M77さんのレビュー一覧
投稿者:M77
2017/02/10 20:57
いい時代になったもんだ。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
あれ。俺こんなにブラックジャック好きだったっけ?ってくらい、ポーズも、言い回しも、コマ割りも、記憶に響きまくる異常な再現度の高さ。恐らく日本人は皆そうだろう(断言)。そしてどう見てもブラックジャックなのにヒド過ぎるキャラ崩壊(褒めている)。これは先ずネットで発表して、手塚るみ子から直接声がかかったという経緯が幸運だったんだろうな。雑誌での連載だったら、ここまで今に寄り添ったネタは編集に止められてただろう。いい時代になったもんだ。そして手塚は描けなかった現在のるみ子さんのキャラとしての格が凄い。
中でも特に好きのは「青柳」の回。
かつて実在した漫画の神様があちら側の人になってしまい、現在も生き続けるブラックジャックがそれを迎えるという美しい話になっている。この回が読めただけでも同人文化万歳、漫画文化万歳と思う。
2017/08/11 12:24
マイナー競技でも、層の厚さで負けてない
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
これだけ広い世代が勝負し合って影響を与え合う競技というのも、他になかなか無いんじゃないだろうか。まだまだ面白くしてくれそうだ。
花野と真島母の関係も良いな。
紙の本マロニエ王国の七人の騎士 1 (flowers FLOWER COMICS α)
2017/08/11 11:47
七人それぞれ好きになれそうで楽しみだ
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
中世ヨーロッパ風ファンタジー。中世がいつからいつまでなのか知らんけども。
七人の騎士はそれぞれアダ名みたいな本名があって、一人ずつ周辺国へ派遣されるらしいので覚える心配はしなくて良さそう。
みんな違った呪いが掛けられてるっぽいが、使いようによっては特殊能力にもなりそうだし、この世界の八ヶ国全体の秘密にも関わることなのかな。髪の色も能力の関係で変わるのかも。
ハラペコは腹が減るとどうなっちゃうんだ。気になる。
夜、エレオノーラと「眠くない」が相手が見てない時にお互いの顔を見ているってシーンが好きだ。
恋愛相談に向いてない兄弟とか、姫様の地下牢ギャグとかリスとか、チョイチョイ笑わしてくれる。
生姜とチーズのパンって何それ美味しそう。
紙の本Landreaall 30 (ZERO−SUM COMICS)
2017/09/26 11:48
特装版と両方欲しい
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
しばらくは恋愛モードかな?
クッションよりもスカートの惨状にイオンの怒りを感じる。その後の会話にも笑ってしまう。
DX達がディアに会って故郷を出てから長かったけど、一緒に馬鹿やってくれる友達が出来てほんとに良かった。
フィルの言葉に10巻のイオンの言葉が重なる。
気球は怖過ぎ。浮遊鰐が来た時もあんなのに乗ってって駆除したのか。
そしてタイトル回収。
DXは一人、放浪して修行して剣を抜いたりして、分かりやすいレベル上げ。
ディアが自由に出来るのは誇りしかない。でもだからこそもっと報われて欲しい。
しかし奥様方とああいうやり取りをした後で、やっぱり辞めますとは言えないよな〜。おがき先生にはきっとスゴい策があると期待してます!
紙の本ハイン 地の果ての祭典 南米フエゴ諸島先住民セルクナムの生と死
2017/06/03 00:53
裸族の若者は世界の秘密を知らされる
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
南米の南端にかつて居た、円谷作品の宇宙人のような奇妙で可愛く美しい独特の扮装の裸族セルクナム。
白人による計画的虐殺と持ち込んだ疫病により絶滅したので白黒写真しか残っていないが、特に好まれた塗料は赤だったそうで雪に良く映えたんじゃないだろうか。
成人の儀式ハインで、若者は世界の秘密を知らされる。
なんとハインの精霊は男達の扮装だったのだ!
な、何だってー!?w
まあ女達にはバレてたんでしょうけどね。秘密をバラしたペナルティは呪いによる死だったらしいのでシャレにならない。
それもこれも今は藪の中。
紙の本ケトル VOL.35(2017February) 特集:日本のアニメが大好き!
2017/03/03 17:29
自分の中のアニメの世界が広がるような良い特集です。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
カルチャー誌のアニメ特集号。
「この世界の片隅に」の片渕須直監督インタビューでは、ガンアクションアニメ「ブラックラグーン」を引き受けた理由も語られていて、特に感じるものがありました。
片渕監督は、立場の弱い女性が壁を乗り越える話をたくさん作って来たけど、現実には壁を乗り越えられない人もいる。
「いつかは反対側にいる人もきちんと描かなければならないと思ったんです」
アウトローが主役のブラックラグーンがその為にぴったりの題材だったと。
インタビューからも片渕監督の優しい人柄が伝わって来ました。
「君の名は」の河村元気プロデューサーは、文春エンタのインタビューがとても面白かったので、僕がこの雑誌を買ったのもそもそも河村プロデューサーの対談目当てでした。
「てめえの中から一番カッコ悪い部分を出さなきゃ面白くなりようがない」という言葉には、プロデューサーという仕事の印象が大きく変わる気がします。
日本アニメ100年を振り返る企画なので、他にもラブライブ、アキラ、ガンダム、タツノコ、リトル・ニモ、虫プロ、初の国産アニメーションと、どの記事も面白く興味深かった。
特に、普段は興味の無いラブライブとガンダムの記事が面白く読めたのは収穫でした。
ハウス名作劇場の雑学も、1ページだけどお得感アリ。
2017/10/24 18:13
絶望と希望を存分に
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
これまで単行本1冊で収まる短期連載だった朱戸アオの初めての第2巻。
3巻も、恐らくその次もあるという制限なしの状態で、存分にペスト禍を描いていく。
つまり悪い事が次々起こる。
抗生剤も効かない。横走市が隔離される。福島避難民に対してあったような差別も。ペストを持ち込んだ自衛隊への非難。米軍の撤退。顔も碌に見ない内に家族が離され死ぬことも珍しくない。
絶望に慣れてしまわない為に何が出来るのか。一人一人が誠実に悩み、色々な顔を見せる。
クソ真面目なことが魅力になっている朱戸ヒロインには珍しく原則を曲げる選択も、だからこそ尊い。
今この漫画で起きていることを見届けたい。
紙の本旅行者の朝食
2016/12/30 22:47
ロシア、東欧の食のエッセイ
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「心優しく意思の強い人々はベジタリアンになるのだろう。ヒトラーもベジタリアンだった。」
この一文の破壊力と言ったら!
他にも、ロシアを中心に食べ物に関する蘊蓄ガセネタその検証等々が語られる。米原万里の食のエッセイ。
チョウザメの腹のYKK、ウォトカとメンデレーエフ、ジャガイモ普及の苦労、憧れのトルコ蜜飴、ちびくろサンボの国籍、面白いネタが沢山だが、
一番気になったのは、妹ユリちゃんの子供の頃の話で、追悼本で語られていた幻の童話は実現していたらこんな雰囲気だったのかなとしんみりしてしまった。
2017/12/28 16:31
みんなの居場所
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オタクが居場所である下宿を守る為に服を作るマンガ、完結。
主役の月海がシンガポールに売られた辺りは、服作りが方向性に迷い始める頃でもあって、正にその答えを探す為の身売りだったんだろうけど、僕はその辺でちょっと離れてしまって完結後に読了。
最終回の蔵之介の母、番場さん、目白先生の顔見せはベタだけどやっぱり有って嬉しい展開。
最後の服は最初から予定していたそうで、乖離しがちだった月海の服作りと尼〜ズを結ぶ物にもなっている。
男女の結末は少女漫画としては進歩的な方だと思うが、このキャラ達にはしっくりくるし、作者自身の実感も有るのかもしれない。
キャラを漏れなく拾う優しい終わり方が同時に新しくもあるという、バランスの良い漫画だった。
ネタバレになりますけど、
あの人物の外見がまるで主人公のトランスジェンダー版で、正体を隠しながら密かに恋を育んでいたというのもこのマンガを象徴するようで、驚きながらも納得感ありでした。
2017/11/03 17:00
とにかく二人の関係が可愛い!
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アメリカでルームシェアする日本人のサトコとムスリムのナダ。とにかく二人の関係が可愛い。
ナダの方がお姉さんで、ニカブの下で自分自身や女の子同士の為にオシャレするナダはサトコのオシャレの先生だし、車でさらわれそうになったサトコを助けに来たシーンにはウルっときた。
拉致から助ける話は二度も出てきてどんだけ物騒なんだって、寧ろアメリカにカルチャーショック。知らない人がワンピースを褒めてくれたり、白人女子の肉食への想いなど、ポジティブなギャップも。
それに二人はアメリカだから出会えたんだよね。
2017/09/27 21:47
ひとまず完結 だが彼らが愛した街は続いていく
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命をかける程度じゃ生ぬるい。死んだ体を繋ぎとめ、神が死んでもまだ終われない。
それほど強い怒りを内に抱え続けた彼女は、何故かいつも楽しそうだった。
復讐の為にこの街に現れたその時ですら、影を感じさせない愛嬌があった。
(途中、キャラデザで参加してるキュウレンジャーのスコルピオみたいな怖い顔になってるけども・・・復讐者って点では寧ろオウシ座チャンプかな)
神でも妖怪でも、もちろん人間だって何だって受け入れて進んで行く、街の象徴のような女だった。
街はこれからも沢山のものを飲み込んで続いていく。
だけど今だけは、彼女とその仲間達との別れを惜しみたい。
2017/07/26 20:20
ホールくんカワイイ
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多重人格とか時間能力とか悪魔の気まぐれで、かなりヤヤコシイことになっていたこの漫画。
しかし悪魔は皆ズル剥けになり、ラスボス「ホールくん」が誕生したことで、時間魔法も多重人格もこの巻でひとまず終わり、色々整理されていつの間にか事態が主人公へ集約して行く。
何というか、まさに王道という感じ。いざ最終決戦。次巻が楽しみだ!
というところでまたも掲載誌が休刊だが、ここまで来たら移籍でも描き下ろしでも何でもいいので、最後まで作者の好きなように心置き無く描かせてやってほしい。それだけの価値はある。
2017/07/09 10:08
終わり、そして続いていく
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最終巻。
もともとが取り留めのない夢のような話だったのが、それを逆手に取ったようにフラッシュバックを使って伏線を畳んで行く。
友達も進路も結婚までもが審査されて国から提案される、優し過ぎる未来。そんな世界でも、人は傷ついていつまでも苦しんだりするんだなあ。そしてそんな誰かを救けたいという努力も、続いていくんだなあ。
登場人物が辛かった時期の話は読んでても辛くて、本編ラストになっても自分はまだ受け止めきれてない感じだったけど、描き下ろしで救われた。
この人はこういう短編での思考実験が上手い。
読者からすれば会ったばかりのキャラ達なのに、切なくなったりしんみりしたりして、終わった後も考えさせられる。
そういや死んでる人なのに、一番作中で成長して変わったよなあ坪井さん。
人は死んでも成長できる!?
2017/06/27 12:38
今自分の居る場所でやるべき事をちゃんとやる漫画
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横浜がモデルの横走市。ゆるキャラがちゃんとユルい!そんな横走で集団感染発生!!
自衛隊の海外派遣からの感染なので政治風刺もあるのかと思ったが、そこが中央アジアだろうが横浜だろうが変わらず自分の仕事をする人々の熱い話だった。
ちょっとネタバレだが、
病原菌の変異からのアウトブレイクも、この作者のファンとしては待ってましたの燃える展開。
何故ならそこには必ず、あきらめない女が居るからだ。
潤月ちゃんの家族の話に泣かされる。そして潤月ちゃんを励ますカルロスがまた良いキャラなんだ。玉木先生の「こらカルロスマスク!!」にはルチャドールかと思ったよ。マスクしろってことね。
衛生は大事!!
紙の本WOMBS 1
2017/05/13 00:16
妊婦が恰好いい漫画
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戦争映画でお馴染みの使い古された台詞にも、
特別あつらえの軍服や超能力表現の格好良さにも、
いちいち「だが、妊婦だ」が付いて回るSF漫画。
いや、妊婦じゃないって勉強したんだっけ。
異星生物を子宮に入れることでその能力を利用し、精神による通信・探査や物質転送と爆破、というか空間を置き換え抉り取ることが出来る、女性兵士達。
かなり特殊な世界の筈なのに、描かれているのは今まで何度も見てきた普遍的な世界で、その中に宙吊りにされたような読み心地が面白い。