会的階層の違いにより、自由に本と触れ合う機会がなく、更にその特異な容貌が、村人との軋轢の原因となり、社会的にほぼ孤立している。
 そのような状況下で、本の都アフツァックから村に派遣された司書の一団が主人公と知り合い、少年は未知の世界の一端を知る事になるのである。
 タイトルに「大魔術師」が含まれるので、本と魔術との関係が気になる読者もいるだろうが、それも第一巻を最後まで読めば、明らかとなる。
 本作には、本を渇望する者の気持ちが、詰まっている。
 書物への愛も溢れている。
 司書の役割は重大である。
 主人公は司書になれるのだろうか。

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紙の本

母の半生

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

未亡人と一人息子の母子家庭に潜む、亡き父親に由来する謎の現象と秘密を、漫画家である母親と高校生の主人公の日常生活に自然に溶け込ませて、それを読者に不道徳とは感じさせずに楽しませる、断じて、成人向けではない特殊な作品である。
 あとがきの作者の告白を真に受ければ、この題材を扱いたくなかった漫画家が描いたとは思えない、緻密な背景や小物、そして何よりも、ヒロイン大蜘蛛ちゃんこと鈴木綾の年相応の女らしさの表出に対する気合と情熱の籠もった描写は、不思議で、不可解であり、読者は本人の知らぬ間に作品の虜となるであろう。
 作中においては、過去と現在の三組のカップルの恋の進展状況が断片的に、反復的に、映し出されて、共鳴する。
 更に、そこへ、実在する映像作品のオマージュや自作のパロディが絡んで、読者の倫理的な嫌悪感や反発を巧みに和らげる仕掛けが働き、本作は娯楽性の高いラブコメディとなる。
 話の展開は緩やかで、登場人物も多くはなく、結末は見通せないものの、最初に尋常ではない状況さえ受け入れられれば、最後まで読み進めるのが困難な作品になるとは思えず、各読者で受ける印象の異なる、扇情的な描写の有無や多寡のみで、購入の是非を判断するのは避けるべきである。
 主人公、鈴木実は悩んでいるのだ。

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紙の本

学際的比較文明考

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

下校途中の女学生が目にする光景、放課後の待ち合わせ、秘密の共有、逢引、などと書き連ねると、いかがわしい雰囲気が漂い始めるが、それらを昭和の事物に絡ませて、変質者まがいの異星人との交流を描く連作や短編を収める本作は、言わば変奏曲であり、似たような展開、背景、登場人物の微妙な差異こそが、意識されない、言語化できない魅力の源泉であろう。
 核兵器と少女のヌードが、ある程度、平然と、日常的に並置され、謎の電子機器と地球外に由来する文明の利器が平穏な市民生活の背後で、その使用と回収を巡る諍いを生んでいるとは、作中人物も読者も、知る由がない。
 だが、その経緯は明確には提示されず、断片的な情報の収集と解説を兼ねたあとがきで読者が想像する他なく、未完成、或いは中途半端と感ずる読者も多いのではなかろうか。
 ここが作者の狙い目である。
 語弊を恐れず、作者の意図を推し量れば、全て方便である。
 女子中高生の裸が見たい。変な生き物と戯れたい。機械いじりを楽しみたい。セーラー服、スクール水着姿のおさげの少女への憧れ。欲望ではなく願望をオブラートに包まず、SFという隠れ蓑で、包み隠さず、直截に違和感なく表現する手法上の制約だと考えれば、一から十まで描き切らない事が大切で、この微妙なバランスが崩れれば、ただの欲望まみれの他人が読めない、独り善がりの排泄物に変質するのは間違いない。
 あとがきで作者が分かりやすさの度合いを図示しているが、「たぶん惑星」や「いないときに来る列車」を読んでから、或いはその逆でも、制作年代によるニュアンスの違いを把握した上で再度、本作や他作品に触れれば、作者の一貫した姿勢と意図が自ずと理解出来、後を引くのは確実で、静岡に縁もゆかりもない多くの国民も、昭和を知らない世代も、作者が関心を持ち続ける事物に対する親近感と殺風景な日常に潜む驚くべき未知なる存在への関心が高まるかもしれない。

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紙の本

聞き分けの良い駄々っ子

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

身寄りのない幼女を施設から引き取った若い男は、敵国のスパイである。その男は行き遅れた女性と偽装結婚をして、三人家族を装っている。
 娘の名はアーニャと言い、未就学児だが、就学年齢に達しているのかは不明でありながらも、父親から小学校の入試を受けさせられて、数々の不正な手段を駆使して、名門校へ入学させられそうだ。
 アーニャは、スパイが活躍するアニメの視聴者で、スパイに憧れており、父親の正体を知っている。
 父親のコードネームは黄昏で、彼は精神科医のロイド・フォージャーと名乗り、複数の任務を掛け持ちする。
 アーニャは父親の事を「ちち」と呼ぶ。
 母親の事は「はは」と呼ぶ。
 母親のヨルが、容姿端麗でありながらも、独身であったのには、それ相応の理由がありそうだ。
 アーニャは、母親が暗殺者である事を知っている。
 アーニャには超能力があるので、両親の隠し事は、娘に筒抜けとなる。
 しかし、アーニャは幼女だ。集中力や体力、知力や学力は発達途上であり、他の受験生と比べると、聡明さや語彙の豊富さの点で、劣ると言わざるを得ない。
 但し、根気強さは、認められる。
 アーニャは馬鹿ではない。
 幼いのだ。
 幼さは美徳である。

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紙の本

女優の想像力

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中学生の時、同い年の若手清純派女優に恋をした高校一年生、玉梨大地は、本人は知る由も無いが、憧れのその人とSNS上で文字だけの会話を交わす仲である。
 一方、皐月菜乃花は、相手が自分のファンであるとは知らずに、自ら、連絡を取り、常に共通の趣味について語り合える事に喜びと安らぎを覚えている。
 身体的な側面と精神的な側面の両面で劣等感に苛まれる少年と、自身の虚像と実像との乖離に悩む少女とが、仮初の知己として、互いを励まし、共に成長する物語に、更にもう一人の少女、大地の幼馴染である高峰真麻が恋愛面で絡んで三角関係になりつつあるのが第一巻の概略だ。
 学園のアイドルと売れっ子女優が、冴えない男子を巡って、間接的に張り合う様は、双方に恋心の自覚がなく、まだ、恋の駆け引きとは言えないものの、険のある物言いや態度がそれぞれから看取されて、今後の展開が楽しみだ。
 共学高校を舞台にしている以上、男女間の性的な騒動も起こり、主人公がそれに巻き込まれる事で、周囲との関係に変化が生じるのも、読者の期待に少なからず応えようとする作者の姿勢が垣間見えて好ましく、本作の評価を高める一因となる。

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紙の本

脇目を振ったら

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

スポーツ推薦で入学した本屋の娘と公立高校に落ちた定食屋の息子が通う石川県の私立高校を舞台にしたコメディーである。
 この爽やかな青春物語は、中学では疎遠になった幼馴染が、学期末試験の勉強をガリ勉の男の子に手伝ってもらうことで旧交を温める、肉付きの良い女の子の片思いの物語であり、ムッツリスケベな男の子の苦悩と葛藤の日々の記録でもある。
 スケベだが少年は誠実で、勉強の妨げとなる豊満な胸、肥えたお尻、見え隠れする上下の下着を堪能した上で、直接、彼女に申告する。当然、羞恥心の裏返しである暴力的な返礼を毎回、受け取るわけだが、誇張されたタンコブは痛々しさや不快な感情を伴わず、これがなくてはコメディーが成り立たない。
 「まーくん」の目の届かない女子更衣室では、女友達が女子ならではの特権を活かして戯れ、プールでは破廉恥な特技を披露して「天野めぐみ」の素顔を読者に届ける。それに伴い、必然的に他の女子生徒の下着姿や水着姿も楽しめ、ありふれてはいるが、なくてはならない場面が目白押しである。
 部数回復の起爆剤に選ばれた新人の作品としては申し分ないが、人体各部のバランスの悪い描写が複数あり、多少、目を瞑らなければならないが、一巻目にしては上出来だ。
 男勝りな活発な少女が小学生の感覚で気安く接し、無邪気な色気を発散する中で、自身の目標の実現に向かって勉学に励む少年の過去と現在は、実は肉欲との戦いの過程に他ならず、度々、打ち負かされるその様子から、いつまで耐えられるか目に見えているが、二人はまだ高校一年生で、夏休みの真っ只中でもあり、焦らず、じっくりと親睦を深めるのが読者の理想である。

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紙の本

紙の本いないときに来る列車

2015/09/30 23:18

隣人の性癖

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

世紀末、核戦争、人類滅亡の恐怖を肌で感じた東西冷戦時の記憶を少しでも持つ読者は、肩透しを食わされる、張りつめない緊張感の中での妙な居心地の良さが味わえる、あっさりとした短編が、連作も含めて、多数、収められている。
 何故、宇宙人は女子中学生の生態に興味を抱き、大規模な仕掛けを施して、その裸体を覗き見ようとするのか、と、疑問を抱いてはいけない。宇宙人の嗜好は人類とは異なり、人類でさえ、少女の水着姿やヌードに、美を見出してきた歴史を知る者にとっては、無粋な、自明の理である。
 昭和の後半を舞台にする事で、一昔前の機械や風俗に対する知識を実体験として保持する者の意表を突く、腑に落ちながらも微かな違和感を残す、その違和感が不快感や否定的な感情を催さない、郷愁とは異なる親近感に似た感情が、きっと、湧き上がるであろう。平成以降に生まれた読者の興味も必ず引く趣向に満ちた、少しずつニュアンスの違う物語の中を、一度でも覗いた途端、何かが心に引っ掛かり、また、その世界に浸りたくなる中毒性が宿っており、注意が必要だ。
 名立たる出版社の発行する夥しい漫画の中で、似たり寄ったりの作風が氾濫し、現状に飽き飽きしている読者こそ、新たな読者になる資格を備えていると言える、堅苦しくない、芯の通った、SF作品集の体を装っていると誤解されるかもしれない、紛れもなく、女の子と謎の生き物が活躍するSF漫画である。

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紙の本

地母神の行在所

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人殺しの女性でも、父子家庭に嫁いで、継母として、義理の娘の教育に携わる事が出来る。しかも、ヨルさんは公務員でありながら、結婚後も、罪を重ねている。
 しかし、ヨルさんは快楽殺人の虜ではない。
 弟を養い、国の平和を守る為に、幼い頃から、苦界に身を投じて、身を粉にしている。
 弟は姉の秘密を知らずに成長し、成人した弟も姉に隠し事をする奇妙な間柄だが、二人は仲良しだ。
 弟は姉を溺愛していた。
 弟が夫と初めて対面する事となり、ヨルさんと夫のロイド、娘のアーニャは、彼を新居に招く準備に余念がない。
 実は、夫と義理の娘は血の繋がりのない後腐れのない関係なのだが、その事について夫からも娘からも、ヨルさんは知らされておらず、ヨルさんの方も自分の素性を急拵えの家族に対して打ち明けてはいないのであった。
 何せ、ロイドの職務は敵国での諜報活動であり、急遽、嫁の成り手を探す事になったのであるから、任務に差し障りのない未婚の女性を厳選して、更に偽装結婚の申し出に応じてくれる奇特な女性を、適切に見出せる方が奇跡であろう。
 フォージャー家は、当事者の運命的な出会いと、支援者による配慮、そして、若干、楽天的な家風によって維持されている、いつ何時、崩壊しても不思議ではない、冷戦下の産物である。
 幸いにして、娘のアーニャは義理の母親に懐き、ヨルさんから体術の特訓を受ける程に彼女の事を信頼している。
 夫との関係は、時々、気まずくなる事があるものの、娘の存在が夫婦関係の修復に大いに作用して、新婚家庭の秩序と安寧は保たれている。
 新妻の目下の悩みは、夫の方が料理の腕が上の事であろうか。

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紙の本

虚空のマトリョーシカ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

和歌山県の沖合いにある島では、島民は自分に瓜二つの者を見る事があるそうだ。
 主人公の網代慎平は、夏祭りの日に、神社の境内で、同様の体験をする。
 慎平の幼馴染の小舟潮も、潮の妹の澪も、別の日に、他の場所で、似たような現象に遭遇する。
 菱形窓は慎平の親友で、窓の父親は医者であり、菱形家は医者の家系である。菱形家が経営する病院の山中にある旧病棟に忍び込んだ慎平と潮と窓は、薬品や書類等の杜撰な管理体制を知り、驚愕する。
 その島に、本土から着た一人の男性刑事が現れて、窓の妹の朱鷺子と澪に話しかける。
 島には、不真面目な警官が一人いる。
 島では、スーパーを営む一家が失踪する事件が発生した。
 島内の情勢は不穏である。
 これらのエピソードが断片的に、時には時系列に沿って、作中で語られる。
 物事には因果があり、凶事には元凶がある。
 ベストセラー作家の南雲竜之介は帰島し、何かを探る。
 慎平は潮の葬儀に参列する為に、南雲と同じ船に乗り、船中で、破廉恥な行為に及ぶ。
 南雲の見た目は女性である。
 島では混乱が生じている。

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紙の本

ポストルネサンス

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ダビデ像は裸である。
 ダビデ君は高校の制服を着ている。
 しかし、時々、裸になる。
 ダビデ像の股間は開陳されているが、ダビデ君の一物は公にならない。
 厳密に言うと、あるマークで性器が隠される。
 小便小僧は裸である。
 小便小僧くんも裸である。
 そして、どちらも小水を放つ。
 西洋美術や神話を題材にしたキャラクターが数多く登場する本作では、ヒロインのヌードが作中で描かれていても不思議ではないが、第一巻ではダビデ君の妄想の中においてのみ、ヒロインの愛欲の女神は裸にされるものの、現実的にダビデ君が目にするのは、海水浴での水着姿に止まる。
 本作は、堅苦しい美術談義を、たとえ漫画であったとしても読みたくない人でも、第一巻を笑いながら読むだけで、ルネサンス期の精髄のごく一部を、手軽に身につけられる作品である。
 また他の時期の美術品についても知る事が出来る。
 イタリア語についても詳しくなれる。
 ダビデ像に似た高校生の男子が抱える悩みの数は一つではなく、誰もが一度は経験する学校での失敗や家庭における問題、恋や友情についての懸案の、ギャグならではの解決策を査定しつつ、読者は他人事のように笑い飛ばせる。

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紙の本

豊後の常民

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大分県の名産品は、と問われれば、かぼすやどんこ、ブランド物のアジやサバなどと答えるのが一般的であろう。近年では鶏のから揚げも名物として挙げられる。しかし、それ以外の郷土料理や地誌については、残念ながら、全国的に知れ渡っているとは言い難い。
 その大分県の北東部に位置する国東半島を舞台にした本作は、土俗的な内容を、年少者にも分かりやすいように、平易に語り、読者が現地に行かなくても、方言を聞いて、料理の味を想像するだけで、仮に読者が大分県民や大分県の出身者ではなくても、神仏の気配を身近に感じ、自身の先祖への感謝と万物に対する畏敬の念が湧き上がる。
 岐部ののかは巫女ではないが、神仏に寄り添う者である。
 純真無垢なその言動により、様々な場所が清められ、土地に根付いた不可思議な存在は活力を取り戻す。
 魑魅魍魎の跋扈する世界は、神仏の加護により、住み心地が良くなる。
 本巻を読むだけで大分県の歴史と風土の全てを学べるわけではないが、鬼の特異性に関しては十分に理解する事が出来る。
 また本編では取り上げられなかった国東の奇祭や奇譚についても、イラストとコラムで補完されおり、読者の豆知識の量は確実に増える。
 だが、だんご汁が掲載されてないのは玉に瑕だ。

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紙の本

深遠な尻

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

未亡人である母親と二人暮らしの男子高校生鈴木実は父親譲りの性的な好みを有しており、母親のお尻を眺めては、物思いに耽っている。
 また、ある理由から、お尻を見た時だけではなく、折に触れて、母親の事を可愛い、と感じてしまう。
 これは罪であろうか。
 本人は悩んでいるのだ。
 第二巻では、彼を救うかもしれない、自身による同級生に関する発見があり、その同級生は何度も登場している女の子である。
 このような話の概略を少し聞いただけでも不潔に思う方には、肉欲を主題にしている作品ではないと伝えたい。
 このような作品を愛読していると他人に知られたくないから、興味はあっても実際に単行本は購入しないと決心している人には、あなたは当事者ではない、と翻意を促したい。
 ブルマを穿いた少女に対して、何故、色めき立つ男がいるのか、と不可解に思う、或いは、そのような読者の心情を理解したいと願う、知的探究心の旺盛な老若男女は、本作を読めば、その疑問が解消するであろう。
 母親の旧姓は大蜘蛛である。
 意外にも、ある虫が苦手で、別の虫も体のある部位に近付きやすい体質だそうだ。
 息子は母親の身体に触れて、虫を取る。
 何ら、いかがわしくはない。

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紙の本

興奮するまで温めて

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトルから連想して、勇者が性的な接待を受けている、と勘違いするかもしれないが、真相は、その逆で、本作は、人間と魔物との戦いに勝利した真の勇者が主人公ではなく、むしろ臆病者と揶揄されたであろう戦功のなかった男子ロキの、魔境の湯治場での下働きの日々が描かれる。
 種族間の蟠りが解消されない状況下で、勝者の立場である、とは言え、敵地に左遷された男の鬱屈した感情が、魔物の心を傷付けてしまう第一話から、徐々に、打ち解けて、女将の片腕として、雑務をこなすその後の展開では、客として来訪する雑多な魔物の要求や要望が、話の中核をなす。
 従業員の法被姿や浴場の造りからして和風でありながらも、ロキが接する客は西洋の魔物であり、その中でも性と密接に関わりがあるのはサキュバス位であるが、スライムの娘や女勇者なども裸で登場し、従業員一同の真心を込めた接客術により、どんな魔性の女でも、いつしか、愉悦の声を上げるのだ。
 残念ながら、年齢不詳の幼女風の魔物である女将ガイアベルの完全なヌードは掲載されず、稀に見て取れる水着の股間の窪みで我慢せねばならないが、各話のゲストの裸体には、必ず、特徴のある乳首が加筆されており、若干、少なめの総頁数の割には、性的な面での読者の満足度は高いと言える。
 絵柄よりも筋書きに重点を置く読者の懸念に対しては、魔王の死により、人間に服従せざるを得なくなった一枚岩とは言えない魔物の動向や、戦勝に沸き立つ王都の貴族や優遇される勇者と僻地の元勇者との感情的な対立、中立地帯の鉱山の利権を巡る問題等、湯治場の内外で起こり得る数々の危機が内包された不安定な世界である、と、答えたい。
 他にも、少女や成人女性の似像として魔物の裸を見るだけでは、魔境の温泉宿の魅力を味わい尽くしたとは言えず、目を凝らして、一人一人の客の顔を確認するのも大事である。勇者の特性を活かしたロキならではの客への対応や裸踊りは必見だ。

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紙の本

恋路の道標

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

嫁入り前の娘が、政略結婚に反発し、ささやかな性的な抵抗を試みる、姫の秘め事と言う解題で間違いがない内容である。
 幕末の政情不安を背景にした大名家の婚姻は、予想以上に面妖な政治力学に支配され、当事者の女子には口出しする権限も自由も無いが、主人公の敬姫は、世継ぎの懐妊に資する閨房の術を習いつつ、ある男らと共に嫁ぎ先の江戸を目指す。
 薩摩から船で長崎経由で大坂まで行き、そこから中山道を経て、江戸に到る道すがら、正体不明の刺客に行く手を阻まれつつ、異国情緒溢れる丸山遊郭での饗宴、上方の商家の奇習、信州の奇祭を体験し、既に隠居した婿に対面する頃には、手抜かり無く初夜を迎える心構えが備わっている事であろう。
 表題作以外に一本、前シリーズの短編が収録されているが、登場人物には全く関連がないものの、火伏札という共通のモチーフが用いられる。「ひめごと」での火伏札に関わるエピソードは僅かであるが、同じモチーフを扱いながら、全く異なる艶笑譚が仕上がるのは興味深い。
 成人向けの内容だ、と敬遠される恐れがあるが、徹頭徹尾、裸体や性愛の描写で埋め尽くされている訳では毛頭なく、チャンバラや刃傷沙汰、権謀術数を味わえる、虚実織り交ぜた時代劇である。

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紙の本

紙の本取水塔

2016/08/20 15:06

不埒な調査

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

惑星探査計画の運用は、何世代にもわたる膨大な月日を要するが、これは人類に限った話ではなく、未知なる生命体にとっても事情は同じである。
 戦前に駿河湾の沖合いから始まった異変は、昭和の末期になっても確認され、表面的には平穏な町の、秘密を抱える大人の目を掻い潜り、思春期の少年少女や大学生らが、好奇心の赴くままに、海辺を探索し、思案を重ねる、ある夏の出来事が描かれる本作は、何の変哲も無い取水塔の存在に違和感を覚えた若者の、一枚岩とは言えない団結の下に繰り広げられる、公然の秘密を暴く、命懸けの冒険である。
 命懸けではあるが、海中での調査に必要不可欠なスクール水着が突然、脱げると、年上の女の子に恋心を抱く男の子の目が輝くのは当然で、謎の物体の中に二人きりで閉じ込められると、その裸体を心行くまで堪能し、死と隣り合わせの極限状況と緊張感のない会話との対比が面白い。
 異変を引き起こした黒幕とそれに加担する人間との思惑の不一致が、部外者を巻き込んで、当事者の予期せぬ事態を引き起こし、混乱に乗じて主導権を握ろうとする各勢力の戦いは、電波やビームを駆使した、国家機密に抵触する、本来、一介の中高生の手に余るものだが、目まぐるしく変転する形勢を見極め、窮地を脱する彼らの手際の良さは、驚嘆に値する。
 長編が一本だけ収められたこの単行本は、直線的な作中時間の流れにより、断片的な出来事の寄せ集めである、と、読者に受け取られる恐れがなく、物語は必然的に、ある地点に向けて、加速度的に収斂する。
 エピローグと最終話との間には数年の隔たりがあり、最後に簡潔に描写されるそれぞれの関係の変化こそが、実は最高の見せ場だ。

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