星月夜さんのレビュー一覧
投稿者:星月夜
2020/11/29 21:50
人の心の痛みに向き合った、CLAMPマンガの傑作
16人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレを含む感想です。
東京Babylonは、今まで読んだCLAMPのマンガの中で、最高傑作と思う。
不夜城都市の東京で、陰陽師として人の心に向き合う、優しくて利他的な昴流。
昴流と瓜二つの双子で、普段は星ちゃんと漫才するような明るい女の子だけど、
本当は弟想いで、二人の気持ちに誰よりも敏感な、かっこいい北都ちゃん。
桜塚護としての正体を隠し、いつも昴流を守って、庇って・・・
愛する昴流の為に、悪役になって、暗殺業を終わらせようとする星史郎。
三人のキャラクターが魅力的で、つい感情移入してしまう。
毎回現れるゲストキャラの心の痛みに向き合う昴流が、陰陽師として悩み、苦しむ。
それをフォローする北都ちゃん、ピンチになると庇って助ける星史郎。
そんな三人の関係が、最後に悲しい結末を迎えることになるが、
色々な社会の問題を浮き彫りにしている、社会派ドラマのような短編集。
でも、一番の見どころは、星史郎と昴流の、二人の切ない関係性である。
星史郎の『賭』とは一体何なのか、最終巻になるまで明かされないが、
その片鱗が、一巻のDESTINYで既に描かれている。
星史郎は昴流をどう思っていたのか。
何故北都ちゃんは、あのような終わり方をしてしまうのか。
色々な解釈があると思うが、それに想いを巡らせるのも、東京Babylonの魅力だと思う。
最初に読んだ時から、私の解釈は揺らぎがない。
星史郎は「『桜』の下で」出会った日から、昴流『君』が『好き』で『特別』。
BABELの東京タワーで、再会した16歳の昴流にも「本当に」好きと、告白している。
DESTINYで、9歳の昴流を見逃した時から、一心惚れ。
そして星史郎の一年とは、暗殺者の自分に許した、昴流を愛する限界の期間だったのだろう。
一番好きなキャラは、昴流君。
この頃の美麗なイラストもそうだが、
昴流の繊細で利他的で、優しい性格は、二次元キャラとして、とても魅力的。
OLDで、自分が口にした一言で誰かが傷つくのが嫌だったと語る昴流は、天使に感じて一番好き。
SMILEで外国人の女性に、笑ってと語りかける北都ちゃんも、
最後に取った行動も、潔くて、かっこよくて。Babylonの一番の天使。
星史郎は、最終巻での、9歳の昴流の『綺麗』な『心』に惚れて、
告白する台詞が美しくて、同時に切なくて…。
「君と僕がまた出会えたら
一年間だけ一緒に過ごしましょう
君は僕と正反対の『心』を持っている
優しくて純粋で誠実で
きっと『君』はそのまま大人になるでしょう
その『綺麗』な『心』のまま」
暗殺現場を見られた星史郎が、恋に落ちた瞬間の、美しい告白。
星史郎の台詞の中で、一番好きで、切ない告白。
どうして、僕より君が先に?それはやっぱり、昴流『君』に惚れたから。
どうして一年間だけ? 一年が、暗殺を続けながら、昴流を愛せる限界の期間だから。
Babylonでの一番の名言になっている。
星史郎の切ない狂気の恋の始まりが、Babylonの結末に繋がっている。
これをアンハッピーエンドと思うかは、分かれると思うが、
星史郎が命を『賭(と)』して桜塚護を終わらせる『賭』を選んだ時点で、
アンハッピーではないと思う。
本当は三人で仲良く、紅茶を飲んでいたかったのかもしれない。
でも昴流の『綺麗』な『心』のように、
『真白』な『桜』の咲く、桜塚護の消える未来を望んだ。
昴流を愛しているからこその、選択だったと思う。
一年間しか一緒に過ごせない二人の切ない関係、
そして、桜塚護(暗殺業)を終わらせる三人の結末は、切なくて、涙した。
春の夢 ポーの一族 (フラワーコミックススペシャル)
2017/09/24 23:50
寒い冬の旅路に見る、儚い、春の夢
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『ポーの一族』の新作「春の夢」は、
第二次世界大戦中、空襲に遭ったエドガーとアランが、
疎開先のアングルシー島で、
逃れてきた姉弟と出会う場面から始まります。
高校生の頃に読んで以来の時間が流れましたが、
また二人に会えるとは思っていなかったので、嬉しかったです。
絵柄は変わっても、当時の神秘的な雰囲気は、ふとした場面に表れていました。
殊に、目次のイラストはお気に入り。
二人の背景に広がる船や海、波の中を横切る電車、線路に咲き乱れる花々の風景は、
遙かな時を超えて生き続ける二人の、幾星霜の旅路を連想させられました。
そして、雑誌の表紙でもあった、赤い薔薇の花束を抱える二人のイラストは、
まるで、これから物語を読もうとする読者に向けて、
お帰りなさいと言っているようでもあり…
二人が読者に薔薇を渡してくれるようでもあり…
ドキドキして、嬉しかった。ありがとう、モーさま。
ここからは、ネタバレを含む感想になります。
最終話「エディス」を読んで以来、
その後のエドガーがどうなったのか、想いを馳せたこともありました。
「エディス」によって描かれた、アランの、
エドガーの愛情に対する不安や満たされなさが、
エドガー似の少女エディスに出会う事によって、
徐々に壊れていくアランの心模様が、何とも寂しくて切なくて…
二人のすれ違いが哀しかった。
「春の夢」は、雑誌掲載の初回に、エドガーがブランカを春の夢だと独白して、
失恋にも似たショックを受けましたが(笑)、読み進めていくと、
「エディス」の時とは逆に、エドガーの深い孤独が描かれており、
アランがどんなに大事で心の支えになっているかを、思い知らされました。
やんちゃでワガママにふるまって、エドガーの愛情を確かめるアラン。
「エディス」と「春の夢」に、直接の繋がりはないけれど、
「エディス」で焦点の当てられたアランの、エドガーに対する不安が、
「春の夢」で描かれた、エドガーの深い孤独やアランに対する想いで、
時を経て、中和されたような…そんな長い時を経た感動を得ました。
そして、平和な日々を望むブランカの、壊れていく様子から、
「グレンスミスの日記」で描かれた、ポーの一族のテーマの一つである名言、
「生きて行くってことはとてもむずかしいから
ただ日びを追えばいいのだけれど時にはとてもつらいから
弱い人たちはとくに弱い人たちは
かなうことのない夢をみるんですよ」
を思い出して、涙ぐんでしまった。
戦争の最中、頑張ってきた姉ブランカ…
その春の夢を、鳥も花も、緑の葉も、笑ったりしないよ、
私はそう、ブランカに声をかけたかった。
それぞれの春の夢…それらの想いが交錯して、
儚げで哀しい、ポーの一族の世界観に、再び浸りました。
ポーの村の秘密や、新キャラのファルカなど、見所満載の新作ですが、
私は、エドガーの深い孤独や、アランに対する想いを感じ取れたことが、一番でした。
「アランの感情はぼくよりずっと人間に近い
アランがいないと ぼくは幽霊になってしまう」
終盤の台詞を語るエドガーの絵柄は、かつての姿を彷彿とさせて…
新作で描かれたエドガーの孤独やアランへの想いが、
本編のエドガーに戻って補充されたような気持ちになりました。
それにしても、エドガーは、やはり、かっこいい!
ブランカを春の夢と独白し、助けながら、
ブランカでは埋められないエドガーの深い孤独と、アランへの一途な想い。
エドガーのかっこよさ、そして、一途さを再確認しました。
かっこいいエドガーよ、永遠に…。
また二人に出会えて、良かった。
アジサイ
2019/07/17 00:40
多彩なアジサイの魅力や種類、12か月毎の育て方などを解説
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
日本原産で、青や紫、ピンク、水色…多彩な色や形が美しいアジサイ。
土の酸度で、グラデーションのように変わる色合いの美しさや、
青色の美しさは、アジサイならでは…と思い、お気に入りの植物の一つです。
アジサイは、古くは万葉集に登場するそうです。
古来の呼び名「集真藍(あづさあい)」が転じたもので、
一般的な呼び名「紫陽花」は、唐代の詩人・白楽天の詩に詠まれた紫陽花が、
その後、和名として広まったそうです。
主な章は、
・アジサイの種類と魅力、楽しみ方
・育ててみたいアジサイのいろいろ
・12か月の管理と作業
・栽培上手になるためにアジサイQ&A
・コラム
ちなみに、私の体験談ですが、
発酵油かすの肥料を与えたところ、花が赤紫色になって驚きましたが、
この本で、リン酸分の多い発酵油かすは、花色がピンクになりやすいと知りました。
青色に発色させたい場合は、別の肥料が必要になります。
コラムの中では、北国の管理と作業も解説しています。
私の場合は東北暮らしなので、主に鉢植えで栽培しています。
藍色の発色が美しいヤマアジサイの藍姫や、
グラデーションの花弁が美しいヤマアジサイの虹、
加茂セレクションの千代女、などなど…。
華やかな西洋アジサイ(ハイドランジア)より、
繊細なヤマアジサイやガクアジサイに魅力を感じています。
最近は、色々な種類のアジサイが鉢植えやゴム鉢で出回る事もあり、
気に入った品種のアジサイを見つけて、栽培しています。
アジサイの良い所は、花色の美しさだけではなく、
虫がつきにくく、丈夫な性質と感じています。
水遣りはマメにしなくてはなりませんが、
栽培初心者でも育てやすいように感じています。
色々なアジサイが写真付きで紹介されているので、図鑑として眺めるのも楽しいです。
アジサイの種類を知りたい方や、
アジサイの栽培を始めようと思っている方、
既に栽培している玄人の方々にも、オススメします。
トーマの心臓
2016/06/22 01:42
日びの夢 風の楽音 わずかな気配にも ユリスモールはトーマを見つけていた
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
モーさまファンで、色々な作品を読みましたが、
その中でも『トーマの心臓』は、特別な名作です。
少年達の友情や愛を通して、精神的な愛を描いた作品と解釈しています。
ここからはネタバレを含む感想になります。
「…―神さま―あなたはごぞんじでしたか
―ぼくが―彼を―ずっと愛していたことを―…」
惹かれながらも、翼のない自分には人を愛する資格がないと、トーマに冷たくなっていた。
ユリスモールが現実にトーマを愛するのは、
トーマに似たエーリクとの交流を通し、トーマの言動の意味を理解した後。
神学校に転校してからのちのことなのだろう。
物語終盤、ユリスモールが神父を目指す決心をした後、
エーリクに諸々を打ち明ける場面は、色々と考えさせられた。
「…きみをみてると 過去に起こったあらゆるやさしいことを思い出す
…だからみな 心をよせて君を見る―恋神(アムール)ー」
この台詞は、エーリクに、というより、トーマに語りかけているのだろう。
「ぼくはトーマが好きだった
ほかのもろもろの信奉者と同じように
ぼくもまた彼を崇拝し 彼を見ると幸福だった―」
エーリクの勘が当たっていたことを打ち明けるユーリ。
「好きだった」と過去形なのは、
エーリクの「好きだったからじゃない?」の問いに対する返答でもあり…
今後は神父を目指しながら、トーマと共に生きて、愛する決意をも含むのだろう。
「愛していると言ったその時から 彼はいっさいを許していたのだと
彼がぼくの罪を知っていたかいなかが問題ではなく
――ただ いっさいを なにがあろうと許していたのだと
それがわかった時 ぼくは……」
そう打ち明けた後、ユリスモールがエーリクの左頬にキスをする場面。
最初は、トーマとエーリクの二人にキスをする場面と解釈したり、
エーリクを通して、トーマのアムールにキスをしたとも解釈したが、
ユリスモールが「……トーマ……」と独白し、
その後、キスをする背景に、
かつてトーマが草笛を吹いていた、
ユーリの自習室の見える木の下を連想する風景が描かれていることなどから、
エーリクを通して、トーマのみにキスをしたと解釈する。
この場面の解釈は何度読んでも揺れていたが、最終的にトーマのみで解釈している。
「転入してきた最初の時から―
ユーリはぼくのうしろにずっとトーマを見ていた
日びの夢 風の楽音 わずかな気配にも彼は見つけていた
金色の髪の 水色の目のアムール……」
結局、このエーリクの独白に、ユリスモールの想いのすべてが、
この作品の根幹が表現されている。
エーリクに惹かれながらも、交流していたのはトーマであり…
やがてトーマの真意の理解に至る。
「この春 さいごの雪の日に 陸橋から飛びおりて―
あの日で冬はおわった 水仙もクロッカスも
とけぬ雪のあいだから いっせいに咲き出した」
オスカーがエーリクに、トーマの最後を説明する台詞。
頑なに、まだとけぬ雪のようなユリスモールの冬の心のあいだから、
水仙やクロッカスのように咲き出す春のような、トーマの愛。
ただいっさいを、何があろうと許していた、トーマの、清く、深い愛。
翼を失ったユリスモールを生かす為には、陸橋から飛ぶこともいとわない天使のトーマの潔さ。
そして二人の精神的な愛は、春を迎え、
トーマはユリスモールの目の上に生きている。
ずっと、永遠に。
何度読んでも、胸がしめつけられて、色々考えさせられて、
切なくなって、泣いてしまう。
繊細で詩的な絵や台詞で、精神的な愛を描いた、不朽の名作です。
月刊 flowers (フラワーズ) 2016年 07月号 [雑誌]
2016/06/16 23:42
エドガーとアランにまた会えた!
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
エドガーとアランにまた会える!と思い、発売日までワクワクドキドキでした。
「春の夢」の続きも楽しみです。
付録の小冊子もあり、山岸涼子先生との対談もあり、ファンには充実した内容です。
ここからは、付録作品や『トーマの心臓』のネタバレを含む感想になります。
付録の冊子には、
『トーマの心臓』のオスカーのスピンオフ「訪問者」と、
エーリクのスピンオフ「湖畔にて」の2作が収録されています。
「訪問者」は単行本でも持っていて、何度読んでも切なくなる、見事な傑作。
本編のオスカーは、大人びてかっこいい、どこか寂しげな少年。
訪問者の幼いオスカーを知れば、大人びて寂しげな理由が伝わります。
オスカー終盤の独白「彼の家の中に住む 許される子どもになりたかった」…
胸がしめつけられて、泣いてしまいます。
「湖畔にて エーリク14と半分の夏」は未読だったので、嬉しい付録でした。
繊細な、夏の空気を感じる美しい絵に、散文詩のようなエーリクの心情を描いた短編で、
絵柄が当時のままで、懐かしかった。
マリエを失ったシドが、マリエに似た息子のエーリクと。
マリエを失い、ユーリと別れたエーリクが、ユーリと同じ名前を持つシドと、
湖畔で一緒に過ごす一夏の出来事が描かれています。
「…さびしさはどうして雪のように積もってゆくのだろう」
最後の雪の日、天使のトーマは、翼を失ったユリスモールに飛んだ。
やがて、二人の精神的な愛は、春を迎え…トーマは彼の目の上に、ずっと生きている。
他方、ユーリと別れたエーリクの寂しさは、
冬が訪れ…雪が積もるように、対比して表現されているのだろう。
「夏がすぎると 星がたくさん落ちてくる夜がある
どこかに星の泉があるだろうか
そこには失くしたものがみんなあるだろうか…」
夏のペルセウス座流星群のイメージだろうか、美しくて哀しく、
何となく「ハウルの動く城」の星降る場面をも連想した。
本編のエーリクが「星がー落ちてきそうなほど」と表現するのは、
ユーリの実家で見た星空のみ。
しかし、ユーリの部屋に駆け込んだ後、雨がやって来る。
「泣いているのはトーマ…?きみ…?エーリク…?」と独白しながら、
天使のふりをして、泣くエーリクを慰めるユーリ。
エーリクを通してトーマを想うユリスモールの心情を、
雨空で表現しているのだろうか。
エーリクは、湖畔に落ちる流れ星を見ながら、
ユーリの実家で見た星空や出来事を思い出しているのかもしれない。
神学校に転校し、もうトーマと一緒に生きているユリスモールに、
オスカーのように現実に会いに行けない、エーリクの切なさ。
いつかユリスモールとエーリクは、
星の泉のほとり、精神世界のほとりで、再会するのだろうか。
或いはいつか、現実に再会するのだろうか。
その後の二人の行方は描かれないが、それでホッとする自分もいる。
「…思いはいつか実を結ぶだろうか そして何もかも帰ってくるだろうか」
この独白の背景に描かれた、森の木立の中を誰かが歩く風景。
いつかエーリクを訪れる誰かなのか、
のちのユーリなのか…
或いは去っていくオスカーの姿なのか、は分からない。
でも、この短編の少年の時のまま、
エーリクのユーリへの想いも、切ないまま、止まっていてほしい。
本編では元気でやんちゃ、純真なイメージだったエーリク。
この短編では、マリエやユーリと離れた後、雪のように積もるさびしさや、
大人になっていく狭間で揺れ動くエーリクの心情を、
夏の湖畔の風景と共に描き止めていて、美しく、切なかった。
読めて良かった。感謝です。
猫の學校 2 老猫専科
2020/11/29 20:52
朗猫(老猫)の介護から看取りまで、さよなら、またねと言える時間の作り方
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
多くの老猫の世話を通して、
17匹を看取ってきた「猫のプロ」である著者の南里さんが、
人も猫も「ご機嫌元気」で、
最期の瞬間まで幸せに暮らすための秘訣を伝授する内容です。
1時限 猫の「老い」を学ぶ
2時限 老猫の「キュア」と「ケア」を学ぶ
3時限 猫たちの「旅立ち」から学ぶ
4時限 猫たちが遺した「いのちの意味」を学ぶ
の4章構成です。
私がこの本を読んだきっかけは、世話していた猫が19歳になり、
猛暑も影響しているのか、徐々に弱っているのに、
猫がキャリーケースに入るのを拒否するのと、
15歳過ぎの年齢を考えると、
嫌がる猫を動物病院に連れて行って、延命を考えるより、
自然死を選ぶほうが自然な流れなのかもしれないと、悩んでいたからでした。
このような状態の猫ちゃんをどうやって世話をすれば良いのか…
また、近づく別れが何だか辛くて、
どう心の整理をすれば良いのか分からなくて…この本を頼ったのでした。
私がこの本から特に感銘を受けたのは、
動物病院による治療のキュアより、
親しい人の心のこもった世話のケアのほうが大事ではないかという考えです。
「老猫が望むものはなんだろう…
そっとしておいてほしい、そばにいてほしい、なででほしい、
悲しまないでほしい、説明して欲しい」の中で、
「注射や点滴よりなででほしいと思う老猫は多いはず」の一言で、
私は、嫌がる飼い猫を動物病院に連れて行くより、
飼い猫の老いを受け入れ、
出来るだけそばにいて、出来る時はなでであげよう、
そっとしておいてほしいと眠っている時は、そっとしておこう、
最期に立ち会えない可能性もあるので、留守にする時や就寝前は、
話しかけて挨拶しようと、心がけることになりました。
そして、著者が、表紙の猫が旅立った時の事を、
「猫の魂が自由に飛び回っている」と表現した一言で、
私は、猫ちゃんとの別れを、
「不自由になった体から旅立ち、魂は自由に飛び回れるんだな…」
と、思えるようになりました。
可愛い猫との別れは辛いけど、
老いや病気の苦しみから解き放たれる旅立ちを、
悲しまないで、受け入れるべきではないかと思うようになりました。
また、死は終わりではなく通過点に過ぎなくて、
あちら側とこちら側はまるい虹で繋がっていて、
また会うその時まで、ご機嫌元気で生きていこう…というフレーズに慰められました。
老猫から朗猫へ、暗くて悲しいイメージを払拭して、
大らかに自然の一部に還っていけたらいい…
最期も微笑んで「さよなら、またね」と言えるようにしたいもの…
猫だって、私が悲しむのを、望んでいる筈がないのです。
この言葉に倣って、私も、なるべく、悲しまず、暗くならずに、
朗猫との1日1日を、大切に過ごしていこうと思えるようになりました。
あとがきで、南里さんは読者にありがとうと言っていますが、
私も「ありがとう、読んで気持ちが楽になりました」と、伝えたいです。
猫と一緒に暮らす最中で、その世話や、
やがて訪れる別れで辛い思いをしている人たちに、一読を強くオススメします。
虹の橋
2020/11/07 17:27
愛する動物との別れは、永遠のものではない
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
しっぽのある相棒、15歳過ぎた愛猫が、亡くなりました。
もう少し、長く生きられるのかな…と思っていた矢先、
猛暑の影響も多分にあるのか、
長毛の愛猫は、体調を崩し、亡くなってしまいました。
動物病院に連れて行こうか、迷った時もありました。
でも、高齢なのと、
キャリーケースに入るのを嫌がる態度、
開口呼吸という心臓発作が時折起こっていた為に、
病院に運ぶ間に、移動のストレスや突然の発作で亡くなる危険性もあり…。
延命治療しても、老齢なので、苦しむのが長引くだけだな…と思い、
自宅で看取り、自然死を選ぶ事にしました。
キュア(治療)よりケア(世話)を。
南里秀子さんの著書「老猫専科」にならい、
出来るだけ撫でたり、励まし続けました。
そして、最期は、私に撫でられながら、腕の中で、旅立ちました。
立派に生き抜いた愛猫が、もういないんだな…と思った時、
寂しくなって、この絵本を手にしました。
亡くなった動物が、虹の橋のたもとに行き、
そこで、飼い主を待ち、一緒に虹を渡る物語は、
例え、空想の話だとしても、愛猫ロスを和らげるものでした。
虹の橋のたもとに居る愛猫に、いつか、再会できるのでしょうか?
例え再会できなくても、無事、あの世へ旅立ち、
また新たな生を受け、生まれ変わり、幸せに暮らして欲しいと、願うようになりました。
そして、虹の橋で再会できなくても、記憶の中で、愛猫は生きている…。
愛する動物を失くし、失意の中にある飼い主さんには、是非読んで欲しい物語です。
悠久の宙
2017/12/19 23:50
星空の絶景の中に、自分が佇んでいるような、幻想的な写真集
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
雪原で星空を眺める女性の写真が表紙の、
3冊目の星空の写真集です。
「天空の入口」、「フローズンナイト」、「アメージングスカイ」、
「畏敬の詩」と題された、4つの章に分かれており、
それぞれの章のイメージに沿うような写真が散りばめられています。
また、写真の中の絶景に人物の佇む写真があって、眺めていると、
まるで、自分がその風景の中に入り込んだような印象を受けました。
最初の写真集は、端正な美しい写真が多い印象でしたが、
今回の写真集は、より大らかなアングルで撮られた印象で、
滅多に目にすることの出来ない絶景なのに、
どこか親しみのある雰囲気が、とても気に入っています。
個人的には、表紙にもなっている、
雪原で星空を眺める女性の「夜空の宝石たち」や、
黄金色に輝くスーパームーンとその照らす水面の輝きが美しい「スーパームーン」、
海に伸びる桟橋と三日月の風景の「星空へのプラットホーム」、
波打ち際で、夜明け色を映して輝く氷の幻想的な「夜明け色の宝石たち」、
雪原がきらきらと輝いて、まるで昔話の世界のような「月夜のおとぎ話」、
縄文時代の遺跡の夜空に天の川が輝く「縄文の空」などは、
かつて北国で暮らしていた頃を、懐かしく思い出してしまいました。
東北の夜空でよく見かける、桔梗色の美しい夜空と列車の「桔梗色の旅路」や、
灯台と天の川が美しい「空の道しるべ」は、銀河鉄道の夜の世界観を感じました。
「夢色の軌道」は、桜並木の咲き誇る線路の、何と美しいことか。
夢の中の景色のようでもあり…でも、どこか懐かしい…そんな切ない気持ちになりました。
「古木と居待月」も、東山魁夷の「花灯り」を連想するような、
古代から眺められてきた絶景のようでありながら、
光をまとった月が美しく、幻想的な印象でした。
写真の中の人物のように、絶景を眺めているような、夢見心地になります。
銀の船と青い海
2016/06/20 21:30
夢の中を彷徨うような、追憶の童話集
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
カラーイラストが50点、
単行本初収録の「さなぎ」「少女ろまん」を含めて童話27編が掲載された、
モーさまの魅力が詰まったイラスト・童話集です。
ちなみに、表紙絵は、
萩尾望都作品集12「トーマの心臓2」に収録されていたカラーイラストで、
プチコミックス版でモーさまの漫画を集めていた私には、懐かしかった。
ファンの方、リリカルな作品が好きな方にはオススメします。
ここからは、ネタバレを含む感想になります。
お気に入りの作品は、
姫と王子の、来世での出会いを願う「夢の旅路」、
オルゴールへの憧れを、美しい文章で表現した「オルゴール」、
カード遊びから派生した、兄弟の不思議な体験をキラキラと描いた「銀の船と青い海」、
夜空柄のカーテンの、ロマンチックな童話「銀河」、などなど。
「少女ろまん」の「初夏」は、初夏の空気を感じる、美しい散文詩。
「…過ぎたもののいくつかは わたしの浅い夢の底に残った」…
このイラスト・童話集のようで、
夢の底に残った、過ぎたものの幾つかを、描いて、追憶したような作品集です。
モーさまの描く四季の移り変わりは、美しくて、心や五感に響きます。
特に、モーさまの描く夏が好き。
南国(九州)出身だからなのか、モーさまの描く絵から、
夏の風や香り、太陽の陽射し、草いきれを感じて…。
北国育ちの私には、眩しく感じます。
「夢の旅路」の樒の花なども、北国育ちの私には、馴染みのない草花でした。
最近読んだ短編「湖畔にて エーリク 14と半分の年の夏」の、
湖畔の夏の風景の描き方も印象的で、眩しく、懐かしく、美しかったです。
童話集の冒頭の詩(序文)に描かれた夏も、美しくてお気に入りです。
「思い出の 海の音がする
風や砂や 波や鳴く貝や
水鳥たちの 雲や雨や
光や人やらの 一まいの絵
くりかえす夏の
思い出の音がする」
くりかえす夏の思い出の、海の音や、風や砂や、波や鳴く貝や…
それらの風景や音を、絵や台詞から読者に連想させる、モーさまの凄い表現力。
「オルゴール」で描かれた冬も好き。
南国育ちのモーさまは、オルゴールの中に、冬景色を感じたようで…。
馴染みのない雪景色を、まだ手に入れぬオルゴールの中に感じたのでしょうか。
「…さながら私の夢やあこがれや思い出の里が、
竹林に囲まれた上に、真白な雪がふり積み、
すっぽりと手におおうようにまるいまるい心になって、
その図ごと、あの箱の、あのふしぎな場に、おさまっている。
また、雪の中の、人里はなれたさらに小さな里が、
やさしさや想いだけに囲まれて、あの箱の中にこもっている…」
この一節から、北国育ちの私は、
しんしんと、粉雪がふる静寂の中を、傘もささずに歩いた、遠い冬のあの日を思い出しました。
オルゴールの中に、追憶の雪景色が広がっている…。
オルゴールを見るたびに、
やさしさや想いに囲まれた、雪の中の小さな里、
しんしんと雪がふり積もる、北国の小さな里の、あの懐かしい風景を、
オルゴールの箱の中に感じることでしょう。
ときめくラン図鑑
2019/06/15 23:46
ランの特性・育て方なども凝縮した、めくるめくランの世界
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
私がランを好きになったのは、
園芸店で購入した、小さなデンドロビウムを栽培した事がキッカケでした。
コメのとぎ水を、乾いたらたっぷり、
霧吹きで葉水を毎日与えていたら、すくすくと成長し、
購入した園芸店に、植え替えを頼むまでに、大きく成長。
小さな陶器製の鉢から、大きな素焼きの鉢に植え替えたら、
株分けが必要なくらい、大きく成長して、驚いている毎日。
ランの水やりの簡単さや、
毒性が少なく、猫とも同居できる良さも相まって、
その後、蘭展にも足を運んで、小さなランの鉢も購入し、
毎日眺めて、ランの栽培を楽しんでいます。
章は五つに分かれています。
それぞれの章を、簡単に紹介します。
1、ランは未来からやって来た
名前の由来は、孔子がランを、香りあるものの女王と呼んだことで、
中国では、君子(立派な人の意)を蘭に例えたそうです。
古くから、香りある植物をランと呼んでいたそうで、
昆虫を誘う特徴など、今なお、進化を続けるランの特性などを紹介。
2、ラン・ワンダーランド
綺麗な写真付きで、珍しいラン80種を紹介。
入手難易度、栽培難易度、
栽培のポイント(吊るして下垂させると良い等)も有り。
珍しい青いラン、瑠璃色のデンドロビウム・ビクトリアレギネや、
ファレノプシス・ベリーナの近縁種ビオラセアの青紫色、
和名でヒスイランと呼ばれる、ヒマラヤの青空のようなバンダ・セルレアなどが印象的。
3、ねじれたランの世界
特殊なバルブや、葉っぱがないラン、だまし上手な昆虫を呼ぶランなど。
樹上に暮らし、土がなくても生きられるランの特性を紹介。
4、ランの愉しみ
ランが好む環境や、植え込み材料と容器、
水やりの注意点、花を咲かせるコツなど、育て方を詳しく説明。
5、もっとランを知る
ランと人との関わりの歴史や、ラベルの読み方、ランに会える場所、
歴史的な魅惑の交配種を、写真付きで紹介。
私の場合は、初心者でも育てやすく、
置き場所にも困らない、小さめのランを選んでいますが、
蘭展で入手した、小さいデンドロビウムの原種・ロディゲジーや、
極小ランで生育旺盛な、ディネマ・ポリブルボンなどなど…。
ランは、寒い地域では難しいですが、
デンドロビウムは寒さに強いランが多いようで、
この本の育て方を参考に、
時々、戸外の風に当てて、室内の窓辺で栽培しています。
ランは、乾湿のメリハリが大事らしく、
素焼きやプラスチックの置き鉢で管理していますが、
樹上で暮らすように、つるして栽培する方法にも、
いつか、チャレンジしてみたい、と思っています。
大まかに本の内容を紹介しましたが、
ランを栽培している人達だけではなく、
ランに興味のある方、
ランをこれから栽培しようと思っている方に、特にオススメする本です。
簡単でかわいい風工房の身にまとうニット 春、夏、秋、冬一年じゅう楽しめる
2018/08/31 21:29
シンプルでおしゃれ、着回ししやすい、身にまとうニットの作品集
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
NHKテレビテキスト「すてきにハンドメイド」の連載で、
身にまとうニットを中心にした作品集です。
秋~冬のニット、春~夏のニット、ニットバッグ、
の三つの章に分かれています。
ミトンやハンドウォーマー、ケープ、ストールや帽子、バッグなどの、手軽に編める小物も多く、
ベストやチュニック、マーガレット、ひざがけなどの、ちょっと手間のかかる作品も載っています。
かぎ針編み、棒編み、両方の作品が載っています。
私はかぎ針編みが好きなので、
かぎ針編みのショール、ストール、バッグ、ハンドウォーマーは、
シンプルながら編み映えしそうな作品なので、挑戦してみたいと思っています。
特に、羽のエジングが付いたようなパイナップル模様のストールは、
軽やかで素敵なデザインで、気に入っています。
風工房さんの作品が好きな方さんだけではなく、
シンプルで使いやすい編み物の本を探しているニッターさんにもオススメします。
ハーブティー事典 108種の効能から味・香り利用法まで解説! 自然の恵み、植物のチカラで健康になる!
2018/05/03 22:12
108種のハーブの効能から味・香り、利用法などを解説した、初心者向けのハーブ本
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
108種のハーブの効能から味・香り、利用法などを細かく解説した、
初心者向けのハーブティー読本です。
1 ハーブティーの楽しみ方
2 ハーブティーを入れる
3 ハーブティーを選ぶ
4 悩み別ハーブティーのレシピ
の、4つの章に分かれています。
ハーブティーの入れ方や保存方法、
ドライハーブとフレッシュハーブの使い方も説明しているので、
初心者も分かりやすいと思います。
ハーブによっては、化粧水や湿布として利用する場合の説明もありますが、
詳しい作り方などの記載はなく、メインはハーブティーが中心です。
第3章のハーブティーを選ぶでは、
ドライハーブの写真と、
お茶をカップに入れた時の色合いの写真で掲載され、
ハーブティーの作用、香りと味、飲み方、注意点などが簡易にまとめられています。
月桃やハトムギ、ドクダミなどの和のハーブもあり、
ハーブの種類は多いほうだと思います。
特に便利なのが、3章の最初にある、ハーブティーの一覧と効果一覧表。
例えば、有名なカモマイルは、不眠や胃腸の不調などが有名な効能ですが、
高血圧や花粉症、偏頭痛などにも効能があると知り、驚きつつも、役立ちました。
でも、ラズベリーリーフなどは、美白効果もあるのですが、
有名な効能の記載しかなく、ちょっと残念…。
ハーブによって、詳しい効能の記載があるものと、ないものがありますが、
大まかな効能は記載されていますので、
これからハーブを始めてみたい方や、
今飲んでいるハーブの詳しい効能が知りたい方、
悩み別にハーブを探したい方にはオススメの一冊です。
ハーブと精油の基本事典 メディカルハーブとアロマテラピーに強くなる!
2018/05/03 22:09
奥深いハーブの世界を窺い知れる、ハーブと精油の事典
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
強烈な紫外線から身を守る植物のパワーの秘密などの、
植物の生態に関する話から、
植物と人の歴史(薬草魔女の時代…等々)など、
とても面白くて奥深い話から始まる、本格的なハーブの事典です。
ハーブティーは勿論、
入浴剤や軟膏剤、湿布剤、ローション剤、
マッサージオイル剤、アロマテラピー等々、
様々な使い方や説明が細かく載っています。
1.植物の力
2.ハーブと精油の活用法
3.人に役立つハーブと精油110種
4.症状別ハーブと精油の選び方・使い方
の4つの章に分かれており、
3章の110種のハーブは、ドライハーブの写真だけではなく、
ハーブが土に生えている状態の写真(写真のないものはイラスト)付き。
月桃やサフランって、こういう見た目の植物なんだな~と、リアルに実感しました。
そして、主要成分(タンニン、フラボノイドなど)、
おもな作用やおもな適応、注意事項、
症状別の使い方、使い方アドバイスなど、詳しい説明が付いています。
例えば、イブニングプリムローズのような、
有名だけど他の事典であまり見かけないハーブが載っていたり、
マイタケのように、スーパーで買える有名なキノコが、ハーブの一種として載っています。
ラズベリーリーフなどは、有名な効能だけではなく、
有効成分のエラグ酸が美白成分などの、詳しい説明も載っています。
詳しくて幅広い内容なので、
私には難しくて使いこなせない内容も多いですが、
ハーブティーだけでなく、精油の事を幅広く学びたい方や、
初心者の方でも、奥深いハーブ世界を覗くきっかけになる導入本として、面白く学べると思います。
東京BABYLON 3 愛蔵版 (単行本コミックス)
2016/09/29 00:23
桜塚星史郎の、狂気の恋の結末
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレの感想になります。
北都ちゃんが『どこか遠くに行ってしまわないで』と告げるのが、切ない。
「貴方もその人も辛い経験をなさったんです
今度は二人一緒に『ペア』で幸せにならなければなりませんよ」
という台詞が、X17巻の星史郎の願いに繋がっていて、切ない。
昴流はやっと、星史郎に嫌われたくない気持ちに気付くが、
好きな人に嫌われる怖さは、SECRETで既に星史郎も感じている。
暗殺術の逆凪に、昴流の好きな動物を使っていたことがSECRETの一つ。
鈍感なのは昴流のほうだろう。
天使の昴流が、暗殺者と知らず、悪魔の星史郎を好きになり、堕天使にされてしまう。
昴流の左手に、赤い血と桜の花びらが落ちてくる。
見上げた時が、悲しい初対面。報われない恋の始まりだった。
本来、見られたら殺さなければならない状況で、
殺害場面の記憶を消し、話しかけ、一心惚れしてしまう。
「桜の下にいる人たちは苦しくないんですか?」の一言で。
「君と僕がまた出会えたら
一年間だけ一緒に過ごしましょう
君は僕と正反対の『心』を持っている
優しくて純粋で誠実で
きっと『君』はそのまま大人になるでしょう
その『綺麗』な『心』のまま」
もう既に、僕より『君』が先に来ている。僕より、昴流『君』を優先している。
暗殺現場を見られた星史郎が、恋に落ちた瞬間の、美しくて切ない告白。
星史郎は、昴流の容姿ではなく、『心』を『綺麗』と告白している。
中身に惚れたのは、強い気持ちで揺らぎがないと思う。
そして星史郎は、印を刻む前の9歳の昴流だけを『君』と呼ぶ。
この『君』と『貴方』の使い分けは、X16巻の最期の告白にも繋がっている。
つまり「『桜』の下で」出会った時から、昴流『君』を愛していたのである。
では、星史郎が一心惚れまでするきっかけになった、昴流の言葉の意味は?
「桜の下にいる人たち」とは、死体ではなく、陰陽師の二人を指していると解釈する。
本当は暗殺業に苦しんで、 何も感じないと言い聞かせていたのだろう。
「特に」何も感じないと言うのは、何かを感じているから。
桜塚護の継承式の秘密を明かし、昴流を桜の十字架にかける態度から、
桜塚護を終わらせようと必死なのが伝わる。
それに、暗殺のプロが、病室で昴流を殺める気はないだろう。
ボコった後の昴流を看護婦に助けて欲しいとまで考えていたかもしれない。
右腕を折ったのも、北都ちゃんに危機感を与え、最期の術をかけさせる為。
昴流の利他的な優しさは、星史郎には残酷だったのかもしれない。
暗殺者の自分は昴流と一緒に生きられないのに、勇弥くんの中で昴流の腎臓が生きることに嫉妬したから、
内臓から血が出るまでボコったのかもしれない。
それに、愛してもいないと嘘を言うのは、愛する自覚があるから。
包帯を巻いた状態でそんな嘘を言っても、かなり苦しい。
星史郎が裏切ったのは、昴流を愛する自分の気持ちと、
『昴流をどこか遠くに連れて行かないで』と頼んだ北都ちゃん。
昴流が病室で握った左手で、暗殺術などかけられる筈もなく。
昴流の心だけ術で攫い、鏡の中に閉じ込める。
最後に、またもや昴流の左手に花びらが落ちる。
桜塚護を終わらせて、『真白』な『桜』を咲かせて欲しいと告げるように。
昴流の為に右目を失明し、殺めた北都ちゃんを抱える、狂気の星史郎。
青年に成長した昴流が桜塚護を終わらせようと決意する最後、
背景の団地に散る花びらは、『真白』な『桜』だろうか。
星史郎の報われない狂気の恋の果てに辿り着いた、
三人の結末が、哀しくて切なかった。
風工房のクロッシェレース
2016/09/27 23:25
レース編みのウェアから小物まで、幅広く掲載されている、クラシカルな作品集
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
風工房さんの、
レース編みのベストやボレロ、スカートなどのウェアや、
アクセサリーなどの小物まで、20点以上の作品が掲載されています。
内容は、難しいものですが、
眺めているだけでも、うっとりしますし、
おしゃれの参考になります。
白と黒のレース糸を基調としていますが、
シンプルで美しい、クラシックなデザインなので、応用が効きます。
最近のレース糸はカラフルなものも増えているので、
好みの色の糸で、可愛く仕上げるのも素敵だと思います。
個人的には、レース編みのスカートの作品が、
ロマンティックで美しく、目を引きました。
レース編みが好きな方や、
クラシックな雰囲気が好きな方、
色々な作品が載っているレース編みの本を探している方にはオススメします。
